2009年11月11日(水) 【沖縄徘徊】

 2泊3日の県外調査を終え帰岡。やはり岡山は寒いです。

 想像以上に、ほとんど雨が降らず、快適であったのですが、この時期、調査先が、宮古島と沖縄本島ということについては、地域振興・観光・金融・雇用対策特別委員会で、観光が付託事件とはいえ、幾ら何でも報告にし難いと思っていましたが、なにしろ考えさせらることが多い調査でした。

 特に、あらゆる施策において、国との関係が本当に濃いということで、普天間基地をめぐる問題についても、那覇から宜野湾まで、夕方から国道58号をレンタサイクルを漕ぎながら、いろいろ考えました。


 私が最初に沖縄を訪ねたのは、代議士秘書時代の友人の関係する団体主催の非常に中身の濃すぎるスタディツアーでした。

 ほとんど観光地には行かず、普天間基地を眺める展望台に行き、当然、キャンプシュワブ、辺野古も観て、ひめゆりの塔ではなく他の塔に、慰霊塔では、日本政府のものでなく、韓国人の方のそれに、反戦地主の知花さんを訪ね、集団自決があったガマに入って、宿舎は、皆で雑魚寝するという体験から、そもそも沖縄が観光地であるという認識が、もともとないわけです。

 最初がそれですので、先の大戦で捨て石にされたような悲劇の島であることと、時間を忘れる脳天気な雰囲気との間に、常にギャップを感じています。その後、4、5回は、沖縄に行っていますが、最初の印象を越えることはありません。


 加えて、道州制の議論のときには、沖縄は単独州ということですが、那覇を中心に、東に北大東島、北東に喜界島、西に与那国島とコンパスで円を描くと4〜500kmの大円になり、那覇を大阪に被せると、西は神奈川県、東は、九州をすっぽり囲む大きさになることに、なるほどと思います。そういうスケールで考えないと、見誤ることがあります。

 人口140万人のうちの1割の方々が、離島に住まれていて、国管理空港は1つですが、地方管理空港は、12にもなります。

 以前は、北海道開発庁と沖縄開発庁というものがありましたが、ある意味、戦後補償的な要素もありますし、なによりも、国防上の観点も加味されて、単純な地域振興という括りでは考えられないということを改めて痛感しました。

 いずれにしても、沖縄については、軽々に語ることができるものではありません。


 それにしても、例えば、那覇から352kmの宮古島の地下ダムについては、山や川がない島では地下水をくみ上げていたわけですが、サトウキビやマンゴーなど農業の用水確保のために、水を透しやすい琉球石灰岩と水を通しにくい島尻層の二層からなっている地下にダムを造ったという農林水産省の大事業です。

 パイプラインを引いて、総額1000億円。ただ、児島湖の締め切り堤防のような問題が、地中で発生する恐れを感じました。

 その他、幾つか島々の間に橋が架かっていますが、現在、伊良部島との間にかかるものが、300億円。
 人口約5万4000人の島ですが、政権交代に関わりなく、地域振興のためのこうした額の事業は、今後も行われていくと思われます。


 また、嘉手納基地に近い沖縄市では、ミュージックタウン音市場を核とする市街地再開発事業が行われていますが、ハード面では、防衛省の9割補助、ソフト面でも、厚労省の補助が出ており、国策も絡んでのまちづくりとも言えると思います。

 ある種のリスクもある暮らしの中で、その是非など、これも単純に議論はできません。


 県庁でも、コールセンター設置の支援などの情報通信基盤の整備も、行政と防災を一体化したネットワークづくりであったり、いわゆる過疎地域や中山間地域の振興とも違う、国が大きく絡む施策であり、一概に比較の対象にならないことを強く感じました。

 しかし、それゆえに一方で、政権交代の影響がいかほどあるのか、これもまた地域には、心配な要素です。ともあれ、常に国の干渉下にあり、地方分権、地方主権ということを他の府県とは、同列には論じられません。

 それでも、違いすぎるからこそ、たいへんな刺激を受けました。


 ちなみに、沖縄県は社会増で、毎年7000人の人口増。離島も、横ばいで、失業率が全国に比して、非常に高い状況で、実は、積極的な移住促進計画を進めているわけではありません。

 むしろ、今年度の収入目標が、4851億円の観光産業では、観光客年間630万人から、外国人も含めて、1000万人を大目標にしていますので、沖縄旅行が好ましいと思います。
 本来は、観光で、少しでも、国からの自立を目指すというのは、あるべき姿のように思います。

 変な話ですが、基地問題を解消するために、沖縄経済を支えることが必要だとすれば、我々が、沖縄県に旅行するというのが、一番できることと言えるかもしれません。


 それにしても、ベルリンの壁が崩れて20年、それでも、沖縄といわゆる本土の壁が、無くなっているように思えません。

 どれだけ、基地問題に、我々が関心を持っているでしょうか?特に、基地問題が連日一面の地元紙と全国紙の報道のされ方が、全く異なります。ちなみに、ご案内の通り、沖縄には、全国紙も午後にならないと届かないわけですが・・・。

 普天間基地の移設問題について、鳩山首相は、民主党の沖縄ビジョン同様、県外か国外移転が持論と思われますが、北沢防衛相は、辺野古移設容認発言。
 一方、岡田外相の嘉手納基地への統合案発言の撤回を求め、7日には、嘉手納町で、2500人集会。
 8日には、辺野古移設計画撤廃・県内移設反対を求めて、宜野湾市で2万人集会。この会には、自民党は不参加だったようです。

 特に、8月の衆院選では、全4選挙区で、辺野古移設反対を掲げる候補が当選し、民主党政権の県外移設に期待感があるわけですが、明後日のオバマ大統領来日の首脳会談では、米国は、辺野古移設を要求しているものの、主要議題としない方向のようです。

 しかし、閣内不一致が云々というよりも、県民が振り回されている感があり気の毒です。

 とは言うものの、神奈川県知事の発言が大きな問題になっていますが、こうあるべきだというのは難しいところです、ただ、岡山県民は、本来は無関心であって良いはずがないのです。
 というのは、直行便が飛んでいるという以上に、辺野古移設の議論は、まさに、橋本総理時代に、なされたものだからです。


 話はがらり変わりますが、昨日の夜に引き続き、今朝、レンタサイクルで、国際通りや公設市場を午前6時過ぎから徘徊しましたが、8時頃、自民党広報車=「あさかぜ」が!
 なんでも、岡山県連遊説局と同じ水曜日(私がいないので、今週は木曜日ですが)が、定期街宣日とか。
 沖縄の自民党というのは、想像しただけで、きつそうですが、全国に踏ん張っている仲間がいることが、単純に嬉しゅうございました。

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