2009年1月23日(金)
【ともかく緊急経済・雇用対策】

 本日は、総務委員会および臨時本会議。

 緊急経済・雇用対策としての総額109億4056万円の一般会計予算の補正が行われました。これは、1月中に臨時会が開かれる12の県のうち、最大規模の緊急経済対策になります。
 異例の全会一致で、県は出来る限りの対策を打ちます。


 国の二次補正の成立を待たずとも、県として直ちに着手する方針で、単県公共事業30億円、農林、福祉介護分野での200人の雇用創出のための4事業など7556万円を含んでいます。
 また、障害福祉サービス事業者の運営の安定化等を図り、福祉・介護分野の担い手を確保するために、23億923万円。

 また、美作ラグビーサッカー場や県立美術館など、俄に出てきた公の施設の維持修繕に、6億3542万5000円、耐震改修など教育環境の整備に、10億5298万円、道路、橋梁、河川の維持修繕など安全安心確保のための公共施設等の整備に、27億737万円。
 要は、前倒しで行こうということです。

 また、中小企業の支援として、575億円の県融資制度の枠を675億円に、100億円拡大。来年度予算要求でも、625億円に拡大されています。



 財源としては、地域活性化・生活対策臨時交付金33億8617万円、それ以外の国庫支出金24億7452万円など、ともかく、国の二次補正の通過を待っていますが、ここで、48億8560万円の起債をすることになります。

 さらに、来年度予算になりますが、20台の電気自動車含んだ100台の三菱の自動車を購入することを知事が明言しました。



 また、国の雇用対策によれば、さらに、厚生労働省の3年間で取り崩していく40億円の基金事業が予定されており、これは、先の雇用創出の事業と上手くリンクしていく狙いがありますが、いずれにせよ、ここまで、1次補正、2次補正、さらに21年度予算で、75兆円の経済対策を打つ麻生政権のもと、来年度予算成立後、早くも追加の経済対策が予想されています。

 この不景気に、緊急経済対策と称して、思い切り国も財政出動に舵を切ったこともあり、今後も、地方に、突然お金が降ってくるようです。



 それにしても幾つか思う事があります。

 ひとつは、結局は地方の生殺与奪権は、やはり国にあるんだな、ということ。赤字国債を発行してでも、積極予算を組めば、国民トータルで借金は増えても、地方は、潤う仕組みです。
 根本的な国の行財政改革が、進もうが進むまいが、地方としては、金が貰えれば、ありがたいと思う、この感覚。

それにしても、世代間の公平な分担を越えた借金について、最後は消費税の増額を含めて増税で・・・あるいは、いつか夢のようなバブルが白馬に乗った王子様のように表れて・・最悪ならば、戦争か革命か徳政令で・・・チャラになる・・・?
 困るのは、子ども達なんだがな・・・


 さらに、委員からも質問がありましたが、公共事業の即効性、経済波及効果について。おそらく、30億円の公共事業も細分化すれば、結局は、各市町村での実際の事業は僅かになります。県民局同士の争奪選になるのか・・・

 また、実際に、どれほどの新規の雇用拡大、経済活性化になるのか・・。ピーク時の3分の1、前年比10%カットの縮小が続いていますから、焼け石に水かもしれません。

 即座に雇用が生まれて、経済波及効果がある、そういう使い道がなかなか無いのは分かりますが、環境や、ものづくり、明日への投資に、まだ知恵は出せるはず。

 医療現場はどうなのかな?災害対策は?地元で作った本や絵本を配ったりするのも手だと思いますが、必要な使い方は、まだまだあるかも。

 もちろん、公共事業が無駄とは言いません。むしろ、公の利益に資する県への御要望があれば、どんどんとお伝え頂きたいと思います。



 とにもかくにも、来年度からが構造改革のスタートとはいえ、今年度でさらに、48億円以上の起債というのも・・・もちろん、前年比で、150億円以上、借金が減っている中で、許される線であるという説明ですが・・・。

 その気になれば、いつでも出せると取るべきなのか?こうした緊急対応ができるだけ、改革を頑張ってきた成果であると取るべきなのか?百年に一度の危機だから、これで良いのか?

 あれだけ、危機宣言のあと、財政構造改革プランを作っていく中で、喧々囂々と喧嘩をして、団体の27万円の補助金も誇りごと吹き飛ばして、起債が出来る公共事業とはいえ、理由が立てば、お金は出せるんだなぁ・・・匙加減ひとつとは言わないけれど・・・あの議論はなんだったんだ?ということが幾つかあります。
 もっと真摯に出来ることは平素からあるのではないかなぁ・・。

 ともあれ、あくまで財政危機宣言の中での話だという本旨を忘れてはいけません。



 何よりも今、この緊急経済対策で、少しでも助かる方が多くおられるのを祈ってやみませんが、なにか良い仕事をしたなぁ、という気持ちに、どうしてもなりません。

 なにか机上で右から左に数字を持っていくことに、組織の一部として賛成は、したけれども、一滴も汗をかいていない後ろめたさと言って良いかもしれません。

 私が朝刊配達をしたのは、20才代半ばの1年8ヶ月に過ぎませんが、この仕事が貴いと思うのは、誰も傷つけず、誰からも感謝される仕事の基本だと思うからです。
 冬の意外な暖かさや明け方の冷え込み、梅雨、雪、星空、蝉の声、スーパーカブのガソリンの匂い・・・・。

 当時は、一軒あたり1ヶ月250円で、200軒配って、月5万円というシンプルな計算でした。集金が、1軒100円です。拡張はしたことがありませんが、どうあれ、10円を積み重ねて万になる、その10円には10円の汗がある・・・新聞配達をせずとも、商売人なら誰でも意識している積み重ねです。

 だからこそ、使うときも、意識します。午前6時に、交通違反切符を切られた事がありますが、違反金が、配達何日分か涙が出ました。世の中は、そうした喜びや悲しみや悔しさが入り交じっているお金の積み重ねです。

 それが、汗ひとつかかずに平気で億の話をしている・・・あるいは、緊急対策で良いことをしたかのように、そして、県の借金を増やしました。これで本当に良いんだろうか???

 胸を張って、緊急経済対策をしましたと言ったって、自腹を切って、びた一文出しているわけではないのです。全部皆さんのお金です。


 それよりも何よりも、こうした対策が遅れるのが、党利党略や保身のためであるとしたら、それで、本当に毎日亡くなっている方がおられるに違いなく、「お上」はどうかしていると言わざるを得ません。
 せめて、そういう感覚は分かれや・・・と肝に銘じつつ、緊急経済・雇用対策です。

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