2008年6月9日(月) 【先楽後憂】

 いよいよ6月定例会が始まりました。
 御性格もあるのでしょうが、財政危機宣言についても、いつもと知事は、そう調子が変わりませんでした。
 本会議後、全員協議会も開催され、知事から、財政問題について、説明が行われました。質疑は、本会議の論戦からです。

 知事の発言要旨は下記のようなものです。周到に理論構成されています。

◎そもそも、就任時から、(前知事の積極施策により)財政調整基金(本当に困ったときだけ使いなさいという爺ちゃんの遺産)等が、底をつきかけていたのだが、県債発行の基準である起債制限比率が、平成11年、いよいよ全国一の危険な状態になった。

◎そこで、3次にわたる行財政改革を行った結果、実質公債比率は大きく改善しつつあり(成果を上げたが)、平成16年の「交付税ショック」によって、(国からの仕送りである)地方交付税が、300億円減額されたことにより、(国のせいで)構造的に、毎年300億円から400億円程度の巨額の収支不足が、生じることになった。

◎国に対して、必要な一般財源総額の確保を求める一方で、禁じ手とも言える「特定目的基金」(子どもの学資保険)を取り崩して、なんとかしのいできたが、それも限界が近づいた。

◎ところで、本年度から一部実施の「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」は、財政指標が一定の基準に達した場合には、自動的に財政再生団体に転落するとしており(ぶっちゃけ、既に非常にまずい)、最悪の事態を回避するために、「財政危機宣言」を行った。

◎そして、部局横断的なプロジェクトチームを新たに発足し、9月議会までに基本的な考えを示し、来年度予算に反映させる。

◎その際、「聖域を儲けず、あらゆる『事業』を改めてゼロベースから見直」す。


 これを日本語に分かり易く翻訳すると、
 前任者の膨大な負の遺産と国の場当たり的な施策のせいで、行財政改革の努力が報われず、このままでは破綻しそうなので、さらなる、厳しい行財政改革を続けます。
 そこで、単独の県の行政施策費約400億円については、徹底的にぶった切ります。

 なお、人件費については、言及していません。(私は、教職員や警察職員については、知事部局と分けて考えています。)



 本日は、自民党の代表質問を副知事に渡すセレモニーがあったのですが、その際のやりとりの詳細は省きますが、私は、政務調査会副会長として、副知事に、こう申し上げました。

 「発表の時期ですが、議会閉会後、6月30日には、賞与の支給がありますね。財政危機宣言をして、6月議会で議論して、8月には、事業費や市町村への補助金を打ち切る発表をする。
 そのお願いに現場に行く職員の方も、たいへんですね。金がないと言いながら、自分はボーナスを貰って、こっちは切るんか?と、非難囂々浴びる非情な時期ですね。
 議員を守る必要はないですが、職員を守ろうという気持ちは、知事にはなかったんですか?」

 やはり、どうあれ2月定例会で、発表しておくべきでした。何を勘ぐられても仕方ないです。議会は、大丈夫か?と、常に聞いてはいたのですから・・・。
 一方で、知事が賞与を受け取るかどうかが、私の秋の判断基準です。赤字会社の役員に、賞与があるわけないだろう・・・。いわんや、退職金など。まだ知事の個人的な対応が明言されていないので、それを信じています。

 いずれにせよ、県の唯一の商品である行政サービスを削るのは、最後の最後です。税金を払っているのに、「お金が無いから」では、すみません。


 そして、この財政議論、簡単に、国と地方の関係の議論に変わります。「県の財政破綻を救うのは、政権を変えることだ」という、何段飛びか分からない論法もあります。
 秋の知事選挙が、国の政局と連動してきました。



 ところで、議会ですが、不思議な雰囲気でした。いつもとあまり変わりませんでした。もう一つ我が事に思えていないのかしら???そんなわけもないはずですが、議会内は、全然違う世界にいるようでした。信じたくないというか・・・これからなのでしょう。

 少なくとも、我々は、被害者ではなく、加害者、それも、共犯です。いくら知事を責めても、赤字のひとつ減るわけじゃなし、詰め腹を切ってみせる覚悟がやはりいるのだと思います。
 県民を守るということが、絶対的な正義です。



 今朝、自民党の広報車「あさかぜ」で、青年部局の街頭演説。例によって、弁士一人でしたが、もはや街頭に冷気すら感じました。おそらく、他党なら、水を得た魚のように、私も舌鋒鋭く、共感を得ながら、幾らでも話す自信があります。

 ほとんど「佐藤真治」とは言いませんが、反省のかけらもない自民党の知らない議員が、朝っぱらから騒いでいるようにしか見えないのかしら?と思うと、実に切ないです。

 「あさかぜ」では、初めてのことですが、婆ちゃんに、大きな声で怒られました。内容はよく分かりませんでしたが、ともかく、「もう自民党やこ応援せん!」というのは、はっきり聞こえました。・・・これは辛い。
 それでも、1時間、話し続けました。逃げるわけにはいきません。

 岡山県の財政破綻・・・・。今、選挙やったら、沖縄県議選どころじゃなく、議会多数会派の自民党公認・推薦候補は、全滅じゃないか・・?


 それでも、自民党が変わらなければ、自民党でなければ、と信じてなんやかやと闘うしかありません。

 秘書時代に、自民党は、選挙に勝つのが普通だと思っていました。逢沢、熊代、平沼、橋本、村田の各代議士、片山、加藤の両参議院議員と、ずらっと並ぶ国家議員の先生方が誇りでした。
 石井知事の1回目の選挙も、薄氷の勝利でした。

 あの頃は、夢があったんかなぁ。


 そうそう、こんな話もあります。今日、同僚議員とトイレの中で、
 「佐藤さん気がちいた?」「何をですか?」「今日の知事提案説明に、『夢』いう言葉が、いっこもなかったろう?」「そういやぁ、そうですね・・」「岡山県から、『夢』がのうなったんじゃなぁ・・・。」

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