2008年5月23日(金) 【首都と限界集落】

 東京は真夏のような暑さで、第44回平成20年度地方自治経営学会研究大会2日目。かように、開会1時間前に最前列を確保しに行くぐらいの勢いが、学生時代にもあれば、もう少し成績優秀だったことでしょう。
 机がなかったので、この2日間で、筋肉痛です。


 本日は、片山善博前鳥取県知事の講演に、根本前福島県矢祭町町長、橋場北海道栗山町議会議長、松島長野県泰阜村村長などの講演。一般には馴染みがないかも知れませんが、地方自治の世界では、知ると人ぞ知る方ばかりです。
 本当に来て良かったなと思っております。でも、疲れたので、早く帰りたいです。


 今日は、いわゆる65歳以上の高齢者が過半数を占め、社会的共同生活の維持が困難になっている限界集落化の現状と地域再生の話が、大きなテーマでしたが、誰のための地方分権か?というのが、昨日今日の終始一貫した問題意識です。

 時として、地方分権は、首長の自由度を増すためだけのものであり、地方分権一括法が施行されて、住民の暮らしに変化がありましたか?というと、極めて分かり難いものがあります。

 実は、政令指定都市化や道州制も、地方分権薔薇色論の中で、住民にとって何が良いのか?という根本的な説明が欠落しています。

 つまりは、既存の行政システムよりも、税金の無駄が生じない行政システムを構築しますよ、ということではあるのですが、行政サービスがいかように向上するのか?という問いに、明確に答えられないため、例えば、政令指定都市化について、市民のムードが今ひとつ盛り上がらないのは、むべなるかな、というところもあります。

 行政の役割分担が変わるだけじゃないの?それよか、ゴミ袋の有料化の方が、嫌じゃな、という声の方が強いのではないでしょうか。



 ただ、限界集落の話は、もう待ったなしの状況です。しかし、当事者の首長ですら、「消えていく集落を看取る以外ない」という発言がありました。

 一方で、存続集落、準限界集落、限界集落と分けた場合、少なくとも、限界集落を準限界集落に再生させることは難しいが、準限界集落を存続集落になるよう予防する手当を考えるべきだという発言もありました。

 加えて、三位一体改革の流れの中で、いきなり地方交付税を減額され、思い切り梯子を外されて裏切られた地方、特に、中山間地を含む小規模自治体ですが、全て、お金の問題なのか?社会貢献をしてきた高齢者がその地で幸せに暮らせない国に、なんの魅力があるのか?という、問いかけもありました。



 夕刻から、都電荒川線に乗り、途中乗り換えて、この春に開業した都営日暮里・舎人ライナーにも乗ってみました。新交通システムの割には海には向かわず、べたっとした武蔵野の住宅街を進み続けますが、秋葉原に続けとばかりに、あの日暮里駅がこう姿を変えるのか、と、びっくりしました。

 いずれも下町に向けて延びる線ではありますが、岡山の中山間地に思いを馳せると、いかんともし難い格差を感じました。

 人当たりする朝の通勤ラッシュは、都会暮らしができない大きな理由(いずれ慣れるとは知ってはいますが)で、羨ましいことばかりでもないですし、東京都に中山間地がないわけでもないのですが、少なくとも、23区界隈・周辺の投資というのは、国内の富の偏在の象徴とも言えるような気がしてきました。

 なんで、こんなにボコボコいろんな物ができるのよ?全部、都民と民間でしたというの?地方は、東京の植民地か?と、だんだん考えが危なくなってきたので、秋葉原に行きました。さすが、体育会系文化部・・しかし、秋葉原も不思議な街です。


 昨日、西川福井県知事が、ふるさと納税制度に絡んで言われていた、1700万円かけて育てた若者が、3000人、都会に出ていって、1000人しか戻って来ないのは、ライフサイクルバランスが崩れているというのは、その通りです。
 (ちなみに、岡山県の「ふるさと納税」のサイトは、下記の通りです。
http://www.pref.okayama.jp/soshiki/detail.html?lif_id=19974 )

 よく考えれば、東京本社があって、法人税が都に入りますが、会社の人材はもちろん、ある意味、地方からの搾取の上に、東京は成り立っているのではないか?と思うと、腹が立ってきて、宿泊税など、とんでもないと思えてきました。



 敢えて言えば、東京の人材や食料や酸素を誰が供給してるんだ?と考えると、東京が、地方に、いくら還元してもバチは当たらんぞな、と思います。田舎もんじゃ思うて、馬鹿にすなや、でーてー東京やこ、田舎者の集まりじゃネーかという暴言を吐いてはいけませんが・・・。

 これは、岡山県内においても言えることで、岡山市や倉敷市は、ある意味で、他の市町村の犠牲?奉仕?の上に成り立っているという感覚は必要です。

 もっと言えば、地方が滅べば、いずれ東京も滅びます。岡山の県北と県南、都市部と中山間地、農村部、同じ図式です。


 私の政治理念は、「愛と夢の公正な分かち合いのために!」ということですが、地方分権も、まさにそういうことです。


 結局、東京にいても、電話で、委員会の打ち合わせなどもしてるわけですが、夏の県内調査では、敢えて、県北の合併しない村や中山間地の限界集落を訪ね、夜の状況を知りたくて、吉備高原都市に泊まってみよう、と考えています。

 ちなみに、総務委員会の所管になりますが、今年度より、企画振興部地域振興課内に、「中山間地域振興室」というセクションができ、「岡山県中山間地域活性化推進本部」が、立ち上がっています。

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