2007年12月15日(土)
【ウルトラマンについて考えるこころ】

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 倉敷チボリ公園について、ともかく17日の取締役会に委ねようというやりとりをしながら、相変わらず、完調に戻らず、今宵は、忘年会のはしごを4件・・・うーん。ここから10日、忘年会等のない日はありません。怒濤の如く年末に。
 一方で、どうしても、ウルトラマンについて考えなくてはいけない状況になり、下記の原稿を綴りました。ボツになる可能性も高く、日の目を見ない可能性もありますので、私が、ウルトラマンについて考えていることを紹介させて頂きます。
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タロウとレオとコスモスと

 ゴジラの顔が大きくなって、幼児化するのに呼応したように、ウルトラマンタロウは、幼心に、ふざけているとしか思えなかった。

 一番腹が立ったのが、ZATのパトロール車・ラビットパンダであるが、ともかく、ウルトラ「義」兄弟の中で、ウルトラの父と母の実子であるという毛並みの良さ、飛び抜けてすらっと背の高いルックスの良さに加えて、なにかあれば、親や兄弟に助けて貰う末っ子タロウが、限りなく三等身に近づいた、ちばけた怪獣と闘うのなんか、誰が見るもんか!と、思ったわけである。

 私は、彼に共感するものが、なにもなかった。しかし、そのタロウは、最後にタロウであることを辞めるのである。そして自分探しの旅に出るのだ。ここで初めて、私は、タロウを認めるのである。でも、最後の最後で、やっとだ。

 余談だが、ZATTの副隊長役の故・東野英心さんには、『真夏の夜の夢』で市民劇場で来岡された時に、サインを貰ったことがある。


 一方で、シリーズ中、最も陰気なウルトラマンレオは、当時から肥満児であった私には、最初からビビッときた。だいたいが、レオの故郷あでる獅子座L77星は、マグマ星人に破壊されて、既にない。M78星雲(光の国)の奴らとは、背負っているものが違うのだ。

 地球侵略を狙う、そのマグマ星人と戦いに来たゲンは、そのマグマ星人に負けて変身能力を失ったダン(ウルトラセブン)のいじめにも近い、しごきに耐えながら、いずれ全滅するMACの中で、うきまくって、『星空のバラード』なんか歌うのである。そこに一切の甘えはないのだ。

 ちなみに、レオの兄弟のアストラは、いまだに、ウルトラマンアストラではなく、ただのアストラなのだ。こうした疎外感、孤独感、生きる厳しさと闘いながら、まわりの人は、どんどん死ぬが、最後は地球人として、ウルトラ義兄弟として、比較的あたたかく迎えられるレオ!そこに私は、確かな自立を感じたのである。


 私のウルトラマンとの付き合いは、そこで終わる。仮面ライダーも、アマゾンまでは観ていない。そこに、「宇宙戦艦ヤマト」があったからだ。ただその後に、「ガンダム」が来ることを知る由もなかったが、ともあれ、少し大人になったのだ。


 しかし、『Whyなぜだろう? 誰かを救えるはずの力で 誰もがまた争う』と、いきなり主題歌で問う、21世紀最初のウルトラマンであるウルトラマンコスモスは、私の中では、ウルトラマンの最高傑作で、もはやこれを越えるウルトラマン像は、今後もあり得ないと断言できる。夕方6時に大人が、観られるわけもないので、ビデオで夜中に観たのであるが、他の最近のウルトラマンには、ここまでのインパクトはない。

 だいたい、チーム・アイズからして、怪獣保護組織で、怪獣を捕獲して保護地域に隔離するのが、絶対方針である。悪いのは、光のウィルス=カオスヘッダーで、それも、人間の悪の想念から組成されたりして、怪獣は、むしろ、しばしば被害者なのである。暴れたいから暴ているわけではないのだ。したがって、コスモスは、専守防衛のように、怪獣の攻撃をかわし、よほどの理由がない限り、こちらから攻撃しない。

 最後は、カオスヘッダー本体との戦いになるが、最終決着を望むコスモスに対して、コスモスに変身する人間のムサシの方が、カオスヘッダーそのものとの和解を図る。
 ムサシの果てしない愛は、カオスヘッダーをも鎮め、コスモスをして、ムサシは、「君こそ真の勇者だ!」と言わしめるのである。・・・汝の敵を愛せよ・・・。究極の理想、究極の愛。戦いの意味に苦しんだり、個人的な苦悩をしたウルトラマンは数多くいたが、これほど愛を体現したウルトラマンを私は知らない。

 いったいこれ以上のウルトラマンがいるだろうか?だから、タロウやレオでなく、コスモスを自分のウルトラマンに思える子ども達に、少し期待がもてると思うのである。さて、これからの子ども達は、ウルトラマンとのどんな付き合いが始まるのだろう・・・?

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