2002年6月29日(土)【岡山ピースミュージアム】

 まずもって、先の大戦で尊い命を犠牲にされた全ての方の御霊に、謹んで、哀悼の意を捧げます。

 本日は、岡山市主催の戦没者追悼式に始まり、一日中、6月29日の岡山大空襲がらみの一日でありました。

 今日の戦没者追悼式の客席には、遺族会の方が、多かったように思いますが、いつも護国神社で感じるように、お年を召された方が、やはり多いです。

 そういった中、土曜日ということもあり、中央中学校をはじめとして、公立・私立中学校の生徒が、献花をしました。形式を研究する必要はあるかもしれませんが、非常に良い試みだと思います。


 ところで、いわば指名献花が続き、非常に長い式典であったため、ずいぶん壇上で考えさせられました。

 特に、「戦没者」という場合に、岡山大空襲の戦災者と戦場で散華されたいわゆるご英霊を指すわけですが、防空壕で亡くなった曾祖母は、戦争をいったいなんだと思っていたのだろう?なぜ彼女は、死ななくてはいけなかったのだろう?庶民にとって、戦争とは何だったのだろう?

 大衆としての庶民は、どうだったろう?昨年の小泉バンザイ現象、ワールド・カップサッカーでの若者たちの「ニッポン・ちゃ、ちゃ、ちゃ」と比べてどうだったのだろう?日本人って何だろう?

 ほんの僅かな生死の境で、生かされている意味は何だろう?生き残ることの意味とは何だろう?なぜ自分は、今、この時代を生きているのだろう?

 なにより、戦災者とご英霊を結ぶ、すなわち、内地と戦場を結ぶ中で、政治家は、何をしていたのだろう?マスメディアはどうだったろう?

 そして、この式典は、いつまで回数を続けられるのだろう?
 今、私が、何ができるだろう?


 今日の曇天のように、どこかすきりしないまま、午後からは、「岡山こども平和の声」主催の「What's Peace−岡山の57年前と今日− 」に。

 昨年の9・11以来、「その633」で書いたような何かしたいという、大人の思いを、高校生達が自分達の力で、「平和宣言」にまで、見事に押し上げ、形にしました。

 加えて、同じように高校生の純粋な思いが、「ぴいすふぇすたinおかやま」につながりました。これも、心のある催しでした。

 今日は、若い世代から、平和への思いが、岡山に百花繚乱に広がった、記念すべき一日となりました。

 しっかりと自分達の目で、現実を見据えることができる高校生達の純粋な情熱には、感動しました。彼らから、大きな勇気を貰いました。

 彼らに、心から敬意を表するとともに、やはり、我々の世代が、しっかりと、過去から未来へ、思いを繋がなくてはいけないと認識を新たにしました。

 風化させるとしたら、その責任は、「働き盛り」と言われる世代にあります。伝えたい人(世代)がいる、伝えられたい人(世代)がいる、だから間に入る人(世代)が要るのです。



 夕刻には、6月11日にオープンした旧出石小学校の校舎内にできた「岡山空襲出石資料館」を訪ねました。是非皆様も、お立ち入り下さい。

 この度設立したNPO法人「平和推進岡山市民協議会」が、岡山市の「協働のまちづくり条例」の指定を受けた出石小学校校舎管理運営委員会の公募を受け、2年間の常設展示をしているものです。
 アナログの展示が、かえって、戦争の悲惨さや当時の人々の暮らしを伝えてくれます。

 実は、こうした戦争当時の物品(配給手帳、鉄かぶと、罹災証明、出征寄せ書き等)や戦災の遺品(焼夷弾など)などが、かなり市井に眠っていると思われますが、これらは、あるいは、処分される可能性があります。
 また、口述で伝えられるべき事柄が、未来に語られることがないまま、消えてしまう恐れもあります。

 この協議会は、それらの資料を収集し、さらに、「岡山市平和館(仮称)」の建設を提言されていますが、岡山空襲出石資料館は、あくまで暫定施設です。いずれ動かなくてはいけません。


 一方で、是非訪ねてみたいのですが、上田市にある戦没画学生慰霊美術館・無言館は、ある意味で、観光施設になっているようですし、姫路市にも、福山市にも、平和資料館は、あります。


 そこで、あくまで、「その906」の「ピースおかやま(仮称)」の創設を提言させて頂きたく思います。平和と人権をテーマにした資料館であり、啓蒙施設であり、生涯学習施設でもあります。

 できれば、世界紛争、第二次世界大戦、岡山大空襲、公害、差別等々、1Fごとにテーマを設け、口述もデジタルに記録して保存することを含めて資料を整備。
 ある意味で、テーマパークであり、ミュージアムでもある、そんなものが、整備(あくまで休眠施設の活用による)できないでしょうか。


 一番の障壁は、様々な団体の思惑ですが、それを飛び越えずして、未来永劫、平和など語ることはできません。また、敢えて言えば、この種の提言を保守系からすることが、極めて重要な意義があると思います。
 これは、私、やってみたいです。


 例によって、勝手にその気ですが、是非、冷静なご意見をお寄せ下さい。

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