2001年10月9日(火) 【21世紀の悪夢】

 始まってしまったことは仕方ないのですが、私は、英米の行動は、決して支持できません。いかなる理由であれ、いかなる国であれ、「民間人」が死んだ軍事行動は、生命・自由・財産を守る政治に関わる者として、絶対に支持できません。

 これを支持するのは、原爆を落とされた日本に対して、「民間人」も死ぬのは当然である、と他国の政治家が言い放つのと、たいして変わらないのではないか、そんな気すらします。

 まず、今回、空爆で亡くなった「民間人」、とりわけ、地雷の除去をしていたNGO関係者の無念の死には、心から哀悼の意を表します。全て、宗教や領土や資源を背景にした政治紛争のいわば「被害者」です。本当にすみません。

 テロでなくなった方に対するのと同じ思いで、今回の空爆で亡くなった「民間人」のために祈りたく思います。政治に関わる者として、全く力が及ばないことを心から恥じながら。
 死ぬなら、政治関係者同士で、代表して死ねば良いのです。


 しかし、英米の行動を支持せずとも、国際平和のために、日本として、すべきことはしないといけない、おセンチなヒューマニズムや奇麗事に酔っていられないのもまた事実です。生き抜かなくてはいけません。

 ただ、あくまで我々日本がすべきことは、国際平和のためであり、テロであれ、対テロであれ、民間人に被害が及ぶものは、断固反対する、すなわち国際平和の回復を目指す行動をするのであり、他国に追随するのではない、という姿勢が肝要だと思います。



 今回の一連の流れの中で、私が、共感というより、理解できる主張が、自由党のそれです。内容の是非は、別にして、筋が通っていると思います。

 個人的には、「多少の傷みは仕方ない」と総理が言い放ち、十分な国民的支持を得られないままに、危険に思いきり晒される自衛隊が、気の毒でなりません。「ひょっとしたら死んでこい」と、なぜ、ああ簡単に言えるのか?

 かなり長いですが、以下、野党の小沢党首の言葉を引用致します。


《 わが国は基本的に、日本の昭和史や人類の歴史的教訓から「国権の発動たる戦争、武力の威嚇・行使はやめよう」という精神で憲法第9条をつくり、自衛の戦争も直接攻撃を受けたときか、受ける可能性が極めて高いときに限定してきた。

 一方、現実には国民の生活や安全を守る軍隊を一国だけで保有することは不可能なため、わが国憲法は世界の国々と協力して平和を守ることにより、結果的に国民を守ることを理想とした。

 この理想に従い、僕は世界各国の合意による平和維持のための行動、例えば、イラクのクウェート侵攻に対し、国連が武力行使容認決議をした湾岸戦争では、「世界平和を守るため、断固参加せよ」と主張した。国際社会の一員として、国連の平和維持活動に参加することは憲法の理念に適うという考えだ。

 ところが、米国がこれから遂行しようという戦争はまったく質が違う。テロに対して米国が反撃するもので、ブッシュ大統領も「これは米国の戦争だ」と明言している。米国独自の戦争に後方支援であれ何で“助っ人”として自衛隊を派遣するには、根拠として、米国の敵は日本の敵、日本の敵は米国の敵――といった「集団的自衛権の行使」を認めるしかないが、政府は一貫して「認めない」としている。

 このため、法案の根拠としてテロ行為を非難した国連決議を持ち出しているが、いまでも政府は「国連決議により認められた、平和維持回復活動であっても、自衛隊が参加することは憲法上許されない」と、180度違う見解を示している。ただ米国への体裁を取り繕うために、その場しのぎのウソを並べ、自衛隊の海外派兵という究極的な政治判断をなし崩しに進めようとしている。

 政府方針の歴史的大転換だけに、本来ならば解散総選挙で国民の信を問うべき問題だが、時間的制約もあるため、小泉首相が政府の責任で従来の政府見解を転換し、「集団的自衛権の行使を認める」と、国民や世界各国に向けて説明した上で実行すべきだ。それならば、賛否は別にして筋道は通る。

 だが、小泉首相も自民党も役人も、米国の同盟国として軍事行動を共にするような度胸はない。確固とした理念や哲学があるわけではなく、「遅れちゃまずい。格好だけつけよう」と感性だけで判断して、パフォーマンスで海外派兵をしようとしている。これほど危ない話はない。このような政治手法が国を滅ぼすことにな 》


《 国際社会が一致協力してテロ撲滅に努めることは当然であり、わが国としても各国との協力体制を強化して、出入国管理体制の強化や、関係者への資産凍結・ 資金洗浄対策など、可能な限りの対策を講ずるべきである。

 今回の攻撃は、米英両国の自衛権の行使である。わが国が自衛隊を派遣することによりこれを軍事的に支援することは、集団的自衛権の行使にあたり、それはこれまで政府が憲法で禁じられているとしてきたものである。

 政府がこのことを真正面から論ぜず、新しい憲法解釈を国民に明示することなく、人道支援あるいは国際協力という名の装飾を施して新法を通そうとしていることは、国民を欺く以外の何ものでもない。

 ブッシュ大統領が言ったように、日本政府は今日の米英の軍事行動に沈着、冷静に対応すべきである。無原則に自衛隊を海外に派遣するのは、日本の将来に禍根を残すことにな 》


 大同団結も、大政翼賛もする必要はありませんが、願わくば、この期に及んで高祖元議員がどうというより、ここで、徹底して、自衛隊や憲法を論じて欲しいのですが。とろとろやってたら、死ぬんですけど・・・・・。

 テロ対策特別措置法特別委員会に、久々の加藤紘一先生。その手腕に期待させて頂きたいところです。



 余談ですが、10月4日発の3000m記念のロス記念便は、今日帰岡。あらゆる面で、考えられる最悪の時期に、岡山県政界にとって、前代未聞の大規模の訪米団で、「強行」したわけですが、このつけは、かなり大きいと思います。
 もしものことがあったら、財界や一般の方に、県として責任が負えたのか。

 結果として、残念ながら、ちょっと執行部への批判は避けられないかもしれません。歯車が、少しずつずれ始めた感じは否めません。

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