2001年5月3日(祝・木)
【憲法記念日に】 首相公選制には反対です

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 さて、本日11時と13時からの街頭演説ですが、全く内容が決まりません。どうも、片山参議院議員支援のものらしいですが、ご本人もおられないようです。

 配信を受けている政治関係者のメルマガは、殆ど非自民党の方のものですが、小泉政権発足後、攻撃の切っ先が鈍っているように思います。
 お手並み拝見というよりも、郵政三事業民営化にせよ、集団自衛権の憲法明記にせよ、時には、野党よりも総理の方が、走っているものもあり、かえって、野党は野党で、労組との関係を自問しているようです。
 ただ、その425で、触れたように、小泉政権に、中曽根政権以来の漠然とした「危険感」を私は、肌で感じています。


 万来の拍手で迎えられた先に、「首相公選制」の議論が必然的にあるのでしょうか。私は、この小泉バンザイ現象は、政党不信の象徴であり、間違っても、これで自民党が、禊を受けただの、認知されただの、と思ってはいけないと思います。あくまで「今までの政党」とりわけ、「今までの自民党」には、NOなのです。

 まだ、何も変っていないのです。県議会ですら、相変わらずの派閥抗争が続きます。都議選挙を控えた、東京都議が、小泉首相と我れ先にと並んで、選挙ポスター用の写真を撮る姿をTVで見て、「なんもわかってねーじゃねーか」と思いました。
 まだ、何も始まっていません。

 また、ここで、首相公選制に進むなら、それは民意の受け取り方を間違っていると思います。あるいは、国民が、この流れの中で、いっそのこと「大統領」を自分で選ぶべきだと考えるなら、衆愚政治、独裁政治への動きです。
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 憲法は、なんですか?
 ひとことで言えば、「国家の基本法」です。しかし、なぜ憲法を制定せねばならないのか。多くの国では、血の革命の後に、あるいは戦争の後に、憲法は、登場します。そこには、安定的な政治、平和への願いがあります。

 政治の安定とは何か、平和とは何か、国家的安定、結局それは個人個人が、国民一人一人が、幸せと感じられる状態です。もっと言えば、一人一人に、人権保障が及んでいる状態です。
 そのために、肥大化したり、人権侵害を及ぼす行政権力、それは、王や貴族や、軍部、独裁者だったりするでしょうが、その行政権力に対して、「法」の支配を及ぼす、法で縛りをかける、そして、その法の中の法、最高の法が、憲法なのです。それは、全て人権保障のためです。
 例えば、最高裁まで行く場合は、必ず「憲法」違反という形で、議論されます。

 我が憲法13条は「全て個人として尊重される」と記しています。これこそ憲法の根本規範です。
 すなわち、憲法とは、「個人の尊厳を中核とした人権保障の体系」なのです。憲法の究極の目的は、一人一人の人権保障です。

 そして、その人権保障に資するため、我が憲法は、3つの基本原理。国民主権、基本的人権の尊重、戦争放棄をうたいます。そして、その派生原理として、自由主義、民主主義、平等主義、福祉主義、平和主義が、出てきます。
 多くの、事象は、この派生原理の衝突です。例えば、自由・民主か、平等・福祉か、の相克です。本来の政党の主義の違いは、ここにあるはずです。何を強調するのか。
 しかし、その中でも、とりわけ重要なのは、自由主義です。他の原理は自由主義を実現する手段たる原理です。

 個人の尊厳を中核とした人権保障の体系の憲法→国民主権・基本的人権の尊重・戦争放棄→自由主義、民主主義、平等主義、福祉主義、平和主義、そんな流れの中で、目の前の事象が、何主義と何主義が、対立しているのか、究極的には、何が人権保障に資するのか、を見極める目が必要です。

 ちなみに、自由民主党は、実に良い名前です。民主党・・・やや意味が分かりません。さきがけだの日本新党は、党名からして内容がありませんでした。

 このあたり本日の朝日新聞の何面かに、伊藤真先生の憲法に関するコメントがあるので、是非お読み下さい。


 こんな憲法の流れの中で、条文自体が、不磨の大典であるという原理主義を我が憲法は、とっていません。国会議員の3分の2の発議、国民の過半数の同意という極めて硬性ですが、憲法(条文)改正はできます。

 究極的には、何が憲法の根本規範、人権保障に資するのか、という尺度で考えれば、環境権、プライバシイー権など、明記されてしかるべきでしょうし、地方自治や裁判についても、制度を変えて良いでしょう。
 インターネットで結ばれ、ボーダーレス、グローバル化した、54年前に想定していなかった国際化の状況には、どんどん対応すべきでしょう。

 9条の問題も、何が人権保障に資するのか、です。戦争放棄を基本原理にうたうことと、根本規範の人権保障の折り合いをどこでつけるのかです。
 自由主義対平和主義でも良いでしょう。背後にある徴兵制の問題も含めて、堂々と議論すれば良いのではないでしょうか。


 さて、首相公選制ですが、人権保障に本当に資するとお考えですか?民主主義が自由主義に、優越しますか?私は、いずれも現段階では、NOだと思います。

 議院内閣制の制度の問題というより、それを扱う政党の問題です。イギリスは、議院内閣制ですが、ブレア首相の力が、強すぎると言われているそうです。問題をすりかえては、いけません。


 ああ、そろそろ行かなくては・・・。
 1時間かけて書きましたが、街頭演説の答が、結局出ませんでした。

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