2000年11月19日(日)【制度と例外】

 やや愚痴っぽくなりますが、議員の本音です。

 昨日ある議員にお願いに伺ったとき、これは、「制度」の話だから良いですよねえ、と言われ、ハッとしました。

 我々議員に対するご依頼を大別すると2種類あります。ひとつは、制度すなわち、政治の仕組みや政策全般に関わるものと、もうひとつは、例外(特別扱い)を認めて欲しい、というものです。

 還元すれば、絶対多数の絶対幸福を求めるものか、絶対少数の相対的幸福を求めるものか、のどちらかです。
 概して、前者は一般質問に結びつき、後者は職員の方々にたいへんなご迷惑をおかけし、あげく議員としての行政側の評価を著しく下げます。
 また、前者は、理想。後者は、現実と言えるかもしれません。
 政治の表と裏。やりがいと苦痛。言い方は、様々でしょう。

 「清濁併せ呑む」という言葉がありますが、言うまでもなく前者が清なら、後者は濁で、概してこの言葉は、濁を求める側から、「それが政治じゃ」という意味合いで発せられ、多少とも無理が利く議員が、「力がある」と評価されるのです。
 逆に、無理を通せないと「あの議員は、使い物にならん」という、評価になります。
 概して、この声は議員にとって非常に「大きな」声だったりします。

 ですから、一般質問を何回したかではなく、どれだけ無理を聞いたかが、議員に力があるかどうかの評価になるのです。

 私は、全く「無理」をしないつもりはありません。なぜか?生活があるからです。「選挙が恐い」から、進むこともあるかもしれません。
 求める人がいる限り、誰かが無理をするのでしょう、そんな依頼は、決してなくならない。半ば諦めの気持ちもあります。

 何気ない依頼だと思うことの中に、案外議員をスポイルしてきたことがある、それが、ひいては政治の不公平を生み出し、結果として政治不信を生んでいる、その本当の原因は、どこにあるのか、逆に、議員の側から、市民、県民の皆様に問いかけたく思います。

 例外を求めたとき、間違いなく議員は、腐ります。腐っても、腐るほど、議員は、きっとできますが。青雲の志を持つ議員が、勝手に腐りはしません。「政策で勝負やこできるもんか。」「今は、若いけぇ、力もねぇけど、3期もすれば、ちーたぁー悪ぃことも覚えて、あんたも議員らしゅうなるんじゃろうなぁ。」「清濁合わせのまにゃぁ、ほんまの政治家には、なれんで。」「無理をするんが政治じゃ。」何度言われたか、わかりません。

 どんな議員を求めておられますか?
 やはり田中角栄が、日本の政治家の理想でしょうか。

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