2000年4月21日 【先生とは】

 どこもそうですが、3月・4月は人事異動の季節です。お世話になった県職員のあの方この方があちこちに移動されていきました。なにしろ右も左もわからん一年生議員です。多くの職員の方に思い切りご迷惑をお掛けしてまいりました。今から思うと恥ずかしいことも多々あり、穴があったら入りたいような心境にかられます。大概3年程度で、部署を変わられるようです。
 私は、ため口をきいていますが、○○部部長などというのは、例えれば、数千人規模の会社の取締役ですし、一般質問の答弁を求める知事は、一部上場企業の代表取締役です。敢えて書けば議員は、大株主のような、株主代表訴訟のような、とは言いますが、35才の私は、普通の企業なら係長なら大出世で、第一線で働く世代であり、こんなこと言っていいのかな〜、いいのかな〜とビクビクしながらやっています。電話で、「はっ、先生」などと受けてくださると、申し訳ないなぁと心から思います。でも本当は僕のことどう思ってんの〜?と、ちょっと聞きたくなりますが・・。

 ところで、 いまだに10945票という数にうなされていますが、私たち地方議員を「先生」などと呼ぶ風習は、そろそろ辞めた方が良いと思います。要するに皆さんの思いを議会に持っていき執行部にぶつけたり、執行部をチェックするのが、日本の地方議会の仕組みであり、アメリカの地方議会のように、議会の決定の方を行政に執行させるほどに、議会の仕組みは完成しておりませんし、日本の民主主義は成熟していませんし、そもそも議員への信頼もありません。制度的にも現実的にも充分に動いていないがゆえに、地方議員を「先生」と呼ぶのは違うというのです。若いからが主たる理由ではありません。
 多くの場合、あるいは議会がなくても、議員「先生」がいなくても、行政は円滑に機能するのではないか、私は、真剣にそう思っています。それで、なんで先生じゃ?
 それでも、私としては、特に議員が行政の代弁者として、県の取り組みについて説明責任を果たすのも、違うと思っています。それは、本来行政の仕事で、職員の方に聞きに行ったり、来てもらってしてもらうべきものです。私は、むしろムキになって、一般質問を続ける方に重点を置きたいのです。「こんなんが、質問になって議会に行くんか。知事に直接聞けるんか。」その言葉を待っています。
 もっともこのことが、職員の方にご迷惑になるケースが、ないではありませんが・・・。私の時に無茶な質問を職員の方々に、よってたかって助けて頂いています。逆に言うと、職員の方あっての議員でもあります。そっぽを向かれたらまず仕事は、できません。たとえどんなに良い提言であろうと。
 ともあれ、いわゆる官僚がそうであるように、地方行政を支えてきたのは優秀な職員の方です。

 こんな地方議会ですから、議員「先生」にとっての生命線は職員の方との関係です。特に私のような一年生議員、しかも若い議員にとって、任期中の最大の課題は職員の方と良好な関係を作ることに尽きると思います。何年議員をさせて頂けるかわかりませんが、必ずそれが、例えば、議会の提言を施策に結び付ける力になります。議員と職員の方は、まさに車の両輪です。
 実は人事異動こそ、人脈が広がる最大のチャンスなのです。結局は人間関係です。

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