2001年10月25日(木) | ||
【新世紀おかやま夢づくりプラン(仮称)の骨子案】 | ||
本日は、商工労働警察委員会でしたが、今日の常任委員会は、各委員会とも、岡山県政にとって極めて重要な報告がなされたと思います。
ひとつは、「快適生活県おかやま」の実現を基本理念とする「岡山長期ビジョン」を踏まえ、今後5年間の県政の基本を示す待望の「新世紀おかやま夢づくりプラン(仮称)」の骨子案が、報告されたこと。 いまひとつは、度重なる外郭団体の破綻を受け、外郭団体の定義に該当しなくとも、一定の基準に該当する団体の経営状況が公表されたこと、です。 かなり大部になることが予想され、しかも、私でなくても書けそうな報告に終始しますが、その重要性に鑑み、つらつらと綴ります。 【新世紀おかやま夢づくりプラン(仮称)の骨子案】 いわば、鳴り物入りで、発表された骨子案ですが、正直な感想は、総花的で、また、その美辞麗句と従来の施策との連携がよくわからない、というものです。ただ、「心」重視という言葉には、独自性を強く感じ、評価できると思います。 そもそも、このプランは、新世紀おかやまが目指すべき具体的な社会の姿を明らかにするとともに、今後5年間で重点的に取り組むべき政策目標と具体的施策等を、指標を用いてわかりやすく明示する中期的(平成14年度を初年度とし、平成18年度を目標年度とする5ヶ年)のアクションプランとして、策定されるそうです。 そのうち、時代の潮流は、@心の豊かさの追求と社会参加意識の高まりA少子化の進行と人口減少社会の展望、B高齢者が活躍する長寿社会の到来、C持続可能な社会と自然へのニーズの高まり、D社会のあり方を変える技術革新の進展、Eボーダレス化、グローバル化の進展、F経済の構造改革と地域産業の新たな展開、G自己決定・自己責任による分権型社会の展開、にあるとしています。 加えて、新世紀おかやまの発展可能性として、下記を示しています。 (1)おかやまの個性と特性 @気候が温暖で、災害が少なく、自然環境に恵まれた晴れの国 A福祉の伝統と社会貢献の先進性 B教育先進県としての恵まれた教育環境 C世界的に見ても高い医療水準 D吉備の国の豊かな伝統文化 E優れたものづくりと高品質の農作物 F堅実な県民性 (2)おかやまの優位性 @陸海空の広域高速交通網が整備された中四国の結節点 A中四国の物流拠点と充実した産業基盤 B西日本の情報首都として全国をリードするIT環境 この中で、県政の基本は、@変革の時代を生きる「心」重視の県政、A主役である県民の輝きが倍増する県政、B時代を切り開く産業フロンティア県政としています。 ちなみに、副題は、「ハートフルおかやま〜活力に満ち「心」通う郷土(ふるさと)づくり」です。 実は、昨年の2期目当選後の12月議会で、知事は、県政の基本目標を「快適生活県おかやま」の実現とされ、県民一人ひとりが、豊かな人間性のつながりの中で、快適にいきいきと生活できる地域社会の形成を目指すとされました。 そして、2期目の重点として、@チャレンジ県政:変革に立ち向かう勇気を持ち、明確なビジョンとこれを推進する確固たる戦略を掲げながら、県民の先頭に立ち、様々な課題に取り組むAやさしさの県政B県民本位の開かれた県政、とされました(その268、2000年12月4日参照)。 さらに、7つの基本戦略が、掲げられました。あれはあれで良かったと思います。 しかし、今回のアクションプランは、全く別物です。もちろん、「岡山長期ビジョン」とも、違います。なんで、1年ですっかり言葉が変わってしまうのでしょうか?穿った見方をすれば、これは企画振興部の担当が変わっただけではないのでしょうか? 6月議会から、多くの議員が、このプランの位置づけは、いったいどこにあるんですか?と、疑問の声を上げているのは、こういうことにもよります。私達も、正直に書いて、言葉に混乱しているのです。私は、どこの部分の話をされているのか解からなくて、自分が阿呆なのかと思うことが、しばしばです。 当然、予算が伴う話ですから、こちらは、言葉を飲み込もうとしますが、毎年、プロ野球チームの監督が替わる度、キャッチフレーズが変わって、選手が混乱するようなものです。 会社経営に携わられる方は、どう思われますか?一つ覚えと言われようが、訓示ひとつにも、言葉の一貫性は、いると思うのですが・・・・。 結局、最後は、それぞれの目的を持った縦割りの部局別に、予算がつくのですから、何が悲しくて、項目をああでもない、こうでもない、と入れ替えて、ややこしくさせるのか、私にはわかりません。県民ニーズに従って、縦割りを排し、大胆に部局を入れ替えるのなら、話は別ですが。 もっとも、このことが、内容を全て否定するわけではありません。ともかく、この方向で執行されるのですから、ついていかなくては、仕方がありません。ただ、5年後を目指して、4年後から、言葉を変えた後半期プランを作るのだけは、やめて欲しいものです。 ともかく、こういった時代の潮流、発展可能性の認識の上に、新世紀おかやまのグランドデザインとして、「ハートフルおかやま〜活力に満ち「心」通う郷土(ふるさと)づくり」があり、より具体的には、下記の社会の姿がイメージされています。 @子どもがのびのび育ち、誰もが個性や能力を最大限に発揮できる社会 Aたすけあいの心あふれる安心で安全な社会 B環境に優しい生活をおくり、自然と共生できる社会 C多彩でグローバルな経済活動が力強く展開され希望を持って働ける社会 D生活にゆとりと楽しさ、感動があり交流が活発で、国内外から多くの人が 集う社会 そして、新世紀おかやまの具体的な姿を実現するための分かりやすい目標数値(生活快適指標)、これを実現するために重点的に実施する具体的な方策(夢づくりプログラム)を明らかにするのが、今回のアクションプログラムの特徴です。 具体的には、上記の5つの社会の姿が、「快適生活シーン」として、33イメージされており、それを実現するために、56の「夢づくりプログラム」(例えば、「全県まるごとキャンパス実現プログラム」、「防災ソフトパワー結集プログラム」「出てこい!ベンチャープログラム」・・・・・)が、作られます。 そして、それをなんだかよくわからない「快適生活指標」で測ります。 もっと具体的に書くと、例えば、「子どもがのびのび育ち、誰もが個性や能力を最大限に発揮できる社会」が、イメージされ、「快適生活シーン」として、「パートナーシップ社会の構築」があり、「夢づくりプログラム」として、「国際貢献岡山発世界へプログラム」が作られ、「快適生活指標」として国際貢献NGOの会員数、青年海外協力隊への派遣者数が、挙げられます。ここが、数値目標なのでしょう。 この「快適生活指標」の数が増えれば、プログラム成功、行政は頑張りました、ということなのでしょう。実は、この指標こそが、重要なのですが、この部分は、これから検討する、とのことです。 例えば、英会話に取り組んでいる小学校の数が、多様な才能の開花促進の指標になる、というような話ですが、なにもこれは、新しいデータではありません。要するに、組み替えているだけなのです。 ・・・・だんだん、あほらしくなってきました。失礼を二百も三百も承知で、私は、一刻も早くこういった行政の言葉遊び、数字の遊びを止めて頂きたいと思います。 このプランが通ったら、56も、新しい言葉で、プログラムが出てくると思ったら、目眩がします。まず今までのプログラムの評価をして欲しいと思います。もう新しいのは、よう読みません。十分あるでしょう、立派なプログラムが。 どれだけの審議会や委員会を経て、時間とお金をかけて作ってきたのか、計画を作るまでが目的なのか、ずらっと並んだ冊子を見ると、皮肉の一つも言いたくなります。 今までにも取っていたデータが快適生活指標と名を変え、それが事業評価になるとしたら、それは、数字によるごまかしにすぎません。もういいです。 難関の公務員試験を突破し、公職としての誇りを持ち、極めて頭脳明晰なはずの職員の皆様のエネルギーをこういった屋上屋のようなプログラム作成、数字合わせに浪費するのは、実に惜しいことです。 それだけの時間とお金が、本当に惜しいです。 今、県民が望んでいるのは、どれだけのコスト意識を持ち、どれだけ機動的に、行政が動くかです。中期の「夢づくり」ではなく、我々の目の前にあるのは、今日どう生き抜くか、という現実です。求めているのは、現実を冷徹に踏まえた上での明日の姿です。 これから、ホームページなどで、広く皆様の声を募るのだと思いますが、「新世紀おかやま夢づくりプラン(仮称)」については、長期的に見て、おそらくかなりその意義が曖昧になる気がします。 | ||
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