2002年2月11日(祝・月)
【台湾特別編2 大陸は大丈夫か?】

 ワシントンD.Cのリンカーンのように、巨大な中正記念堂の蒋介石の像は、大陸を向いているそうです。
 ちなみに、国民党も、共産党と同じ、マルクス・レーニン主義に縁があるという事実は、この巨大なモニュメントに記念される蒋介石をして、賠償金を放棄した「日本の恩人」というのと、また、違った感想を持たせるものがあります。

 ただ、誰もが、大陸に帰りたいのか、国民党から民進党への流れ、不景気から来る政権への不満など、異国人にはよく分かりません。
 いずれにせよ、はっきりしているのは、経済的には、どんどん大陸へのシフトが始まっていると言う事実です。


 言うまでもなく、原因はコスト高。台湾の初任給は、10〜12万円ということですが、東京の物価は別にして、日本人として、たいへんな割安感は確かにありませんでした。

 さらに、陳政権下では、原発の問題で、いわば政治的空白があり、過去40年間「政権交代が無い」中国は、政治的にも「安定」していると取れなくもありません。
 また同じ5権分立の中で、対共産党対策は、同根の対国民党対策と似ていなくも無いようです。ここらあたりは、日本人には、分かり難いところですが。

 大陸に対しては、そもそも付き合わないという施策から、投資額の制限など、緩くなっているようですが、現総統の支持基盤には、IT産業があり、IT不況の中、行かざるをえない事情もあるかもしれません。

 さらに、華南などで成功事例も出てきて、それが、大陸シフトに拍車をかけているようです。
 そして、このことが、日本よりも、さらに深刻な台湾経済の空洞化を生んでいます。


 もっとも、台湾企業で、本当に大陸で儲かっているのは、3割。トントン5割。2割は、惨い状態になっているのではないか、という推測もあるようで、このあたり、あるいは日本も似たり寄ったりなのかな、と思います。
 ただ、株価対策もあり、実態は、定かでないようです。

 しかも、「世界の工場」中国の躍進には、いつも不安が付きまといます。満ちれば欠けるは、世の習い。盛者必衰の理をあらわす。ジャパン・アズ・ナンバーワンだの、経済と官僚は1流、政治は3流、だの、日本人が言っていたのは、そう昔ではありません。


 まず第一に、オペレーションの難しさ。
 例えば、WTOの法律の条文には、かなり不備があり、末端では、法律違反しないと事が動かないようです。報道はされませんが、袖の下的なことは、あるのではないか、という不安。

 第二に、人民元の高止まりのリスク。
 プラザ合意で、日本の円が引き上げられたように、$とリンクしたら、今の倍?それでも、利ざやを取ろうとしたら、例えば、日本は、工場を潰すどころか、さらに、ハイテク部分までシフトせざるをえなくなり、主要部分まで、空洞化するリスクがあるのではないか、ということです。

 第三に、中国の価格破壊。
 実は、中国国内でも、潰し合いの赤字覚悟の生存競争に入っているとすれば、それに突き合わされるというリスクがあります。コスト競争になれば、品質無視。


 いずれにせよ、いわば、工場は、人質。現地スタッフは、やはり、中国の事を考えます。冷静に考えると、大陸進出というのは、かなり恐いことをやっているわけです。
 米国は、対中国に対して、台湾を間に挟み、リスクを背負わないというやり方もしているようですが、要するに、コスト競争は、いずれ限界が来る、というのは、冷徹な事実かもしれません。

 要するに、日本の消費者が納得する商品、商品力を高めることが、「青い鳥」の居場所かもしれません。難しいです、これも・・・。

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