2009年12月17日(木) 【マニフェスト変更?】

 確かに、異常に寒かったのもありますが、朝一で、街頭演説に向かったものの、30号で灘崎を素通りして、真冬の日本海のような波が立つ渋川海岸を眺めました。

 気持ちは、打つ気満々のバッティングセンターで、ボールが来ていないのに、勝手に空振り三振したような感じで、何を街頭で訴えて良いのか、一瞬見えなくなったからです。

 中央から、あるいは、国会議員の方々から、強烈な何かが打ち出されているわけでもないので、自民党地方議員としては、非常に厳しい状況です。
 県政のことでなく、ほとんど主体的に関わることが出来ない国の動きに、珍しい渋川の荒波のように、もみくちゃになるだけ。


  昨日、小沢一郎民主党幹事長は、鳩山総理に、来年度予算に関する18項目の重点要望を提出したとのことですが、我々が街頭演説で行っている批判にほぼ答えるものでした。
 もしも、政府がこれを受ければですが、結局、選挙を仕切る幹事長が一番強いのでしょうから、この方向なのでしょう。
 こんな風に、マニフェストは、変えられるんだなぁ・・・。

 だいたいが、総理への子ども手当=献金問題は、鳩山兄弟へのそれの話だったということで、選対本部長の件もあり、自民党が批判し難く、せいぜい、自民党の総理だったら、マスコミの批判が激しくなって、とっくに辞任でしたという程度です。無茶苦茶な話なのに。

 また、米軍基地移転問題が、沖縄米軍基地と沖縄県民のどちらを守るのが国益なのかという議論になってきた(今度こそ、国が沖縄県民を守りますという主張)のも、沖縄県民を差し置いて、アメリカ様が怒ってるぞという批判は、なかなか難しいというのはあります。

 加えて、まるで朝貢外交と言われながらも、アメリカと同じように、中国を重視しなくてはいけないし、特に、アジア諸国との関係は大事であると、いうムードはあり、手法には問題があるものの、象徴的に、日中関係の強化は、時代の趨勢としては考えていななくてはいけないと言われれば否定できませんし、逆に、対米圧力として、自立した国の動きと取れなくもありません。
 少なくとも、米大統領同様、中国の国家副主席を意識したことの意味は大きいと思います。

 そういうことで、絶対に許し難い天皇陛下の政治利用以上に、批判がし難くなってきました。


 で、昨日です。

 それに加えて、役割分担なのか、ダースべーダーのように幹事長が憎まれ役を買って登場してきて、総理への批判は出ても、民主党への批判が出ない、上手いやり方で、政権公約を反故にする良く練られた芝居を観ているようです。
 仲間内で、敵味方の役ができる、これが、政府・与党一元化?

 これで、矛先が完全に鈍りました。ある意味、誰にとってか分かりませんが、小沢幹事長は、救世主のような良い人になりました。お見事と言わざるを得ない巧さです。


 そもそも、財政規律のために「国債発行額を約44兆円以内」とする目標を掲げていますが、税収が落ち込む中で、マニフェストの主要項目の修正もやむを得ないと判断したということ。マニフェストを不磨の大典か金科玉条にしているとの批判が難しくなりました。

 「子ども手当」については、議論勃発でしょうが、所得制限の限度額を政府・与党で決定し、なにより、地方に新たな負担増を求めないとのことで、貰えない人以外からの反対は少ないかも。
 これで、鳩山総理のお孫さんに支給はなく、ついでに、我が家も可処分所得がないのに、アウトかも。
 一方で、「扶養控除」についても、廃止を事実上緩める方向で、これも批判し難くなります。

 また、「ガソリン税などの暫定税率廃止」について、環境税に組み替えようとしているのではないか?との批判に対して、原油価格が異常高騰した際は暫定税率を停止する法的措置をしながら、現行水準の維持を求めています。我々の立場からは、暫定税率を廃止すべきであるとは言えません。
 「環境税」は、今後の検討課題だと逃げられました。

 この2点は、財政規律のためには、公約を含めて、聖域を無くしたということで、逆に、公約違反だと自民党が攻められる立場か?というと、これまた怪しいものがあります。


 「高速道路の無料化」は、割引率の順次拡大や統一料金制度の導入など、社会実験を実施し、影響を確認しながら段階的に進めるとのことで、含みをかなり残したので、批判がし難い。

 「高校の授業料無償化」は、所得制限を設けず、公立は全額、私立は年額12万円(低所得者世帯は24万円)を助成するよう求めたことについては、さらに私学へ配慮すべきだということは、批判ではないかもしれません。

 また、「農業戸別補償制度」は、『早急な導入が必要』と指摘して、概算要求額(5618億円)の確保を訴え、その財源は、ほ場整備などを行う土地改良事業費を半減して充てるとしたことについては、前段については、自治体への負担、そのスピードや手続き面を批判はできますが、基本的に公約通り。
 後段については、非常に厳しいところを突かれた感じですが、インフラ整備の遅れが生じれば、結果として、農業振興にならないような気がします。

 一方で、看護師の待遇改善や、歯科医療も含めた地域医療を守る医療機関の「診療報酬本体の引き上げ」、「介護労働者の待遇改善」、「障害者自立支援法の廃止」などの要望は、関係者が非常に喜ばれることですし、当然行っていくべきことです。
 返す刀で、自民党政権との癒着があった?業界・団体にはあえて厳格に対処。これでは参議院選挙が・・・・。


 さらに、地方については、事業仕分けの対象になり批判していた「地方交付税」については、1.1兆円以上の新交付金を創設。これには、もっと欲しいという以上に、文句はありません。

 「整備新幹線」は、早期開業に必要な予算措置を講じ、「国直轄事業の負担金」を廃止。22年度に、「維持管理負担金」も廃止。このことに、地方からは、文句なし。

 おまけに、昨日、国交省が、逆お手盛りで凍結対象に上げたものを県連が、復活の要望に行き、これで復活したら、ありがとうというような話に。今までの地道な積み重ねは、いいとこ取り。それが、政権与党です。

 ともあれ、なるべく早く、次期通常国会に提出するという「国と地方の協議の場」を造って下さいと、お願いはすれども、すごく批判がし難いです。


 数日は批判も出るでしょうが、概して、政権3ヶ月で、よくここまでやっているという評価の方が、私はむしろ高くなっていく気がします。かえって、後始末をして貰っているんだろうと、自民党は、何を意地悪な細かいことを言っているのか?となりかねません。
 問題は、自民党にとってではなく、国と国民にとって良いかどうかなのですから。

 なにを協力をしたわけでなく、前政権は、ほとんど蚊帳の外で、ここまで新政権が来たのですし、なによりも、同じように、自公連立政権でやっていて、何がどうであったか、言い切ることが出来ないわけですから。そこをはっきりと示していかないと。

 ただ、かといって、やはり、景気が回復して、元気が出るような話でもありません。なにか、間違いがある手法である、そういう気持ちは常に消えません。
 蓄音機の犬のように、感心ばかりしていても仕方ありません。

『備讃海峡冬景色』
http://www.youtube.com/watch?v=-3aqch5pvOo&feature=related

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