2008年1月18日(金)
【ガソリンは高いけれど・・・】

 先ほどまで、小学校は授業参観。1年生への性教育ということで、関心を持って拝見したのですが、まさに、愛情によって育まれた「命の大切さ」という根本からの話で、親子が相互に感謝できる素敵な授業でした。

 ところで、我が家も、立ち会い出産ですが、やはり、妻のどちら側に立つかは問題です。



 通常国会開会。道路特定財源法案をはじめとする、成立しなければ、3月31日に期限が切れてしまう、日切れ法案の年度内成立に向けた攻防が始まりました。

 日切れ法案には、教職員定数標準法(小中の先生の1000人の定数増)や関税関連法(輸入牛肉や化粧品、洗剤、衣服等の値段上昇?)もあります。

 特に、ガソリン等の暫定税率引き上げに関する租税特別措置法改正案は、郵政解散に比しても、民意を問うべきような大命題であり、両刃の剣と分かっていながら、野党が攻勢を架けたい気分は分かります。解散総選挙で民意を問うても良いだけの論点ではあります。



 ご案内の通り、ガソリン税や軽油引取税などの道路目的税は、道路整備に使うための暫定措置として、租税特別措置法等で、基本税率の約2倍の税率が掛けられていて、3月末に切れます。

 これを延長する租税特別措置法改正案等を成立させないと、4月から国と地方合わせて、2兆6000億円(うち地方は、都道府県市町村で、1兆6000億円)の税金が入らなくなります。

 民主党は、暫定税率を廃止すれば、ガソリンがリッター当たり25円、軽油が17円安くなると主張しています。下がれば、経済波及効果があり、万事解決する打ち出の小槌のようです。

 もちろん、原油価格高騰が、製造業のみならず、農林水産業に深刻な影響を与えている抜本的対策を早急に講じなくてはいけないのは当然です。

 生活直結の身近な話だけに、非常に良い政治的論点で、道路族が抵抗勢力だとレッテルを貼りたいようですが、果たして、そうなのかな?地域間格差の是正の観点からはどうなのかな?

 一方で、無駄な公共事業は止めなくてはいけないのでしょうが。さらに、運送業界等から、常に、暫定税率撤廃の要請があるのも事実です。

 目先の選挙のことを考えて、ある意味で、どちらが有権者を愚弄しているのか。ここから先の議論に注目です。



 我が党は、以下のように言います。

 仮に、暫定税率を撤廃すれば、その結果、全国1800余の自治体で予算に穴が空き、岡山県は、財政再建団体転落(夕張市化!)の可能性もあります。また、新道路の建設のみならず、借入金の返済や支払いができず、大幅な遅延、古い橋の修繕、ガードレールの設置など学童の通学路の安全等の安全対策ができなくなります。

 また、なんの目的税か分かりませんが、日本のガソリン価格と税率は、国際的には、必ずしも高くなく、OECD加盟30ヶ国中、低い方から6番目で、イギリスのリッター価格は、07年12月現在、税込み225円だそうです。ドイツが223円、フランスが212円。ちなみに、アメリカは税込み96円、お隣韓国は、税込み193円。

 大国中国、インドの台頭は気になりますが、ガソリン価格は、税金よりも、国際的な取引価格に左右されるもので、今回の原油高も、投機が原因と言われており、昭和57年の第二次オイルショックでは、日本でも、177円。

 理屈としては、地球温暖化対策からすると、税率を下げれば、CO2対策の流れに逆行するとも言えます。




 また、客観的には、以下のような状況です。

 岡山県の道路特定財源からの税収は、昨年度は、275億円で、1005億円の道路事業費(維持補修などの経常経費124億円、公債費310億円を含む。)の27・4%。

 事業費は、他に、県税の軽油引取税が、221億7千万円、自動車取得税が、21億4千万で、国からの地方道路譲与税が、39億5千万円、石油ガス譲与税が、2億8千万円によりますが、こうした道路特定財源や、国庫補助金、地方債だけでは賄い切れるわけもなく、216億円の一般財源が投入されています。

 石井正弘知事は、15日の定例記者会見で「期限切れとなると、事業実施中の個所は大幅に減速し、新規採択を予定しているところは着手が困難になり、道路整備に多大な支障が生じる」と懸念を表明しています。

 27市町村への道路特定財源の配分は、141億円ですが、暫定税率廃止なら、65億円の減収。岡山市の場合は、24億円減)。
 政令市に移行すれば、国県道の607キロの管理が移っても、県からの74億円移譲される道路特定財源も減額。


 なお、昨年の12月定例県議会では、既に以下のような意見書が、既に採択されています。
 提出者は、自公の土木委員会の委員。


 いずれにせよ、地方財政に大きく関わる話だけに、政争の具にされても困る内容を含んでいます。

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道路整備財源の安定的な確保を求める意見書
                       平成19年12月3日


 道路は、豊かな生活の実現と経済・社会活動を支える最も重要な社会基盤施設であり、地方が自立した活力ある地域づくりを進めるためには、地方の主体的かつ着実な道路整備が不可欠である。

 本県においては、高速道路や地域高規格道路などの地域間を連絡する幹線道路ネットワークの整備をはじめ、通勤通学、医療のための生活道路の充実、都市部の渋滞対策、災害時の緊急輸送路の確保、さらには橋梁等既存施設の適切な維持管理など、今なお多くの課題を抱えており、これらの道路整備を着実に推進するための財源は、安定的に確保されなければならない。

 とりわけ、道路特定財源は、緊急かつ計画的に道路整備を行うための財源制度であり、地方にとっても、安定的な道路整備財源として極めて重要な役割を果たしてきた。

 この道路特定財源をめぐっては、道路特定財源諸税の本則税率に上乗せされている暫定税率が今年度期限切れとなった場合、岡山県では、約127億円、県内の市町村では約65億円の影響額が見込まれ、道路整備は危機的な状況になることが懸念される。

 さらに、本県のみならず地方の道路整備は、道路特定財源だけでは賄えず、厳しい財政状況の中、多額の一般財源等を充当しているところであり、地方にとって道路整備財源の確保は切実な課題となっている。

 よって、国においては、こうした地方の道路整備の実情を踏まえ、道路整備財源を安定的に確保することの重要性を深く認識し、下記の事項について特段の配慮がなされるよう強く要望する。

             記

1 道路特定財源諸税の原稿の暫定税率を堅持し、道路整備財源
  を安定的に確保すること。
2 道路特定財源の地方への配分割合を高めるなど、地方におけ
  る道路整備財源の充実に努めること。
3 今後の具体的な道路整備の姿を示した中期計画に、地域の実
  情に応じた道路整備を確実に盛り込むこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

(提出先)
 内閣総理大臣、総務大臣、財務大臣、国土交通大臣、
 行政改革担当大臣、経済財政政策担当大臣、
 衆議院議長、参議院議長

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