2004年1月12日(祝・月)
【大統領制下における地方議員】

 午後からは、「市長を囲む新春の集い」。

 今年は例年に増して、連合町内会や婦人会の方の参加が多く、昨日の知事の新年会に、各市町村長が来られたような感じとは、また、違った趣になりました。

 大統領制をとる地方の首長の現職の圧倒的な強みと言うよりも、平素から市民と直接接している市長だからこそ、これだけの方々が、集われるのでしょう。これが、まさに、今の市長の力であると、ただただ、恐れ入りました。

 こういう形になれば、本当に、直接民主主義のかなり強い「大統領」になります。


 しかし、だからこそ、議員の役割も重要になります。首長に直接話ができる人間は、全体からすれば、僅かしかおられませんし、行政が全ての市民の声を吸収し、上に上げているわけでもないでしょう。
 むしろ、どれだけ少数の意見を行政に反映させられるかは、議員の役目でもあります。これが、実に難しいのですが。

 行政に比して圧倒的に少ない情報量の中で、しかし、議会サイドは、本来はもっと市民に近いところにいて、その声が代弁できなければ、いよいよ、行政の施策への「うなづきマシーン」になり、あるいは、行政の円滑な運用を阻害し、特定の便益に寄与する、単に邪魔なだけの存在に成り下がります。
 「議会が邪魔してできんのですわ。」と行政に言われることがあってはいけません。

 圧倒的に強い首長のまわりに、十羽ひとからげの有象無象の議員がいる。あるいは、魑魅魍魎が跋扈していると言われるぐらいなら、議会などない方がましです。
 全部、優秀な「お上」に任せれば良いじゃないですか、という話です。


 地方分権、地方主権の時代は、強い地方自治体、強い首長を生むことになるでしょう。そういう中で、議員が、「名誉職」や「便利屋」になれば、まさに、行政権の乱用に繋がります。

 行政へのチェック・アンド・バランスというよりも、議決機関と執行機関の適切な緊張関係が生まれるよう、われわれ議員の更なる努力が必要です。

 少なくとも、政策を、議会側が、もっともっと打ち出せなければ、ただのおねだり機関、無用の長物になってしまいます。


 そして、議員の度量は、首長との蜜月関係を誇示することではなく、本来は、民主的コントロールをかけるべく、是是非非をもって、首長と対峙、対決する覚悟が必要ですし、そして、その場は、あくまで、公の議会であり委員会であると考えます。
 行政と議会、首長と議員の関係は、あくまで「時に、和することがあっても、決して同ぜず」でないといけません。


 幸いなことに、今、県も市も、極めて優秀な首長を我々は担いでいると皆様は、ご判断されていると思います。
 それに対して、「議会は、なにをやっとんなら。」。これ以上、そういう声を聞かないよう、地方議員としての誇りと責任と自覚を持って、ある意味で、「戦って」参ります。

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