2003年11月14日(金)
【森林保全税にやっぱり反対するのです。】

 本日は、農林水産委員会。委員会前にも、当局と議論。

 世間でどれほどの問題になっているかわからないのですが、「こころ」では、私が、かなり問題にしている森林保全税。
 今日も、結果として、反対の論陣を張ってしまいました。

 なにか今回の議論の中に、私は、今までの議会と行政の在り方の根本的な問題を感じています。


 読者の皆様の中にも、地球温暖化、京都議定書、CO2削減等々が叫ばれる今日、環境問題対策に逆行するような私の意図が分かりかねる方も多いと思います。

 論点を整理します。

 細かい説明は、議論の混乱を招きますので、要するに、こういうことです。
 森林保全税は、政策目的税ですが、その目的は、端的に2つです。


 ひとつは、一般県民の皆様に、森林保全の大切さを理解して頂くことです。課税されれば、森林の大切さが、否応なく理解されるだろう、ということです。

 行政からすれば、懲罰的に課税されないと、そういう大切なことにも気付かないだろうという、我々民衆は、かくも愚かな存在なのかなぁ・・・・。

 もっとも、給与振り込みの昨今、給料明細に、森林保全税と明記されることもなく、県税に加算されるだけですから、どこの誰が、その意図を理解するのか、あるいは、5年間徴収され続けて、誰が覚えているのか、私は、甚だ疑問です。


 しかし、森林保全税の真の目的は、こういうことです。

 すなわち、国産木材価格が「暴落」し、担い手不足で、山の手入れがされなくなった今日、問題は、国有林や、県有林ではなく民有林。

 とりわけ、面積が狭く、伐期も過ぎて、国庫補助の対象ですらない民有林は、このまま放置され続けます。

 そこで、森林保全は、地球環境保全であるから、森林の公益機能の「受益者」たる一般県民も、応分の負担をして、国庫補助のない民有林の伐採のための財源確保の協力をせよ、そのために、追加課税しますよ、これが、森林保全税のもう一つの目的です。


 公有林には、一般財源を突っ込めるけれど、民有林は、民に、追加課税して、民で処理してもらわないと、お金がないから、どうしようもないもん。

 地球温暖化防止のために、我々県民ができることは、放置された民有林の間伐のために、さらに税金を支払うことですよ、という政策です。


 しかも、本日、私の質問で明らかになりましたが、民有林の伐採総費用は不明です。ともかく、総務部が、約4.5億円財源を確保し、使い道は、農林水産部が考えるというものです。

 一人当たり500円という数字の根拠は、少なくとも、伐採に必要な費用から逆算されたものではありません。およそその程度は、県民の皆様から不満も出ず、確保できるから、徴収すると言われても仕方ないのではないかな。
 だめなら、5年で辞めちゃおう、というものですから・・・・。


 ある意味で、森林保全は、大義名分です。本当にしたいことは、民有林の間伐です。その必要性は、確かにあります。非常にまずい状況ですから、それ自体を否定はしません。

 要は、方法論なのです。

 敢えて言えば、苦肉の策が、行政側の森林保全税ということになります。その努力には、敬意を払いますし、全面否定で、攻撃する気もありません。

 この頃は、担当の方に、限りない親しみの念すら覚えています。意外にお互い楽しんでいるような・・・しかし、もう何時間やりあったことか・・・。
 それはもう大変なご努力をされています。時々なにか気の毒になって、気持ちが揺らぐのですが、最後は、やっぱり反対。

 どうしても、県民サイドからは、追加課税が唯一無二方法とは、とても思えないのです。


 「こころ」の読者の皆様には、森林保全税が、「環境を守ることだから良いことじゃん!500円なら、賛成!」と、問題の本質を理解されぬままに、安直に賛意を表することだけは、やめて頂きたいと思います。

 美辞麗句や大義名分の意図は、なんであろうか、と、全て疑って下さいとは言いませんが・・・・・。


 私は、やはり、追加課税すべきことだと思いません。

 そして、なによりも、民有林の所有者には、罰則はつかずとも、せめて精神規定でもいいから、「森林保全義務」を課すべきだと思います。
 少なくとも、一般県民に課税をするのなら。

 まだまだこの議論は、終わりません。



 さて、おかげさまで、息子も、今日で3歳になりました。早いなぁ。

 それにしても、天真爛漫に、元気に子供らしく育ってくれて、どれだけ助けられているかわかりません。

 子供の成長が、自分の議会人としての成長のようにも思えます。子供が22歳の時には、私は、58歳。
  どうなっているでしょうかねぇ・・・・・・?

Copyright (c) 2003 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp