過去の岡山県議会一般質問集 <県政ー行政改革>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)  自由民主党の佐藤真治でございます。秋の昼下がり,一般質問も4日目,私でもう20番目となると,議場の皆様にもお疲れが出ておると思いますし,また渡辺先生の傍聴にお越しいただいとります方,たくさんいらっしゃるということで,どうか仏様の慈悲の気持ちを持っていただきまして,おつき合いのほどよろしくお願いいたします。
 さて,ほかの議員の皆様はどうかわかりませんが,私,最近いよいよ県民の皆様からというか,特に知事と同窓の先輩方から,「おめえ知事にはっきり物を言え」とお小言をいただくことが大変多くなりまして,「どちらかというと,僕,言ってるほうだと思うんですけど」というと,「もっとびしっと言え」と,さらに怒られるということで,知事の任期も折り返しが近づいてきていて,いつまでも練習試合のようなことを続けるわけにはまいりません。例え話や抽象的な議論はもう結構でございますので,具体的な提言をさせていただきたいというふうに思います。
 我々選挙の洗礼を受ける者の任期は,あくまで4年であり,当選したら皆様の税金で一から勉強させていただきますなどという理屈が通るわけがありませんし,ましてや194万6,000人の信託を受けた特別職の常勤公務員である首長に勉強期間を差し上げるほど主権者,納税者の皆様に余裕などはございません。プロ野球に例えれば,ドラフト指名されたら即エースで4番の働きが期待されておりますし,あるいはみずからがプレーしないのなら,即順位を上げる監督の働きが期待されています。特に二元代表制のもと,我々議会は取締役会という下部組織ではなくて,あくまで全く別の選挙で選ばれた議決機関であり,それと対峙するのが会社経営とは確かに全く異なる議会制民主主義に基づく仕組みであるとは思います。ただ,岡山県においては,たまたま民間出身の知事が初ということでございますが,任期の折り返しを迎えるに当たり,率直な感想をお伺いしたいと思います。
 加えて,自己評価をされるとすると,100点中何点なのか,認識をお伺いいたします。

 加えて,就任直後におっしゃられた企業における行動原則,顧客主義,コスト意識,スピード感を行政組織に取り入れられた具体的な成果をお知らせください。
 また,昨年の9月定例会で,我々が知事に本当に期待していることは,やはり民間の企業の出身であられるということで,現場の声,要は現場主義に立っていただくことだと申し上げましたが,十分に現場に立たれたとの御認識かどうかお伺いいたします。

(知事)  任期の折り返しを迎えることについての御質問であります。
 まず,感想等についてでありますが,知事に就任して以来,岡山県を住みやすく元気な県にするために,議会はもとより県民の皆様の御意見をお聞きしながら,誠実に一心に県政に取り組んでまいりました。今後とも,一つ一つ成果を積み上げ,生き活き岡山の実現を目指して全身全霊で努力してまいりたいと存じます。
 また,私の評価は県民の皆様が行うもので,自分で採点すべきではないと考えております。
 次に,成果についてでありますが,昨年策定した行財政経営指針に基本理念として定めた顧客重視,コスト意識,スピード感の3つの視点を職員一人一人に浸透させるため,ひとり1改善運動に取り組んでおります。さらに,具体的な施策への反映としては,例えば企業誘致に係る補助制度の拡充や企業ニーズを踏まえた規制緩和などがあると考えており,今後とも,3つの視点を持って県政を推進してまいりたいと存じます。
 次に,現場主義についてでありますが,私は企業経営者のときから課題解決の答えは常に現場にあると考え,現場重視を旨として行動してまいりました。知事就任後も県民目線に立ち,県民のニーズを的確に把握するために,さまざまな現場に出向き,県民の皆様の生の声を聞き,課題を肌で感じながら県政運営を行ってきたところであり,今後とも,十分に現場に立ちながら県政を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  どうもありがとうございました。もし自己採点されたら,再質問せにゃいけんなあと思うとったんですが,その部分はよろしかったと思います。
 次に,これも余り申し上げたくないんですが,知事御自身の情報公開の意識についてお伺いします。
 民意を受けとめるためにも,まずは情報公開,しかも知事みずからの公的な活動や考え方の情報公開が必要でございますが,県庁ホームページの「ようこそ知事室へ」の記者会見の内容やフォトアルバムや「知事と一緒に生き活きトーク」など,これはもう失礼な言い方ですが,通り一辺倒のもので,恐らく全国でもかなり情報公開度が低いんじゃないかというふうに思います。これにつきましては,お隣の広島県の「ようこそ知事室へ」の内容と比べると,その差が歴然でございまして,広島では時間刻みの知事スケジュールや知事交際費支出状況など,かなり丁寧に公開されています。ブログもついているということなんですが,岡山県においては少なくとも知事のスケジュールが公開されていないわけではないんですけれども,秘書課の中の「知事の主な動き」というところに掲載されて,容易に県民の皆様がたどり着けませんし,例えば終日「庁内にて執務」のような曖昧な表現で,誰と会われたなのかがさっぱりわからない。しかも「休暇」とも書かれるんでなく,何日かが空白になっていて,日程が飛んでいるというようなものもございます。こういった日報は多分営業職では通らないと思うんですが,広島の県知事のように全てとはもちろん申しませんが,例えば国とどういう連携をしているのか,民間のどなたと会ってどんな情報を得ているのか,どういう形で現場に行かれてるのか,時間刻みとまでは申しませんが,こうしたスケジュールが公開されて,一方で休まれるときには,これは堂々と休暇と書いていただければよいわけでありますが,公務についてこれでは知事の具体的な動きがさっぱり見えておりません。改革派知事が出てきて議会改革が一気に進むということは全国で間々ありますが,やはりこうして御自身の情報発信が積極的に公開されていない状況で,どうして庁内の改革や改善が進むのでしょうか,お考えをお知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 情報公開の意識についての御質問でありますが,透明性の高い県政を推進することは,重要と考えており,私の公務日程の公表につきましては,今後とも,透明性の確保と円滑な公務遂行とのバランスを考慮しながら適切に行ってまいりたいと考えております。



<平成25年11月定例会>(2013年12月10日)

(佐藤)  次に,9月定例県議会で,有識者による事業再点検の手法について,これも失礼な言い方だったんですが,正直に申し上げて本当にがっかりいたしましたと申し上げました。そして,こういう行政手法には民間出身の知事にはなれていただきたくないとも申し上げました。まず,今回の有識者による事業再点検の手法について,今後も行政サイドとして削減や廃止という方向を打ち出すためにやはり使っていきたいとお考えかお伺いしたいと思います。
 今のところ正直に申し上げて,やっぱりなあと日増しにがっかりの度合いはちょっと増してはいるんですが,ただ,「いただいた御提言は事業のあり方等を検討する際の判断材料の一つであって,最終的には私が責任を持って対応方針を決定すべきものであります」という御答弁もいただいておりますので,最終的な御判断に期待をさせていただくところでございます。
 それでは以下,具体的に伺ってまいります。
 今回の事業再点検の実態は,財政当局から2008年6月2日の岡山県財政危機宣言以降,行財政構造改革大綱に漏れたもの,諸般の事情で削減できなかったものをあえて言えば狙い撃ちにして,子供や女性や老人クラブに対してまでその削減に切り込んでいます。少なくとも,事業再点検に関する有識者会議に参加いただいた皆様がこれらの個別具体的な内容までは恐らく御存じない,自発的に発見されたものではないんじゃないかというふうに思います。そうした意味では,これは事務方が示されたものであって,その実質は岡山県行財政構造改革プラン2008改め岡山県行財政構造改革プラン2013ではないかというふうに感じます。そして,これを所管されている担当は副知事と伺っております。思えば,平成20年の財政危機宣言時に実際に主導的に動かれていたのも,当時の副知事と総務部長でございました。大変な汗を流していただいたわけでありますが,ただ当時はこのままいけば来年度,21年度予算が137億円の収支不足で編成に赤信号,平成22年度決算で累積300億円の実質赤字で,岡山県も軽く財政再生団体に転落が見えていたという状況でございました。そもそも,平成9年から3次にわたる行財政改革に取り組んで,借金への依存度にかかわる部分,いわゆるストックベースでは目に見えた改善となっていたさなかの平成16年度に,ここでいわゆる交付税ショックというのがあって,岡山県でも約300億円規模で一般財源が激減をしました。そして,これはあくまで臨時的な対策である職員の皆さんの給与カットや行政改革等推進債を除くと,構造的にもう約300億円から400億円規模の赤字が見込まれるとともに,特定目的基金などからの借り入れなどのこうした緊急避難的な対策ももう限界が来ていたという状況でありました。少子高齢化の進展によって義務的な経費がふえていく一方で,特に岡山県は財政調整基金がほとんどゼロという極めて特有の財政構造とあの当時なっていたわけでございます。
 そこで,ここから数問,木幡副知事にお伺いいたします。
 まず,当時の県政の状況は御認識いただいていると思うんですが,御認識いただいているでしょうか。そのときと比べて,今の財政状況は端的にどうでしょうか。そして,それに対して何をすべきとお感じでしょうか。
 今,当時の行財政構造改革大綱,これも議会も必死になってつくったものでありましたが,この大綱をごらんになってどうお感じになられますか。
 また,今回の事業見直しについて,不断の努力と言うには前回の削減も超えてしまっている理由,先ほどの消費税増税分云々ではないですけれども,事実上の岡山県財政構造改革プラン2013として,具体的な数値目標でもあったのかというようなことをお伺いしたいと思います。
 そして,当時も公共事業も含めた事業費の大幅削減,補助金のカットなどが行われましたが,受益者たる県民の皆様に最も影響を与えず,実際に最も効果があった削減は何であったか,それがどういう効果を生んだかお知らせください。
 そして,昨年は当初予算が3年ぶりの赤字の予算,しかも72億円もの収支不足の予算でありました。その後,収支不足を解消したのは,これは一体何によるものであったのかについての御認識をお知らせください。
 以上,木幡副知事にお伺いします。
 そしてまた,改めて知事には,これから2度目の予算編成になります。来年度予算も今年度同様,これは本意ではなかったと思うんですが,赤字予算からスタートされる可能性があるかについて知事にお伺いしたいと思います。
 加えて,2008年6月2日,財政危機宣言を行って行財政構造改革大綱を示し,行革を断行された当時の執行部の方々の覚悟を思うとき,ここからさらにいわゆる行財政構造改革大綱ですら切り込まなかったものも切り込むのであれば,それは知事御自身も財政危機宣言時にまさる相応のこともお考えであろうと思いますが,そうした意味では知事の決意のほどもお伺いしたいと思います。

(知事)  お答えいたします。
 事業再点検等についての御質問であります。
 まず,手法についてでありますが,社会経済情勢の変化等に適切に対応し,不断の見直しを行うため,必要に応じ外部からの御意見を伺うことは有意義であると考えております。今後の見直しに当たり,同様の手法を採用するかどうかについては,今年度の事業再点検の結果等を踏まえて考えてまいります。
 次に,来年度予算についてでありますが,収支につきましては今月下旬に明らかになる国の地方財政対策を含む来年度予算の動向を踏まえる必要があるため,現時点では不明でありますが,仮に交付税の額等が8月にお示しした収支見通しを大きく下回る場合であっても,必要な事業を実施できるよう適切な予算編成に努めてまいりたいと考えております。
 次に,決意についてでありますが,効果額捻出を第一に,事業費の大きい事業の見直しを中心に行った行財政構造改革大綱2008と,従来と異なった視点も含めて外部の有識者から御意見を伺った事業再点検とで見直し結果が異なることは,当然あり得ることと考えております。今後,再び危機的な財政状況に陥らないためにも,不断の改革に取り組みつつ,本県に好循環をもたらす施策を中心に重点投資するなど,めり張りをつけた行財政経営に努めてまいる決意でございます。
 以上でございます。

(副知事)  お答えいたします。
 財政危機宣言時の状況等についてでありますが,当時,年400億円近い収支不足が見込まれるとともに,臨時的な対策も限界に達したことから,全国的にも厳しい行財政改革を大胆に取り組んだものと理解しております。その結果,本県財政は改善しつつあるものの,再び危機的状況に陥らないためにも,今後も社会経済情勢等の変化に応じた不断の改革に努めていく必要があります。また,教育再生や産業振興など本県に好循環をもたらす施策に重点的に投資することで,確固たる行財政基盤の確立を図ってまいります。
 次に,前回の削減を超えている理由等についてでありますが,議員から前回のプラン削減を超えているというお話がありましたが,今回の事業再点検は財政構造改革プランのように効果額の捻出を主眼にしたものではありません。プラン後の社会経済情勢等の変化を踏まえ,従来と異なった視点も含めて外部有識者の御意見を伺いながら不断の改善につなげていくため実施したものであり,具体的な数値目標は定めておりません。
 次に,県民に最も影響を与えず効果があったものは何かとの御質問でありますが,行財政構造改革大綱2008の推進に当たっては,安全・安心や将来を担う人づくりなどには配慮したものの,幅広い範囲の事業見直しなどさまざまな御負担をお願いすることとなり,県民の皆様や県内の市町村,各種団体,職員など多方面から多大な御協力をいただいたものと考えております。その効果の一つ一つが積み上がった結果として400億円近い収支不足が解消の方向に向かうなど,大変大きな効果があったと認識しております。
 次に,収支不足の解消についてでありますが,8月にお示しした収支見通しでは収支は大幅に改善する見込みとなっており,主な要因としては,歳入面では税収や地方交付税等の増額,歳出面では国の要請に基づく職員の給与減額措置によるものであります。
 以上でございます。

(佐藤)  御答弁いただきまして,ありがとうございます。
 知事にまずお伺いしたいのが,有識者による事業再点検。有識者会議のこの方々に削減や廃止という方向を今回ある意味,打ち出していただいたわけでありますが,私はこの事業の見直しの中で,時代の変化の中で後ほども申し上げたいんですが,民間の感覚からいうと,これはもっと事業を大きくしていいんじゃないの,あるいはもっと予算をふやしていいんじゃないの,こうした発想もあり得るだろうというふうに思います。そうした意味で申し上げたいのは,この有識者による事業再点検というのがこうした削減や廃止の方向以外でも私は使えると思いますし,それだけ立派な方々,お時間割いてお知恵を頂戴したわけでありますが,今後,発展的な展開が望めるような,そうしたことに事業再点検の手法を使われるかどうかということを,これは知事にまずお伺いしたいと思います。
 まず,知事に。

(知事)  有識者に事業再点検,削ること以外のことについても知恵をかりてはどうかという質問に対してお答えをいたします。
 おっしゃるとおりでございまして,県内外の有識者,一言で有識者と言いますけれども,いろいろな立場のいろいろな経験をお持ちの方に御意見を伺うことは大変有意義だと思っておりまして,今回,事業再点検に関して有識者にお集まりいただきましたけれども,そのほかのことについてもこれまでもそのようにしていると認識しておりますけれども,いろいろな御意見を伺って県政の推進に生かしてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  知事,どうもありがとうございました。
 これは要望なんですけれども,やはり知事のあえて言うとブレーンとなるような,特に若い経済人であったり社会活動をしている方だとか,そうした方々から知事に積極的な,前向きな話が出るような,そうしたブレーンをぜひつくっていただきたい,そのことを強くお願い申し上げたいと思いますし,私は当時,県議会議員ではありませんでしたけれども,長野県政の時代にもそうして30代ぐらいの若い方を長野知事が随分育てておられる,そうした方が今,岡山のまちづくりのリーダーにもなっておられるということでございますので,ぜひ伊原木知事のブレーンとして,伊原木知事が育てた若い人たち,そうした方たちをつくってもらいたいということを要望させていただきたいと思います。(「議会もあるがな」と呼ぶ者あり)議会もあります。我々もしっかりと言うていきますけども,よろしくお願いします。
 そして,副知事に伺います。特にこうして大変に厳しい行革ということに結果的になりました。2008年のときの行革大綱をつくるときにもかなり多くの議論があって,ただ今回の議論というのが,例えばパブリックコメント等のとり方一つとっても,この見直しの事業がなかなか一般に公開がきちんとされてなかったんじゃないか,そして恐らくこの事業再点検の結果について,まだ県民の皆さんが実は十分御存じなくて,したがって反応が薄いところがあるわけでありますが,予算になってみたら初めて,うわ,うち減っとるがなと,そういうことがわかるような状況になりかねないということで,ちょっと私は手続においてもう少しこれはオープンにすべきだったかなあというふうなことを感じておるんですけれども,そのことについての御所見をお伺いしたいと思います。

(副知事)  お答えいたします。
 もっとオープンにこの事業の再点検を進めるべきではなかったかという御質問でございます。
 この事業再点検は,この議会でも議論がありましたけれども,我々としても自由な議論を出していただくという前提の中で,できる限りの情報開示には努めたつもりではございますが,これまでの検討期間が約半年ということもございまして,当然のことながら個別の団体等との話し合いは十分できてない面もあるかとは思います。その点では,今回,見直しの方針を示させていただきましたけども,改めて関係団体等,関係者とは話し合いをしながら最終的な予算編成をしていくという方針で臨んでおりますので,御理解を賜りたいというふうに存じます。

(佐藤)  ありがとうございました。
 まさに,予算編成期真っただ中ということで,1月15日ごろに来年度予算がもう内示されてしまうと,なかなかそこから議会として動かすのは難しいぞということになるわけでございますが,ぜひとも特に削減されるような関係の団体の方には十分な伝達というか,こういう方向がありますとかということは事前に,あるいは予算発表同時に示していただきたいなということは要望させていただきたいと思います。
 そして,それに関連して今議会で,これは所属委員会にかかわることでございますので教育長にはお伺いいたしません。有識者会議の報告書を受けて,非常に厳しい補助金カット案が当局から示されたことから,岡山県の教育再生の一翼を担う社会教育関係団体,県子供会連合会,県婦人協議会,県PTA連合会,日本ボーイスカウト岡山連盟,ガールスカウト日本連盟岡山県支部,県青年団協議会の方々から,知事,教育長,渡辺議長宛てにその見直しの要望書等が提出をされました。今回の削減理由は,そもそも少額である,そして各団体の自立を促して,加えてNPO等他団体との差別化ができないというものなんですけれども,私はちょっと不思議だなあというふうに思いました。それぞれが県と極めて良好な関係にあって,社会教育法に基づく団体であったり,世界組織,全国組織であったり,数十年以上の誇るべき歴史があって,むしろ国体や国民文化祭のときには県事業を補完すべく県のほうが協力をお願いしてきたこともあります。差別化ができないほどむしろNPOが育ってきているのであれば,むしろそのほうの支援を強化すりゃあいいじゃないかというふうに思うわけであります。何よりも,民間の発想として,こうして今,教育再生が言われてる中で,むしろNPO等を含めた社会教育関係団体との連携強化のほうを私は考えます。私の発想はむしろ真逆なんですけれども,例えば本会議でもたびたび指摘させていただいておりますが,県生涯学習センター,これは人件費でいうと教育庁から20人で約1億円,指定管理者は17人で3,000万円。せっかく指定管理者制度を導入しているのに,二重行政の感は否めないところがあるんですが,今春オープンの人と科学の未来館サイピアも本当に頑張ってはくれているんですが,残念ながら県生涯学習センター全体として見たときに,先ほど来出ている社会教育や生涯学習拠点としてのセンター機能を十分に生かせてないんじゃないかという気がいたします。特に来年,これは岡山市との中でも協議になっている,開催されるユネスコの世界会議は,岡山ではまさに公民館活動が大きなテーマになるにもかかわらず,県の生涯学習センターが県内の公民館の十分なセンター機能が果たせていないんじゃないか,そのことから全県的な広がりを欠いてるような気がしてなりません。
 むしろ,ここからは提案なんですが,私は先ほど申し上げた社会教育関係団体やNPO等にはこれを削減する方向にかかるんではなくて,その県の事務局を県の生涯学習センターに設置していただく,それを集結していく。特に,岡山県のNPOが元気なのは,総合福祉・ボランティア・NPO会館,きらめきプラザ内のゆうあいセンターにNPOが集結できる場所があるのも私は大きな理由だというふうに思うんですが,県生涯学習センターにむしろこうした社会教育関係団体を集結して,岡山県の社会教育の充実のために県や県教育委員会といつでもスクラムが組める状態にすべきじゃないかと,そのことを強く思うところであります。ましてや,国際連合教育科学文化機関,ユネスコの国際会議が来年,来るわけでありますから,世界的な社会教育関係団体であるユネスコの日本の事務局,あえて言えば日本支部でありますが,ユネスコの日本支部を県生涯学習センター内に置くぐらい,そのぐらいの勢いがあってもいいんじゃないですかと思います。具体的に,県生涯学習センターに対する現在の評価と先ほど述べた社会教育関係団体のメッカにすることについての感想について,お考えをお知らせください。
 ところで,岡山県生涯学習センター同様,岡山県男女共同参画推進センター,岡山県動物愛護センター,岡山県環境保健センターなど,センターと名のつく施設が岡山市内には幾つかあります。時に,政令指定都市になった岡山市においては一部同様の施設があって,これはもう二重行政じゃないかというそしりを受けることもあるんですが,およそセンターと名がつく限りはそこが岡山県のセンターであり,27市町村の人材や情報が集結し,発信される場でないといけないと思います。まずは,政令指定都市かつ県都岡山市にあって,こうした県のセンター施設があることの意義について御認識をお知らせください。
 その中で気になるのは,これもいつも申し上げるんですが,岡山国際交流センターでございます。確かに,地の利もあって,企業研修等の場所としては本当に重宝されて,貸し館業務としてこれを見るならば稼働率は極めて高く,財政的にも及第点ということにはなるとは思います。ただ,県の国際交流のセンターとしてはどうなのか,本当に世界に向かうかけ橋として,多文化共生社会の中核施設として機能しているかどうか,まずは岡山国際交流センターのミッションは何かについてお伺いをいたします。
 また,現在,公立の小中高で雇われている,雇用されている外国語指導助手,いわゆるALTは,語学指導等を行う外国青年招致事業,これはJETプログラムで来日し,雇用されているケースが多いんですが,今後,小学校教育における英語の義務教育化も相まって,こうした全県に標準的な指導力というのも当然問われてきます。そうしたことが指導されるセンターであってもほしいとも思いますし,また同時に経済状況もありますけれども,今,海外に打って出ない日本の若者に対して,やはり幼児期からいつでも外国の子供たちと触れ合える場所がある,これは御高齢の方の生涯学習ということもあるかもしれませんが,大学や企業等とも連携しながらそうしたサロンが日本人,外国人の双方にあってもよいんじゃないかというふうに思います。残念ながら,今,万国旗一つ掲揚されているわけではない岡山国際交流センターの今後について,現在の形態ならもうこれは貸し館として民間譲渡も考えられる運用のされ方だと思いますが,今後の方向についてお知らせください。
 ところで,全国の都道府県や大学にも国際交流センターと称するものは多くあるんですが,行政においては必ずしも岡山県のように県民生活部関係の所管ではなくて,むしろ産業労働部関係の施設であるところも多くございます。国際交流という場合には,当然,経済交流や貿易,さらには観光の観点も含まれますから,国際化そのものを商工関係に所管を変えるのも一つの戦略ではないかというふうに思います。今後,岡山国際交流センターの強化も含め,国際戦略をより発展的にどう強化するか。お考えをお伺いいたします。
 関連して,この岡山国際交流センターと県生涯学習センターについて伺います。
 平成22年に指定管理者制度に関する局長通知があって,時の片山総務大臣の会見がありました。要するに,コストカットのツールを全く否定するわけではないけれども,この指定管理者制度というのは民間事業者等が有するノウハウを活用することにより,行政サービスの質の向上により,施設設置の目的,言ってみればミッションを効果的に達成するためのものであるという大前提の中での注意喚起でありました。その部分が十分に理解されて運用されているかどうか,御所見をお伺いいたします。

(知事)  お答えいたします。
 センター施設についての御質問であります。
 県生涯学習センターについてでありますが,県の生涯学習拠点として指導者養成や県民への生涯学習に関する情報提供等の役割を果たすとともに,指定管理者が管理運営を行っているサイピアについても目標を上回る入館者数となっておりますが,生涯学習の需要性の高まりを踏まえ,さらなる拠点機能の充実に努める必要があると認識しております。お話の関係団体が集結できる場所を設けることについては,今後,研究してまいりたいと存じます。
 次に,岡山市にあることの意義についてでありますが,県のセンター施設の設置に際しては,サービス利用者の交通アクセスや情報の受発信の利便性等を勘案し,全県的な視点からその機能を最大限に発揮できるようにする必要があります。こうしたことから,立地条件に制約がある施設や他の施設と一体的に運営することが適当なものなどを除き,岡山市に県のセンター施設が多く所在する結果となったものと考えております。
 次に,岡山国際交流センター等のうち,ミッションについてでありますが,同センターは県民と外国人との相互理解を深め,交流を推進し,地域の国際化を図るため,平成7年6月に設置したものであります。
 次に,今後の方向についてでありますが,同センターはAMDAや岡山県国際団体協議会を初めとする国際関係NGO,NPOが行う国際会議はもとより,スポーツや料理の文化交流などの国際関連行事に国際化の推進を担う施設として活用されているほか,企業研修等の場としても利用されております。同センターは,新おかやま国際化戦略プランを推進する中で唯一の中核的な施設であることから,お話の日本と外国の子供同士の触れ合いにも留意しながら十分に活用していきたいと存じます。
 次に,発展的な強化についてでありますが,県では新おかやま国際化戦略プランに基づき,経済国際化,多文化共生,多様な地域との交流,国際貢献,地球市民育成を推進しており,県民生活との関連が深いという観点から,県民生活部の所管としております。世界の観光需要を取り込み,地域経済の活性化等を目的とする国の成長戦略やプラン改訂案の観光振興プログラムに積極的に取り組むなど,国際化戦略の強化を図りながら同センターの活用,効果的な執行体制も今後,検討すべき課題であると考えております。
 次に,指定管理者制度についてでありますが,国際交流,生涯学習センターとも国通知の趣旨を踏まえ指定管理者を選定し,適正な運用に努め,設置目的の効果的な達成に取り組んでいるところであります。国際交流センターでは,指定管理者が企画した国際理解ワークショップや子供交流会などの事業を実施しております。生涯学習センターでは,教育委員会と指定管理者の役割分担のもと,教育委員会は生涯学習指導者の養成等を,指定管理者は全体の施設管理及びサイピアの運営を担っており,県の生涯学習の拠点機能を果たしております。今後とも,利用者アンケートや指定管理者による業務点検も踏まえ,設置目的にかなう公の施設としての管理運営に努めてまいりたいと存じます。
 以上でございます。



<平成25年9月定例会>(2013年9月18日)

(佐藤)  そして次に,知事の行政手法について申しわけないんですが,苦言を申し上げさせていただきます。
 今回の有識者による事業再点検の手法でございますが,正直に申し上げて,本当にがっかりいたしました。こういう行政手法には,民間出身の知事にはなれていただきたくないというふうに思います。そもそも設置要綱によって事業再点検に関する有識者会議が開催されましたが,要綱や要領は,いずれも職員の方が事務処理を進めていく上での指針,基準を定める行政機関の内部規律でございまして,いわば事務の執行手続の適正化を図ることを目的としたものでございます。また,本来ならば,こうした再点検をする個別の事業について設置要綱について検討委員会や外部評価委員会をつくるようなことがあっても,5月23日に施行された要綱で設置された有識者会議が事業再点検を全部行って,9月に報告書を出す,これは余りにも膨大な量ではないでしょうか。しかも,2条には,委員10名以内で構成すると書いてありますが,委員でもない事務局の方がしばしば提案,委員からの質問に回答,5条を見れば,庶務は総務部人事課行政改革室において処理するとなっておりますが,庶務というには大変な御活躍ぶりだったと思います。具体的には,当初予算一般会計の2,400もの事業のうち,事務局が事業抽出の視点を作成して,1回目の会議でそれの承認を得て295事業を抽出,さらに個別事業の対象となるものを事務局が9事業に絞って提案して,合わせて29事業を委員が選定しました。個別議論の対象外とされた事業は,事務局が有識者会議に報告,第三回有識者会議では,ほとんどは委員から事務局への質問と答弁,時間の関係で十分議論ができなかったので,気づいた点があればメールで送っていただきたいとして,議論は終了。あえていえば,事務局サイドが事業再点検したかった視点も事業も答えも,はなから決まっていたんじゃないですか。そして,結果として,7月19日,8月5日,8月23日の3回の会議で,倉敷駅周辺の鉄道高架事業の規模縮小や医療費補助の見直しにも言及された見事な結果報告書ができ上がり,9月11日に知事がそれを受け取られ,報道されました。知事は,大変重い意見をいただいたと語られて,提言を施策に反映させていく,こうした考えを示されました。ただ,この一連の作業は,二元代表制のもと,議会制民主主義の手続において,いかような民主的コントロールが及んで,法的にどういう根拠と意味があるやりとりなのか,議会に対していかような拘束力があるのかをぜひ教えてください。
 ましてや,特定の者に継続交付されている補助交付金の中に,私学助成費や軽油引取税報奨金などを入れ込んで,これはもう有識者会議で全く議論もされていないのに,事業再点検をすべき項目であるかのように装っておられるように感じられます。この提言の最終責任者は,つまりは誰で,これはいかなる責任を負われるんでしょうか。
 さらに,再点検結果報告書の中身について具体的に伺いますが,単県医療費補助について,特に現在臨時的に実施している低所得者への自己負担限度額軽減措置については,県内企業が全体として持ち直していることから,再延長は行わず,予定どおり終了すべきとなっていますが,これは委員の一方の御意見にすぎず,会議として意見集約された形跡がございません。景気がよくなれば,内部疾患があって働く意思があっても働くことができない,そうした方々の所得が上がるんですか。そうしたことも含めて,単県医療費補助の低所得者の方々への自己負担限度額軽減措置についてのお考えをお伺いしたいと思います。
 一方で,中には未耐震化の県施設で,将来改修予定のない1,000平方メートル以上の特定建築物の自治研修所や,それ以下も含めて,津島県公社のA,B,C,D,F棟や知事公舎など,まずこれは一般県民の方が使われない施設についてまで検討対象に挙げておられますが,集約や廃止等について,外部の有識者の方や第三者の方に意見を聞かないと判断ができないことでしょうか。今後どうされたいのか,知事のお考えをお知らせください。
 こういう手法が許されるのであれば,事業再点検結果報告書の趣旨に沿えば,これから先,人件費削減も含めて,これが民意なんだと称して,昨年度前までの行財政構造改革大綱を改訂する形をとることすらできる,そういう前段階の動きとすら考えられますが,真意をお聞かせください。
 もちろんそもそもこれは削減しようという方向ですから,お手盛りとまでは言いませんけれども,いかにも何か民意が反映されたかのようで,実は官のほうの主導の提言を錦の御旗のように掲げられて,それに対して議会の意見もお聞きしながらまとめていきたいなどというのは,申しわけないですが,これは議会軽視も甚だしいというふうに,私は感じております。しかも,これは情報公開をしながら民主的手続に沿って行政運営が行われているとの評価は,私はできないと思います。情報公開の時代に,知事,こういうのはもうはやっていません。どうかこういう旧来型の行政手法に,知事にはなれていただきたくない。大体こういうことを,私のようなばかな議員に言わせること自体が,お忙しい中,時間を割いてくださった委員の方々に,本当に私は失礼なことだというふうに言いながら,そのように思っております。しかし,これがいわゆる事業仕分けの手法で,仮に公開されていれば,私は状況は違っていたんじゃないかというふうに思います。もちろん,事業仕分けもあくまでこれは判定であって,評価者に予算削減を行う権限・強制力はなく,予算編成権を行政の側の判断と我々の議決によって決まるということになるのは言うまでもありません。しかし,なぜ今回,事業仕分けの手法をとらなかったのか,今回どうして公開されなかったのか,そして今後もこういう行政手法をとっていかれるのか,お伺いいたします。

(知事)  お答えいたします。
 有識者による事業再点検についての御質問であります。
 まず,会議運営についてでありますが,有識者会議の委員の方々には,地方自治法に基づく専門委員として御就任いただき,事業抽出の視点などについてそれぞれのお考えを伺いながら事務局案をお示しした上で,さまざまな御提言をいただいたものであり,重く受けとめているところであります。この御提言は,直接県議会に対して拘束力があるものではなく,今後,これを踏まえ,執行機関としての対応方針を決定し,県議会等からの御意見を伺ってまいりたいと存じます。
 次に,結果報告書のうち,提言の最終責任者等についてでありますが,委員の方々には幅広い知識と高い見識に基づき御提言をいただいたことにより,責任を果たしていただいたものと考えております。
 なお,いただいた御提言は,事業のあり方等を検討する際の判断材料の一つであり,最終的には私が責任を持って対応方針を決定すべきものであります。
 次に,単県医療費補助についてでありますが,低所得者への自己負担限度額軽減措置は,厳しい経済雇用情勢を踏まえた生活支援策として時限的に実施しているものであり,今後の取り扱いについては,事業再点検結果報告書のほか,各種経済指標などを踏まえ,慎重に検討してまいりたいと考えております。また,お話の就労が困難な方々については,その世帯状況や収入構成等はさまざまであることから,景気回復と所得の関係について,断定的にお答えすることはできませんが,いずれにしても,これらの方々に対しては,他の福祉施策の利用を初め,それぞれの状況に応じた適切な支援が行われることが重要であると考えております。
 次に,未耐震施設についてでありますが,お話の自治研修所や津島県公社なども貴重な県有財産であり,処分により得られる財政的効果も大きい一方で,地域への影響も考えられることなどから,県の方針を決定する前に,有識者からさまざまな観点で幅広い御意見をいただいたところであります。今後とも,御指摘のような県有資産も含め,必要に応じ,外部の意見をお伺いすることは重要と考えております。
 次に,真意についてでありますが,有識者会議は県が事業再点検を実施するに当たり,事業のあり方や再点検を実施する上での視点などについて,外部の方から幅広く御意見をいただくため,開催したものであります。今後は,これらの御意見も踏まえた上で,現在策定中の行財政経営指針に基づき,これまでの取り組みの成果を維持しつつ,不断の改革・改善に取り組むこととしており,お話の行財政改革大綱の改訂は考えていないところであります。
 次に,事業仕分けの手法等についてでありますが,事業仕分けは事業の存廃を中心に議論されているところでありますが,今回の有識者会議は事業のあり方についてさまざまな観点から幅広い御意見をいただき,改善につなげるため実施したものであります。また,非公開については,各委員が忌憚のない意見を積極的に発言できるよう,有識者会議において決定されたものと承知しておりますが,会議録や資料については,終了後,速やかに公開しているところであります。必要に応じて外部有識者から率直な御意見等を伺うことは有意義だと考えておりますが,その手法については今回の例も踏まえながら,今後検討してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  御答弁ありがとうございました。
 特に低所得者に関するこの支援につきましては,経済指標を見てというふうな御答弁がありましたけれども,そうした客観的な数字ではなくて,私が今回この質問の中で申し上げたいのは,やはり民意,民主的コントロールがどれだけ及んでいるか,民意がどれだけ入っているかということが大切だということが申し上げたいわけであります。特に,当該関係者の方の御意見がどれだけ入っているか。有識者の方を私は批判するわけではもちろんありません。大変にお忙しい中,時間を割いてくださって,有益なそうした議論をしていただいたと信じておりますが,ただ問題は,これが当事者の方の意見が入っていないんじゃないですかと。我々議会は,議員としては当事者の意見をお伝えするようにしておりますけれども,行政の側でもこれを積極的に聞くことは必要じゃないか。特に,前の知事の時代には,対話の県政,開かれた県政という言葉がありました。その努力はされていたというふうに思います。その中で,今回,こうしたことが進んでいけば,本当に当事者の声が伝わらない県政になってしまうような危惧を感じております。知事のおっしゃられるスピード感であったり,あるいは顧客重視であったり,コスト,このことは私は本当に大切なことだと思います。ただ,我々が知事に本当に期待していることは,やはり民間の企業の出身であるということで,現場の声,要は現場主義,現場の声が行政に反映される,しかもそれが早くコストが削減されて反映される,そのことを望んでいます。最初に冒頭で大変に失礼なことを申し上げたんですが,行政の手法になれないでくださいというのは,やはり知事がトップリーダーとして,現場に回っていただいて,そして何よりも現場の声を直接受けとめていただいて,それを行政に生かしていただきたい。そうした思いで申し上げておりますが,それに関して,特に身障者の方への補助につきまして,私はこれは現場の声,当事者の声,聞けてないと思うんですけれども,知事のお考えをお知らせください。

(知事)  現場の声を聞くことの大事さということについての御質問にお答えをいたします。
 当事者を含めていろいろな立場の方の意見を伺うことは,行政にとっても,それ以外の例えば民間企業の経営にとっても大変大事なことだと考えております。各部局の担当者が日々それぞれの担当者の意見を聞いていると,私は信じておりますし,これからもそのようにしていかなければいけないと感じております。
 以上でございます。

(佐藤)  感想めいたことでありますが,職員の方が聞いておられる,確かに現場で,職員の方の現場で努力はしていただいておると,私も信じておりますが,私は知事に現場の声を聞いてほしいと申し上げたんだということは,つけ加えさせていただきたいし,この議場にいる我々も,言ってみれば本当に現場の声を聞いている,現場主義に立つ,議員,議会でありますから,こうした議会の声もしっかりと受けとめていただくことをお願いしたいと思います。



<平成25年2月定例会>(2013年3月6日)

(佐藤)  11月定例県議会が心のキャッチボールをさせていただいたわけでありますが,今議会は春期キャンプに入ってブルペンでキャッチャーを立たせたまま投げるぐらいの,そうした勢いで臨まさせていただこうと思いますので,よろしくお願いいたします。
 とはいうものの,まず理由はどうあれ3年ぶりに収支不足となった来年度当初予算要求がなされていることは,極めて遺憾だと言わざるを得ません。改めて私は,2008年6月2日午後2時20分に発せられた岡山県財政危機宣言を思い出します。当時は,このままいけば来年度21年度予算が137億円の収支不足で編成に赤信号,平成22年度決算で累積300億円の実質赤字で,軽く財政再生団体に転落が見えていたという状況でございました。そもそも平成9年から3次にわたる行財政改革に取り組んで借金への依存度にかかわる部分,ストックベースでは目に見えた改善となっていた最中の平成16年度に,いわゆる交付税ショックがあって,岡山県でも約300億円規模で一般財源が激減をしました。臨時的な対策である職員の給与カットや行政改革等推進債を除くと,構造的に約300億円から400億円規模の赤字が見込まれるとともに,特定目的基金などからの借り入れなどの,こうした緊急避難的な対策も限界が来ておりました。少子・高齢化の進展によって義務的な経費がふえていく一方で,特に岡山県は財政調整基金などがほとんどゼロという極めて特有の財政構造となっておりました。私は当時総務委員長でございましたが,翌年に岡山市の政令指定都市移行を目指す中で,激論を交わしながら岡山市と調整をする一方で,知事の退職金の問題,消防防災ヘリコプター購入問題の議論をしながら,そしてこの2008年の年末,倉敷チボリ公園閉園など岡山県政史上最も激しい1年間をまさに当事者として泣きながら叫びながら乗り切らさせていただいた,そうした自負もございます。あの年を思うときに,決して岡山県は今も財政危機を乗り切ってはいない,むしろ少子・高齢化に伴う社会保障費の増額など今後ますます財政は厳しくなる,そこに立ち向かっていく,そういう覚悟の気持ち,何よりも倉敷チボリ公園の閉園の日に,実は悔しくて切なくて情けなくて申しわけなくて泣いたことは絶対に忘れません。前議会でも「教育危機宣言をすべきだ」と申し上げましたが,これは財政危機宣言同様我が県の存亡の危機であり,オール岡山で立ち向かう意思を固めようという意味での宣言をすべきだと申し上げました。
 知事に,あえて伺います。
 岡山県の財政状況が厳しいことは,御存じだったと思います。まず,この岡山県財政危機宣言について,現状を含めてどのようにお考えでしょうか。そして,今よりももっと厳しい危機を越えて,さらにまさにこれから越えようとしている本県において,なぜここであえて民間では考えられない赤字の予算,しかも72億円もの収支不足の予算について議会に議決を求められるのか,これをやむを得ないと考えられるのか,お伺いいたします。
 私は,伊原木県政の実質的なスタートとなる平成25年度予算が収支不足でスタートするのが悔しいから申し上げております。また,今回,「知事の裁量が及ぶ範囲が限られる」と言われましたが,県民の皆様の期待を受けて直近の選挙で選ばれた,最も新しい意思で選ばれた岡山県政のトップリーダーの裁量が何の根拠で何によって規定されるのか,また知事のそうした思いを阻むものに対して,具体的にどんな行動をとるべきなのか,そして議会は何ができるか,お知らせください。

(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 平成25年度当初予算等についての御質問であります。
 まず,岡山県財政危機宣言等についてでありますが,平成20年当時年400億円近い収支不足が見込まれるとともに,臨時的な対策も限界に達したことから宣言を行ったものと理解しております。現状については,先般お示しした収支見通しにおける収支不足額が大幅に縮小しているなど,これまでの改革の取り組みにより県財政は当時と比べ改善していると考えております。しかしながら,新年度予算編成に当たり臨時的な歳入対策を行わざるを得ず,その後も収支不足が見込まれるなど,本県財政は厳しい状況にあると認識しております。
 次に,赤字予算についてでありますが,知事就任が昨年11月であり,既存の事業などについて大きな変更ができる時期ではなかったことから,当初予算編成に当たっては要求上限を設け,事業の選択と集中の徹底を図ることなどにより歳出の抑制を図ったところであります。その上で,地方財政対策を見きわめながら一定の財源不足に対してはこれまでの改革の取り組みにより確保した活用可能基金により対応することとしましたが,地方公務員の給与削減を前提とした地方交付税の減額の影響などから財源不足額が72億円と拡大し,苦しい予算編成となったところであります。新年度においては,効率的な事業執行や税収を初めとした歳入確保に努め,収支改善を図ってまいりたいと存じます。
 次に,裁量の範囲等についてでありますが,社会保障関係費のように法律等の規定により支出が義務づけられる経費が大きな割合を占め,また今回の地方財政対策のように地方交付税が一方的に削減されると収支に直結するなど,国の政策の影響を強く受けざるを得ないということから,知事の裁量が及ぶ範囲は限られているという感想を持ったところであります。これに対しては,地方分権の推進により地方がみずからの判断と責任で地域の諸課題に取り組むことを可能とすべきであり,あわせて国と地方の役割分担に見合った形で地方の安定的な財政運営に必要な財源を確保するための地方財政制度の確立が不可欠であると考えております。こうした改革が早期に実現するよう,全国知事会等と連携しながら国に対して働きかけてまいりたいと考えておりますので,議会におかれましてもお力添えを賜りますようお願いしたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  伊原木知事におかれましては,恐らく最初の予算編成ということで,もう大変な思いをされているだろうなということは十分理解させていただいた上で,ただ先ほどのお話もありましたけれども,国の地方交付税の一方的な削減,確かにこれについて問題があるにしても,これ72億円全部しているわけではなくて,削った以上にある意味この地方のも出してきている,経済対策としても出しているということで,72億円丸々これは決して今の政権与党のせいではないということは確認をさせていただきたいということがあります。そしてまた,特例条例の期限が3月31日で切れる,これについても基本的には条例提出権はそちら側にもあるので,条例を出していただければこれはいいわけでありますし,そして何よりもこれは私も知事の立場にならないとわからないですけれども,恐らく当選された後に本当に時間がタイトだったんだろうなと,ただその中でやはり一番新しい民意で一番新しい選挙で我々議員よりももっと新しい民意が伊原木知事にあるわけでありますから,何よりも強い民意があったということでありますから,今までのいきさつがどうあれ知事の思いで私は変えれる部分があったんじゃないかなというふうな気が,少し残念な気がしてなりませんが,そのあたり特に再来年度の予算編成というのもあるわけでありますが,この予算編成で本当に苦しかった部分,改めて本音の部分で少しお伺いしたいと思います。

(知事)  知事に就任してからの短い期間で予算編成をするに当たってどういう感想を持ったか,あと先ほどの民間であれば赤字の予算編成などあり得ないではないかという一連の質問に対してお答えをさせていただきます。
 以前私は経営者でありまして,今県政のトップとして予算案を提出させていただいたばかりでございます。民間企業は,赤字を続けていると倒産をしてしまいます。1年赤字を出すだけでも,大変な状況に陥ります。ただ,企業も1カ月ごとに黒字を出す必要があるわけではございません。実際私が属しておりました業界では,上期に採算が悪く下期で取り返すようなことは大変一般的でありました。それとちょっと似たような部分があるのかもしれませんけれども,行政において1年赤字を出して,それで倒産ですとか県民がひどい目に遭う,極端な話解雇されてしまうですとか,そういうことではございません。企業において1カ月ごとの赤字は12カ月でちゃんと黒字を出せばできたように,私自身この3カ月予算編成過程を通じまして必ずここは黒字にしなければいけない,黒字にするためにどんな犠牲もいとわないということではなく,もう少し長い目で見て県民の幸せを考えたときに,この予算がベストではないかと考えた次第でございます。



<平成24年11月定例会>(2012年12月7日)

(佐藤)  まずもって,伊原木知事におかれましては,御当選,御就任を心からお祝い申し上げます。おめでとうございます。
 今回の提案説明の中でおっしゃられた,昭和41年生まれの知事の時代認識や問題認識というものは,議会内においては肥満傾向が著しく進んでいる昭和39年生まれとしても共感ができるものでございます。ともあれ,働き盛りの子育て世代としてともに頑張ってまいりましょうというエールを,まずは送らさせていただきたいと存じます。ただ,この質問で私も48回目になるということで,かなり何というか,すれておりまして,小難しい質問などしてしまうことがあるかもしれませんが,その点はどうぞお許しください。もっとも今回は,各論ではなく,どちらかといえば総論とも言えるウオーミングアップの,心のキャッチボールから始めさせていただきたいというふうに思います。
 さて,注目された伊原木知事の所信表明に当たる知事提案説明で,まずは今後の岡山県政のかじ取りの方向が示されました。これをまとめますと,県政の目標は前知事が築き上げてこられた成果や基盤を生かしながら,あらゆる世代が明るく,笑顔で暮らせる「生き活き岡山」の実現であり,元気に学んで遊ぶ子供,失敗をおそれず挑戦する若者,安心して子供を育む家族,そして健やかに暮らすお年寄りで県内を満たしていく。そして,そのための基本姿勢として,県民ニーズをつぶさに酌み取り,最小のコストでタイムリーな政策を実現する。そして,そのために,そのままではないけれども,企業における行動原則,「顧客主義」,「コスト意識」,「スピード感」を行政に取り入れたい。そして,特に力を入れられたい施策が産業の振興,教育県岡山の復活,県民が安全・安心に暮らせる地域づくり,県民全てが誇りを持てる岡山県づくりで,そして本県の発展の礎となる経済の活性化と教育の再生には挑戦していきたいということだと思います。全体的な方向については,首肯できるものでございますし,今回は余り個別具体的に即答いただくような質問はなるべく避けたいと思いますが,今後,具体的な方向に展開していくであろう,こうした基本理念といったものは,当然まずは明確にさせていただく必要があるというふうに思います。
 そこで,まず最初に,知事の現在の御認識についてお伺いいたします。
 前知事が築き上げてこられた成果や基盤を生かしながらということで,16年間の石井県政のよい部分というものは,御継承いただけるものと安心はしておるのですが,一方で私自身が期待させていただいているのは,行財政構造改革を,これはもうやめるわけにはいきませんけれども,カットカットが続いてきた中で,岡山の誇る企業の若き経営者の経験を生かしていただいて,新しい感性によって大胆な県政で,まずは岡山県をさらに元気にしていただくこと,これを私は期待させていただいております。
 まずは,今回の選挙で知事に寄せられた県民の皆様の御期待がいかなるものであるか。さらに,政治家としてのあえていうとミッションは何か,御認識をお伺いいたします。
 そして,就任から1カ月,民間出身の知事として,この段階で既に今感じておられる,何となくこれは行政不思議だなというふうなところがあれば教えていただきたく存じます。
 また,月額4万1,000円の家賃の知事公舎につきまして,平成22年2月定例会で,私はこれは不要じゃないかと申し上げたんですが,前知事の答弁は,「公邸としてふさわしい機能やスペース,県庁へのアクセスなど,危機対応時における高い利便性,セキュリティー上必要な設備とか周辺環境など,多岐にわたる要件を満たす必要があり,老朽化はいたしておりますものの,当面は現公舎を使い続けたいと考えているが,そのあり方につきましては引き続き総合的に検討を進めてまいりたいと存じます」というものでございました。知事におかれましては,この知事公舎についてどのようにお考えか,今後どうされていくか,御所見をお伺いいたします。

(知事)  現在の認識についての御質問であります。
 まず,県民の期待等についてでありますが,私は選挙戦を通じて,あらゆる世代が明るく笑顔で暮らせる「生き活き岡山」の実現を図るため,民間の経営感覚を生かしつつ,産業の振興と教育の再生の2つの施策に全力を挙げて取り組むことを訴え,県民の皆様の御支持をいただいたところでございます。したがいまして,私の知事としての使命は,まさにこうした県民の皆様との約束を実現することにあると考えているところでございます。
 次に,行政の不思議さについてでありますが,私はもともと公の仕事は民間の物差しでははかれないところがあると思っておりまして,特に不思議さというものは感じていないところでございます。ただ一方で,行政の中に民間の考え方,手法を取り入れることは可能であり,従来の枠にとらわれない自由な新しい着想で考える文化といったものを組織に浸透させていきたいと考えております。
 次に,知事公舎についてでありますが,知事公舎は緊急時の対応など知事としての職責を迅速かつ適切に果たすことができるよう,公務遂行のための公邸と生活の用に供する私邸とを一体として設けた施設であると認識いたしております。そのため,知事公舎には県庁との連絡を密にするための通信設備やセキュリティー対策の設備が設置されておりますが,一方かなりの経年劣化が進んでいるため,ある程度の修繕が必要であると聞いており,今後の対応については,こうしたことを考慮した上で判断していきたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  知事公舎につきましては,私もその中に入ってそうちょろちょろしたわけではございませんので,状況はわかっておりませんけれども,適切な御判断をいただきたい,特に一等地でもありますし,とても注目されている場所であるということは御理解いただきたいと思います。
 それでは次に,県民ニーズの把握等についてお伺いいたします。
 創造と共生を基本理念とし,「やさしさの県政,フレッシュな県政,開かれた県政」を基本姿勢とした「快適生活県おかやま」,これは前知事のキャッチフレーズでございますが。そこから「生き活き岡山」にキャッチフレーズが変わる中で,県民ニーズをつぶさに酌み取り,最小のコストでタイムリーな政策を実現するために,企業における行動原則,「顧客主義」,「コスト意識」,「スピード感」を行政に取り入れたいとされる知事の手腕に期待させていただくところでありますが,まずこの県民ニーズをつぶさに酌み取るためにどういった形で県民の皆様と,そして市町村と,そして我々議会と連携されることをお考えか,お伺いいたします。
 特に,岡山県と今,同格とされる政令指定都市岡山市と中核市倉敷市とは,常にこれは連絡を密にする必要があるというふうに考えておりますが,御認識をお知らせください。
 加えて,現場最前線を担当される職員の方々から,県民の皆様のニーズをどのように酌み取られるのか,お考えをお知らせください。
 また,本当に県民ニーズをつぶさに酌み取るためには,組織的には民間企業から職員を採用したり,逆に若手職員を民間企業にどんどん出向させる,言ってみれば,官と民との人事交流が有効だというふうに思いますが,御認識をお知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 県民ニーズの把握等についての御質問であります。
 まず,県民等との連携についてでありますが,私は十分なコミュニケーションなくしては県民ニーズの的確な把握はできないと考えております。このため,私自身できる限り現地に出向き,県民の皆様や企業などのお話をよくお伺いするとともに,地域づくりを進める上でのパートナーである市町村長の方々ともそれぞれの課題を共有し,連携できるよう,対話の機会を設けてまいりたいと存じます。また,議会と執行部は県政を支え推進する車の両輪との認識のもと,地域の実情を熟知し,経験豊かな県議会の皆様にはしっかりと御意見を伺ってまいりたいと存じますので,御指導,御協力のほど,よろしくお願い申し上げます。
 次に,岡山市,倉敷市との連絡についてでありますが,政令市及び中核市は,保健所の設置や福祉サービスの分野などで県と同じ事務を担っていることから,適切に連携,調整を図る必要があり,また,産業振興やまちづくりなど,県と市が協調した施策を実施することで,県全体の発展につながることができると考えております。そのため,3者のトップ同士がいつでも連絡を取り合い,真摯に話し合える関係を構築するとともに,事務レベルでの情報交換や意見交換を一層活発にしていきたいと考えております。
 次に,職員からの把握についてでありますが,現場の職員一人一人がアンテナを高くして県民のニーズを把握し,事務事業に生かすことが重要であると考えております。このため,各部局において,そうした現場の意見を踏まえ施策を推進するよう徹底するとともに,私自身も現場に出向き,最前線の職員から直接意見を聞きたいと考えております。
 次に,官民の人事交流についてでありますが,県民のニーズを把握するためには,職員一人一人が県民を顧客として,その意見やニーズに真摯に耳を傾ける姿勢を持つことが何よりも重要であると認識しており,まずはこうした意識の徹底に努めてまいりたいと存じます。また,県職員が企業において「顧客重視」,「コスト意識」,「スピード感」などに直接触れることも意識改革の手法の一つであると考えておりますが,現在,本県は定数削減に取り組んでおり,民間企業への派遣研修等を直ちに拡大することは難しい面もあるものの,今後とも,可能な限り官民の人事交流に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  あまり個別,具体的な質問はさせていただかないとは申し上げたんですが,一つの手法として,前知事のときに対話の県政,開かれた県政というのがありました。当選直後にすぐマルチメディア目安箱,それから青空知事室,これをされるということを表明されたんですけれども,同じような形でこの情報というものを,御意見を集めるような手法,これは継続でやられるとお考えでしょうかということが1つと。
 あと特に,この県庁職員さん,本当に優秀な若い職員さん,いらっしゃるんですけれども,なかなか知事のところまで意見が届くというのは難しいようなことがあります。そうした中で,これもこれからのことだと思いますけれども,会食等も通じながら,やはり若い世代の方の御意見を吸収できるような,そうしたこと,これは恐らく民間企業でもそういうことはかなり御努力されていたと思うんですけれども,そうしたこともお考えかどうか,お伺いしたいと思います。

(知事)  再質問にお答えいたします。
 石井前知事が行われておりましたマルチメディアを利用した目安箱ですとか,青空知事室といった県民のさまざまな方々から意見を聞くやり方でございますが,一部変更する可能性はございますが,その理念を引き継ぎ,私自身も県内各層いろいろな方から御意見を伺うようにしていきたいと考えております。
 また,県庁の一般職員との意見交換,もしくは交流についてでございますが,これは私自身もとても大事なことだと考えており,昼食の機会などを捉えてこれからそういった機会をつくっていきたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  それでは次に,「顧客重視」,「コスト意識」,「スピード感」という,これは企業にとっては大切な行動原則をいかにこれを行政運営に応用されるかについてお伺いいたします。
 まず,「顧客重視」でございますが,一番の顧客は県民の皆様でありますが,いみじくも,これは知事のお言葉として,「県民の皆様一人一人が社会とみずからの関係を,何をしてもらうかではなく,何ができるかという観点で捉え,気概を持って活力ある地域づくりに参画し,社会に貢献することに誇りを持っていただきたい」,あるいは,「サービスに必要なコストについてもお伝えし,御理解をいただきたい」という呼びかけも,これはある意味,県民の皆様の全てのニーズについては申しわけないけれども,当然には全部はお応えはできないこともあるだろうということだとは思います。もっとも私は,むしろ県民の皆様は企業に例えれば株主でもあり,我々議会は取締役会ではなく株主総会であるというふうにも考えております。一方で,御自身の意思で商品を置かれ消費者と違って,憲法上の義務としての納税者でありながら,具体的な施策においては,時には要件をつけて受益者を絞ったり,対象区域を区切ったり,さらには受益者負担のお願いをしたりすることになります。こういう場面でしばしば県民の皆様と行政の間でトラブルが生じて,我々議員のもとに相談が持ち込まれたりするという現状もあるわけであります。言ってみれば,政治というのが納税者の方々から公金をお預かりして,いわば再分配するというようなこともある,これについての御認識,さらに行政の施策展開における説明責任というものをいかようにお考えか,お知らせください。
 続きまして,「コスト意識」についてでございますが,言うまでもなく後ほど申し上げる教育問題や,あるいは防災対策などについては,費用対効果が,これはたちまち出てくるものではありません。あるいは逆に,これはもうかることであれば,これはもう当然民間にやっていただければよいことであって,わざわざ税金をかき集めて行政が行うことはありません。とりわけ福祉に関しては,基本的には,「情けは人のためならず」,「困ったときはお互いさま」という考え方があり,まずは採算,これはとれんだろうなあということがありますし,特に文化芸術などは,なかなかこれは金銭に換算しようがないものもあるわけであります。これはあくまで「コスト意識」を持つことだとは思うんですけれども,端的に福祉と文化芸術とコストの関係についてどのようにお考えか,お伺いをいたします。
 加えて同じコストであれば,むしろこれはもうNPOや民間の指定管理者が行ったほうが,これもより機動的で効果的な場合がかなり多くあるというふうに思います。選挙前のアンケートの回答で,岡山のNPO関係者からすこぶる,これは知事の回答が高い評価を受けたんですけれども,こうしたいわば「新しい公共」,さらには昔でいえば,民間活力の導入に対する御認識をお伺いいたします。
 そして最後に,「スピード感」についてでございますが,私は個人的には行政の施策を進める手続に時間とお金がかかるというのは,これはむしろ健全な民主主義のコストじゃないかというふうに考えております。今回知事に問うことはいたしませんが,と言いながら申し上げてはおるんですが,例えば南区の内尾県有地にメガソーラーを立地する話など,これは行政側が一方的に決められた施策,この遂行を急ぐ余りに,県民の皆様に十分な説明責任が果たされず,結果的に大混乱を生じさせてしまった,こうしたことがあるんですが,やはり民主主義というのはそれだけの手間がかかるというふうに思います。あるいは,時には公聴会や諮問機関を開催する,時にはパブリックコメントを募集するということで,民意を反映させる丁寧な手続が必要なことも多々あると思います。そして一方で,議会もそうした意味では民主主義のコストになるわけでありますが,例えば知事提案説明の冒頭で,知事は「本日は御多用のところ御参集いただきまして,まことにありがとうございます」とおっしゃっていただいたんですが,総選挙があろうが何だろうが,議員がこの本会議場に出席するのは,これは当然のことなんですが,知事がお礼をおっしゃられるようなことでは本来ないんですけれども,実はこれは法的には知事御自身がこの本会議を招集されているという,これが法律だということです。全国議長会からは,議会の招集権は議会にという,この法改正の要望をさせていただいておりますし,議会先進県の三重県議会では,これはもう通年議会ということで,今回もあったような知事の専決処分,こうしたものはなくなって,逆に言うと,何でもかんでも議決が要るよというふうな,裁量の幅はあるけれども,むしろ議決が必要になるということもあり得るということで,こうした民主主義の手続というのは,いささか迂遠ではあるんですけれども,時間かかるけれども,知事のおっしゃられる「スピード感」とは,時には真逆になるようなケースもあるかもしれない。こうした健全な民主主義のコストについていかようにお考えか,お知らせください。

(知事)  お答えいたします。
 企業の行動原則の行政への応用についての御質問でございます。
 まず,公金の再配分等についてでありますが,行政は徴収した税金をもとにさまざまな住民サービスを提供しておりますが,その財源は限られていることから,社会経済情勢や県民ニーズ,公平性等を踏まえながら優先順位をつけ,事業の取捨選択を図る必要があると認識しております。その際には,多くの方の御理解が得られるよう丁寧な説明に努める必要があると考えております。
 次に,福祉等とコストの関係についてでありますが,福祉施策の目的は,全ての県民が障害の有無などにかかわらず,健康で幸せな生活が営めるようにすることであり,費用対効果だけでははかれないものも多いと認識いたしております。また,文化芸術についても,暮らしに豊かさや潤いを与えるとともに,その振興は郷土への愛着と誇りを育むものとして重要であり,こうした心の豊かさに関することは,採算性だけでははかれないものがあると考えております。しかしながら,施策を行うに当たっては,限られた財源を有効に活用し,最小限のコストで最大限の効果を発揮できるよう,事業の必要性はもとより,その実施方法についてもしっかりとしたコスト意識を持って取り組むことが重要だと考えております。
 次に,「新しい公共」等についてでありますが,「新しい公共」については,それを推進することにより,公共サービスの提供に行政だけでなくNPO等の民間団体の参画を促し,これまで以上にきめ細かい公共サービスの提供につながる重要な取り組みであると考えています。また,「民間活力の導入」については,県政を運営していく上で大切な視点であると認識しており,私自身の民間経営者としての経験を生かしながら,民間でできることは民間に任せることにより,行政のスリム化を図り,めり張りのある県政を推進してまいります。
 次に,健全な民主主義のコストについてでありますが,行政は住民ニーズを十分に把握しながら,公正で効率的・効果的に各種事業を実施することが求められており,これに伴い必要となる手続は丁寧に行うべきものと考えております。また,同時に,県民が求めるタイミングで行政サービスを提供することも重要であり,「スピード感」のある県政運営を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。



<平成24年9月定例会>(2012年9月20日)

(佐藤)  この一問一答式も5人目になりますと大変皆さんお疲れが出ておられると思いますが,ぜひ気を確かに持ちましておつき合いお願いいたします。
 通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まずもって,4期16年間,岡山県政のトップリーダーとして頑張ってくださった石井知事にとりまして最後となる9月定例県議会において,改めて石井知事におきましては心から感謝と敬意を表させていただきます。
 思えば,知事の1期目の任期の私も途中からでございますが,これは自慢になるのかちょっとわかりませんが,私にとってはこれが47回目の一般質問ということで,石井県政において最も本会議場で質問をさせていただいた議員としては,惜別の情は禁じ得ないものがございます。一方で,何か転校生を送るような気持ちもあって,残る者としてはどこか置いていかれるような気持ち,取り残された気持ちもございまして,しかし最後はお疲れさまでしたと心の底から笑顔でお見送りをしたいと,そうした気持ちでございます。
 この16年間の総括というときに,やはり選挙でも,あるいは行財政構造改革でも支えてくださった県民の皆様がいてくださった,ある意味,厳しい行革の中で耐えて頑張ってくださった県民の皆様がおられる,国体の天皇杯,皇后杯の胴上げのことも言われますけれども,切り詰めた予算の中でも実際に頑張ってくださった選手団,役員,おもてなしをしてくださった県民の皆さんがおられました。国民文化祭も同じであります。特に印象深いのは,落書き一斉消去活動ですが,行政も警察もなすすべが全くない状況で,予算すらありませんでした。その中で一斉に立ち上がったのは県民の皆様です。今でこそ市町村で落書き消去資材は現物支給という画期的な仕組みになってはおりますが,そこまで自腹を切りながら進めてこられた。NPO,NGOしかりであります。全て県民の皆様のお力があったというように思います。あるいは,厳しい行革の中でどれだけ事業費や補助金を削減されようが,行政から手を離されても,話を聞いていただけなくても,まずは自力で立ち向かっていこうとされる県民の皆様が本当に強くなられたというふうに思うんですが,16年間を支えてこられたこうした県民の皆様に対する知事からのメッセージをお願いいたします。
 また,私の子供もそうなんですけれども,これは倉敷チボリ公園という大切な思い出,これはどうあれ壊れてしまったのは,これは事実であります。少なからず借金も担わせてしまうことになりますが,特に岡山の次世代を担う子供たちへのメッセージをお願いいたします。
 何よりも石井県政をつくってきたのは優秀な県庁職員さんたちでございます。今議会ではこれはあえて具体的な問題としては言及しませんがと言いつつ言及しておりますが,内尾県有地のメガソーラーをめぐる問題でも私も思い切りぼろぼろになりましたけれども,現場の最前線の職員さんたちも本当に忍びない状況になっておられます。一事が万事でありますが,会議室ではなく,実際に施策を遂行する現場は非常に厳しいわけであります。それがどういう御指示であれ,指揮官の指揮のもと,突っ込んでいくことになる。しかし,行革の中で給与等が削られても,決して職員の方々は岡山県に対する熱い思いは知事には負けていない,私はそう信じておりますし,そうあるべきだとも思います。そして,いわば女房役とも言える歴代の多くの副知事が知事を支えておられました。改めて,石井県政16年を支えてこられ,退職された方もおられますが,県庁職員の方々,さらには副知事の方々への思いをお伺いいたします。
 さらに,副知事にお伺いいたします。
 どうあれ,10月28日が知事選挙投票日でございます。11月12日からは新しい知事のもと,岡山県政は動き出すことになります。どんなに優秀な方が知事になられようとも,年末に向けてたちまちの予算編成等,課題はめじろ押しでございます。現知事から新知事へ,実質上は副知事のお働きが岡山県政のキーになるというふうに思います。粛々と,あるいはひょうひょうとやっていかれるものと期待も信頼もさせていただいておるんですが,いわば言葉は適切かどうかわかりませんが,政権交代の橋渡し役ともなる副知事の気構えをお知らせください。
 加えて,危機管理監にお伺いいたします。
 あえて言えば,新知事の任期が始まる11月12日の午前0時0分に大災害が発生しないという保証はどこにもありません。たちまち自衛隊への災害派遣要請という場面も出てくるかもしれません。まさにそれが危機管理でありますが,危機管理体制のスムーズな引き継ぎも含めて,これもまた政権交代時の危機管理監の気構えをお伺いいたします。

(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず,県民の皆様へのメッセージについてのお尋ねでございます。
 私は知事就任以来,県民の幸せと豊かな生活の実現を目指しまして県政を推進してきたところでありますが,長年にわたります行財政改革の取り組みによりまして,県民の皆様方には多大な御負担をおかけいたしまして心苦しく思いますとともに,その御協力に対しましては心より感謝を申し上げているところでございます。また,国体や国民文化祭,お話をいただきました落書き一斉消去活動などにおきましては,県民の方々がまさに主役として活躍をしていただいたところであります。まさに,協働による県政の広がりというものを感じているところでございます。県民の皆様方にはこれからもふるさと岡山を愛する心とみずからの地域はみずからでつくるという意思を持ち続けていただきまして,協働の輪を広げつつ,本県の発展のためのお力添えを賜りたいと存じます。
 次に,子供たちへのメッセージについてであります。
 我が岡山県は,豊かな自然,あるいは温暖な気候風土の中で人々の暮らしや多様な農産物,文化,芸術などが育まれてまいりました。子供たちにはこのすばらしいふるさと岡山をいつまでも愛し,未来に引き継いでいただきたいと思います。また,子供たちには学ぶことに興味,関心を持っていただき,友人と切磋琢磨をしながらスポーツあるいは文化にも親しみ,知・徳・体を備えた大人になっていただきたいと思います。さまざまな困難もあろうかと思いますが,これらに立ち向かい,新しい時代を切り開いていただきたいと,このように切に願っております。
 最後に,職員等への思いについてのお尋ねでございます。
 職員の皆さん方には,行財政改革を初めとする困難な県政の課題,あるいは住民の方々に接する日々の業務などにつきまして,昼夜を分かたず尽力をいただきました。心より感謝を申し上げる次第でございます。とともに,長年の給与カットによりまして,これは教育関係の皆様,そして警察関係の皆様も同じでございますけども,大きな負担をお願いしたところでございます。大変心苦しく思っているところであります。岡山県職員はすぐれた資質,能力に恵まれております。と同時に,高い志を持ち,どんな困難にも立ち向かうことができる気概あふれるすばらしい方々ばかりでございます。そうした職員とともに県政に取り組むことができたことをありがたく思っております。
 副知事についてでありますけれども,いわば私の右腕といたしまして私の立場に立って物事を考え,そして私の手の届かないところを適切にサポートしていただいたところであります。県政推進にとりまして,なくてはならないパートナーとして御尽力をいただきました。本当に感謝しているところでございます。
 以上でございます。

(副知事)  お答えいたします。
 副知事の気構えについてということでございますけれども,私は副知事の役割は知事の進める政策,そして施策の実現を全力でサポートすることであると考えておりまして,石井知事の任期満了まで補佐役としての務めを最善を尽くしてまいりたいと存じます。また,新知事をお迎えするという準備を遺漏なくとり行うという職務もありまして,現時点で新知事就任以降のことにつきましては考えが至っていないところでございます。

(危機管理監)  お答えいたします。
 危機管理監の気構えについてでございますけれども,お話のございましたように,災害や事故はいつ起こるかわからないということから,大規模な自然災害や重大な事故などに対しまして迅速かつ的確に対応することができますよう,常に緊張感を持って職務に当たることが重要であると考えているところでございます。また,危機管理にいささかの間断も生じさせることがあってはならないと考えておりまして,知事の交代時におきましても危機管理体制が十分機能し,県民の皆様の安全・安心が守れますよう全力で職責を果たしてまいりたいと考えております。



<平成24年6月定例会>(2012年6月26日)

(佐藤)  一問一答式導入後の最初の議会でトリを務めさせていただきますことを,心から感謝申し上げます。
 今議会中に知事の御勇退の表明があり,これはもうだれもがよい人でいたいわけでございますから,ここはひとつ知事の御功績を褒めたたえて,終始笑顔があふれる和気あいあいの穏やかな質問をと思っておったんですが,それは今までの私自身の質問戦に対する冒涜であると思うに至りました。そもそも議場は,我々議員にとっての戦場であるわけでありますから,今までどおり,いや今まで以上に本気で立ち向かうことこそ,知事に対するエールになる,そう確信して,筋書きのないライブを始めさせていただきたいと思います。
 思えば代議士秘書時代に,「あの次は,い」を合い言葉に,知事の初陣をともに戦わさせていただいて以来,はや16年でございます。私の初当選時は,独身でございましたが,その年,結婚させていただいて4期目の今,子供も小学6年生になりました。それだけの時間が過ぎているわけでございます。この間,45回質問をさせていただいて,これはもう,したほうもしたほうなんですけれども,答えられたほうも答えられたほうだなあと,感心をいたします。特に,忘れられないのが,岡山県最大の危機であった平成20年度でございます。6月2日の財政危機宣言。当時私は総務委員長でございましたが,消防防災ヘリコプターの導入や退職金の問題,これは本当に私もひどい目に遭いました。そして,その年の暮れ,倉敷チボリ公園閉園,翌年4月には岡山市の政令指定都市移行と,頭を抱えながらも大変に充実した年であったというふうに思います。そしてそこから始まった行財政構造改革を次年度以降にどう引き継いでいくか,これは大きな課題であるというふうに思います。
 まずは,今後の岡山県の行革を考えていく参考としても,知事にあえてあの平成20年度の苦悩がいかばかりであったのか,忌憚なく語っていただきたく存じます。

(知事)  財政危機宣言時の苦悩ということについてのお尋ねでございますが,16年度の交付税ショックによりまして,本県におきましては,約300億円という巨額の一般財源が一気に失われました。その後も交付税の抑制傾向が続くという中で,臨時的に対策を講じてまいりました歳入対策,これも限界に達してしまったということから,財政危機宣言を発する事態に陥ってしまいました。このことに,本当に心を痛めた次第であります。同時に,国の強い関与のもとで歳出削減等を強いられる財政再生団体への転落というものは,何が何でも回避し,自力で持続可能な財政構造の確立に向けた改革を断行しなければならないと,そうしないと本県の未来はないと,このような覚悟を持ったところであります。
 財政構造改革プラン策定に当たりましては,安全・安心とか,あるいは将来を担う人づくりなどには,配慮させていただきましたものの,各種事業の見直し,あるいは独自の給与カットなど,県民の皆様や県内の市町村や各種団体,そして職員の皆さん方には,新たな負担をお願いすることとなりました。まことに心苦しく思ったところでございます。その中で,説明を尽くして誠実な対応に努めながら,最終的には御理解,御協力をいただきました県議会を初め県民,そして関係の皆様方に対しまして,改めて心から感謝を申し上げる次第でございます。そして,その全体を通じまして,改めてこの改革をやり遂げるということが知事であります私に課せられた使命であると,責任であると,このことを肝に銘じながら,今日まで改革に邁進してまいったと,このようなことでございました。

(佐藤)  本当にあの年は,もう象徴的な年でありましたが,岡山県にとっては再スタートの年であったというふうに思います。ただ,あのとき財政危機宣言の中で多くの県民の皆様がこのままじゃあ岡山県危ないということで,事業費や補助金の削減,これは大変な御協力をいただいたというふうに思っております。そして,あれはいわゆる緊急事態であったということで,来年度のことを考えると,これはゼロベースで始めるのか,それとも今のベースで始めるのか,スタートをどこに置くのかということは大切なことだと思うんですが,石井知事の次の代への思いとして,これは引き継いでゼロから始めるべきなのか,今あるカット率がスタートなのか,そのことについてどのようにお考えか,お知らせいただきたいと思います。

(知事)  今回の改革は,財政構造改革プランとなっております。今までの改革とは全く異なるわけであります。改革をして396億円を目指して行ってまいりました,この歳出の削減,これを基本的には,この成果というものを維持するということで,この改革の意識というものを持ち続けていくということが基本的なベースだというふうに,私は考えております。と申しますのも,社会保障関係費などの大幅な増というものがありますし,世界的な今の経済の状況から見ますと,非常に不透明感ございます。この先,いろいろ状況の変化というものを考えますと,厳しい状況が続いていくのではないだろうか。それから,国においての,きょうこれから採決があるようでございますが,社会保障,税の一体改革,あるいは公務員の人件費の抑制など,国のほうでも行革を行って,さらに地方側にもこのことをどのように今後働きかけをしようとされているのか,あるいは地方財政対策の全体の動向,こういったことなども注視しながら,こういった状況にも適切に対応していくということを考えますと,やはり先ほど申し上げましたとおり,大規模な改革というものは一区切りついたということではございますけれども,今まで行ってきました構造改革によります,この成果というものを,これを維持できるように改革の意識というものを持ち続ける,このことが重要ではないかというふうに考えている次第でございます。

(佐藤)  次に,これからの夢として,北の未来科学棟(仮称),南の岡南飛行場と,子供たちの可能性を広げる施設として,私自身かなりこだわっております岡南飛行場についてお伺いをさせていただきます。
 昨年の9月11日,9・11に開催された「第1回航空フェア2011in岡南飛行場」は,2万人以上の方々が来場され,久方ぶりに岡南飛行場にスポットライトが当たり,大成功でございました。知事にもお越しいただいたんですが,ぜひ知事の御感想をお聞かせいただければと思います。
 ただ,そこにある思いは,これはイベントをやりたいというよりも,一人でも多くの子供たちに岡南飛行場でセスナやヘリコプターを身近に感じてもらい,鳥人幸吉の魂を引き継いで,将来,パイロットやキャビンアテンダントや航空整備士になる夢を膨らませてほしい,そしてひいては航空産業推進の種地として生かされるようにという願いでございます。公の施設の役割は,来場者がどれだけあるかとか,どれだけ利益を生んだかだけでは,はかれません。これでははかれない。今,JAXAに通い詰めた兄弟が宇宙飛行士になって月におり立つ「宇宙兄弟」という映画をやっておりますが,公の施設があったらこそ夢が実現できた,そういう子供が一人でも多く生まれれば,私は公の施設,存在意義はあるというふうに思います。特に,ことし開催の第2回の航空フェアは,知事の任期満了の日の11月11日が予定されております。改めて岡南飛行場の可能性について,知事の御所見をお聞かせください。
 また,今回リスク分散で岡山空港に消防防災ヘリコプター「きび」の拠点を移すとのことでございますが,具体的な航空産業誘致のために,例えば,今,岡南飛行場,あいている格納庫の有効活用など,これをどのように考えているのか,お尋ねいたします。

(知事)  岡南飛行場についての御質問であります。
 まず,「航空フェア2011」についてでありますが,岡南飛行場の特色を生かしまして,多彩な小型航空機等を身近に感じることのできる催しといたしまして,航空会社や町内会,県などでつくる実行委員会が昨年初めて開催をしたものでありまして,私自身も会場に出向きましたけれども,大変多くの家族連れでにぎわっておりまして,大変私もうれしく思ったところでございます。ふだんはなかなか見る機会がない,いわゆるセスナ機のアクロバット飛行,これを私も拝見させていただきましたけれども,子供さんたちが大きな歓声を上げておられましたし,また,地元住民の方々が手づくりのおもてなしをしておられまして,そして生き生きと活動しておられました。その姿が今でも心に残っておりますが,岡南飛行場として生まれ変わって以来,一番のにぎわいとなったということを,本当にうれしく思った次第であります。
 次に,岡南飛行場の可能性についてでありますが,岡南飛行場は,岡山空港との機能分担のもと,小型機専用の飛行場といたしまして,航空測量や訓練,公用ヘリコプター基地などに幅広く利用されているところであります。また,セスナ機やヘリコプターを身近に感じられる場所でもありまして,未来を担う子供たちが航空産業のみならず広く科学全般への興味を持つきっかけとなりまして,航空機で訪れる外国に思いをめぐらせるなど,好奇心をはぐくむ可能性を持つ施設であると考えております。県といたしましては,引き続き利用の促進に努めますとともに,学校等からの見学の積極的な受け入れ,さらには地元と一体となりましたフェアの開催等によりまして,にぎわいの創出を図るなど,岡南飛行場のなお一層の活性化に努めてまいりたいと存じます。
 次に,格納庫の有効活用についてでありますが,消防防災ヘリコプター「きび」が岡山空港に移転をした場合に,あくこととなります岡南飛行場の格納庫の活用につきましては,現時点では未定でありますが,他の格納庫用地や航空関連施設用地とともに,航空関係事業者を中心に,あらゆる角度から利用可能性を探りながら,立地の促進に努めてまいりたいと存じます。



<平成22年11月定例会>(2010年12月7日)

(佐藤)  関連して,一昨年の6月2日の財政危機宣言に端を発して,現在,財政構造改革プランの2年目が終わろうとしておりますが,まずあと2年少々で当初の目的が必ず達成できる状況にあるのか。また,時代の趨勢で臨機応変に対応すべき課題も多くあると思いますが,不磨の大典のごとく,数値等は一切変わらないものなのか。さらに,業界団体に行っている補助金カットについては,25年度以降は当然もとに戻るものと理解いたしておりますが,あわせて御所見をお聞かせください。
 ところで,先ほど申し上げたように,かような経済状況の中でも,企業や同業種団体は決してだれかのせいにして手をこまねいているわけではありません。むしろ競争と協調の中で新たなビジネスチャンスを求めて積極的に,全く異なるほかの業界や地域貢献活動との関係の中に活路を見出そうとされています,文字どおりピンチこそチャンスであると。しかし,個々に優秀な熱い情熱を持った職員さんがおられるにもかかわらず,毎年のように組織がえを行いながら,結局前例踏襲の硬直した縦割り行政は,こうした動きに対してむしろ組織防衛論にきゅうきゅうとして,新しい動きの窓口一つ決めることができず,応援するどころかむしろ足を引っ張っているようなケースすらあります。本来は,民と民との媒介役としてどれだけ機動的に動けるか,行政に求められている機能は昔とは全く変わってきていますが,結果として行政の不作為が岡山県の活力を奪うことにもなりかねません。民間が業界を超えるべく命がけで戦っているときに,行政が内部の垣根すら越えられず,テーマごとに知事をトップに部長クラスの連絡協議会的な会合を幾つも幾つも行っていては,タイムリーに動けるはずがありません。我々議員も同様ですが,柔軟な発想を持って組織内を縦横無尽に動く人材,組織の育成が強く求められると思いますが,御所見をお聞かせください。

 最後に,急傾斜地等の草刈りについて伺います。
 「県では,河川の流水を阻害する樹木や急傾斜地の防護壁の管理上支障がある樹木などにつきましては,緊急度に応じまして伐採を行っているところでございます。施設の管理上直接的に支障にならないものにつきましては,基本的にアダプト制度の活用などによりまして,地域の方々の御協力を得て実施しているところでございます」というのが,公式答弁でございます。これは,小林議員への答弁でございましたが。概して急傾斜地の草刈りは,主観的に「管理上支障がない」,あるいは「緊急度が低い」ということで切られてしまいます。私もお願いしましたが,これは地域でしてくださいと言われるものでございますから,このたびムカデが発生してアブやハチのすみかとなって,おまけに防護施設から何本も木が生えて落ち葉をまき散らして,ずっと放置され続けている県有地である急傾斜地を仲間と地域の方と一緒になって実際に草刈りをしてみました。死ぬかと思いました。平地の草刈りとは,全く状況が違います。はい,死ぬかと思いました。保険に入っておきましたが,がけをずるずる滑りながらの草刈りは,素人にはなかなかできません。特に高齢者の方には,これはもう絶対に無理です。県有地の急傾斜地の草刈りで県民が死んだら,県は責任をとってくれるんでしょうか。
 私は,県庁職員さんが現場でみずから刈られないのならば,急傾斜地については,県内どこでも,どんな状況でも,適用,対応できる多様なアダプトがあるべきだと確信いたしました。県有地ですから応分の負担を県がして,大きく茂る前に,例えば継続して地域で草刈り等の管理をしていただくほうが,大きく痛んだ場合の補修よりもはるかにお金がかかりません。御希望であれば,いつでも知事と急傾斜地の草刈りを命がけでさせていただければと思います。急傾斜地のアダプト創設について御所見をお聞かせください。
 加えて,高齢化に伴って地元ではできないと,地域の要望があっても河川敷の草刈りはまず断られます。アダプト制度からは,離れてしまうかもしれませんが,例えば障害のある方の就労訓練といった福祉的視点からの施策として,河川敷の草刈りを実施することなどは考えられないでしょうか,御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,財政構造改革プランの達成等についての御質問でありますが,行財政構造改革の2年目となります今年度当初予算までの効果額は,最終目標効果額であります396億円,これに対しまして累計で189億円となっておりまして,おおむね5割程度達成する見込みでありまして,取り組みは順調に進んでいるものと認識いたしております。この間には,数次にわたり経済雇用対策が決定されるなど,社会経済情勢に大きな変化も見られまして,県では選択と集中の観点から,柔軟で機動的な対応に努めてきております。もとよりこのプランは巨額の収支不足を解消するため,官と民,県と市町村の役割分担等の観点から行う事務事業の見直しなどの改革を,24年度までの4年間に集中して行い,そしてその後もこれを維持することによりまして,持続可能な財政構造を確立しようとするものであります。そういう意味におきまして,先ほど御質問いただきました補助金カットが25年度以降もとに戻るのかという御質問に関しましては,これは当然に戻るものではございません。県といたしましては,こうした趣旨を県民の皆様に御理解いただきながら,今後ともプランの枠組みに沿って全庁一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。
 次に,柔軟な組織等でありますが,部局横断的な課題に対する積極的な取り組みを推進するため,今年度より総合政策局を設置いたしますとともに,従来あった19の個別の本部会議を廃止し,政策推進会議や緊急課題ごとのプロジェクトチームにより迅速な方針決定を行うなど,政策の立案,推進機能を強化したところであります。その結果,例えば,新エネルギービジョン(仮称)でありますが,これに関しましては,複数部局にわたりますプロジェクトを短期間で取りまとめて中間報告を行ったところ,早速関心を持つ企業等から照会が寄せられるといったような成果が出てきております。県といたしましては,引き続きこうした機能を一層推進いたしますとともに,これを担う人材の育成にも取り組んでまいりたいと存じます。

 次に,急傾斜地アダプトでありますが,お話のように急傾斜地での草刈りは危険を伴う場合が多く,アダプト事業にはなじまないものと,このように考えておりますが,管理上支障がある場合や民地側に張り出すなど具体的な影響が認められる場合には,現場の状況に応じて伐採等適切に対応することとしているところでありまして,御理解賜りたいと存じます。
 最後に,福祉的視点での実施でありますが,施設の管理上直接的に支障にはならない河川敷の草刈り等につきましては,基本的にアダプト制度の活用などによりまして,地域の方々の協力を得て実施しております。一方,障害のある人に対しましては,各地域の作業所での就労に向けた訓練によりまして,賃金や工賃を得ていくことで,地域において自立した生活を送れるよう支援しているということを踏まえますと,お話いただきました河川敷の草刈りの実施につきましては困難であると考えております。

(出納局長)  入札制度に関しまして,まず変動型最低制限価格制度についてでありますが,最低制限価格は,工事または製造,その他の請負の入札に際し,契約内容に適合した履行を確保するため特に必要がある場合に設定できるものであり,お話の印刷につきまして,本県では製版費や製本費の比重が高いものなど,請負として取り扱う場合でありましても,成果品の品質確認が比較的容易であることから,最低制限価格を設けていないところであります。また,津山市の制度は,極端な低価格競争の抑止に一定の効果があるものと思われますが,そもそも競争見積もりは入札ではなく随意契約の一形態であり,その設定が想定されていない随意契約への最低制限価格の導入につきましては,制度及び実務の面からも慎重な判断を要するものと考えております。
 次に,仕様書の書き方についてでありますが,業務委託は建物管理や機械設備の保守点検,警備業務や調査研究,さらにはシステム開発など多岐にわたるため,統一的な基準を示すことは困難でありますが,例えば,清掃業務では,清掃面積及び周期,作業内容等を具体的に明記するなど,契約目的を達するために必要かつ十分であるとともに,入札参加者にとって業務内容が理解しやすく,積算に当たって過不足のない項目及び内容を明示することが不可欠と考えております。このため,今後とも,事業部局と連携し,入札参加者との共通認識のもとに入札が行われ,ひいては適正価格での発注につながりますよう,可能な限り明確な仕様書の作成に努めてまいりたいと存じます。


(佐藤)  私もいつになく大変に厳しい口調で質問させていただきましたけれども,それだけ今,岡山県の地域経済が痛んできているということでございまして,青少年の皆さんも将来に夢が持てない,そうした状況の中で,しかし我々が頑張っていこうと思うのは,誇りがあって将来の希望があるからでありますけれども,例えば行財政構造改革についても,午前中の住吉議員の答弁に対して,収税率を上げていきましょう,そして行政サービスを減らします,そして歳入確保対策で駐車場代金等の県民の負担をふやします,その状況の中で,しかし,4年の構造改革が終われば明るい未来が待っておるんだと,そういう希望があるからこそ県民の皆様も御協力をいただいている。あるいは県庁職員さんもそうだと思いますけれども。
 先ほどの確認でございますが,業界団体が行っている補助金カットについては,25年度以降は当然にもとに戻るものではないということは,基本的にはもとに戻らない,要は持続していくということで。これは県庁職員さんのことについて私は聞いておりませんから。業界団体の補助金等についてでございますが,これは要するに持続されて24年度の状況で戻らないというふうに理解しとけばいいのかどうか,確認させていただきたいと思います。
 それから,児童会館のことにつきましては,そのようにこれから早期に方針を決定していただくということでございますが,しかし,だれが決定するのかが一番問題でございます。今回も,児童会館,基本的には公の施設の見直しで廃止してもいいという,そういう施設にまでなっていた。それを2年間延長して,そして建物を残していきましょう,あと有効活用していきましょう。これは,県民の皆様の思いでありまして,あくまで県民の皆様の声をしっかり聞いていただかなくっちゃいけない。その中で,児童会館について,今までどおり行政の職員さんと教育委員会だけで今後の方向を決めるんだと。それでどんな方向が決定づけされて,それに何の根拠があるんでしょうか。そうした意味では,早期に決定するにしても,やはりしっかりと民間の意見を聞いていただきたいと思いますが,そのことについてもお伺いしたいと思います。
 そして,最後のアダプト事業についてでございますが,急傾斜地は危ないからアダプト事業を入れないと。それは急傾斜地域は確かに危ないんですけれども,私が言っている本旨は,アダプトを入れてくださいということではなくて,この急傾斜地域を,地域の方が,高齢者の方が,自分でお金を払ってこの急傾斜地域を守らにゃいけんのかという話をしているだけでございます。要は,行政が一円たりとも岡山県有地である急傾斜地についてお金を払わない,そして地域に負担がかかっても,ある意味けがが生じても,それは地元で負担してくれ,県が出ていくのは,木が生えて大変に危険な状態になったときに始めて出ていくんだ,これが県有地を守る県の姿勢なのかどうか。私は,草刈りをどんどんやってくれということを,だだをこねるようにお願いしているわけではありません。それがわずか数万円でもいい。要は,年間,地域のほうにお金がきっちり行って,これで守ってくださいというのが,これが本来の行政の姿ではないかという意味で申し上げました。急傾斜地域のアダプト事業というのは必要であるということは,これは私の思いとして,これは質問ではありません。必ず要るものだということを訴えさせていただきたいと思います。
 最初に申し上げた25年度以降,業界団体の補助金は基本的に戻らないと理解していいのか,児童会館の今後の方針はだれが決めるのか,そのことについてお知らせください。

(知事)  再質問にお答えいたします。
 御案内のとおり,長期的な収支不足の見通しにつきまして,財政構造改革プランをお示しするときに同時にこのことも御説明申し上げておりますが,あの将来の推計というものは,この4年間で行う財政の構造改革,この構造改革のその成果を前提として推移を見ているということでございますので,これをもとに戻しますと,収支不足額ははるかに県財政を直撃いたしまして,県財政は大変なことになります。もとに戻ってしまいます。ただ,そのときの社会経済情勢とか財政状況とかいろんなことを考えて必要なものは当然出てくるということも考えられますので,そういう施策につきましては,当然その時点で総合的にさまざまなことを勘案しながら,改革をしてきたものについて再検討していくということが物によってはあるということは,当然かと思います。原則は4年間の構造改革です,通常の改革ではなくて。これを維持していくという,この一次のみの改革ではなくて,それを前提としてずっと将来継続していくという,こういう趣旨での改革であるということを改めて御理解いただきたいと思います。
 プラネタリウムでございますけれども,もちろん今現在,教育長のほうにお話し,検討していただき,もちろん私たち知事部局と連携して議論を進めているところでありまして,今,議論の最中でございますから,まだ具体的な方向性は申し上げる段階ではございませんけども,その中で,責任持って私自身が,教育委員会の意向を十分踏まえて方向性をお示しさせていただきたいと思っておりまして,その間,民間の皆さんの意見,要望等もたくさんいただいております。こういったことも反映させながらしっかりとした方向性を打ち出していきたいと,このように考えております。



<平成22年9月定例会>(2010年9月14日)

(佐藤)  本日,民主党の代表選挙が行われますが,結果はどうあれ,現下の経済状況の中で,参議院選挙以降,時間を浪費しながら,結局は税金を使ったコップの中の争いに空白の2カ月の政治状況をつくった責任は,私は極めて重いというふうに思います。民間がきょうの生き死にで日々戦っている中,景気回復の足を政治が引っ張っているようにすら見えます。まずは,いかなる結果であれ,国民の皆様の信を問う解散総選挙を行うのが,私は筋だと思います。ともあれ,年末に向けて,さらにとんでもない事態になるのではないかという恐怖感が襲いますが,もはや政治をあてにせず,先憂後楽どころか,おのれの選挙のためにきゅうきゅうとする政治家,議員が侮蔑の対象になっていること自体,だれにとってもこれは不幸な状況だと思います。だからこそ,地方は,多数党として我々自民党地方議員が何としても守り抜いていく,そんな思いを込めて,提言及び質問をさせていただきます。昨今流行の「注視する」,「推移を見守る」といった,事実上何もしないで放置するような,そんな答弁をいただかないことを切にお願いいたします。
 さて,行財政構造改革も2年目に入りましたが,基本的には,全国どの都道府県も歳出カットを中心とした行財政改革を行っておりますけれども,経費削減だけで財政再建が実現できるのか,地域経済の衰退によって税収減が予想される中で,財政の持続可能性はあるのか,超高齢化社会の社会保障関連支出にたえ得るのかという命題を抱えております。一方で,岡山県はお金がないと,金科玉条のように,それをもって結局は,もとから努力もしない言いわけにしたり,一方的に施策や施設をいじることに伴う大損害について,実際に金銭的な被害が生じても,理解と協力を強制的に求めてこられる,そうしたことへの怒りもしばしば耳にいたします。必ずしも,交付税の仕組みで丸々はプラスにはならない,そうしたことは理解しつつも,本来であれば,県民の皆様の所得が上がって,黒字の地場企業が元気に収益を上げて,そこから税収を上げていくことが行政のとるべき本筋であり,民に負担を強いる行革は,あくまで私は緊急事態だというふうに思います。だからこそ,地方経済の活性化のためには,地方自治体みずからがリーダーとなって,戦略的,組織的に攻めの行政を行っていく必要があるわけでございますが,私も昨年11月定例会で,成長戦略会議を創設すべきだと申し上げ,今月下旬に産学官の各分野で活躍されている県内外の有識者で構成する,おかやま発展戦略会議を発足させて,そこから柔軟で斬新な視点からの活発な議論を通じて,岡山の力強い発展に向けた施策の方向等について提言をいただくということには,期待させていただきたいというふうに思います。
 まずは,行革が民に負担を強いているという,そうした御認識があられるか,経費削減だけで財政再建が実現できるのか,地域経済の衰退によって税収減が予想される中で,財政の持続可能性はあるのか,超高齢化社会の社会保障関連支出にたえ得るのかという命題について,知事の御所見をお伺いいたします。また,今回提言される,おかやま発展戦略会議について,知事の思いをお知らせください。
 こうした中,国の新成長戦略に掲げられた総合特区の制度設計のための提案募集が注目されます。記憶をたどれば,平成14年12月議会でお伺いしているんですけれども,小泉構造改革の根幹をなすものの一つとして,当時,鳴り物入りで構造改革特区というものがありました。当時,本県からの提案は,IT特区や水島港国際物流・産業特区など,地域特性や,あるいは企業参入の動向等を踏まえて提案した4件にとどまって,岡山市,倉敷市がそれぞれ1件,おまけに,こうした規制緩和を求める声に対して,必ずしも各省庁の回答はいいものではなかった,興ざめした感がございました。
 知事は,今回の総合特区の制度設計のための提案募集に当たり,早々に本県の有する強みや特性を踏まえた幾つかの提案を掲げられ,関係団体等の調整を図った上で,国に提案されるとのことでございます。一方で,岡山の発展戦略については,こうしたおかやま発展戦略会議を創設して,開かれた場で,外部有識者の意見を反映していこうとされています。そこで,伺いますが,今回の提案は,どこでどのような決定過程を経て,何を根拠に選ばれたのか,非常に私には不透明に思えます。どういった議論が行われたのか,お知らせください。
 ところで,これは構造改革特区の議論の当時のことでございますが,香川経済同友会が国立公園の指定が外れている橋台の島,橋の島の与島あたりに,米国ラスベガスのような娯楽施設が集合したエンターテインメント型カジノを想定し,カジノホテル棟の宿泊客を年間500万人,関連産業も含めた経済波及効果は約1兆円と見込んだ瀬戸内海カジノ構想を提言されました。今回の議論の俎上には,いわゆるこうしたカジノ構想は上がらなかったのか,あわせてお伺いいたします。
 加えて,免税店について伺います。
 いわゆるインバウンド,外国人観光客,とりわけ中国や台湾の富裕層を呼び込むための仕組みとして,岡山に免税店をつくることが大きな武器になると思います。我々はアジアの国々で,ツアーとなれば,いや応なく連れていかれてしまう免税店でございますけれども,例えば,与島にカジノがあって,世界のエンターテインメントが楽しめたり,瀬戸内海を広島までナイトクルージングできたり,そして免税店で買い物をするというのは,これ私は世界標準ではないかと思います。そして,免税店も実はさまざまなタイプがあるんですけれども,免税店設置についてはどのようにお考えでしょうか。
 そして,この瀬戸内海に関連してでございますけれども,私は現在開催されている瀬戸内国際芸術祭2010について,岡山県の対応が全く理解できません。退任された真鍋香川県知事が実行委員会委員長として,海の復権は人間性の回復と次世代につなぐ最後の仕事として頑張られ,御案内のとおり,会期は7月19日から10月31日まででございますが,既に来場者は予想を大きく超えて約30万人,既に3年後の次期開催も報道されております。連日,海外から高松空港,高松港に観光客がおり立っておりますが,岡山サイドは余り岡山県の協力があるように見えません。今回,提案説明で,あっ晴れ!おかやま国文祭に言及されても,現在開会中の世界的な文化の祭典である瀬戸内国際芸術祭に全く言及されないのはどういうことでありましょうか。知事は,観光振興につきましては,秋の本格的な観光シーズン,あっ晴れ!おかやま国文祭の開催に向け,市町村や県観光連盟等と一体となって,本県の見どころなどを積極的に情報発信しているところであり,そして,インバウンドの振興に取り組むとおっしゃっておられますが,少なくとも,中四国州を言い,そして牛窓や笠岡に島嶼部がある岡山県においては,私はこれは希有なチャンスであり,手をこまねいている場合では全くないと思うんですけれども,今後の対応も含めて,瀬戸内国際芸術祭に対する知事の御認識をお知らせください。
 加えて,これは自公連立政権の時代のころのことなんですけれども,自公連立政権の時代に進められていたもの,この4月に総務省は,ネットワーク経由でソフトや情報サービスを利用するクラウドコンピューティングの普及に向け,特区を創設する方向を示しました。シンガポールなどでは,もう既に国策としてあるんですけれども,情報を集中管理する国内最大級のデータセンターを構築しようということで,実は日本では,コンテナ型サーバーが建築基準法や消防法の対象になって,建築運営費がアメリカの2倍に上がると言われ,こうした規制を緩和しようというものでございます。現在,日本のネット経由の通信量の半分近くが海外のデータセンターを使って,実は7,000億円以上の利用額が海外に流出したと推察されております。これで,クラウド特区でコストを下げて構築されたデータセンターができれば,日本の企業や国や地方の官公庁の機密データは,情報漏れのリスクを減らして,国内に,しかも低価格で格納することができます。問題は,税制に絡む問題や著作権法など,これをクリアするということですが,情報先進県を目指し,かつ交通の結節点でもあり,災害等の少なさで言えば,私は岡山県にも十分に芽があるというふうに思います。東京には,総床面積14万平方メートルの世界最大級のデータセンター,アット東京がありますが,国は2011年春にも,北海道か東北に特区を創設して,国内最大級のデータセンターの構築を目指しており,その投資額は最大でも500億円程度だそうであります。データセンターは情報関連投資,人材育成などの広がりも極めて大きく,岡山県の活性化の目玉になり得ると思います。イメージは,特定のエリアというよりも,岡山県全土で,吉備高原都市やリサーチパークの有効活用のイメージに合うと思いますが,岡山情報ハイウェイの次の目玉施策としてデータセンターについて,どのようにお考えでしょうか,県民生活部長にお伺いいたします。
 次に,提案説明の中で,知事は,「地域経済を下支えするため,県内製品の優先調達を初め,公共事業等における前倒し発注,県内業者への優先発注,県内資材の優先使用の徹底に取り組むなどの対策を全力で進めてまいります」とされました。まずは,県内製品の優先調達というのは,これは当然行うべきだと思いますが,まず何をもって県内製品というのか,また,物品調達に当たっては,最低制限価格を設けず,底抜けの入札を行うことが,結果として,いわゆるたたき合いを強要して,製造業あるいはディーラーの誇りを奪っているように私には見えるんですけれども,それで地場産業を守ることになるのか。さらには,民間の適正な価格形成に資して,地域経済の下支えとなるとお考えなのか,あわせて,これは出納局長にお伺いいたします。
 さらに,気になるのは,前倒し発注,県内業者への優先発注は当然として,どんな入札制度をとっても必ず批判というのは出るんですけれども,いわゆる公共事業における入札の最低制限価格について,これも結果として,積算価格により近いものが落札するのならばともかく,かえって積算から割引を強要することになると思いますが,それは,はなから民間にとっては適正価格ではないんじゃないでしょうか。しかも,民が泣いて官製不安定雇用を生むことになっているのではないか。そもそも,積算することの意味,最低制限価格を設定することの意味,その決定の根拠,さらには不安定雇用との関係,一般工事価格に与える影響,加えて,緊急経済・雇用対策でも同様の方法をとる理由について教えていただきたいと思います。
 一方で,知事は,我が党の代表質問に答えられて,歳入確保対策について,「1,県有資産の有効活用等,2,使用料等の適正化,3,県税の収入率の向上及び,4,新たな財源の創設の4つの対策を柱に据えており,全国トップクラスの98.0%以上の収入率を目指し,納税を呼びかけるコールセンターの設置や県民局の徴収体制の強化など,新たな対策を順次導入し,徴税の強化に取り組んでいる」とされました。中でも,この歳入確保対策のうち,1番の県有資産の有効活用と公の施設の見直しとの関係は,私は本来これは矛盾するものではないというふうに思います。
 特に,金銭的に換算できない,県民の皆様の共通の思い出,私はこれも県の財産であるというふうに思いますし,岡山県として,これから生まれ来る子供たちのためにも,後世に引き継いでいくものだと思います。少なくとも,岡山県の子供たちが将来幼いころを思い出したときに,例えば私の小4の子供は,倉敷チボリ公園を失っておりますけれども,財政コスト削減をもって,子供たちの共通の思い出になるような場所を奪い去ることは,私は大人の罪であるというふうに思っております。
 くどいようですが,岡山県立児童会館でありますが,6月定例会で,「今年度末に児童会館としては閉じるという財政構造改革プランの方針に変更はない」,これは明言されておられますが,「閉館後の取り扱いについては,耐震診断の結果を踏まえ,岡山市や民間に呼びかけ,県民からの要望の中で提案のあった新たな行政ニーズへの対応の可能性を探り,隣接する生涯学習センターも含め,全体としてどのような方向性が考えられるか慎重に検討する」,こうした答弁がございましたが,あれから3カ月以上たっております。改めて,岡山県立児童会館の耐震診断の結果と建物の活用策を含めた今後の方向性について,知事にお伺いいたします。
 折しも,現在,岡山県立児童会館プラネタリウムでは,連日,「はやぶさ」の上映でにぎわっております。長い孤独な宇宙での航海の後に,故郷に届けるカプセルを残して大気圏で燃え尽きた小惑星探査機「はやぶさ」,この姿を最新のコンピューターグラフィックスで見せる作品は本当にすばらしく,何よりもこれはプラネタリウムでないと味わえないものでございます。知事も鑑賞券を御購入いただいたというふうに聞いておりますけれども,岡山県立児童会館プラネタリウムで「はやぶさ」をごらんいただいたでしょうか。もし,ごらんになっていれば,御感想をお聞かせください。
 ところで,この9月1日付で,宇宙航空研究開発機構,いわゆるJAXAでございますが,JAXAが小惑星探査機「はやぶさ」の成果を広く国民と共有し,宇宙への理解増進と宇宙活動の普及啓発に資することを目的に,「はやぶさ」カプセル等の展示を公募によって各地で実施することになりました。既に,相模原市立博物館や筑波宇宙センター,丸ノ内オアゾなどで「はやぶさ」のカプセルの一部が展示されてきましたが,今回の展示は,展示が可能な国内の公益団体,法人で公益目的の展示が対象ということでありまして,再来年の3月まででございます。子供たちがもしも「はやぶさ」のカプセルを見ることができたら,ここから本当に宇宙に向けてのみずからの夢を広げていく子供たちが,岡山からも出てくるに違いありません。日ごろから宇宙に関連する活動をしている科学館,博物館,地方公共団体の応募が見込まれており,もちろん,この招致自体は無料ではないんですけれども,安定的な温度のもと,24時間体制の警備確保等々,条件がありますが,「はやぶさ」のカプセル招致は,岡山県としても,ぜひとも手を挙げるべきだと思います。御所見をお聞かせください。
 また,精神障害者社会復帰施設岡山県立内尾センター廃止後も,特定非営利活動法人岡山県精神障害者家族会連合会(NPO岡山けんかれん)に委託され,運営されている基幹型地域生活支援センター「ゆう」では,日中の相談支援や24時間電話相談,ホステル事業が行われていますが,実際に利用するかどうかではなくて,そういう施設が存在するということ自体が,精神障害者当事者や家族の支えになっております。県からは運営費の削減の方向が示されていますが,家族会だからこそできる事業でも運営でもあり,平成23年度末までに,障害者自立支援法に基づくサービス提供事業者へ円滑に移行できるようにという方向も示されておりますが,障害者自立支援法の事業では,膨大な賃料も発生し,新規委託事業等で何とか財源を捻出できないのか,その知恵を出していかなくてはいけない状況でございます。現在の「ゆう」の協議状況について,改めてお伺いいたします。
 次に,歳入確保対策のうち,2,使用料等の適正化について,総合グラウンド内は所管の違う施設があり,駐車場有料化に当たっては,関係当局も大変な努力をされています。しかしながら,例えば,Kanスタのナイター使用料や指導者の謝礼を含めた駐車代等を,トップアスリートを育てる親が払っていかなくてはいけない,これが家族にとって大変大きな荷になれば,それだけで子供たちの可能性を閉ざしていくことになります。当座のコスト削減や歳入確保の観点からだけ論じては,子供たちの未来の夢や希望を断ってしまうことになる。特に,駐車場の減免やスポーツの指導者,トレーナーに係る必要経費について,これはスポーツ振興の観点から,一定の基準を設けて支援ができないでしょうか,御所見をお聞かせください。
 次に,歳入確保対策のうち,3の県税の収入率の向上について,納税はもちろん憲法上の義務でありますし,徴税の強化に取り組むのも当然だと思います。ただ,税金滞納に伴う,いわゆる差し押さえの話というのも大変よく伺うんですけれども,死に物狂いで働いて,納めたくても納められない状況で,しかも逃げも隠れもしないのに,尊厳を傷つけられたような印象を持たれる,そんな方も多くおられます。それどころか,そうして納めた血税を債権放棄だと何十億円も無駄にして,しかも,だれも責任をとらんじゃないか,こんな人をばかにした話があるのかという,いわゆる逆ぎれの怒りの声も大変に多く伺います。恐らく,担当職員の方にとっても,大変に厳しい業務だと思いますが,いわゆる滞納者への差し押さえの状況と,そこに至る原因,また滞納者と,さらに徴税業務に当たる職員の方々への配慮について,総務部長にお伺いします。
 この項最後に,歳入確保対策のうち,4,新たな財源の創設について,他県の先行事例を検証しつつ,さまざまな観点から,新たな財源の創設について検討を進めるとされましたが,新たな財源について,具体的にはどのような財源をイメージされているのか,お知らせください。

(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 まず,認識等についてでありますが,県では,県民の皆様方にも御負担をいただきながら行財政構造改革に取り組む一方,地域経済対策につきましても,昨年度の補正予算,あるいは今年度当初予算における800億円規模の経済・雇用対策予算などによりまして積極的に取り組んできたところでありまして,さらに,今後は,地域経済の発展に向けた提言をいただきまして,これを県政に生かすこととしているところであります。また,国には,一昨年以来の世界的な景気後退,あるいは,急激な円高に対する全国的な経済対策,及び景気変動に伴う税収不足への対応,少子・高齢化などの社会情勢の変化に対する的確な制度改正など,積極的な取り組みを期待しているところであります。県といたしましては,今後とも,行財政構造改革に取り組むとともに,国に対しましては,効果的な経済対策や,地方税財政制度の充実を求め,地域経済の発展と持続可能な財政構造の確立を目指してまいりたいと,このように考えております。
 次に,おかやま発展戦略会議についてであります。
 経済のグローバル化や少子・高齢化の進展等によりまして,地域間競争が激化する中で,本県が力強く発展し続けていくための中長期的な戦略を検討するということを目的に,今月22日に発足させることとしております。会議は,アジア経済の専門家や,本県の実情に詳しい方など,県内外の有識者8名の委員で構成することとしておりまして,目覚ましく拡大しているアジア経済の活力を呼び込む方策,中四国の交通結節点といたしましての優位性や,ものづくり先進県としての産業集積などのすぐれた地域資源を生かした地域振興策等につきまして,柔軟な発想に基づき,活発に意見交換を行い,本県の発展につながる提言をいただきたいと考えております。
 次に,総合特区等に関しまして,まず,提案の決定過程等についてでありますが,国の募集期間が約2カ月間と限られていたことから,まずは庁内でアイデア出しを行いまして,国の要件であります「地域独自の取組があるかどうか」,「実施主体,運営主体が見込まれるかどうか」等の観点から,水島コンビナートの国際競争力強化などの3つの特区案を取りまとめたところであります。現在,3つの特区案につきまして,具体的な規制緩和や支援措置等に関しまして,関係団体や企業,市町村等と調整を進めておりまして,締め切り期限となっております9月21日には,国にアイデア提案をしてまいりたいと存じます。
 また,いわゆるカジノ構想につきましては,瀬戸内海を舞台にした船内カジノのアイデアが検討の過程で出されたところでありますが,実現可能性が見込めないことなどから,案としての取りまとめは見送ったものでございます。
 免税店設置についてでありますが,県内には,岡山空港内免税店のほかに,消費税を免税する百貨店や家電量販店,貴金属店等がありまして,その数も次第に増加しているところであります。ショッピングは外国人観光客の訪日動機の上位にランクされることから,今後とも,外国人観光客受入協議会とも連携しながら,免税店舗のさらなる拡大に取り組み,積極的な外国人観光客の誘致を推進してまいりたいと存じます。
 瀬戸内国際芸術祭についてでありますが,これまでも,香川県等と連携いたしまして,広域的な観光ルート等を紹介する多言語パンフレットの作成のほか,外国メディア等の招請ツアーを実施したところであります。また,宇野港等に設置しております観光案内所や岡山側の交通アクセスの向上,こういった取り組みにつきましては,今後も継続することといたしております。芸術祭開幕以来,犬島への来訪者や県南の主要ホテルの宿泊者数は,前年同期を大きく上回るなど,芸術祭は本県観光に大きく寄与するイベントであると,このように考えておりまして,今後は,香川県等との連携をさらに強化し,本県への誘客につながるよう,瀬戸内海や,あるいは県内観光地の魅力,これを国内外に発信してまいりたいと存じます。
 次に,公共事業の最低制限価格についてでありますが,積算は,適正な予定価格を把握するため,全国的な取引実態の調査に基づく単価等を用いまして,工事に必要な経費を積み上げて算出するものであります。最低制限価格は,ダンピング防止と工事の品質確保を図るため,直近の工事コスト調査結果等を踏まえまして,工事原価を下回らないよう設定しておりまして,雇用の不安定化につながることはないものと,このように考えておりますが,積算や最低制限価格の設定が民間の工事価格に与える影響につきましては,その実態把握には限界があると考えております。緊急経済・雇用対策につきましても,個別工事のコスト構造が変わらないということから同様に,積算と最低制限価格の設定を行っているところであります。
 次に,県立児童会館であります。
 まず,耐震診断の結果等についてでありますが,耐震診断の診断結果は,児童会館は,補強工事を行えば耐震基準に適合するとのことでありました。今年度末に児童会館としては閉じるという,財政構造改革プランの方針に変更はありませんが,お話の県有財産の有効活用という観点からは,岡山市への呼びかけや,新しいニーズに対応した活用が考えられると存じます。その場合の意義は何なのか,耐震補強,その他の経費はどうなのか,隣接する生涯学習センターとの関連はどうなのかなど,さまざまな検討課題を勘案しながら,引き続き,慎重に検討してまいりたいと存じます。
 映画「はやぶさ」についてでありますが,この上映会を民間の有志の方々が招致されたと聞きまして,鑑賞券を購入させていただきましたが,いまだ,その時間がとれないため,鑑賞はできていないところでございます。
 「はやぶさ」カプセルの招致でありますが,カプセルの展示は,多くの人に感動を与え,子供たちが宇宙や科学技術に関心を持つ契機となることから,大変これは有意義であると考えております。県といたしましては,県内の科学展示施設の意向を確認いたしますとともに,開催可能な場所等の調査を行い,応募の可否等につきまして,関係者とともに検討してまいりたいと存じます。
 次に,基幹型地域生活支援センター「ゆう」についてでありますが,23年度末までに,障害者自立支援法に基づくサービス提供事業者に移行することを目指しております。現在,家族会等の意見も聞きつつ,入院患者の地域移行を促進する拠点的な施設としての役割も含め,必要なサービスの内容や人員,設備等の具体的な事項について検討しているところでありまして,お話の移行後の収支見通し等も含めまして,今後さらに検討を進めてまいりたいと存じます。
 次に,未来のトップアスリートを育てる支援についてでありますが,県ではこれまで,競技レベルや発育発達段階に応じた最適な指導を行うジュニア選手・育成強化事業,スポーツ少年団等へトップ選手や指導者などを派遣する晴れの国トップアスリート派遣事業などを実施してきております。さらに,今年度からは,子供たちの運動やスポーツを実践する能力や資質等を高めるとともに,多角的な支援体制を充実するため,つくろう・のばそう・育てよう!スポーツプロジェクトに取り組んでいるところでありますが,これらの事業においては,指導者等にかかわる謝礼や交通費等を支給しておりまして,今後とも,このような事業を通じて,ジュニア層の競技力の向上に努めてまいりたいと存じます。また,総合グラウンドでは,長時間の駐車が想定される大会関係者につきましては,普通車1台当たり1日200円と低廉な料金設定をし,負担の軽減を図っているところであります。
 最後に,新たな財源についてでありますが,これまで森づくり県民税及び産業廃棄物処理税にかかわる充当事業の拡大や,銀行のATMを活用した数字選択式宝くじの販売に取り組んできたところであります。今後とも,県税の収入率の向上を初めとした他の取り組みの効果を見ながら,他県における事例も検証しつつ,あらゆる観点から検討してまいりたいと存じます。

(総務部長)  歳入確保に関して,差し押さえの状況等についてでありますが,行財政構造改革大綱2008を実現するため,昨年度,滞納整理推進機構を設立するなど,税収確保に積極的に取り組んだ結果,21年度の差し押さえは6,626件と,20年度に比べ,約2.8倍に増加しておるところでございます。また,この差し押さえは,督促状発付後もなお納税催告に応じなかったり,あるいは分納の約束を守らない,こういった者などに対しまして,この差し押さえを行っているところでございます。
 次に,滞納者や税務職員に関してのお尋ねでありますが,税金は納期限内に納付いただくということが原則でございますけれども,真にやむを得ない事情で納税できない滞納者につきましては,分納を認めるなど,徴収の緩和措置を適切に講じておるところでございます。なお,職員に対しましては,研修を強化し,税務職員としての知識や誇りを持たせるとともに,徴収体制を整備するなど,組織的な対応を図っておるところでございます。

(県民生活部長)  総合特区等についてのうち,データセンターについてでありますが,ネットワークを経由して,ソフトや情報サービスを利用するクラウドコンピューティングの普及等により,データセンターへの需要が高まっており,その投資等を通じた地元経済への波及効果が期待されているところであります。このため,県では,県内市町村と連携して,クラウド利用による業務の効率化に関する検討を開始したところであり,その議論の進捗や今後,国が打ち出す支援策の動向等を踏まえながら,県内のクラウド利用の拡大やデータセンターの構築等について,研究を進めてまいりたいと存じます。

(出納局長)  地域経済の下支えのうち,県内製品の調達についてでありますが,お話の最低制限価格の設定は,地方自治法の規定により,工事または製造その他の請負に係る入札に限られており,物品調達に関しましては,必要な効用を満たす物品をより安価に購入することを基本に実施しているところであります。また,何をもって県内製品と言うかについて,入札参加資格要件におきましては,県税納付や県民雇用の観点から,県内に本店,支店,営業所がある事業者をひとしく県内事業者とし,それら事業者からの製品調達を原則としておりますが,さらに進んで,素材使用や製造過程等で,県内経済に付加価値を生み出すことも重要なことと考えております。このため,県産材を活用した製品や電気自動車など,特定の政策に基づく調達はもとより,今後,それ以外の物品につきましても,案件に応じて可能な限り,事業部局の意向を踏まえるとともに,公平性や競争性も確保した上で,地域経済の下支えに資するよう,効果的な製品調達に努めてまいりたいと存じます。



<平成22年2月定例会>(2010年3月2日)

(佐藤)  まずもって,財政危機宣言下で,来年度の「明日の暮らし・未来の発展戦略予算」編成に当たり,大変な御労苦があったことに,心から敬意を表したいと思います。新政権になり,地方交付税は約1兆円増額され,本県においても臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税は,約14%増となりました。しかし,そのうち地方交付税で返済される臨時財政対策債は,突き詰めれば,やっぱり国民の借金であり,臨時財政対策債を除く県債残高が減少しても,全体の県債残高は一向に減らないことに,国民としては非常に残念に思います。しかも,歳出削減で行革推進債を発行せずに予算編成を行われ,収支不足を2009年度の約86億円から7億円に抑えられたことは高く評価できますけれども,職員の給与カット前の収支不足は124億円であり,特定目的基金から15億円,企業会計から40億円の借り入れという臨時的な対策に,やっぱり依存せざるを得ない状況は続いております。特に,介護や生活保護などの扶助費は前年比7%増で,今後もやっぱり国の財政運営,経済状況を見た補正予算に依存して,独自の経済対策が打てない状況です。まずは,臨時財政対策債の一刻も早い解消を,まずは国に強く主張していかなければなりません。ところで,知事は,今後も増大を続ける社会保障関係経費などの財政需要に対応するための安定的な財源として,地方消費税の引き上げの必要性も積極的に訴えてまいりたいとおっしゃられますが,これはイメージとして,端的に地方から消費税そのものの引き上げを,具体的に何%程度要望されたいということでございましょうか。
 また,個人的には,消費税と同様に間接税,流通税に分類される酒税については,超安定財源とは言えないかもしれませんけれども,地方によってはメリットも大きく,財源の規模からしても,むしろ私は地方税になじむのではないか,そのように思いますが,酒税を地方に移譲するような国からの税源移譲の話はできないのか,お尋ねいたします。
 ところで,こうした行財政構造改革を進める中で,むしろ我々が望んでいるのは,行政の中にある非効率的な部分,縦割りや特別会計の見直しであって,例えば事業を満遍なく削減することで,一応の数値目標の達成ができたとしても,それは決して行政の効率化とはイコールではないんじゃないかと私は考えますが,いかようにお考えでしょうか。
 例えば,建設業の農業参入や6次産業化や,農商工業連携を言うときに,行政の土木,農林水産,産業労働のくくりには余り意味がありませんし,いつになったら複数年度による予算の効率化が図れるのか,ここで筆頭局になる総合政策局に,そうした部局の壁を突破する役割が望めるのでしょうか。具体的に,事業の予算が動かせるのでしょうか,お知らせください。
 特に,財政当局から削減が要望されたときに,例えばでございますが,各課で削減対象が挙げられる中で,我が課のことでなければ,我が部のことでなければ何も感じないようでは困ります。要は,常に顧客満足度が高まることを求めて,行政という名のサービス業に従事しているんだ,そういう意識があるかどうか,そのマインドの問題だと思います。削減,削減の中で,危ない橋はたたきもしないし,絶対に渡らない,そういう打って出るマインドが今落ちているんじゃないか,そのように感じております。金がないんなら知恵を出せ,知恵がないんなら汗をかけというのが普通でございますが,ともかく,まずは削減しますでは,余りにも元気が出ないのではないでしょうか。知事はこうした元気のなさというのをどのようにお感じでしょうか。
 また,公の施設の見直しで,私こだわっておるんですけども,岡山県立児童会館の廃止を決められていますが,伊島の同じ敷地内で生涯学習センター,烏城高校と並ぶ三学ぱるの一翼を失うことを考えれば,これはひとり子育て支援の範疇の問題ではなくて,なぜ生涯学習の中で,社会教育の中で,教育の問題として考えるという努力をなさらないのか,なぜ子供が科学に対する興味と関心を高め,多様な才能をはぐくむ場を奪われるのか,その課では仮に不要と感じられても,ほかの部では有効に使えるかもしれない,しかし,手を出さない。各担当課だけではなく,県教育委員会も最後までの努力,食らいついていく気迫を見せていただきたいんですけれども,それを惜しんでいるようにも感じられます。これはまさにとばっちりかもしれませんが,教育長の御所見をお聞かせください。
 加えて,今まで幾つかの施設が廃止になりましたが,施設の中にはかなり高価なものもあった,そうした施設にあった備品等はどうされましたでしょうか。すべてが税金で成り立っていたものですが,最後の最後まで惜しんで,県民のものとして大切に大切にその備品等を処分されたでしょうか。あるいは,処分されますか,総務部長にお伺いいたします。
 ところで,知事のおっしゃられるように,常に時代を見きわめる確かな目で,世の中の動きを俯瞰するよう心がけられたら,提案説明があのような構成になるんでしょうか。私は非常に読みにくいんですけれども。新おかやま夢づくりプランが今まで総花的だったので,選択と集中をして,「教育と人づくりの岡山の創造」,「安全・安心の岡山の創造」,「産業と交流の岡山の創造」と,「中四国州推進プロジェクト」という基本戦略に絞ったわけです。そして次に,この基本戦略に基づく施策に加えて,分野を横断する重点施策を掲げた。しかし,その基本戦略自体が分野横断しているので,それを横断したら,結局戻ってるだけなんじゃないか。その重点施策で,「多様な主体との協働による活力ある地域づくり」,「中長期の発展も見据えた経済・雇用対策の推進」,「岡山からの情報発信と拠点性の向上」で広げてみた。おまけに,歳出予算の説明になると,今回も提案説明,各部局の主な事業で説明する。これが非常に複雑な提案説明の構成でございます。そして,我々はもちろん,この部局ごとに委員会で審議しておるわけでございますが,各部の所管を決めておりながら,その都度その都度,頭を使って,こういう部の事業を夢づくりプランのテーマごとに並びかえてみる,そういうこと自体が,失礼ながら本当に美しい言葉遊びの時間の無駄じゃないかなと,そのように私は思うんですけれども,このことがかえって責任の所在をあいまいにしてしまうんじゃないか,いっそのこと夢づくりプランに沿って部局を再編成したほうが,まだわかりやすいように思うのですが,知事の御所見をお聞かせください。
 岡山県行財政構造改革大綱2008に沿って,分野別具体的取り組みとして歳入確保が掲げられ,今議会では,県有施設等の使用料の適正化,要は値上げが提案されています。そもそも平成19年から歳入確保連絡会議を設置して,県有施設の売却や有効活用,新たな広告媒体の導入等,さらなる歳入確保について,全庁的に検討してきているわけですが,今後の取り組み方針として,県有施設へのネーミングライツの導入,県有財産の有効活用,県有施設の利用料の適正化等,県民の皆様に負担をかけないものから優先的に進めているのならば,まずは県民の皆様に新たな負担を課するよりは,県有地の売却が最優先になると私は思います。来年度は東山公社の一部や旧新見保健所など,遊休土地の売却を行うということですが,2008年,2009年もそれぞれ10億円を見込んでいたにもかかわらず,実際には合計で約12億9,000万円という現状であり,ここはまず知事公舎の売却を検討すべきだと思います。昨年度の議会答弁によれば,公邸としての機能を有するということですが,この12年,知事は具体的にどのような公邸としての活用を行ってこられたのでしょうか。それはどうしても知事公舎でないと行えない公務だったのでしょうか。また,危機管理対応を初めとする公務に高い利便性があるとのことですが,築56年です。築56年の老朽化した建物自体が危ないんじゃないでしょうか。現在の知事公舎を使い続けるメリットは少なく,私は売却すべきだと考えますが,いかがでしょうか。
 そして,端的にお伺いします。これは私,本当は聞きたくないんですけれども,書いちゃったんで聞きますけれども,いわゆる公用部分を除いた住宅部分は約40坪でございますが,その家賃は毎月お幾らでしょうか。さらに,現在,維持管理にかかっている費用,売却した場合の知事公舎の土地の評価額についてもお知らせください。
 そして,県の出先機関や公の施設などにおいて,自動販売機や売店,食堂の設置,運営,これからは駐車場の有料化などで,いわゆる歳入確保対策に伴って,さまざまな方にさまざまな影響が出ております。その状況について,知事に報告が入っているのか,あえてお伺いさせていただきます。
 加えて,学校現場において,例えば県立高校でも,県庁と全く同じような考え方で,駐車場を有料化し,生徒,職員の福利厚生のために設置され,時にはPTAや部活の財源にもなっている購買部や,あるいは自動販売機についても,県の歳入確保対策を実施していくおつもりなのか,教育長にお伺いいたします。

(知事)  まず,行財政についての幾つかのお尋ねをいただきました。
 消費税の引き上げについてでありますが,先般,政府の税制調査会におきまして,中長期的な税制の抜本改革に向けた議論がスタートしたところでありまして,そこでは具体の税率も含め,消費税の取り扱いが大きな論点になるものと承知いたしております。このため,現時点において,具体の税率につきまして,私のほうから申し上げるべき状況にはないと,このように考えておりますが,国における今後の論議に当たっては,現政権が掲げる地域主権の確立を見据えまして,地方消費税のあり方につきましても十分に検討されますように,積極的に地方から訴えてまいりたいと存じます。
 酒税の地方移譲についてでありますが,地方公共団体の税源は,国と地方の事務配分,地域経済における産業や所得の集積度合いなどを考慮いたしまして定められているところであります。酒税につきましては,本県では相当額の税収が生じているものの,全国的に見ますと,工場があるかどうかなど,税源の偏在が大きいといったことなどから,国税としてこれを位置づけつつ,その一定の割合が地方交付税といたしまして,地方公共団体の財源に組み入れられているものと,このように承知しているところであります。
 行政の効率化についてでありますが,行革大綱2008におきましては,収支不足の解消を目指すことにとどまらず,官と民,県と市町村との役割分担などの観点から,事務事業のあり方を見直しますとともに,厳しい改革に取り組む中にありましても,真に必要な分野につきましては,これを推進するなど,選択と集中をより一層加速させ,めり張りのある改革を進めていくこととしておりまして,今後とも簡素で効率的な行政の実現に向けまして,着実に改革に取り組んでまいりたいと存じます。
 総合政策局の役割でありますが,総合政策局におきましては,県政の諸課題に関する横断的な調整や,重要政策の方向性に関する検討などを担うことといたしております。議員お話のような部局の枠組みを超える政策課題につきましても,総合政策局において,総合調整を図り,これを政策重点指針や予算編成方針に反映させるということで,より効果的な実施が期待できるものと,このように考えております。
 職員のマインドについてでありますが,県政への期待に的確にこたえていくためには,職員がチャレンジ精神,コスト感覚,スピード感覚,さらにはサービス感覚を持ち,高いモチベーションを保ちつつ,積極果敢に仕事に取り組んでいくということが重要であると,このように考えておりまして,厳しい財政状況のもとにありましても,県民の声に丁寧に耳を傾けまして,知恵を出しながら,問題解決に向けまして最大限努力するように,私は職員にたびたび指示してきたところであります。こういった観点から,例えば,本年度の職員表彰におきましても,現場に出向きまして,地元の方々と人間関係を築き,地域の活性化に成果を上げた職員の取り組み,これを表彰するなどしたところでありまして,今後ともこうした姿勢で,県民視点の県政の推進に取り組んでまいりたいと存じます。
 夢づくりプランに沿った部局再編についてでありますが,部局の編成に当たっては,県民ニーズに応じました行政分野ごとに部局を設け,その役割と責任を明確にいたしますとともに,職員の専門性や能力を高めていくということが基本であると考えております。その上で,複雑化する行政課題に的確に対応できるよう,部局横断的な総合調整を担う部門を強化する必要があると,このように考えまして,今回,本庁組織再編を行うこととしたものであります。夢づくりプランでは,御承知のとおり,3つの基本戦略に即して,具体的な30の戦略プログラムを掲げ,それぞれについて主管部局を定めて推進することとしておりまして,新年度からは新たな本庁組織体制のもと,事業内容やその評価を一層わかりやすくお示ししながら,県民の視点に立った事業実施を進めてまいりたいと,このように考えております。
 次に,知事公舎に関しまして,売却等についてでありますが,知事公舎では,夜間,早朝や休日における災害,新型インフルエンザの発生等の緊急時におきまして,担当部長等からの報告を受け,速やかに指示を出すなどの危機管理対応を中心として行ってきたところであります。知事公舎につきましては,公邸としてふさわしい機能やスペース,県庁へのアクセスなど,危機対応時における高い利便性,セキュリティ上必要な設備とか周辺環境など,多岐にわたる要件を満たす必要があると,このように考えておりまして,こうした観点から,老朽化はいたしておりますものの,当面は現公舎を使い続けたいと考えておるところでございますが,そのあり方につきましては,引き続き総合的に検討を進めてまいりたいと存じます。
 家賃等でありますが,知事公舎の使用料は,他の職員公舎と同様に,公舎使用規則によって算出されておりまして,本年度におきましては,月額約3万8,000円となっているところであります。また,公用部分の維持管理費用につきましては,管理業務の委託料等で約480万円となっていると,こういうことでございます。なお,土地を売却する場合の評価額につきましては,実際に売却をする際に,不動産鑑定士に依頼いたしまして時価評価をするものということでございまして,現時点におきましては評価を行っていないということでありまして,御理解いただきたいと思います。
 次に,対策の影響についてでありますが,歳入確保に関する取り組みにつきましては,これまでに関係する事業者や個人の施設利用者の方などから,さまざまな御意見をいただいておりまして,私自身もお聞きしたことはございますが,そのほかにも,例えばマルチメディア目安箱を通じて,駐車場有料化に関する御意見をいただくということもございまして,その際には私も目を通しまして,基本的な考え方などをお答え申し上げております。今後とも,県民の皆様の御意見に謙虚に耳を傾けますとともに,一層の御理解が得られますように,丁寧な説明,このことに努めてまいりたいと存じます。

(総務部長)  公の施設の見直しに関しまして,廃止施設の備品等についてでありますが,展示物や備品等の県有物品につきましては,その効率的な運用を図る観点から,老朽化等により使用できないものを除きまして,県立高校など他の県施設に移管し,学校教材等として再利用するとともに,必要に応じまして,地元市町村等に譲渡し,活用いただいているところであります。今後とも,こうした備品等の処分に当たりましては,これまで同様,有効な活用を図ってまいりたい,このように考えております。

(教育長)  まず,公の施設の見直しにかかわる県教育委員会の努力についてでありますが,児童会館の今後のあり方については,全庁的な議論等を踏まえ,財政構造改革プラン及び行財政構造改革大綱2008の中で示されたものでありまして,県教育委員会としましても,それを踏まえて対応すべきものと考えております。建物の存続につきましては,公の施設としての役割をおおむね終えたことに加え,施設・設備の老朽化等の課題もありまして,現時点では困難な状況だと承知しております。県教育委員会としましては,建物の存廃にかかわらず,必要な生涯学習施策が行えるよう,全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に,歳入確保に関する学校現場の考え方についてでありますが,このたびの歳入確保対策は,行財政構造改革大綱2008等に基づき,県有財産の有効活用,県有施設の使用料の適正化等の観点から,全庁的な取り組みとして進めているものでありまして,県立学校におきましても取り組む必要があると考えております。現在,職員駐車場の有料化や自動販売機設置への納付金制度の導入について検討しているところでありますが,実施に当たりましては,お話のような学校独自の課題もありまして,生徒や職員の利便性等にもできるだけ配慮するとともに,学校現場に混乱が生じないよう,現場の意見を十分聞きながら進めてまいりたいと考えております。



<平成21年11月定例会>(2009年12月8日)

(佐藤)  自民党の夏の大敗北を経て,民主党を中心にした新政権が動き始めて3カ月,事業仕分け等の新たな取り組みについては評価できる部分があるものの,マニフェスト予算,特に子ども手当,公立高校無償化,農家戸別所得補償制度,高速道路無料化等の圧縮の動きに加 えて,沖縄米軍基地移転問題の混乱など,不安な要素が顕在化してまいりました。さらに,直轄国道等には凍結の動きがあり,地方にも大きな影響が及びそうであります。一方で,昨年以上の経済危機の中,鳩山不況と言われる事態は,何としても避けなくてはいけません。ここは待ったなしで,地方と一体となった早急な経済対策を強力に進めていただかないといけません。まずは,こうした政権交代で地方自治体のトップとして従来と比べて素直に,よかったなあ,あるいはこれは期待できるなあという部分があったらお知らせください。
 以下,具体的に政権交代が地方に及ぼす影響への対策についてお伺いいたします。
 11月上旬に,地方分権改革推進委員会の第4次勧告で,分権改革論議は一つの節目を迎えました。地方交付税の割合を引き上げることを求めながら,新政権への配慮からか,地方消費税の拡充や6対4から5対5にする,国と地方の税源配分については,先送りされました。そもそもこの委員会自体,小泉改革の痛みを解消するために安倍政権下で発足されたものでございますけれども,国から地方への権限移譲,国の出先機関の統合,義務づけの見直しなどが提言されましたが,いずれも今の段階では勧告の受理にとどまっており,推進計画を策定し,地方分権一括法の法案の策定は,まさに新政権にゆだねられたわけでございます。11月中旬に,地域主権戦略会議の設置が閣議決定され,新政権の政権公約である国と地方の協議の場は,来年の通常国会に設置法案が提出され,総務大臣からは中長期的な地方行財政の課題を議論する新たな組織も示唆されております。三位一体改革の結果,移譲された財源よりも補助金と交付税が大きく削られた経験から,一般には地方分権化イコール財政悪化じゃないかと思われ,地方分権推進を地方から叫ぶ勢いが少しなくなっているようにも感じられますが,だからこそ国と地方の税財政関係の抜本的改革,もっと言えば,地方自治体を地方政府に高めるまでの自治財政権の確立に向けて今まで以上に国に強く訴えていくべきだと思います。まずもって,地方分権改革推進委員会の4次にわたる勧告と今後の政府の地方分権推進の取り組みへの感想と期待についてお知らせください。
 ところで,地方分権改革推進委員会の第2次勧告では,地方整備局など6つの機関を統廃合するなどにとどまりましたけれども,新政権では,総務大臣が国の出先機関の原則廃止の方向を打ち出しております。約32万人の国家公務員中6割強が政府省庁の地方の出先機関で働いておられますけれども,特に道路や河川整備など,公共事業を担う地方整備局や地域産業を支援する経済産業局などは,都道府県と重複した仕事も多く,分権委の勧告に沿っただけでも約2万3,000人の職員が自治体に移ることになります。しかし,財源の確保を含めて課題が非常に多いわけですが,出先機関の原則廃止,さらには職員引き受けについてどのようにお考えでしょうか。
 加えて,地方分権を推進するためには,財源をふやせ,仕事をふやすなということにはならないと思いますし,まさに地方の覚悟が試されていると思います。特に,一つの都道府県内で完結する一級河川の管理を原則都道府県に移管するとの勧告もございました。岡山県では,旭川が源流から海まで県内で完結しているところでございますが,地方分権の趣旨を踏まえると,高梁川や吉井川についても,場合によっちゃあ隣県と連携して管理すべきではないかと思います。
 そこで,お尋ねしますが,旭川に限らず吉井川,高梁川についても,維持管理の財源があれば,河川の管理をすべて,あるいは隣県と連携して引き受けることにやぶさかではないでしょうか,お考えをお知らせください。
 ところで,8月中旬,岡山南部農業水利事業,いわゆる足守川パイプラインの見直しが中四国農政局長から知事に伝えられました。歴史的な背景もあって,興除地域への安定的かつきれいな水の供給のための方策を国から早急に示していただくことを強く要望するところでありますが,わざわざこうして地方に出向いている国の出先機関のトップとの連携は,極めて重要だと思います。もちろん地方において政権与党を通じないと連携ができないようでは,県民の利益になりません。今後もより密に出先機関のトップとは連携をとっていくべきだと思いますが,お考えをお知らせください。
 次に,市町村合併について伺います。
 前政権のもと,6月に,政府の地方制度調査会は,平成の大合併を来年3月で一区切りする答申を出しました。合併特例債という名の強引な誘導策,逆に地方交付税削減で危機意識をあおるあめとむちで合併を余儀なくされた地域の衰退を招いた,そんな思いや地方分権の受け皿づくりという大義名分があったにもかかわらず,市町村の自立支援策が結局広域連携の推進にとどまったということで,市町村合併には確かに光と陰の部分があると思います。特に,人口の多い市に吸収合併された町村の住民の方々には,身近な役場がよそよそしい市役所になって公共投資が何やら中心部に集中して地域が衰退するんじゃないかという不満が強く,まさに中山間地域支援や過疎地域対策とかかわりますけれども,改めて人口減少が進む中,小規模で財政基盤の弱い小さな町や村の自立をいかに支えていくか,そしてそうした地方の多様な担い手をいかに育てていくかは,極めて大きな課題だと思います。特に,新政権も目標的な数字を削除はされていますけれども,過去の議論からは基本的には大合併を念頭に置かれているものと思われます。岡山県では,平成13年3月の岡山県市町村合併推進要綱における市町村の組み合わせをもとに,6年をかけて78市町村から27市町村となったわけですが,合併支援プランもつくり,主導的な役割を果たした県として,再び合併議論が起こるかどうか,これは別にしまして,まずは合併の功罪について一度総括が必要なのではないでしょうか,御見解をお知らせください。
 ところで,市町村合併が進んだからこそ,改めて県の果たすべき役割として,広域調整機能と補完機能が重要になります。先般,県が2007年に策定した新ごみ処理広域化計画の枠組みが崩れたわけでございますが,これはさまざまな事情を抱えての苦渋の判断であられたと思います。各自治体の財政状況と負担のバランスの検討が必要な中,そのほかの広域計画についても影響が避けられないんじゃないかと言われておりますけれども,今後も県はこうした場合,助言するだけなのでしょうか。まさにその調整力が問われています。特に,県境を越えて病院の広域利用などを目指す定住自立圏も生まれておりますから,近県との調整も必要になってまいります。住民の視点に立って適切な役割分担のもと,新たな視点で対等協力の関係を築きながら,住民に最も身近な基礎自治体としての市町村の自立力の向上を図る。その一方で,改めて助言以上に県の果たすべき広域調整機能と補完機能の意義についてお伺いいたします。
 次に,要望,提言についてお伺いいたします。
 公共事業費の大幅削減の方針を受け,国土交通省が来年度整備を凍結する候補に挙げた全国217区間の説明があったとのことでございますが,岡山県では,これは私はいずれも理解しかねますけれども,国道2号玉島笠岡道路のU期分,笠岡バイパス,180号総社一宮バイパス,岡山市絡みでも53号北バイパスに,いわゆる外環状道路の一部となる180号岡山環状南道路が含まれております。直轄事業負担金を見直していただくのはありがたいですが,直轄事業そのものがなくなるということを県民は望んでおりません。私は,そもそもこういう本来凍結すべきでない事業が凍結されても,地元要望をいわゆる新ルールに沿って上げていくと,復活できるんでしょうか。それで,復活するなら,本当にこれはすばらしい仕組みだなあというふうに思いますが,御所見をお聞かせください。
 加えて,大規模な県営事業の多くが国の補助金が入る仕組みになっております。特に,農業かんがい排水事業や高潮対策など,地域においては生活の安全・安心,命にかかわるものも多いわけですが,新政権になってストップするのではないかと,地元から不安の声が非常に多く上がっております。あくまで県の事業とはいえ,政府の意思がどこまで働いてくるかわかりませんが,こうした地域の課題を今後どう国に伝えていくのか,お知らせください。
 次に,事業仕分けについてお伺いいたします。
 事業仕分けの定義というのは,非常に難しいわけでございますが,今回の国の事業仕分けをコーディネートされた構想日本の冊子の言葉をかりれば,その目的は,「行政の事業を抽象的ではなく,現場の視点で洗い直すことによって個々の事業の無駄にとどまらず,その事業の背後にある制度や国と地方の関係など,行財政全体の改革に結びつけていくこと」とのことであります。これまで44自治体で61回開催され,岡山市でも2006年2月に試行しており,私も他府県で見ておりますけれども,今回の国の事業仕分けは,予算編成時期と幸か不幸かあるいはあえてかわかりませんが,かぶせたため,かなり特殊だったというふうに,私は思っております。特に,政府・与党が一体化しているのならば,仕分ける必要もないほどよくよく練られた事業が,行政サイドから予算として提案されているはずですから,不思議な面もございました。例えば,仕分け人がだれであるとか,議論は1時間で行うとかというのは,決まりがあるわけではございませんし,仕分け結果については私もかなり思うところがございます。ただ,密室の議論を公開して納税者の意識を大きく変えたということについては,非常に大きな意味があったというふうに思います。改めて,今回の国の事業仕分けについての感想についてお伺いいたします。
 ところで,この事業仕分けは,自治体では数値目標を定めた予算カットのための手法ではなくて,行政の政策形成過程でいかに市民参加を促すか,ある意味情報公開のための手段として,また,職員の説明能力のスキルアップの手段として,また,実は第三者を介在させることで初めてできる行革もあるということで使われているように,私は考えております。岡山県でいえば,例えば,公の施設のあり方を議論する,児童会館の閉館などについての議論をインターネットで流してオープンにする,そうしたことがなじむように思います。もちろん岡山県においても,大規模事業評価委員会のように,第三者の参画を求めているものもございますし,行政内部的な事業仕分けについては,PDCAサイクルの形で行政評価システムもできておりますし,何より財政危機宣言をして厳しい行財政構造改革を進める中で,内部的にもかなり厳しい事業仕分けになっていると思います。ただ,情報公開,住民参加という視点からではどうでしょうか。パブリックコメントは募集したけれども,そもそも募集されたことすら知らない。概して,新聞に発表されたらもうおしまいと決まってしまっている。県の方針はてこでも動かない,そうした評価があると思います。そういう誤解を解くためにも議論をオープンにした事業仕分けは有効だと思いますが,岡山県での実施についての御所見をお聞かせください。
 それにしても,昨年の財政危機宣言以来,非常に厳しい行財政改革を続けておるわけでございますけれども,社会保障分野など,ますます増大する地方の歳出を国から税源移譲で対処するにしても,今の国の財政状況では,もう増税がない限り,地方に移譲できる税源は存在しないような気がいたしますし,どうも新政権のマニフェストを本当に実行すれば,自治体は早晩財政破綻してしまうんじゃないか,そんな気すらいたします。国税に対する地方税の比率を高めるためには,国からの税源移譲に頼らず,地方税の増税という手段もございます。もちろん私は,反対ではございますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  まず最初に,新政権についてのお尋ねであります。
 政治主導による国政運営や公開の場での事業仕分けなど,さまざまな新しい試みが行われているところでありますが,地方といたしましては,新政権が地域主権の確立を最重点政策に掲げ,地域のことは地域が責任を持って決めるという,このことを基本とした新たな国づくりを目指す方針を示されていることにつきましては,これは率直に歓迎いたしたいと思います。特に,事項要求ではありますけれども,概算要求に盛り込まれております1.1兆円の地方交付税の増額,このことにつきましては,ぜひとも実現していただきたいと存じます。また,我々地方と十分に意見交換を行い,地方にかかわるさまざまな重要課題に積極的に取り組んでいただきまして,地方分権改革の推進など,具体的な成果を上げていただくように強く期待しているところであります。
 次に,国の取り組みへの感想等についてでありますが,地方分権改革推進委員会では,国と地方の役割分担や義務づけ,枠づけの見直し,地方税財政制度のあり方など,多岐にわたる論点につきまして精力的な議論を重ね,各省庁の抵抗がある中で,4次に及ぶ勧告を取りまとめられたところでありまして,まずその御労苦に対しまして敬意と感謝を申し上げたいと思います。これまでの勧告内容は,おおむね我々地方側が求める内容にかなうものでありまして,新政権におかれましては,この勧告の内容はもちろん,さらに踏み込んだ内容を持つ地方分権改革推進計画を年内に策定し,これに基づく地方分権一括法を早期に制定するように強く求めてまいりたいと思います。また,これに加え,地域主権の理念やその実現に向けた工程などを早急に明らかにするとともに,その理念のもと,国と地方の協議の場の法制化や地方税財源の充実強化など,重要課題について着実な取り組みが進められるよう期待しているところでありまして,引き続きその動向を注視してまいりたいと存じます。
 次に,国の出先機関等に関し,原則廃止等についてでありますが,真の分権改革を実現するためには,内政に関する事務は基本的に地方が担う仕組みをつくることが不可欠でありまして,国と地方の二重行政を解消するためにも,国の出先機関の廃止を積極的に進めていくべきものと,このように考えております。この国の出先機関の廃止に当たりましては,必要な財源を地方に移譲すること,これは無論のこと,国の職員につきましても,専門的技術的知識の確保等の観点から,人材の移管や人事交流を含め,具体的な検討が必要であると考えております。先日,全国知事会でも国の出先機関原則廃止プロジェクトチームを発足させまして,事務・権限の調査や地方での受け入れ体制などの検討を行い,提言を取りまとめることとしておりまして,私といたしましても,こうした動きと連動しながら,地方の意見を踏まえた出先機関の廃止につき,国に対し強く働きかけしてまいりたいと存じます。
 これに関し,一級河川の移管についてでありますが,都道府県内で完結する一級河川の移管に当たりましては,維持管理財源に加え,整備財源や人員,資機材の確保等に関しまして,適切な措置が講じられることが何よりも重要であると考えておりまして,そういった前提条件が整うならば,都道府県が責任を持って受け入れることができると考えております。
 なお,隣県とまたがる一級河川につきましては,財源等について適切な措置が講じられることに加え,隣県との調整が課題となることから,今後,他都府県での取り組み事例を踏まえつつ,検討してまいりたいと存じます。
 連携についてでありますが,お話の国の出先機関トップとの連携は必要であると考えておりまして,中四国農政局のほか,先月には中国地方整備局長とも来年度予算について懇談するなど,機会をとらえて意見交換等に努めてきております。私は,国と地方とが総理を初めとする閣僚レベルはもとより,各省庁やその出先機関に至るまで,きめ細かく連携や意見交換を行って行政を進めていくことこそ,住民の利益にかなうものと考えておりまして,国におかれましては,窓口を限定することなく,さまざまな機会を通じて幅広く地方の意見に耳を傾けますとともに,地方側と十分意見交換を行っていただきたいと考えております。今後とも,幅広いレベルでの連携を密にして,地方の実情をしっかりと国に伝えてまいりたいと存じます。
 次に,市町村合併の総括についてでありますが,このたびの市町村合併により,行財政基盤が強化され,専門職員の配置や行政サービスの充実が図られる一方で,お話のように,合併が中心部以外の地域の衰退を招いているとの指摘や,三位一体の改革による地方交付税の大幅削減によって,計画どおりの財政運営ができないとの不満も聞かれるところであります。合併した市や町においては,現在,新しいまちづくりに懸命に取り組んでいる過程にありまして,引き続きそれぞれの地域の特性を生かしたまちづくりを推進することで,今後合併の成果が着実にあらわれてくるものと考えておりまして,県といたしましても,できる限りの助言や支援に努めてまいりたいと存じます。
 県の広域調整機能等でありますが,地方自治法にも基礎自治体優先の原則として規定されているとおり,まずは住民に最も身近な市町村が地域における事務を幅広く包括的に担うべきものであると考えております。しかしながら,本来市町村が担うべき事務でありましても,単独では処理することが適当でないと認められるような行政課題につきましては,隣接市町村との水平的な補完による対応も必要でありまして,その自主性自立性は尊重しつつも,適切な助言や市町村相互間の連絡,連携,合意形成に向けた調整等を通じまして,市町村を支援していくことが県の果たすべき役割であると考えております。
 国直轄事業でありますが,先般,国からは,県及び岡山市に対し,お話の道路事業について,来年度調査設計費のみを計上するとの説明がありましたが,議員御指摘のような,凍結されるとは聞いておりません。これらの事業は,いずれも本県にとって重要な事業であることから,かねてより国への重点提案等において,事業促進を働きかけてきたところでありまして,今後とも沿線市町とも連携しつつ,さまざまな機会を通じ,幅広く国に働きかけてまいりたいと存じます。
 県営事業でありますが,例えば,お話のかんがい排水事業は,農産物の生産に不可欠な農業用水の有効利用を図るために,また,高潮対策は台風等に伴う高潮等から背後地を防護するために実施するものでありまして,このような補助事業が大幅に削減されるということは,農業生産や安全・安心など,県民生活に多大な影響を及ぼすものと懸念されるところであります。これまでも,安全・安心で活力ある地域づくりの基礎となる社会資本整備につきましては,その推進が図られるよう,国に提案してきたところでありますが,こうした地域にかかわる施策の企画立案や変更につきましては,地方と十分意見交換を行っていただきたいと考えておりまして,今後ともあらゆる機会を通じ,国に対し強く働きかけしてまいりたいと存じます。



<平成21年6月定例会>(2009年6月17日)

(佐藤)  さて,ことし小学3年生になる私の息子が,お小遣いというものが欲しいということで交渉を行っておりました。必要なときだけに与えるというのも一つの考え方ですが,やりくりするのも,これもまた勉強ということで,月額500円の子供からの要求に対して,岡山県の財政構造改革の影響で2割カット400円で妥協しました。こういうところにも影響が出るわけでございます。思えば,今回の未曾有の経済危機に対して行われるさまざまな経済対策も,ここで乗り切ったとしても,突き詰めれば全部子供たちに将来ツケが回っていくような気がしてなりません。世代間の公平な分担という名目で恩恵も受けますけれども,一方的に将来の財政負担を強いられる子供たちの声は常に黙殺されています。子育て世代の声,子供たちの声がもっともっと強く反映されなければ,本当の子育て支援も少子化対策もできるわけがないじゃないかとも思えます。今回は,そうした観点から質問させていただきます。
 世界的な景気後退による税収減と大規模な経済対策で急激に財政状況も悪化し,今年度に発行する新規国債は44兆円と,過去最悪の規模になり,税収をも上回ると言われています。骨太の方針2009(素案)は,財政健全化の時期を10年程度先送りして,財政抜本改革や歳出歳入改革の中で所用の財源を確保するとしておりますけれども,今回の追加経済・雇用対策に当たる一般会計261億3,000万円の補正予算案も,国のこうした状況の中で提案されています。さまざまな要望を受けて,そして調整されて,大変な御労苦で今回の予算編成されたと思いますけれども,国から来るこうした臨時交付金や国庫支出金が,地方にとっては自由度が高く,貴重な財源である,そのように私は国民としてはとても手放しで喜ぶわけにはまいりません。こうした地方の生殺与奪権が結局赤字国債も発行できる中央にあって,国に頼らざるを得ない,そうした現実について,厳しい行財政改革を進めながら,道州制や地方分権を声高に叫ぶことが時にむなしく感じられることもございますが,知事は正直なところどのようにお感じなのでしょうか,お知らせください。
 特に,1990年代の相次ぐ景気対策後,自治体は財政事情が悪化したわけでございますが,例えば,将来的に交付税の一方的な引き下げがないように確約をとる必要があると思いますが,具体的に地方分権の観点からどのように国に働きかけていかれるおつもりなのか,お知らせください。
 また,国からの財源を活用した基金事業が3年間の時限措置であるように,今回の補正予算に伴う対策は,時限的な措置であって,必ずしも地方の欲している実態に沿っていないように思います。今後の対策については,国と一体となって景気浮揚の一翼を担うということで,国からの財源に関する詳細な制度設計をよく見きわめながら判断するというのは,ある意味受け身の姿勢に感じられますけれども,国の予算に追随するだけではなくて,将来の財政負担も踏まえた県独自の予算編成を積極的に行う必要もあると考えますが,御所見をお伺いいたします。
 ところで,残念ながら,今回40億円の県債を発行することになりましたが,プライマリーバランスの黒字が維持されるから財政運営上大きく影響しない,このように説明されます。新たな行革大綱では,財政構造改革の目標として,プライマリーバランスの黒字化が挙げられておりますけれども,それ自体が目的ではなくて,財政構造改革はあくまでも県債を減らしていくことだと私は思いますけれども,財政構造改革への影響をいかがお考えでしょうか。
 一方で,今回の補正予算の目玉は56億5,800万円を充てて緊急雇用創出事業関係の基金を積み増して5,600人雇用を創出するということにあります。しかしながら,行財政改革大綱の中でさまざまな補助金等が打ち切られた中で,雇用を喪失した方が少なからずおられるのは歴然たる事実であります。その復元がたちまちできるものとも思えませんが,もう一度行財政構造改革大綱を精査する必要があるのではないかと思いますが,それをされた後に今回の補正予算を組まれたのか,お伺いいたします。
 また,国の施策には内需拡大を喚起するために消費誘導的な施策が多い,そのように私は思いますけれども,緊急経済対策の予算の使い方の理念として,まずは地元企業の最優先,さらに受注機会が偏ることなく,より多くの企業に及ぶこと,何よりも,広く,薄く,でも満遍なく県民の皆様に景気対策が実感できるものが肝要であると,そのように考えますが,そういう観点からは,例えば,むしろE項の単県事業費が各県民局あるいは地域事務所で機動的に使える状況がつくられるほうがより効果的だと考えます。真に,地域の隅々までが潤う,それを実感できる緊急経済対策の理念についてお知らせください。
 さらに,これを機に,アダプト制度についていま一度見直していただきたいと思います。
 もちろん地域コミュニティーの大切な活動として,このアダプト制度がうまく機能している,そうした地域も多いのですが,私は本来行政が負担すべきもの,責任を負うべきものまで,いつの間にやら地域の河川,海岸を皆さん自身の手で美しくしましょうと行政が音頭をとって,むしろアダプト制度を原則としてしまい,それにかなわなければアダプト制度は地区住民の方々に強制的に実施していただくということを趣旨としている制度ではありません。あるいは,治水上緊急に対策を要する箇所において,立木を伐採する以外は制度上草刈りの仕組みがない,そのような説明を受けておりますけれども,結局草刈りのようなものなどは,放置することやむなしという,本末転倒の無責任な状態になっているんじゃないか,そのように思っております。
 具体的に例を出せば,ある町内の方々が,ある河川の管理道,これは県の河川の管理道ですけども,年間40万円も町内会費から支出して草刈りを続けておられます。桜の名所にもなりつつあって,通学路にもなっていることから,地元総出で,この日曜日もそうだったんですが,草刈りを続けてきたものの,高齢者の方々がふえていく中で,地元の業者さんに格安で協力をお願いして年2回,何と約1キロにわたって草刈りをされています。さすがに,もうこれは限界に来ております。いつの間にか,県からの助成措置もなくなって,地元に投げられてしまって,アダプトをしようにもそもそも美化活動のレベルをはるかに超えていて,この町内では今は町内会旅行を抑えてまで草刈り費を捻出しております。知事,この町内会はいつまでこんなことを続けなくてはいけないんでしょうか。また,アダプトを行っている地域にもわずかな用具代で本当に地域が受けてやり続けるべきことなのだろうか。長年の疲れが出てきているところもある,そういう実態を御存じでしょうか。払っている県税の意味も,緊急の経済対策なども全く実感できない。何で地元の方々が苦労されて草刈りを行っているところに本来のこの県の予算が使われないのか,ぜひ答えていただきたいと思います。
 一方で,このアダプトを公共施設が行っているという話は余り聞いたことがございません。県庁職員の方々は,なぜ県庁通りの清掃のアダプトをしないんでしょうか。なぜ地域住民にばかり奉仕活動を求められるのでしょうか。一般企業なら当たり前ですが,県庁前を県庁職員の方々が朝来て掃除されているのを,私は見たことがありません。県庁周辺の地域活動に積極的に参加されておられるでしょうか。何でそれをされない行政が協働を言えるんでしょうか。あるいは安全・安心まちづくりのネットワークづくりを行政が提唱される。地域では,既存の団体と一生懸命調整して,しかも同じ方々がさまざまな行政部門からの要請にこたえて,幾つもの役職を兼務する。そうした激務をこなしつつも,ランニングコストは最後は地元に任せる。行政は,音頭をとればもうそれで終わりなんでしょうか。県民が汗を流せば,その積み上げの数字で行政の掲げる数値目標に達するか否か,それだけが問題になる。こうした発想が行政の実績になるのでしょうか。
 そこで,以上のことを踏まえてお伺いしますが,本県が進める協働の考え方をお知らせください。
 また,次の補正では,大きな額でなくてもよい,こういう地域の隅々に行き渡るところにぜひ予算を組んでいただきたいと思いますが,御所見をお聞かせください。
 ところで,行財政構造改革大綱2008に基づく歳入確保対策の一環で,庁内にコンビニエンスストアを誘致して,所場代をちょうだいするというものがあります。誤解なきように,私はコンビニエンスストア大好きなんですけれども,しかし私はこれを明確に反対させていただきます。少なくとも,この4月から昼休み休憩が1時間に戻って,県庁かいわいの食堂などに県庁職員の方々が前のように出やすくなりました。いわゆる近所づき合いというのは,公共施設とて例外ではないと考えるのですが,コンビニエンスストアを庁内に誘致することで歳入確保が仮に県になされたとしても,周辺の飲食店等に少なからず影響を与えることがあるとすれば,私はこれは県民にとって何の意味もない歳入確保対策ではないかと思います。少なくとも,周辺の飲食店等にその与える影響等意見を聞いて回った形跡もうかがえません。公の施設たる県庁内部だけで,こうした歳入確保対策が決められたことのようですが,ぜひ見直しをお願いしたいと思います。御所見をお聞かせください。
 あわせて,あえて申し上げたくないのですけれども,倉敷チボリ公園や吉備高原ニューサイエンス館を失って,このゴールデンウイークに幾ら後楽園や都市緑化フェアの会場がにぎわっても,そこに行った多くの親が子供たちにチボリやニューサイエンス館に行けない理由を説明できなかったことでしょう。幾ら経済対策を打っても,景気回復がなされても,思い出は絶対に買うことができません。子供たちの心の中にある,また,これから積み重ねていける思い出の舞台を奪い去ってしまった。それは,決して金銭では換算できないほど罪深い大損害であると,私は思います。瓦れきの山やがらんどうの部屋をのぞき込むと涙が出ます。そういう苦しみを感じる今,知事には幾ら計画されたとはいえ,これ以上,子供たちの思い出が残る公共施設を壊さないでいただきたい。プライマリーバランスの黒字が維持されるのが大義ならば,その中で最大限の努力をしていただきたいと思います。具体的には,ファーマーズ・マーケット・サウスヴィレッジと,そして偉大な建築家である芦原義信氏が設計された岡山県立児童会館ですが,本当に取り壊されたいですか。特に,岡山県立児童会館は,子供回遊ゾーンとも言える県立児童会館,生涯学習センター,池田動物園,光量子研究所,国際交流センター,ルネスホール,県立博物館,県立美術館,天神山文化プラザ,きらめきプラザ,総合グラウンド,こうして大回遊する中で,まだまだ思い出を子供たちが紡いでいける,そうした施設の中核にあるというふうに,私は思っております。まずは,壊してしまいたい,そうした答えありきで,本気で残していきたい,そうした声に行政がこたえてくれているように思えません。新たな公共事業を起こすのもよいですけれども,公の施設の見直し方針の見直しも考えていくべきだと思いますが,御所見をお聞かせください。
 また,特に県立児童会館については,現在の方針の見直しをあえてお伺いいたしたいと思いますが,御所見をお聞かせください。

(知事)  まず,経済危機対策に関しまして,国への依存についてでありますが,このたびの追加経済・雇用対策は,100年に一度と言われる経済危機という,こういう国家的な課題に対応するために行うものでありまして,本県といたしましても,これに積極的に協力していくべきものと考えております。しかしながら一方で,私は何かあれば国に依存せざるを得ないということ,あるいは国に権限・財源を握られ,地域の特性や住民の多様なニーズに応じた施策の展開ができないということ,国の都合で地方が左右されることなど,中央集権型システムの限界や不合理ということを痛感しているところでありまして,だからこそ地方分権,そしてその究極の姿であります道州制の実現を訴えてきているところであります。このため,まずは喫緊の課題であります経済・雇用対策に全力を尽くしながらも,国に依存することのない自立可能な税財政制度のもと,地方はみずからの判断と選択に基づき必要な行政サービスを迅速かつ的確に提供できる,真の地方分権型行政システムの確立に向けまして,地方分権,そして道州制の実現に引き続き強力に取り組んでいきたいと考えております。
 国への働きかけについてでありますが,景気後退や国の経済対策に伴う地方の減収等につきましては,国の責任において必ず確保されるべきであることなど,地方の税財源の充実につきまして,昨年11月に官邸内で開催されました全国都道府県知事会議の場におきまして,私自身,麻生総理大臣に対しまして強く主張してきたという経緯もあって,今回の国の補正予算におきましては,地方の負担軽減に相当の配慮がなされておりまして,こうした点で評価しているところであります。新たな行革大綱にも掲げておりますとおり,今後とも国の財政再建の名のもとに,地方交付税等が一方的に削減されることがないよう,必要な地方交付税等の地方一般財源総額の確保につき,全国知事会等と連携しつつ,あらゆる機会をとらえ,国に対し一層強力に働きかけを行ってまいる所存であります。
 県独自の予算編成でありますが,今回の補正予算では,国からの財源を有効に活用し,県の負担を最小限とするということを基本として,本県の実情等を踏まえた必要な対策を盛り込んだところであります。例えば,自由度が非常に高い交付金を活用いたしまして,「晴れの国おかやま」という本県の特性にふさわしい太陽光発電の普及を強力に進めるためのさまざまな事業を実施することといたしております。今後とも,将来の財政負担を見通しつつ,本県の特性を踏まえた効果的な対策を講じてまいりたいと存じます。
 財政構造改革への影響でありますが,お話のとおり,健全な財政運営のためには,県債残高を着実に減らしていくということも重要であると考えております。そのための具体的な基準といたしまして,元金ベースでのプライマリーバランスの黒字化を目標の一つとして,新たな行革大綱に掲げているところでありまして,今後ともこの目標を堅持することによりまして,県債残高の着実な縮減に努めてまいる所存であります。
 行革大綱と補正予算についてでありますが,新たな行革大綱は,官と民,また,県と市町村との役割分担などの視点から,関係方面と議論を重ねた上で取りまとめを行ったものでありまして,持続可能な財政構造を確立し,本県の明るい未来を切り開いていくためには,何としてもなし遂げていかなければならないものであると考えております。今回の補正予算は,本県の将来の発展を見据えつつ,現下の厳しい経済・雇用情勢を乗り越えるために必要かつ効果的な対策を,基本的には時限的に措置するものでありまして,大綱の考え方,これにつきましては堅持してまいる所存であります。
 理念についてでありますが,先般開催いたしました緊急経済・雇用対策本部会議におきまして,今回の補正予算に計上した事業を実施するに当たっては,県内企業の製品の優先的調達,公共事業等の発注における県内業者の優先発注や県内産資材の優先使用を徹底いたしますとともに,県内各地域の経済・雇用の実情にも十分配慮し,真に効果のある事業の推進に努めるよう,本部長である私のほうから指示し,本部員に徹底したところであります。今回の補正予算が成立した暁には,そのような観点から直ちに実行に移すことができますように,迅速かつ的確な推進に取り組んでまいりたいと存じます。
 次にアダプト等についての御質問であります。
 まず,河川の草刈りについてでありますが,草刈り等につきましては,協働の精神に基づき,基本的にアダプト制度により,地域の方々に御協力いただいているところであります。お話のとおり,高齢化等によりアダプト活動に支障が生じている箇所もあることから,こうした箇所では今後とも活動が継続できるよう,地域の方々やさまざまな団体へ制度の周知を図るとともに,参加を呼びかけてまいりたいと存じます。
 なお,県といたしましては,河川の流水を阻害する樹木などにつきましては,緊急度に応じまして伐採を行っておりまして,河川管理上支障があると判断される場合には対応しているというところでありますので,御理解をいただけないかと思いますが,御理解をぜひいただきたいと思います。
 協働についてでありますが,近年ますます多様化複雑化する県民ニーズに対しまして,住民が公共サービスの担い手として参画する新しい形の公共の活動が広がってきておりまして,こうした地域の自発的な盛り上がりを大切にし,県としての役割も適切に果たしながら,住民とともに力を合わせていくということ,すなわち協働による地域づくりは,県政を進めていく上で極めて重要なものと考えております。このような考え方のもと,県職員もそれぞれの地域で河川や道路の清掃活動を行うなどとしておりまして,例えば,私も参加しております児島湖流域清掃大作戦,あるいは落書き消去活動等におきましては,特に多くの職員が自主的に参加しております。また,お話いただきましたアダプトへの県民の参加者数などは,これは夢づくりプランにも協働指標として盛り込んでいるところでありまして,これらの指標の状況を協働の実績としてわかりやすく県民の皆様にお知らせすることによって,さらに協働の輪を広げていきたいと考えております。
 次の補正予算についてのお尋ねでありますが,今回の補正予算に盛り込めなかった対策につきましては,今後二段階目の補正でできる限り早急に対応いたしたいと考えておりまして,内容的には福祉関係の基金事業が多くなると,このように思われますが,いずれにいたしましても,県内各地域の実情等も十分踏まえながら,真に効果のある事業の推進に努めてまいりたいと存じます。
 次は,コンビニエンスストアの庁内誘致についての御質問であります。
 この件につきましては,今回行う売店の見直し,これは行財政構造改革大綱2008に基づきます歳入確保対策の一環として,職員の福利厚生のため,本庁舎内での営業を許可しております,この売店につきまして,入札による納付金制度を導入しようとするものであります。その実施に当たっては,職員の福利厚生施設としてふさわしい規模や内容を備えたものとなるように十分検討してまいりたいと存じます。
 次に,公の施設に関しまして見直し方針の見直しについての御質問をちょうだいいたしましたが,公の施設の見直し方針は,施設ごとにさまざまな角度から現状分析を行いまして,総合的に県設置の意義を評価して素案をお示しいたしまして,その後市町村や地元関係者等と十分に協議調整を行った上で取りまとめを行ったものであります。このため,方針の見直しということは考えていないところでありますが,今後とも関係者の方々の御意見をしっかりとお聞きいたしまして,必要な対応策も検討しながら適切に対応してまいりたいと存じます。
 なお,最終的に閉じることとした施設を利用されている方々には,御迷惑をおかけする場合もあると,このように思われますが,持続可能な財政構造の確立に向けた取り組みであるということ,このことをぜひとも御理解賜りたいと存じます。
 最後に,県立児童会館についての御質問でありますが,県立児童会館は昭和38年に全国的にも画期的な児童のための施設として建設され,以来多くの県民に親しまれながら県内の児童館活動を牽引するという大きな役割を果たしてきたところであります。しかし,建設以来46年を経過し,県内の市町村において児童館等が多数整備され,地域の実情に応じた活動を展開しておられるということから,県の公の施設としての役割をおおむね果たし終えたと,このように考え,建物の老朽化が激しい,この施設を22年度末までに閉じることを決めたところであります。建物の存続につきましては,民間の方々にも協力を打診いたしました。しかしながら,耐震化等の問題もありまして,残念ながら現時点では困難な状況となっております。
 なお,併設の児童遊園につきましては,当面これを存続いたしますとともに,児童館が担ってまいりました母親クラブの活動促進などのソフト事業につきましても,これは継続することとしているということでございまして,引き続きこういったことで関係者等の御理解を求めてまいりたいと,このように考えております。


(佐藤)  ここで禅問答をやってもしょうがないので,理解してくれ,理解してしないと,こう言われてもしょうがないんですけれども。今,知事のおっしゃられた発言が要はどういうことかというと,県庁職員さんも地域では草刈り等をやっておられると,したがってこの御町内はこれからも制度がないので年間40万円払って草刈りを粛々と続けてくださいと,それを御理解くださいという趣旨だと受け取りましたが,私は全く違うと思います。それで,理解できないということで,理解できませんということをお伝えしたいと思います。
 そもそも,これはちょっと質問ですが,協働という発想の根本にあるのは,やはり市民,県民の皆さんが行政の下請機関ではないということであります。地域でいろんな役職を受けている方が,いろんなお役,本当に一生懸命頑張ってやられておりますけれども,決して行政の下請機関に地域があるわけではありません。お金を払えばそれで終わりというわけではない。むしろ行政が一義的に責任を負わなくてはいけないところまで,こうした協働という言葉でごまかされているような気が,私はしております。そうした意味では,本来行政がやるべきことをまず最初にきっちりやってくれと,それが一義的にあるんじゃないですかという意味で,協働の前提としてそのマインドについてお伺いしたので,そこのところの御認識をお伺いしたいと思います。
 そして,大原委員には大変に誠意ある御答弁をありがとうございました。
 そして,モンスターペアレントのことですけれども,先ほど教育長の御発言の中で,私はそんなもんじゃあないんじゃないかなというふうに思います。既存の相談の場があってということでございますが,そんな状態では現場はないと思います。現場の先生に任せる,校長先生に任せる,教頭先生に任せる,それで学校が今どれだけ大変な状況になっているか。もう少しちょっと現場を見ていただきたいと思います。少なからずこれはPTAの問題等を超えて,私は例えば精神科医の先生方,あるいは弁護士の先生方,そうした方が必要な出番というのがある。むしろ教育委員会に電話があるというのは,相当の状態でございますけれども,その前の段階からしっかりと教育委員会が現場に入っていってフォローしてあげないと,本当に,まずクラスがめげて,学校がめげて,その間に先生がめげて,そしてその間に多くの子供たちがめげてしまう,保護者がめげてしまう,それがひいては岡山県の教育全体に影響があるんだと,大変な問題なんだということを重々御認識いただきたいと思います。要望でございますけど,先ほどの御認識では,この問題は解決しないというふうに思います。
 そういうことで,知事の協働の考え方,それからもう一つコンビニエンスストアのことでございますが,これは私の思いでございますが,福利厚生を歳入確保で考えてはいけないんじゃないでしょうか。福利厚生は福利厚生,歳入確保は歳入確保,福利厚生施設は福利厚生施設として,かわいい職員さんが一生懸命働いていただけるような,そうしたことはやらなくてはいけないと思います。それを同時に歳入確保で考える,机上で考えたらこういうことになるんだと思いますけれども。単純に,例えば,物資部で105円で売っている缶コーヒーをコンビニエンスストアは120円で売られる,これはいいんかもしれんですけれども,福利厚生というのは,そうした職員さんへの思いの部分,これもマインドの部分でございますから,その部分と歳入確保,県にお金が入ればそれでいいんだということではないんだよと。それから,先ほど協働の意味でもそうですけども,地域の方に少なからず影響があるんだと,そこのことは十分認識して御判断いただきたいなと,要望させていただきます。
 いずれにせよ,協働の部分だけ御答弁いただければと思います。

(知事)  協働についての考え方は,先ほど御答弁申し上げましたとおり,地域の自発的な盛り上がりというものを大切にして,一方で県としての役割も適切に果たしながら住民とともに力を合わせていく,こういう協働により地域づくりというものが大変県政を進めていく中で重要なものとなっているというふうに考えております。その中で,行政が果たすべき役割,もちろんそれは当然しっかりと果たしていかなければいけないと,これが前提でございます。そういった中で,具体的には河川の草刈りという問題に相なるわけでございますけれども,この河川の問題につきましては,いわゆる河川管理上,自然公物ということであります河川,どうしても草が生えてくる,あるいは樹木が生い茂ってくるわけでございますけれども,その中で管理上支障がある,流水の阻害といったことで災害防止,こういった観点からどうしてもこれはやっていかなきゃいけないもの,これは当然やっていくべきでございますけれども,今までの長い河川管理の流れの中で,先ほど来申し上げましたとおり,草刈り等につきましては,これは協働の精神に基づいて,基本的にアダプト制度によって地域の方々に御協力をいただいてきているという経緯もございますので,そういう大きな流れの中でよろしく御理解いただきたいということで,たびたび同じ言葉の繰り返しで恐縮でございますけども,そういう考え方であるということでございますので,再答弁とさせていただきたいと思います。



<平成20年6月定例会>(2008年6月20日)

(佐藤)  本日も,多くの方に傍聴にお越しいただきまして,そしてまた,この時間,恐らくケーブルテレビやインターネット中継も今ございますので,多くの皆様にごらんいただきまして,ありがとうございます。
 本当は,項目程度だけお伝えすれば十分ではないか,誠意がある答弁がないのであれば,詳細な事前通告も,本当は私はしたくもないし,通告自体に従いたくもないんですけれども,今回もまた,通告に従いまして,事前に用意した原稿をしっかり読み上げさせていただきます。
 結婚して,この秋10年目になるんですが,そろそろ私も電化製品を買いかえたいなと,子供も小学校2年生になったので,少し大きな冷蔵庫が欲しいなと,そのように思っていたのですが,ことしは買いかえをあきらめますという質問をさせていただきます。
 岡山県が財政危機宣言をしたのですから,ハイビジョンテレビとか地デジ対応は夢のまた夢でございます。議場におられる先生方は皆様そうだと思いますが,岡山県財政危機宣言が出て2週間余り,県議会は何をしていたんだというおしかりをいただきながら,岡山県の財政状況について説明に回られていると思います。
 将来ビジョンが,国も県も見えなくなった。県民の皆様は,岡山県よ,おまえもかと,怒りと情けなさと不安の中におられます。責任を転嫁するわけでもありませんが,そうした町の声を知事にお伝えをさせていただきます。
 ところで,岡山県財政危機宣言を出されて以来,私は,知事を知事としてではなく,会社の経営者,しかもうちの会社はこのままでは不渡りを出します,そう宣言した会社の社長として見させていただいております。正直なところ,随分不思議な会社だなと思うことが多々ございます。幾ら大企業でも,いや,大企業だからこそ,つぶれそうだ,そんな会社の社長には命がけの対応がある。会社を経営されている方々からすると,知事の姿も我々県議会の姿も,あきれるほど緩く見えて仕方がない。民間の感覚からは全く理解ができない。完全にずれている。そうした声をよく聞きます。
 さきの2月定例会で,知事は,民の代表ですか,官の代表ですかと私はお伺いいたしました。私は,民の代表について,私なりに,感性が市民,県民に近いのです,そして今よりよくなるかどうかわからんけれども,ともかく今を変える,閉塞感を打破する,強烈な変革を求めているのだと思います。そして,そこにおのれをなげうっている捨て身の姿が感じられるからこそ,共感を呼ぶのではないでしょうか。行政経験の有無が問題なのではなくて,彼らなら旧弊を打ち破ってくれる,あるいは私たちと同じ感性で一緒に笑ってくれる,泣いてくれる,怒ってくれる,ある意味で官と闘ってくれる,そう思うから応援するのだと思いますと申し上げました。
 これに対して,知事は,私は,これは明らかにもう県知事というのは,県民の代表であるということでございますから,県の中におけるトップというのではなくて,県民の皆さんの代表として,県庁の中に私は送り込まれたんだと,こういう緊張感を持って,県庁の外から見ておかしくないような,特に外からチェックしていただいているんだと,こういう思いで私は県政を推進してまいりましたと答えられました。
 知事が民の代表ならば,民間会社の社長のやられること,あるいはそれ以上のことをやっていただきたいと思います。そのために,官に送り込まれたわけでございますから,まずはその決意のほどをお聞かせください。
 ところで,私は,定例会本会議は,あたかも株主総会あるいは取締役会のようであると説明させていただいております。すなわち,195万岡山県民の皆様が株主であり,2万人の株式会社岡山県がある。石井知事は,株式会社岡山県の代表取締役で,副知事は副社長,執行部や我々議会は取締役で,要するに年4回の定例会という株主総会あるいは取締役会がある。我々議員は,定例会において,いわば株主代表訴訟のごとく,あるいは取締役会のごとく,195万岡山県民の会社である株式会社岡山県の経営が適正に執行されているか,チェックするとともに,議決機関として,経営の方向を定めるわけであります。
 県民の皆様から見れば,企業に例えれば,この議場にいる者あるいはいた者,取締役会のメンバーは,この議場にそろっている。岡山県の経営の意思決定はこの議場の中で行われています。岡山県の責任者出てこいと言われれば,この議場に集合しているわけでございます。そして,今回,株式会社岡山県の石井社長は,会社の危機を宣言したわけでございます。あえて言えば,我々は,自分で申し上げたくないけれども,岡山県民から負託された会社経営のかじ取りに失敗しているんじゃないか,そう評価されても仕方がない状況でございます。
 もちろん,都道府県知事を定義すれば,都道府県を統括し,これを代表する独任制の執行機関であり,地方公務員法の適用がない特別職の地方公務員であるとなりますが,営利目的ではないから,企業に例えられないという理屈はよいので,まずもって岡山県は岡山県民のものである。知事は,株式会社岡山県,その経営をしている会社の社長である,行政経営をしている,そういう意識が知事におありでしょうか。そして,株主たる県民の皆様に,今おっしゃりたいことは何でしょうか。
 さらに,議会とは,会社に例えれば何であるとお考えでしょうか。特に,歳出削減の協力や,あるいは議会棟の活用なども含めて,これからの議会に何を求められるでしょうか。
 また,知事にとって経営感覚とは何でしょうか,経営者とは何でしょうか。加えて,岡山県内の会社経営者の方々が,会社の危機宣言をした際にとるべき行動はいかなるものであるとお考えでしょうか。私は,経営者に必要なものは,決断,実行,そして無限責任だと思います。それを今十分に果たしているとお考えでしょうか。県民の皆様に伝わっているとお思いでしょうか。
 特に,あえて重ねて伺いますが,つぶれそうだ,そうした会社の社長は,まずみずから考えられる削減を行っていきます。かわいい従業員の給与や商品の対価にすぐに転嫁をしたりはしません。あくまで,知事は,退職金や賞与を受け取られたいですか。どこの会社の社長が,自分の会社がつぶれそうなのに,率先してボーナスを確保するでしょうか。今回の危機宣言に際して,私が一番残念だったのは,知事が,6月定例会で,みずからの給与カットに加えて,賞与,退職金の全額の返上を議案として上程されなかったことです。
 しかも,答弁で,一般職に準じて,他県の知事の給料やボーナスも含めた支給状況等も勘案しとして,即断即決をしなかったことでございます。知事の言われる全身全霊を打ち込んでこの改革に邁進している所存は,みずからに係る歳出削減を即断即決することで,この危機にともに立ち向かっていこうじゃないかという効果的な明確なメッセージになっていたはずでございます。
 この時期の発表が,何か意図があるのではないかと邪推されることはなくて,純粋に知事の本気度も伝わっていた,そういうチャンスでもあったと思います。そして,これはプロジェクトチームに任せる内容ではございません。
 ちなみに,先日初当選された蒲島熊本県知事は,就任直後のこの4月の臨時県議会で,県政のとって喫緊の課題である財政再建への取り組みとして,「隗より始めよ」の言葉どおり,熊本県知事等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例を提案,マニフェストどおり,給料月額を124万円から100万円削減して,県民の平均給与月額とほぼ同額の24万円としました。本人受領額,4月の手取りは9万2,693円で,賞与は,これを基準にしたら,元大学教授でもあられるので気の毒だというふうな話になっていたそうであります。
 経営者は,まずみずからが範を示さなくてはいけません。県民の一人として申し上げます。4年ごとの4,000万円以上を超える退職金,しかも知事は4選出馬表明され,退職の意思はございません。会社自体は大赤字なのですから,知事,どうか退職金とこの期の賞与を全額返上してください。それが,トップが危機宣言した責任であると私も思います。今もこの瞬間,額に汗して働く県民の皆様が血のにじむ思いで納めてくださった税金から,県民サービスを一切減らすことなくできる最高の歳出削減策を直ちに知事みずから示していただきたい。そして,それを知事に求めるからには,私個人として,いかなる方法があるかは,これは検討して,賞与は受け取りません。冷蔵庫は欲しいですけれども,額に汗して働く仲間の顔を思うと,本当に申しわけなくて,私はとても受け取れません。
 あえて言えば,この6月30日,職員の皆様にも期末手当,いわゆる賞与が支給されます。県内企業のボーナスの平均は,46万2,000円との調査もあり,不景気の中,賞与が出ない企業は幾らでもあるでしょうに,財政危機宣言をしながら,県庁職員は,70万円も80万円も賞与をもらっている。そういう批判を避けることはできないでしょう。今回の財政危機宣言は,そういう時期だった。そして,それが職員の方々に批判が集中することを知事はいかように認識されておられるでしょうか。
 住吉町の知事公舎から,内山下の本庁まで,黒塗りの車で通勤される,そんな知事を横目に,あるいはどこか遠く感じながら,これからの職員の方々を思うと,一般企業と違って再生が長期化するだけに,気の毒に思うところもございます。恣意的な権力に身分を左右されない保障があるため,失業保険さえ要らない絶対的な終身雇用ではありますが,知事や心臓部を押さえるキャリアの方々がどうなろうと,あるいは議会の構成がどう変わろうと,県庁職員の方々が岡山を守り続けます。生涯をかける仕事に誇りを見出したくない人間などおりませんし,恐らくこうした危機的な状況になれば,逆に一丸になって我々が岡山のために頑張っていく,そんな気概や公職の誇りを皆さん持っておられると,私は信じております。ただ,その気持ちがそがれてしまうのが残念です。
 今後,総人件費の削減は避けられないところでございますが,本来,一般職員の給与カットは最後の手段であります。もちろん,「全庁的に一丸となって取り組まなければ決して乗り越えることができない大きな課題」に立ち向かっていく中で,会社で言えば,会社はもちろん岡山県民のものですが,大切な従業員になるわけです。それぞれに家族があって生活がある。経営者として,社員を守る,しかし,そうした社員に今後どんな無理をお願いしなければならないのか,そのお気持ちをお聞かせください。
 特に,職員給与が民間給与のベースになっていたり,あるいは団塊世代の大量退職に伴う人材難で,教職員を含めた優秀な人材の都市圏流出の可能性もあり,総人件費の削減で考慮すべき点の御認識をお聞かせください。
 「士はおのれを知るもののために死す」という言葉がありますが,守ってもらえるから,ともに戦えます。知事みずから呼んできた人材が,懲戒免職処分になって,一罰百戒どころではなくて,コンプライアンスに過敏になる余りに,精緻な運用規則のようなものをつくって,迅速な対応がおくれているケースもあります。積極的に行った施策で,幾ら効果が上がっても,どんなミスをもトップは絶対許してくれないんじゃないか,そんな怖さは何もしないのが一番だという雰囲気しか生みません。この点に関する知事の御所見をお聞かせください。
 ところで,この秋以降,「聖域なき削減」で,職員の皆さんは,市町村や各種団体に御理解と御協力を求めて,カットの説明と説得に,恐らく罵詈雑言を浴びながらも,ただただわびて回る日々が続きます。私も,何度か補助金カットの交渉の現場に立ち会いましたけれども,相手方は,県から誇りをずたずたにされて,職員の方もぼろぼろになって耐えられない現場です。これが今までの数倍の規模で行われるわけです。これを知事選挙の明るいマニフェストにされてはかないません。公務という仕事に誇りややりがいを感じられないとすれば,県民にとってこんな不幸なことはありませんが,そういう実態についての御認識をお聞かせください。
 また,知事が信託された任期は,とりあえずここから数カ月しかないわけでございますから,来年度の予算のこともさることながら,住吉町の知事公舎の売却,こういったものを早急に決めていただければと思いますので,御所見をお聞かせください。
 次に,会社に例えれば島津,山口両副知事は副社長で,総務部長は事実上専務の働きをされていると認識しております。実際に,山口副知事と総務部長は非常によく相談をされているというふうに聞いておりますが,知事の言葉をかりれば,国ならではの専門知識等を数多く有していらっしゃる山口副知事は,運輸分野における国の仕事の経験やその中で培ってきた人的なつながりを生かして,この財政危機宣言に至るまで,どういうサポートを知事に行ってきたのか,トップを十分に補佐されていたのか,山口副知事にお伺いいたします。
 また,不正な経理を理由に課長を懲戒免職,これは仕事上,しょうがありませんが,総務部長は,2月の時点で,財政再生団体転落の可能性をデータとして端的知っておられたのか,それとも知らなかったのか,知っておれば,ある意味,予算提出の際の,言葉はきついですけど,粉飾,知らなければ職務怠慢と考えますけれども,いかがでしょうか。総務部長の見解をお知らせください。
 2月定例会でも,総合対策本部のようなものの意義づけについて伺いましたが,今回もまたプロジェクトチームが立ち上がりました。独任制の執行機関である知事が,合議制をとるよりも,強力なリーダーシップで直ちに対策を打っていくのが民間の経営感覚だと思いますが,来年度予算に反映させるのではなくて,連日会議を開いて,今年度補正予算で9月に上程すべきだと思いますし,今3次にわたる改革で一体何をやっていたんだろうとやゆされる総務部長通達で削減される16億円,これについても執行権の範囲を超えた減額であり,補正予算で上程すべきものだと思いますが,御所見をお聞かせください。
 次に,法律によって,自治体が自動的に破綻するという地方公共団体健全化法について伺いますが,私は,この法律が,財政再生団体に転落しないようにと自主的な努力を促し,破綻を未然に防止することは評価できても,自治体がお手上げをする最後の最後の判断を国にゆだねるということは,地方分権を推進していく中で評価できるものと考えておりません。改めて,この法律自体に対する知事の御所見をお伺いいたします。
 また,行財政改革は,住民生活に直結するので,住民の皆さんの理解が欠かせないため,不足している財源,今後必要とする施策の経費,改革が達成されたときの新たな自治体の姿や,何をどのような方法で,いつ実施するかを明確にする必要があると思いますが,例えばパブリックコメントなどは,今回のような厳しい削減のときこそ,特に必要だと思います。
 加えて,今回の財政危機宣言の内容そのものが,情報開示されても,特別用語が多過ぎて,一般の方にはとても理解できるものではございません。わかりやすい言葉による説明会等がなければ,非公開と同じだと思います。
 ちなみに,私も幾らか説明させていただいても,県民の皆様は事態の深刻さはなかなか理解していただいておりません。県の財政が厳しいのは,きょうに始まったことじゃないんじゃないか,またオオカミ少年かと思っておられる方すらおられます。こうした中,公会計の取り組みとして,企業の複式簿記会計のようなものも採用しなければ実態がわかりませんし,今後の聖域なき削減の情報公開について,いかに県民の皆様にわかりやすく伝えていくかをお伺いいたします。
 次に,財政危機宣言について,3つの視点に分けてお伺いいたします。一つは県内部の話,一つは市町村との関係,いま一つは国との関係でございます。
 まず,県内部の関係ですが,今回の財政危機宣言に至るまでの経緯を見ると,包括外部監査制度を活用することによって,県の財政運営をチェックし,県財政を確保する余地があるのではないかと思います。地方公共団体健全化法においても,財政再生団体の財政の運営が,その財政再生計画に適合せず,国から勧告を受けたときは,財政再生団体の長は,その勧告の内容を包括外部監査人に通知することとされていますが,御所見をお知らせください。
 次に,市町村との関係について,独立した市町村を包括する市町村の補完機能を果たし,市町村では困難な広域的事務の執行をする地方広域政府として,県は今何をすべきか。特に,都道府県と市町村との権限は大いに錯綜して,国と同様に,都道府県の補助金制度もあって,中央集権的な関係があると言われておりますが,今回の見直しは,国と県と市町村の役割の明確化を総合的に考える機会でもあり,事業集約的に,市町村との連携を密にかえってする必要があると考えます。
 いかなる形で,プロジェクトチームは市町村と連携して,その意見を取り入れていくのか,その方法をお知らせください。
 特に,市町村で決められる国保料までも負担増になるのではないかとの心配の声も上がっていますが,財政危機宣言が,今後,市町村に与える影響について,どのような御認識か,あわせてお知らせください。
 また,国との関係において,まず知事は,地元選出の国会議員先生方に,正式に今回の危機宣言について説明を行われましたか。報告すらされていないのではないでしょうか。麻生総務大臣のころの平成16年の交付税ショックの御批判はわかりますけれども,国への相談は不可欠でございます。国会議員の先生方抜きでは,今後の財政再建を語ることはできません。政党はどうあれ,地元出身の国会議員の諸先生は,岡山県のために一肌も二肌も脱がれたいはずですが,説明も依頼もなければ動きようもございません。知事は,国会議員の先生方との連絡,相談をいかように考えておられるでしょうか。また,東京事務所は,東京で何をやっておられるのでしょうか。お知らせください。
 また,知事がカットされてきたことは,皆さんよく御存じでございますが,元官僚でもあった知事が,政治家としてみずから霞ヶ関や永田町を御自身で動いて,岡山県財政を潤した,国から金を知事が引っ張ってきた,その実績がどの程度あるのかもお知らせください。
 また,今後10年間の道路の中期計画の策定に当たって,事業費は59兆円を上回らないものとされていますが,道路特定財源の一般財源化についてどう考えるか,さらには,地方財政計画で自治体に対する地方交付税と起債を1年ごとに決められてしまうことが,自己責任が欠如した先送り体質や国泣かせの自主性を失った依存体質を生んでしまうと思いますが,こうした財政面における国との関係の思いについても知らせてください。

(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答えいたします。
 民の代表者としての決意ということでございますが,今回,このような事態に陥ってしまったことにつきましては,私といたしましても,本当に心が痛むところでございまして,大変申しわけなく思っているところでございます。
 今回の改革は,民で言うなれば,倒産を目前にして,何としてもそれを回避し,持続可能な経営を確立しようと,こういうものでありまして,本県の明るい未来を切り開いていくためには,これは必要不可欠な改革であると存じます。このため,全身全霊を打ち込みながら,この改革を何が何でもやり遂げるということが,県民の代表である私に課せられた責任であると考えているものでございます。
 経営者としての意識等でありますが,県政は,県民の幸せと県民の豊かな生活の実現のためにある,こういう信念のもとに,私は,県民の負託を受けた最高責任者といたしまして,ふるさと岡山の発展のために不退転の決意を持ちながら,県政運営に努めてきたところでありまして,そのことはあらゆる機会をとらえまして,県民の皆様方に広く訴えてきたところでございます。
 会社での例えということはできないところでございますが,我々執行部と議会というものは,緊張関係を保つ,その一方で,十分連携を図りながら,車の両輪のごとく,本県の未来を考えて政策を実現していく大切なパートナーでありまして,今後とも,一層の御協力をぜひお願いいたしたいと考えております。
 経営の基本は,民間も行政も同様であると,このように考えておりまして,経営者には,先見性と明確なビジョンを持って的確な戦略を立てて,勇気と情熱を持ちながら,機敏に決断,実行をする,そういうリーダーシップが必要不可欠でありまして,とりわけ危機に当たりましては,こうした経営の基本に基づいて,信念を持って全力で対策を推し進めることが必要であると考えているものでございます。
 今回の財政危機宣言に至ったことにつきましては,先ほども申し上げましたとおり,私自身,本当に心が痛んでいるところでございまして,県民の皆様方に対しましては,大変申しわけなく思っている次第でございます。
 私といたしましては,県議会を初め,県民の皆様の御意見を十分にお伺いをしながら,全責任を負って,全身全霊を打ち込みながら,この未曾有の難局に真正面から立ち向かってまいる所存でございます。
 私の退職金等でありますが,私自身,厳しい財政状況を踏まえまして,これまで就任直後の第1次行革以来,給与カットを実施してきているわけでございまして,現時点でも,全国的に見ますと,相当低い水準で私の給与水準はそのようになってきていると,このように承知しておりますが,もとより,特別職の給与につきましては,広く県民の皆様の理解を得る必要があると考えておりまして,給与カットにつきましては,今後,財政構造の抜本的な改革を推し進める中で,もちろんこれを引き下げるということはやぶさかではございませんけども,検討を推し進めていきたいと考えておりますし,退職手当の取り扱いは,たびたび申し上げておりますとおり,削減の方向で速やかに検討してまいりたいと思います。
 財政危機宣言の時期等でありますが,財政構造改革の方針を21年度予算に適切に反映をさせるために,可能な限り早い段階から公表いたしまして,御意見を十分にお伺いしながら改革を進めていく必要があると。このようなことから,この時期に行ったものであります。御指摘のような批判が職員に対してあるとすれば,県組織の責任者といたしまして,大変心苦しいところでありまして,それだけに,一日も早く持続可能な財政運営を実現できますように努めてまいる所存であります。
 人件費の削減でありますが,厳しい行財政改革に取り組む中で,職員には,これまで独自の給与カットに協力をしてもらってきているわけでありますが,今回の財政危機に当たっても,職員が意欲を持って困難に取り組むことができるよう,早急に財政構造改革に向けた道筋を明らかにいたしまして,職員とともに一丸となって改革をなし遂げていきたいと考えております。
 また,改革に当たりましては,職員が引き続き自信と誇りを持って職務に取り組むことができるよう,あらゆる手段を講じまして,モチベーションの維持,向上を図りますとともに,公務のやりがいや魅力を積極的にPRをし,優秀な人材の確保に努める必要があると考えております。
 コンプライアンスでありますが,職員に対しましては,日ごろから新しいことに積極的にチャレンジしてほしいと説いてきているところでありまして,そうした姿勢や成果は,組織として大いに評価するように,意を用いてきたところであります。
 一方,県職員には,これは当然のことでありますが,全体の奉仕者といたしまして,法令遵守が求められているところでありまして,引き続き県民の信頼を裏切ることがないように,自覚を持って職務に精励してもらいたいと考えております。
 仕事に対する誇り等でありますが,今回の財政構造改革の中で,職員には,市町村,関係団体との調整等で,これまで以上に大変な苦労をかけるということにつきましては,私も十分承知をしているところでございますが,この改革をなし遂げ,本県の明るい未来を切り開くため,誇りと意欲を持って困難に果敢に挑戦してもらいたいと,このように強く期待をしているものでございます。
 知事公舎の売却でありますが,これもたびたび申し上げておりますとおり,知事公舎は,公邸としての機能を有するということや,県庁に近く危機管理対応を初めとする公務に高い利便性があるということから,これまで使用してまいりました。知事公舎を早急に売却してはとのお話をいただきましたが,公舎のあり方につきましては,抜本的な行財政改革を進める中で,危機管理対応の観点なども踏まえまして,幅広く検討を進めてまいりたいと存じます。
 本年度予算の9月補正でありますが,歳出予算は,当該年度の支出の見積もりといたしまして,経費の上限を設定するものであることから,予算を使い切ることなく,常に経費の節減に努めるということは重要であると考えております。
 今年度は,現下の厳しい財政状況を踏まえまして,従前よりも一層厳しい執行保留を行ってきておりますが,さらに今週庁内に通達を発しまして,さらなる経費節減に向けた取り組みを周知徹底したところであります。また,今年度事業で縮小等が可能なものがあるのかどうか,財政当局と各部局との間で,現在調整を進めているところであります。さまざまな取り組みの結果,補正予算で対応する必要性が生じてきたときには,そのように適切に対応してまいりたいと存じます。
 次に,地方公共団体財政健全化法等についてであります。
 まず,所見についてでありますが,地方財政健全化法は,地方公共団体の財政の健全化に関する比率の公表の制度等を設けまして,住民議会によるチェックのもと,財政悪化を未然に防止し,みずから財政規律を確立していくということを目的としておりまして,また財政再生団体へ移行する基準についても,国の判断によることなく,法律に基づいた客観的な指標の数値により,判断される仕組みであるということから,これは地方分権の趣旨に沿ったものであると受けとめております。
 聖域なき削減の情報公開でありますが,本県の厳しい財政状況について,広く御理解をいただくために,先般発表いたしました財政危機宣言や財政に関する中長期試算などを県のホームページに掲載いたしております。また,国の方針も踏まえまして,平成21年度までに貸借対照表等の財務諸表を連結ベースで整備をいたしたいと考えております。
 今後,さまざまな広報媒体を通じまして,県民の皆様にわかりやすく御説明をいたしますとともに,今後の取り組みにつきましても,適時適切にわかりやすく情報提供するように努めてまいる所存であります。
 次に,包括外部監査制度でありますが,県では,11年度から制度を導入しておりまして,専門的知識を有する公認会計士や弁護士を包括外部監査人といたしまして,これまで毎年度,財務に関する事務の執行等につきまして,監査結果の報告を受けており,19年度は指定管理者制度について結果報告を受けたところであります。
 今回,地方公共団体財政健全化法においては,包括外部監査人による財政指標の調査権が明記されるなど,その役割はますます重要となっておりまして,お話のように,包括外部監査制度の一層の活用を図りますとともに,監査結果を踏まえ,適切に対応してまいりたいと存じます。
 市町村との関係でありますが,今回の改革を進めるためには,市町村の十分な御理解,御協力が必要不可欠であります。今後,県民サービスにも十分留意しながら,県と市町村との役割分担といった視点からも,あらゆる事業をゼロベースで見直すこととしておりまして,市町村に対する補助金のあり方など,少なからず市町村にも影響があることから,市町村の御意見も十分にお伺いをしながら,丁寧に調整を進めてまいりたいと思います。
 地元選出国会議員への説明等でありますが,これまで県政懇談会を初め,さまざまな機会を通じ,県政運営について御説明や意見交換をさせていただき,御理解を得られるように努めてきたところであります。今回の財政危機宣言や財政構造改革についても,地元選出国会議員の御理解と御支援を得ていくことが重要でありますので,東京事務所なども活用しながら,情報提供に努めますとともに,十分に御意見もお伺いをいたしまして,持続可能な財政運営の確立に向けた改革を進めてまいりたいと思います。
 実績についてでありますが,私は,就任以来12年間,郷土岡山の発展のために,これまでに築き上げてまいりました人脈や経験を生かしまして,ありとあらゆる努力を重ねながら,県勢の発展に邁進をしてきたところであります。また,国に対しましては,地方分権の推進や地方税財源の充実につきまして,直接あるいは知事会を通じまして,強く求めますとともに,本県の発展に必要な事業等につきましては,国と連携をしながら,全力を挙げて推進をしてきたところでございます。
 道路特定財源の一般財源化についてでありますが,道路特定財源を一般財源化するか否かは,国における予算のあり方の問題であると考えておりますが,いずれにいたしましても,地方における道路整備に必要な財源は,国において責任を持って確保されるべきであると考えております。
 また,一般財源化の議論に当たりましては,地方の税財源を充実するなど,地方分権が強化される方向で検討されるべきものであると考えております。
 最後に,財政面の関係でありますけれども,地方財政計画は,地方が標準的な行政水準を確保するための財源の保障などの役割がありまして,特に交付税制度を通じました財源保障につきましては,極めて重要な機能であると考えております。一方で,国の制度により義務づけられ,地方にとって裁量の余地の少ない社会保障関係経費などが,少子・高齢化の進展等に伴い,増大の一途をたどっているということや,平成16年度の交付税ショック以降,交付税の抑制傾向が続いていることが,地方財政を圧迫している,その大きな要因であります。
 そのため,地方が真に自立した行財政運営を進めるためには,必要な地方一般財源総額の確保や地方税財源の充実が不可欠でありまして,引き続き国に対しまして,強く訴えてまいりたいと存じます。

(副知事)  私のサポートについてでありますが,就任以来,所管分野におけるさまざまな課題が少しでも前進するように,私なりに努力をしてまいりました。
 行財政改革,とりわけ財政の健全化に関しても,総務部や他の部局とともに努力をしてきたつもりでありますけれども,私の在任中にこのような財政状況に立ち至っていることにつきましては,大変心苦しく申しわけなく思っているところでございます。
 今後は,持続可能な財政運営が実現できますように,県議会の御指導をいただきながら,知事や多くの県職員の方々とともに,微力ではありますが全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

(総務部長)  財政再生団体転落の可能性に対する認識についてでございますが,ことしの2月には,3年間の中期見通しを公表し,また本県の財政問題に関するさまざまな御意見をいただいた2月議会での議論を踏まえ,今後の長期的な傾向や構造的な問題点を把握するために,現在の状況が続いた場合の向こう10年の傾向を分析したところ,本県が財政再生団体に転落する水準を大きく上回る収支不足が構造的に生じる見込みであることが判明したところでございます。
 いずれにいたしましても,御指摘いただいた点は,謙虚に受けとめており,今後一層,的確な情報分析に努めるとともに,十分な説明に心がけてまいる所存でございます。

(佐藤)  再質問というよりも,感想を申し上げたいんですけども,私自身は体を張ってした質問のつもりだったんですけれども,伝わらなんだなということで,僕は怒らないタイプなので,ここからは,寂しいなという気持ちが今物すごくいたしております。これはこれでもうしょうがないなと思います。
 要は,知事が,非常事態,トップとして宣言されました。ですから,非常時には,やはり非常時の対応をしていただきたいな。我々議会も,責任のなすり合いをしている人はだれもいないと思います。それぞれの持ち場でそれぞれのベストを尽くしたい,そんな思いがあるわけでございますし,恐らく知事が岡山県を愛しているという以上に,我々議員一人一人はもっと岡山県を愛していると思います。
 私たちは,本当に知事がこのリーダーとして,みずから体をなげうって,岡山県を守ってくれているな,その思いを確信したかっただけでございます。今回,とりわけ自民党の青年部局に該当するような若い世代の議員が,多く,激しい質問をさせていただきました。私自身も,いつになく,あるいはいつもに増して厳しい質問だったと思いますけれども,それだけ私たちの世代は,これから親が高齢者になっていく,そして子供たちを守っていかなくちゃいけない。ある意味で,20年,30年,私たちがこれから闘っていかなくてはいけない。そして,その人生の舞台は岡山県だからこそ,体を張って守りたい,そしてその守る気持ちを知事と一緒に共有したかった。その思いが一緒になればいいなという思いで,みんな叫んでいたんだと思います。
 ただ,残念ながら,今回,それがどうも伝わっていないんだなという気持ちがいたしておりまして,これはもう御性格もありますので,とやかく言っても仕方がありませんので,知事にも,そういうお気持ちもあるんだろうということで,特に質問ではございません。私の感想を申し上げて,終わらさせていただきます。ありがとうございます。



<平成20年2月定例会>(2008年3月6日)

(佐藤)  我が党もうれしいことに,大変層が厚くなって,こうして一般質問をさせていただける喜びを一回一回しっかりと生かさせていただきたいと思いますので,どうぞよろしくお願いいたします。
 とはいうものの,今回も提言させていただくネタはあり,準備もしておったんですが,趣向を変えました。ここ数年,短時間に早口でどれだけ具体的な答えが出る提言ができるかをのみ考えていたため,ややもすれば問う方も答える方も聞かれる方もどっと疲れるという状況になっておりました。本日は,深く深く反省いたしまして,少しゆっくりと,しかしやっぱり知事には心底疲れる質問をさせていただきたいと思いますので,しかしこれは私の優しさでございますので,よろしくお願いいたします。
 私は,かねてから執行部の勉強会で練られた予測可能な答弁書,そこから離れた,そんな答弁,つまりはアドリブのある知事御自身の言葉で答弁いただきたかったので,きょうは勉強会も答弁書も要らない質問を幾つかさせていただきます。知事個人にお伺いいたしておりますで,どうお答えになるかは,まさに知事の御自由でございます。文字どおり個人質問をさせていただきます。そして,願わくばこの質問の答弁をいただいた後,だれもが石井知事を大好きだと言えるようになればよいなというのが,私の本音でございます。
 ところで,早いもので私も県議会議員に当選させていただいてこの4月から10年目に入ります。初当選をさせていただいた秋に結婚して翌年にできた子供が,この春から小学校2年生になります。私自身の議員としての成長は,まさにこの子供の成長のスピードのように,実にゆっくりしたものでございますが,今,息子が乳歯が永久歯に生えかわる,みそっ歯なようなことでございまして,子供の中にちょっと大人もあるといった状況でございます。ただ一方で,片山前鳥取県知事が2期目で退陣されたときに,「その人が10年かけてできないことはその人にはできないのだ」と言われた,その言葉もこの9年間,何をやってきたのかなと,自分の頭に重くのしかかっております。自分でなければもっとうまく,あるいは早くやれたかもしれない。今ここに自分が議員としている意味,ここまで何をしてきて,これから何をするのか。私は私なりに10年目の答えを出そうとしておりますが,10年という年月は本当に重いものでございます。
 ところで,厄年を過ぎますと,ああ,わしゃあいつ死んでもおかしゅうねえなあと,人生は確実にUターンしているとも感じます。それでも,子供の寝顔を見ていると,せめてこいつが学校を出て社会人になるまでは,いやいや結婚するまでは,いやいや孫の顔を見るまではと,元気で頑張りたいなあとも思います。しかし,子供が生まれて10カ月のときの平成13年の9月定例会でも申し上げましたが,子供たちに何を残せるのか,子育て世帯は皆苦しんでおります。彼らの時代には,何もよいことがないかもしれない。既に多くの借金を背負って,これからも平気でツケを回されるでしょう。少子・高齢化が進んで,さらに国際的な緊張の中で,ずっと今よりも不安な社会で,エネルギーも食料も枯れていく,そんな状況の中で彼らは生きていかなくてはならないのです。自分たちの受けてきた以上の幸せは,子供たちに与えられないかもしれない。親としてどれだけ情けないか。今をやり過ごしても将来の経済的不安,社会的不安がどんなに大きいか。私たち子育て世代は,子供たちのために,そして老いていく親の世代のために戦う捨て石世代でございます。私たちは,戦いを続けなければなりません。政治は,未来の子供たちのためにあります。今,声が出せる,意見が言える人たちのためだけではありません。しょせん人間は死にます。人類という流れの中ではバトンランナーにすぎない。何を引き渡したか,それがその時代の人類の人間の評価です。岡山県が未来永劫続くとは思いませんけれども,我々の価値は何を後世に手渡したかですぐに判断してもらえると思います。私は,常に私自身にも終わりがあること,そしていかに引き渡していくか,それを強く意識しながらこの時代を生きる役割を果たしていきたい,そのように思っております。
 ところで,来春,岡山市を政令指定都市にしたい,その思いで頑張っているわけでございますけれど,どこかで実は切なさも感じております。岡山市・加賀郡選出の議員として,県議会議員て何なんだろう,あるいは県て何なんだろうと,そのように考えない日は,一日たりとてございません。そして,10年先を漠然と考えるのですが,正直なところぼんやりとかすんでいるような感じがいたします。53歳になるんですけども,自分の姿が想像がつきません。しかし,あしたたとえ死ぬことがあっても,「あしたはきょうよりもすばらしい」と言い続ける,沈み行くタイタニックに乗っていても,「大丈夫です,あの世はすばらしいですよ」と言い続ける,そのために努力する。夢,すなわちあしたへの希望を掲げる。そして闘い続けるのがリーダーたらんとする者の役目だろうと思うきょうこのごろでございます。年齢も全く異なって,地方の大統領である知事と一議員が比較になるとは思っておりませんけれども,こういった私自身の思いのもとに,人間石井正弘知事を掘り下げながら,政治家石井正弘知事の思いを本日は伺ってまいります。
 知事は,我が党の代表質問に答えられて,4選目の出馬表明をされました。そして,この3期12年余りの成果について,これまでの行財政改革などに触れて,「債券発行団体の格付では,他県と比べて遜色ない評価を得るまでになり,本県飛躍の新たなるスタートラインに立てたと認識している」とされました。これはもちろん12年目でやっとスタートラインに立ったという意味ではないと思います。それは遅過ぎます。私もよく人から聞かれるんですが,これ根本論で恐縮なんですけれども,知事はそもそも何で政治家になろうと思われたのでしょうか。この12年は,石井正弘という政治家にとってどんな12年でしたか。かばん1つで岡山駅におり立たれたときから最もつらかったこと,うれしかったことは何でしょうか。そして,やり終えたと思えること,やり残したと思うことは何でしょうか。そして,その中での支えは何だったでしょうか。その支えが内助の功だというのはやめてください。男性には,口に出さないでも皆感謝しておりますし,男は皆そうでございます。また,仮にこんなに財政難に苦しむ県でなければ,知事は本当は何を得られたかったのでしょうか。「負の遺産ばかり引き継いで,石井さんはええ人なのに随分かわいそうな人じゃあ」という声にはや10年過ぎた今,いかように答えられるでしょうか。これで本当にやられたかったことのスタートが切れるのでしょうか。あえて伺いますが,今は政治家石井正弘知事の何合目にある,そのように御認識でしょうか。
 また,「道州制議論に深く関与してきたが,実現への道筋を明らかにしていくことが私に課せられた責務と考えている」ともおっしゃられました。正直なところ,道州制の道のりは私自身も漠然としております。私は,何よりもやはり道州制の議論の根本は,800兆円を超える,要は国民1人当たり600万円もの借金を持つ我が国がこのままでは維持できないからこそ行政機構を組みかえることにある,そのように思っております。政令指定都市もしかりで,つまりそうしないと地域間競争に勝てない,生き残れないから,私は推進の立場に立っております。道州制,政令指定都市論は決してバラ色の話ではなくて,生きるか死ぬかの究極な選択の話ではないか。これをしなければ死ぬからそうするのだ。きれいごとではないと,私は考えております。そして,まごう方なく市町村といった基礎自治体が自立していく中で,県という機構をある意味破壊する,焦点は今後そこに移ってくるのではないでしょうか。言葉は,極めて適切ではないんですけれども,これからどんどん県がやり玉に上がってくる。ある意味自己否定を重ねていくしかない。ますます苦難の時代が待っていると,私は認識しております。はっきり言って,組織としてはもう余りよいことはないかもしれないな,それでもあしたの子供たちのために夢を掲げて闘っていくしかありません。ぜひとも,まずはこうした道州制への道筋を明らかにしていただきたいと思います。
 ところで,そのために大切なのは,当然ながら目標の具体的イメージでございます。例えば,20年後,私は今の知事の年齢になっておりますけれども,そのとき道州制が導入されていたとして,道州制が導入された後の岡山県庁,ここはどのようになっているでしょうか。(「州都」と呼ぶ者あり)はい,そうなればよろしいんですが。耐震構造のこの内山下の建物は何に使われているでしょうか。この議場は,やはりないでしょうか。県民局や支局はどうなっているでしょうか。経済産業局,農政局,地方整備局などの国の出先機関はどうなっているでしょうか。県内の市町村はどうなっているでしょうか。県庁職員の方々はどうなっているでしょうか。岡山県の抱える1兆2,000億円を超える借金は,どうなっているでしょうか。夢でも構いません。道筋を明らかにする,その目標の具体的なイメージを,それで我が国が救われるのか,私たちの子供たちのためになるのかどうかを含めて,そのイメージを教えてください。
 一方で,このところ東国原宮崎県知事や橋下大阪府知事の誕生という,一概にタレント知事とばかりも言えない知事の登場が話題をさらっております。時として,こうした現象に対してマスコミがつくり上げた偶像に有権者が躍らされているんじゃないか,そうした評価もあるわけですが,私は全くそのように思っておりません。彼らに共通しているのは,官ではなく民の人であるということです。感性が市民・県民に近いのです。そして,今よりよくなるかどうかわからんけれども,ともかく今を変える,閉塞感を打破する,強烈な変革を求めているのだと思います。そして,そこにおのれをなげうっている,捨て身の姿が感じられるからこそ共感を呼ぶのではないでしょうか。行政経験の有無が問題なのではなくて,彼らなら旧弊を打ち破ってくれる,あるいは私たちと同じ感性で一緒に笑ってくれる,泣いてくれる,怒ってくれる,ある意味で官と闘ってくれる,そう思うから応援するのだと思います。
 かつて西郷南洲は,「命もいらず,名もいらず,官位も金もいらぬ人は,始末(しまつ)に困るものなり。この始末に困る人ならでは,艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり」という遺訓を残されています。いつの間にやらいろんなことが惜しくなる,守りたくなる,逃げたり投げ出したり責任をとるのが怖くなる,だから物事が変えられなくなる。そのことを私自身も自戒いたしますが,知事は民の代表として闘う,そういう他府県の知事の姿をどう感じておられるでしょうか。知事は,官の代表でしょうか,民の代表でしょうか。東国原宮崎県知事や橋下大阪府知事に,その思いにおいて決して負けることはないですよね。
 さて,「人は石垣,人は城」ということを申しますけれども,恐らくこの議場で今まで10年以上も同じ席,そこに座り続けておられるのは,知事だけでございます。我々も4年間の間には何回か席かえがあったり,4年過ぎるともっと席がえがあるんですけども。幹部職員の皆様は,10年前とがらりと変わられております。そういえば,太田房江前大阪府知事もおられたことがありました。知事にとって,こうして御一緒に議場のひな壇に並ばれている幹部職員の方々とは,何でしょうか。ほかのだれのアドバイスを受けるのではなくて,知事が御自身の御判断で選ばれたわけですよね。そして,県庁職員の皆さんは何でしょうか。特に,若い職員の方々に行財政改革が続き,しかもこれから大きく変貌していく県という組織において,どんな夢のある言葉をかけられますか。そして,幹部職員と幹部職員以外の職員のそれぞれに何を期待されておられるでしょうか。
 加えて,あえてひとつお願いしたいことがございます。どういう答えになるにせよ,今,一番苦しんでおられるのは,私は第三セクターであるチボリ・ジャパン社の若い社員の方々である,そのように思っております。先日,ある祝賀会で,1人何芸も持つ若い社員の方が一生懸命パフォーマンスをされて,笑顔で「チボリに来てください」と叫んでいる姿に,私は涙が出ました。坂口社長は,経営者として,未来のある若者たちの夢を守るために闘っておられる,私はそのように認識しております。あるいは私は,知事にはその気はないと思っておりますけれども,知事のお言葉に人生が翻弄されて日々戸惑っている若い社員もおられるかもしれません。ある意味,岡山県を信じて,岡山県と夢を共有している,人生をかけているチボリ・ジャパン社の若い社員に,今どんな言葉をかけられるでしょうか。
 ところで,こうした人に関して,公務員の適正な処遇及び職員の皆さんが,意欲と誇りを持って職務に精勤するために,岡山県人事委員会の役割は極めて大きいと言えます。岡山県人事委員会の岡山県職員の給与等に関する報告及び勧告を読むと,さまざまな気づきがあります。例えば,人材の確保として,公務外の人材の活用が報告されています。また,人材の育成の項については,モチベーションの維持向上という言葉があり,若手職員の方々が大変に気になります。また,総実勤務時間の縮減の項では,管理監督者は時間外勤務の状況を把握し,業務の進行管理を行うことが職責の一部とされていて,過重労働の現状はいかがなものかと思います。さらに,今年度は定年の延長等必要な対応を検討するという,高齢期の雇用問題という項が新たに立てられています。まずもって,こうした勧告はまさに職員の方々にとっては命綱と言えると思いますが,地方分権が叫ばれながら,もちろん現場職員の声を受けつつも,人事院の勧告の影響が多分にあるように思います。人事委員会の役割とは何ぞやを含めて,職員の方々の抱える大きな課題は何と認識されているのか,お伺いいたします。!

 また,昨年度の人事委員会の報告では,多様な勤務時間制度の導入に向けた検討を進める必要があるとされていますが,職場の実情等に応じた柔軟な勤務を実現するため,全職員を対象としたフレックスタイムの導入について,知事の御所見をお伺いいたします。
 さらに,職員の方々が意欲を持って働く上でしっかりと職員の方々の声が知事の耳に届く仕組みが必要だと思いますが,どのようになっているかを含めて,今,職員の皆さんの勤務の環境がどういう状態にあると認識されておられるかを含めてお伺いいたします。
 さて,任期付き採用等による外部人材の活用についてでございますが,行政の高度化,多様化,国際化などが進展する中で,部内育成だけでは得られない有為な部外の人材を活用するため,平成12年11月には,任期付職員法が制定されました。外部人材の活用は,現在どのように行われ,今後いかなる部署に活用していくのか,お伺いいたします。
 特に,これは知事の言葉でございますけれども,「民間企業等で専門的知識あるいは経験,幅広い人脈というものを十分に生かしていただきまして,従来の枠にとらわれない,そういう斬新な考え方によりまして,業務を推進していただきたいと考えております」として鳴り物入りで民間公募を行いました。県庁には,ハマちゃんを守るスーさんはおらなんだんかなあと,どこかで思うような,本当に残念な結果になってしまいましたけれども,私はむしろ特定の一個人の特別な事案をもって,コンプライアンスをお題目に,功績のすべてを否定して行政が今後民間という異分子を排除する,そうした言いわけにしたり,挑戦することに萎縮したりすることの方を恐れております。結局,最後は行政が失敗を恐れて何もしなくなるだけじゃないのか,あるいは協働の相手である民を締めつけるだけになるんじゃないのか,行政にとって民とは何なのか。
 そこで,行政内部に外部人材を入れていくことの意味,今後の方針をお知らせください。
 ところで,外部人材といえば,山口副知事を初めとする,いわゆるキャリアの方々が象徴的でございます。ある意味,岡山県の心臓部とも言える県政の極めて重要な部分をこうしたキャリアの方々に担っていただいております。このように,国から自治体に幹部としてキャリアの方々が派遣される場合の,失礼な言い方ですが,自治体のメリットは何なんでしょうか。国に戻られたら我が県と国のパイプになってくださるのでしょうか。あるいは若い幹部がいれば,同世代の自治体職員にとってよい刺激になるんでしょうか。中央官庁で経験されてきた政策的な取り組みを,我が県の同世代の職員に語っていただいているんでしょうか。総じて,私はキャリアの方々は,識見も人格も優秀な方々が多いと,本当に感じております。しかし,地方分権を叫ぶ一方で,こうしたキャリアの方々を幹部職員として招致する意義について,そしてなぜ心臓部に当たるポストに据えられるのか,御自身もキャリアであった知事にお伺いいたします。
 また,キャリアを代表して,「在任中は骨を埋める覚悟でございます」といった美辞麗句は結構でございますんで,地方分権が叫ばれる中,山口副知事と総務部長に,いわゆる外部人材としての御自身の役割の御認識についてお伺いいたします。
 あわせて,何か事があれば知事や副知事を本部長とする対策本部が立ち上がって,非常に周到に用意された各部の施策の突き合わせが行われます。本当にそれが機動的,効果的な総合対策なんでしょうか。特に,防災面で有事に知事や副知事が本部長になって指揮を執られて,本当に県民の生命や財産がしっかり守れるんでしょうか。知事や副知事を本部長とする現在のさまざまな対策本部が具体的に十分な成果を上げているのか,お伺いいたします。
 今,ちょうどアメリカの大統領予備選が行われておりますけれども,御案内のとおり,残った任期を消化しているアメリカの大統領を傷ついたアヒルに例えることがございます。失礼ながら,激戦の予備選挙が話題になる中で,ブッシュ大統領は,今,精彩を欠いているような状態でございますが,知事がアヒルではなくてフェニックスになることをどこかで祈って,あえてこういった失礼な質問をさせていただきました。最初に申し上げたように,だれもが石井知事を大好きだと言えるような,そんな答弁になることをお願いして,質問を終わります。ありがとうございました。


(知事)  自由民主党の佐藤議員の質問にお答え申し上げたいと思います。
 今までとちょっと変わったスタイルでの御質問をいただきまして,ただ整理いたしますと,相当多くの数の質問事項がございまして,すべてお答えできるかどうかは御容赦いただきながら,なるべく議員のお気持ちにこたえる,そういう姿勢で答弁をさせていただきたいというふうに思っております。
 私自身12年前を振り返っておりますが,政治家にどうしてなったのか,それはもうまさに青天のへきれきでございまして,ある日突然そのような話が舞い込んでまいりましたが,ちょうど12年前の今ごろだったかなというふうに思い出しております。長野知事の今後につきまして,地元の関係の方々からお話が入ってくるようになりました。そういった中で,私も建設省の中で県人会の会長を務めておりましたので,岡山県のことはよく地元の方々とお話させていただいて情報も私自身も収集する中で,ふるさとへの思いというものは十分あったと,だれにも負けないものはあったというふうに思っておりますが。そういった中で,具体的な知事選出馬ということにつきましては,本当にこれは先ほど申し上げましたとおり大変な大きな,私にとりまして人生の節目でございますので,悩みに悩んだということは,当然ございました。しかし,そのとき私の岡山県出身の大先輩に御相談させていただきましたところ,人生においてはいわゆる清水の舞台から飛びおりると,そういうときが必ず1回はあるんだと,そのときが来たのかどうかは君自身で判断しろと,このようなお話をいただきまして,そういった言葉はやはりある意味で私自身の出馬を促していただいているのかなと,こういう思いを私は受けとめたわけでございます。
 そういったことで,かばん1つで岡山駅に帰ってまいりました。帰ってきてすぐでございましたけども,大変私にとりましては最も強敵といいましょうか,一番強い相手の方が出馬表明されるということになりまして,それが私の人生にとりましては,まさに一番厳しいときであったというふうに,今,振り返っているわけでございます。ことしはねずみ年,そのときもねずみ年でございましたが,私をねずみと例えれば,相手の方はまさに巨人中の巨人ということでございまして,知名度の差というものが大変重い課題でございまして,幸いにして多くの多くの県民の皆さんに,私自身のその支援活動を広げていただきまして,そしてあのような激戦,そしてその結果が本当に五千数百票差というあの接戦を制することができたということでございまして,そういった面におきまして,私自身の政治家活動が始まったという思いであるわけでございます。
 この間今日に至るまで,何ができたか,何ができなかったかということでございますが,まずは就任早々一番驚きましたのは,やはりその起債償還という,いわゆる借金返しの比率,この数字が全国で最も厳しい,しかも第2位の県を圧倒的に離しておるという,本当に本当に厳しい数字でございまして,一方でいわゆる現金,貯金というものはほとんどないというところからスタートしたわけでございますから,まさに今の流行語で言えば,「どげんかせにゃあいかん」と,こういう思いで私も行財政改革,これをまず第一に掲げまして,皆様方に本当に痛みを分かち合っていただきながら改革を進めてまいりました。しかし,そういった面で借金返しのピークは過ぎましたものの,依然としてその収支不足という大きな課題があるわけでございます。しかし,その借金返しという重荷を,これを背負っての県政というものが脱却できたということが,私は新たなスタートに立つことができたという表現を使わさせていただいておるわけでございます。何ができて何ができなかったか,いろんな思いがございます。それは,たくさん財政が豊かであればやりたいことは多々あるわけでございますけども,しかしそれはもう「選択と集中」ということで,集中的にやるべき方向に財政を集約していくと,こういうことに一点に尽きるわけでございまして,この点も本当に県議会の皆さんからいろんな御意見をお伺いし,また,青空知事室等で県民の皆さんの意見も直接お伺いいたしまして,私自身でこの県政の重点方向,そういう方向性を打ち出して今日まで県政を推進してきたと,こういうことであるわけでございます。
 今,初心に立ち返りまして,今後を考えるわけでございますが,やはり岡山県が持っておりますすばらしい陸海空の交通基盤であり,産業基盤であり,あるいは人材と,こういったものを有効に活用いたしまして,本当に21世紀に大きくこれからも飛躍し続けることができるような,そういう岡山県をぜひ目指していきたいと,こういう思いの中で,やはり経済の活性化,これを第一にやっていきたいなというように思います。また,岡山県をどんどん外に売り込んでいくと,こういったことで人と物と情報が行き交う,こういう岡山県をぜひ目指していくという,この骨太の一つの大きな方針を立てまして,そしてその上で,それであれば大事なことは,やはり産業人材,人づくり,あるいは子育て,こういったところに当然のことながら力を入れていかなければ将来の発展がありません。一方で,安全・安心というのは,もう当然のこれは基礎的な生活を,あるいは産業を振興するために大事なテーマであるわけでございまして,こういったようなさまざまな課題をぜひやっていきたい,そのためには必要な行財政改革をしっかりこれからもやっていかなきゃいけない,地方分権改革もやる必要がある,こういう思いを今持っているところでございます。
 山を登って何合目かというお尋ねもございました。私自身もスタートしたときには,まだまだ山へ登るふもとまで来てないような状態でございました。まずは,とにかく財政をしっかり立ち直らせなければいけない思いでございましたので,そこから山道を歩いて登ってきたわけでございます。いろんな登り方があろうかと思いますが,途中で16年のような大幅な交付税ショック,これで私は山がまた一段と高い山になったような感じが,今しております。しかし,こういったことに対しましては,とにかく皆さん方の御協力をいただきながら,さらに一層力強い県政をこれからもしていくために,行財政改革をしっかりやって,足腰の強い財政運営,これをやっぱりやっていかなきゃいけないと,こういう思いを持っておりまして,いずれにいたしましても,県民の皆さんの支え,これがもう一番でございます。県民の皆さんの声をしっかりとこれからも承りながら,夢と希望に満ちた,その山の頂上を目指しまして,これからも歩みを続けてまいらなきゃいけないと,こういう決意であるわけでございます。
 そういった中で,道州制についてのお話をちょうだいいたしました。これはもう今のお話いただきました閉塞感あふれる地方の状態,格差の問題,そしてもっとはっきり言えば東京の一極集中,これをやっぱり変えていかないと,国際社会において日本の将来の発展はないと,こういう思いを私は強く持っております。もうとにかくいろんな企業が東京に集中しております。また,いろんなマスコミもそうでございますし,教育,文化,いろんな面が東京に集中しておりますけれども,やはりこれからの日本の将来ということを考えますと,それぞれの地域が光り輝くような,それぞれの地域が自主的主体的なまちづくりを進めていく,このことによって日本全体が勢いづいてくると,こういう思いであるわけでございまして,だとしますと,もう国は外交,防衛,司法,こういったような国家の基本的な国益の確保とか国家の存立にかかわるような事務に専念していただきまして,もう内政は地方にゆだねてください,道州がその受け皿になるんだと,そしてまた市町村が地方分権型の社会のその中心になるんだと,こういう思いであるわけでございまして,こういったような道州制を描きながら,私も議論に参画してまいりました。
 お話いただきましたような,例えば,この県庁の建物が,議事堂がどうなっていくんだとか,あるいは抱えております負債がどうなるのかと,こういったようなことの具体的なイメージは,残念ながらまだ描ける段階ではございません。だからこそ,逆にまた道州制の意義とかメリット,こういったものをわかりやすく県民の皆さん,国民の皆さんにお示しすることが最も肝要かと思います。間もなく私が参加しております道州制ビジョン懇談会,こちらの方で中間報告が出るわけでございまして,その中で政府としての審議会から一定の方針が出るということは,この議論が大きくこれによって加速してくるものと,このように思います。国の形を変えるような大改革であるわけでございまして,これを実現するためには,もう明治維新に匹敵するような,国民全体の大きなエネルギーが私は必要だと思っておりますけれども,地方分権改革の究極の姿といたしまして,私自身,我々の子やあるいは孫に,豊かで生きがいのある社会,これを残していくためにも,この問題は避けて通ることができない大きな問題であると,私は考えているところでございます。
 そして,それに関連いたしまして,宮崎県,そして大阪府,両知事のお話を引用されましての今後の民の代表としての闘う知事像というお尋ねをいただいたわけでございます。お二人とも本当にそれぞれの県,府内のみならず,もう全国的にも大活躍されておられまして,心から敬意をあらわさせていただきたいと思います。お二人が手がけておられます,いわゆる行財政改革,もうこれはまさに私自身も就任したときに財政再建団体に転落してはいけないという思いでやってまいりましたので,同じような思いで取り組んでいらっしゃるんだなと,このように感もするわけでございます。
 県政をどういう視点で行っているのかというお尋ねでございます。私は,これは明らかにもう県知事というのは,県民の代表であるということでございますから,県の中におけるトップというのではなくて,県民の皆さんの代表として県庁の中に私は送り込まれたんだと,こういう緊張感を持って,県庁の外から見ておかしくないような,特に外からチェックしていただいているんだと,こういう思いで私は県政を推進してまいりました。そういった面で,さまざまな透明性を上げる,あるいは公平性を,あるいはまた情報公開,こういった観点から,諸改革を今まで行ってまいりましたのも,県民の皆さんのための県政を推進していきたい,こういう思いで行ってまいったわけでございます。そういった面で,私は私のスタイルでこれからも県勢を大いに飛躍させていこうと思っているわけでございますが,これからの県政はやはり県民のための県政ということでありますので,県民の皆さんとの協働の県政をしっかりやっていく,県民の皆さんとなお一層の信頼関係を築いていくということが一番大切だと思っております。県政は,県民の幸せと豊かな生活の実現のためにあると,こういう信念のために,私自身も両知事には負けない強い思いを持ってこれから県政により一層力強く粉骨砕身の努力を傾けてまいりたいと考えているところでございます。
 その関係で,幹部職員についてのお尋ねをいただきましたが,職員の皆さんはもう私とともに政策を考えて,そしてそれを実現していくための非常に大切なパートナーであると,このように思っております。とりわけここに並んでおられます幹部職員は,私自身の政策推進のかなめでございまして,最も熱い期待,そして信頼を私は寄せているところでございます。昨今の財政状況は非常に厳しいものがございまして,この行財政改革等にも取り組んでいくと,こういうことでございますから,ますます職員との密接なこのパートナー関係というものが大切であるわけでございまして,そういった意味からも,また,県政に寄せる県民の期待はますます高まっている,そういった観点からいたしましても,ますます職員の皆さんお一人お一人に寄せられる期待というものが大変高まってきております。責任も重い,こう思います。職員の皆さんにおかれましては,そういう立場でよりこれからも一層誇りを持って,また,責任感というものを持ち合わせていただきまして,職務に精励,励んでいただきたいというふうに思います。
 また,とりわけ若い職員です。私は,若い職員にはたびたび話をする機会があるわけでございますけれども,将来を担ってくれる若手職員には,ますますこれからも自分自身自己研さんで,まず磨いていただいて,そして自分自身が勉強した後に,将来を展望していただいて,あしたの岡山県を自分自身が築いていくんだという,そういう強い気概を持って,そしていろんなことにぶつかりますけれども,それにくじけず,前向きにチャレンジ精神を持って,その仕事に当たっていただきたい。このことをたびたび強くお話させていただいているところでございます。
 これに関連いたしまして,チボリ・ジャパン社の社員の皆さんへの言葉ということでございます。私といたしましても,このような重大な局面に立ち至っているということにつきまして,社員の皆さん方が非常に不安に思っておられるのではないかと,このように思っております。本当に憂慮しているところでございますし,私自身,本当に心が痛む,そういう思いであるわけでございます。困難な状況に,今あるわけでございますけれども,その中にありましても,坂口社長のもとに社員の皆さんが一致団結されまして,公園の魅力づくりに日夜懸命に励んでいらっしゃいます。本当に頭が下がる思いであるわけでございまして,心から感謝申し上げますとともに,これからもより一層魅力ある公園づくりのためにこれからも頑張ってください,公園に来られる方々に満足していただけますように,一生懸命これからも取り組んでていただきますように,本当に心からまたエールを送らさせていただきたいと,このように思っているところでございます。
 職員の処遇に関しまして,フレックスタイムの導入でございます。この点につきましては,ちょっと細かくなりますので,詳細を御説明申し上げますと,今,国の制度に準じまして試験研究業務に従事する職員,これを対象といたしまして,平成8年度から導入しております。これに類似する制度でございますが,育児とか介護に従事する職員,これを支援するために早出,それから遅出の勤務制度,これは19年度から導入しているわけでございます。御質問いただきました全職員を対象といたしましたフレックスタイム,これを導入するということにつきましては,これは国の動向も踏まえながらいろいろ考えていかなきゃいけないと考えておりますが,県民サービスをいかに確保していくか,あるいは効率性等々のさまざまな課題もございます。国の動向も踏まえつつ,慎重にこれを検討させていただきたいと思います。
 それから,職員の勤務環境等でございますが,県政を進めていく上で職員の皆さんが生き生きとやりがいを持って働くということは,大変大切であります。今,マイプラン発信制度,あるいは夢づくりチャレンジ県政政策研究会,こういった制度を設けておりまして,若い職員の皆さん方を含めまして,職員の皆さんからの意見とかアイデア,提言,こういったものをいただくこととしております。また,職員と日々接しております管理職の皆さんに対しましても,日々職員の声にしっかりと耳を傾けるように,私自身たびたび指示しているわけでございます。行財政改革に取り組んでいる非常に今厳しい状況の中でございますけれどもも,職員が職務に精励していただいているということは,十分私も認識しているところでございまして,今後とも職員の皆さんの声に耳を傾けまして,その勤務環境の改善等に努めてまいりたいと存じます。
 次に,行政への外部人材を導入することでございます。
 特定の行政分野につきまして,民間企業等で培われました,そういう専門的知識とかあるいは豊かな経験,こういったものを持っておられます人材を生かしていくと,活用していくということは,これはもう県行政を全体を活性化していくという観点からも,私は大変これは大事なことであると,こう思っております。この外部人材を活用する方法でございます。いろいろございます。御指摘ございましたような任期付き採用という制度も今回ございますし,また,諮問機関等の委員であるとか,あるいはアドバイザー的な非常勤職員への委嘱と,こういったことなど,さまざまな方法がございます。時代とともに変化いたします行政課題,これに対しまして的確に対応していくために,私は今後とも外部人材,これを登用していく,外部の方々が持っております知恵とかノウハウとか経験,こういったものを大いにこれから県政に生かしていきたいと,このように考えているところでございます。
 国のキャリア職員の派遣に関しまして,意義についてのお尋ねでございますけれども,国から県へ派遣で来ていただきました職員の方々に対しましては,中央省庁におけるさまざまな経験を持っていらっいますし,また,国ならではの専門知識等を数多く有していらっしゃるわけでございますから,ぜひとも県の立場に立ってそれらを県行政の中で生かしていただきたい。今までの経験をぜひまた生かしていただきますとともに,国の方に帰られましても,県で経験したことを大いにこれから生かしていただきたい。こういう役割を期待しております。
 確かに,地方分権が今進んでおりますから,こういうことをどの程度やっていくのか,どこまでやるのかというお尋ねになるわけでございますけれども,私は地方分権をこれから進めていく上で,やはりこれは中央省庁の皆さんがこれから一番かぎを握っていると思うんです。今現在は,非常に大きな抵抗勢力となっているわけでございますけれども,そのかぎを握っておられる中央省庁のその理解者をどんどんこれからふやしていくためにも,やはり積極的に岡山県なら岡山県に受けとめて,経験していただいて,やはり地方自治の重要性,地方分権というものの意義,これを十分私は認識を深めていただくということは,大変大事かと思っておりますが,国と県,これはお互いに機能と責任というものがあるわけですから,これを分担しながら,時にはお互いに意見というものは闘わせる,対立することもあろうと思います。しかし,今度また相互に理解して協力していくということも,私はあろうかと思っているわけでございまして,ざまざまな経験を持っておられます職員の方々が同じ職場で県民福祉の向上という,この一つの目標に向かって一緒になって努力をしていく,このことは組織の活性化にも大いに私は役立っていくと,こういうふうに思っているところでございます。今後とも,県幹部職員といたしまして,これまでの経験を生かされ,大いに力を発揮していただきまして,県勢の発展に尽くしていただければと,期待しているものでございます。
 最後に,対策本部についてのお尋ねでございますが,これはもちろん全庁挙げて一体的に取り組んでいくべき,そういう重要な課題,例えば,最近における原油価格高騰,あるいは子育て支援,こういったことなどの課題につきまして,対策本部を設置いたしまして,情報を共有しながら機動的効果的な対応しております。特に,災害発生でございますけれども,そういったときには,災害対策基本法に基づく対策本部を設置いたしまして,自衛隊への派遣要請の判断,こういったことは私自身のリーダーシップでやっていかなければいけないということでございまして,県民の皆さんの生命,身体,財産を守っていくという,この使命を達成していきたいと思っております。これからも行政課題は非常に複雑多様化してまいるわけでございますけれども,全庁挙げた総合力をぜひ発揮できますように,適切に体制を整備してまいりたい,このように考えているものでございます。多岐にわたる質問でございましたので,答弁時間がやや長くなって恐縮でございます。
 以上をもちまして,私の答弁にかえさせていただきます。

(副知事)  役割の認識についてでありますが,着任以来1年8カ月になりますが,岡山県の発展にいささかでも貢献できればと思いまして,日々の仕事に取り組んでまいりました。その中で,つたないものではありますが,運輸分野における国の仕事の経験やその中で培ってきた人的なつながりを生かすことができればと思って過ごしております。私自身は,大変微力でありますけれども,岡山と東京あるいは岡山とアジアとの多面的な結びつきの強化に意を用いておりまして,日本と韓国の航空当局間の政策対話ですとか,日・ASEANの交通担当次官会合の岡山の開催,あるいは主に東京の企業役員を対象としたリーダーシップセミナーの岡山開催等に努力してまいりました。現在は,5月の中旬に岡山で開催される予定の日本と中国と韓国の3カ国の物流担当大臣会合の成功に向けて取り組んでおります。議員お話のとおり,県庁には中央省庁出身で県に採用された幹部職員が複数おります。多くの皆様と岡山県の発展という目的を共有した上で,それぞれの持つ経験や人的つながりを生かしまして,組織としての足腰の強さ,幅の広さを増し,課題対応能力の向上に貢献できますように,今後とも努めてまいりたいと思います。

(総務部長)  役割の認識についてでありますが,自分自身つたない経験ではありますが,国や他の地方公共団体で学んだことなどをもとに,岡山県の行政運営に少しでも貢献できればと思い,職務に取り組んでまいりました。特に,総務省において財政や人事の仕事に携わってきたことや,岡山県赴任直前まで勤務していた総理大臣官邸において,災害・危機管理対応の仕事などに触れてきたことを踏まえ,持続可能な財政運営の実現,将来の岡山県を担う若手職員の育成,組織の危機管理能力の向上に意を用いております。今後とも,より一層公正で信頼される行政運営となるよう,総務部の仕事に誠実に取り組むとともに,地方自治の発展を目指して公務員を志した初心を忘れず,県庁を長い間支えてこられた多くの県職員の方々と一緒に,岡山県の発展のため,微力ながら全力で取り組んでまいりたいと存じます。

(人事委員会委員)  まず,職員が抱える課題等についてでございますけれども,昨今の公務員を取り巻く厳しい状況の中で,行政ニーズに適切にこたえていくためには,職員の能力開発が大事だと思います。しかし,また,健康面からは,職業生活と家庭生活との両立の実現が求められていると思います。そのためには,総実勤務時間の縮減等が必要であると考えているわけでございます。とりわけ若手職員におけるモチベーションの維持向上を図るために,そのためには適正な給与水準を確保することだと思いますけれども,加えて働きがいが実感できる機会が与えられることも大切であるというふうに考えております。一方,高齢期の職員におきましては,年金支給開始までの生活に不安を覚えることのないような,そういった環境づくりが大きな課題であると認識しております。
 次に,人事委員会の役割でございますが,職員が意欲と誇りとを持って職務に精励して,その能力を最大限に発揮できるように,人事行政の専門機関として,公正・中立にその役割を果たしてまいりたいと考えておる次第であります。



<平成19年12月定例会>(2007年12月12日)

(佐藤)  次に,県庁等の御近所づき合いについてお伺いいたします。
 御近所づき合いと言いながら,聞きたいことは,本質は一つなんですけれども,9月定例会で加藤議員からも質問がございましたが,職員の皆様の昼休みの休憩時間が45分になった件でございます。
 昼一の行事やアポイントが大概1時30分開始だったのが1時になった,このことは評価できるとしても,全体としては,私はすこぶる評判が悪いのではないかというふうに感じております。12時45分から,私が最近はまっているNHKの朝の連続ドラマ「ちりとてちん」の再放送を皆さんで見てくださいとは申しませんけれども,少なくともこの15分では,近隣の飲食店や共済物資部の物販等に多大な影響が出ているということを,知事は御存じでしょうか。せめて昼休みぐらいゆっくりと食事をされて,コミュニケーションも図って,午後からもみんなで頑張ろうと,これでなぜいけないのでしょうか。ともかく,お店の方は早く食事が出せるように頑張っておられますが,余裕がなくなったと。外に出られない,そうした職員の方も大勢おられます。もちろん,これは交渉の末というのは理解いたしますが,実は本当はだれも喜んでいないのではないかなという気がいたしております。
 ところで,県庁職員の皆様は御近所づき合いというものをいかようにお考えでしょうか。例えば,冠婚葬祭があれば,御近所のお店で物を買い,困ったときはお互い様で義理を欠かさないというのが御町内というものでございますが,県庁は御近所の皆様といかほどのおつき合いをされているのでしょうか。これだけ大きなのれんを掲げた大店だと考えたならば,それだけ御近所にお世話になっているわけでございます。庁内で火事があれば,この地域なら真っ先に来てくださるのが内山下分団の方々でございます。皆さん,それぞれにお仕事があっても,恐らくすぐ駆けつけてくださるはずです。では逆に,近所に火事があって,県庁職員の方が助けに行ってくださるでしょうか。そもそも県民にはボランティアを推奨しながら,勤務地に近いこの地域の消防団にだれか加入されておりますでしょうか。
 御近所の方は,お店や御自宅の前の清掃をされていますが,アダプトを進める県庁が,こぞって御町内の清掃奉仕に出られるでしょうか。例えば,御近所のことを思えば,行革の一環として,庁内にコンビニエンスストアをつくるという発想は出るわけもないと思いますが,今回の昼休み15分短縮が本庁,県民局,支局の御近隣に与えている影響及び御近所づき合いの考え方についてお伺いいたします。
 この際,県庁職員の皆様で,公舎,寮にお住まいの皆様方,御近所の一斉清掃,祭りの準備等々,積極的に御参加いただきますよう心からお願いを申し上げます。

(知事)  県庁等の近所づき合いでありますが,職員の昼の休憩時間は,休息時間の廃止に当たり,職員団体との交渉結果も踏まえまして,就業時刻はこれまでと変わらないようなことといたしまして,45分と定めたものであります。もとより,県行政の運営は,県民の皆様の理解と協力があってこそ成り立つというものでありまして,御指摘のように,近隣の方々への配慮は大切であると考えております。現行の休憩時間を見直すということにつきましては,職員の勤務労働条件の変更に当たると同時に,県民サービスへの影響も考えられるということから,御指摘の点も踏まえ,今後十分に研究してまいりたいと思います。
 なお,国においては,公務員の勤務時間見直しの議論も行われているということでありますので,その動向も注視してまいりたいと思います。
 また,お話の近所づき合いにつきましては,今後とも職員に対し,地域貢献活動への参加を奨励してまいりたいと存じます。



<平成17年11月定例会>(2005年12月8日)

(佐藤)   さて,知事は提案説明で,来年度計画期間の満了を迎える「快適生活県おかやま」の実現に向けた「新世紀おかやま夢づくりプラン」については,次の5カ年計画となる新プランを平成18年度中に策定されたいとおっしゃられました。言うまでもなく,こうした5年以上の計画は,4月から施行された「岡山県行政に係る基本的な計画を議会の議決事件等と定める条例」第2条の「議決すべき計画」に当たりますので,議会としてもその策定には非常に大きな責任がございます。いわゆる県の基本法,県政の根幹の議論だと思います。ちなみに,第1期の石井県政は,「快適生活県おかやま」を目指して,平成11年から平成22年までの岡山県長期ビジョンを策定,当時は岡山県CIにより新しいイメージづくりをするということでございました。自来,「快適生活県おかやま」は岡山県政のビッグワードであります。第2期石井県政では,岡山県長期ビジョンを踏まえて,平成14年度から来年の18年度までの中期計画の「おかやま夢づくりプラン」を策定,夢づくりプラン指標と言われる目標数値については,毎年評価を踏まえて夢づくり政策推進指針が策定され,平成16年9月には「おかやま夢づくりプラン(改訂・加速版)」に改訂されました。夢づくりプランに「夢」という言葉が登場してからは,岡山県においては「夢」はまさに県政のキーワードになりました。そして,18年度に作成する次期夢づくりプランへと続くわけですが,平成18年度から次の5カ年と言われるからには,このプランは平成19年度から23年度までのものだと思います。しかし,岡山県長期ビジョンは平成22年を目標としており,次期プランが23年度までの5年間なら,長期ビジョンの目標年度である22年を中期計画が突破することになります。これはおかしくないでしょうか。少なくとも系統立てているのならば,岡山県長期ビジョンは22年で一たんけじめをつけるべきではないか。さらに言えば,昨年の選挙の前にお示しされたローカル・マニフェスト「おかやま大地夢づくり宣言」の目標は平成20年となっており,知事の中では一体どの年度が最大の目標なのか,理解できません。しかも,それぞれの中長期計画を見ますと,行政の組織図とは全く異なった項目立てがなされて,その項目も,また言葉やキーワードも計画ごとに異なって,しかも目標数値が毎年見直されるわけですから,これについていくのは,正直我々議員でも非常にしんどいです。しかし,次期中期計画は議会の議決事項であるからには,どうしても理解しなくてはいけません。まず,計画,政策,施策,事業,こういった流れはきちんと体系づけられるべきものであります。
 試みに,どうか改革先進県と言われる宮城県や三重県のホームページをごらんいただきたいのですが,各部局のいわゆる計画プラン・構想,さらには政策,施策,事業体系が一覧で示されて,各事業の事業評価まで一挙に進むことができます。もちろん担当課も明示されています。あえて言えば,基本理念から個別事業の責任の所在,予算執行状況までたどることができる。「森を見て木を枝を見る」また逆も真なりですが,むしろ,これは当然のことではないでしょうか。計画,政策,施策,事業で,言葉の整理,体系の整理をきちんと行って,中期計画は従来の長期計画の体系の中に,キーワード等を大きく変えることなく,発展的にきっちりと組み込まれるべきだと考えますが,お考えをお知らせください。
 私は,もしそれぞれが矛盾するのであれば,長期計画を破棄したり大改訂をすることも視野に入れるべきだと思います。さらに,道州制を見越した広域政策という観点からは,中長期計画においては,隣県との政策のすり合わせも必要だと思いますが,この点のお考えもお知らせください。
 また,単年度が原則の予算執行の中で,各課,各班職員の方お一人お一人に至るまで,熱い思いを持って目標やノルマ意識はあられると私は信じております。あるいは毎年個々に数値目標は立てることができるでしょう。そういう中で,そもそも長期,中期の計画を,これは本当に大変な手間でございますが,大変な手間をかけて立てていく意味について改めてお知らせください。
 さらに,知事は10年前,「やさしさの県政,フレッシュな県政,開かれた県政」を基本姿勢として初当選されて以来,終始一貫「対話の県政,開かれた県政」という言葉を使われておられますが,現在の基本姿勢,施策にどうつながっているのか,お知らせください。
 次に,個別に,次期夢づくりプランについてでありますが,次期プランの作成に当たっては,真に県民生活を豊かにする県民ニーズが反映されたプランとすることが重要だと思います。そのためにも,私は,県民満足度調査,あるいはニーズ調査といったものを行うべきであると考えます。お隣,島根県では,県民に事業の必要性,重要度,満足度,税金使用納得度,緊急性などにかなり細かく分けた精緻なアンケート調査を行って,その結果に基づいて県施策に優先順位をつけて県の総合計画に盛り込んで予算へも反映させているとのことであります。次期プランの作成に当たっては,重点施策の選択,その優先順位,さらに目標といったものを県民満足度調査等を行い,いわば協働の精神で行っていくべきだと考えますが,いかがお考えでしょうか。
 また,右肩上がりの経済成長を前提として,広く県民の要望にこたえて,サービスを提供するという県政運営を継続していくことがもはや困難であるとすれば,施策単位で「選択と集中」を徹底する必要があります。次期「新世紀おかやま夢づくりプラン」は,あれもこれもといった総花的なものではなくて,例えば,「教育・人づくり」,「安全・安心な生活の確保」の2分野に特化したプランにすることも一つの方法と考えますが,次期プランの「選択と集中」についての御所見をお伺いいたします。
 この項最後に,分権時代の政策リーダーと言えるローカル・マニフェスト推進首長連盟の会員であられる石井知事に,私自身ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の運営委員の一人としてお伺いいたします。
 まず,検証されるようにと提唱されたローカル・マニフェストの「おかやま大地夢づくり宣言」と県政の中長期計画との関係をどのように考えておられるのでしょうか。また,マニフェストの目標数値と夢づくり指標や目標年度はどう関係しているのか。さらに,次期夢づくりプランに「おかやま大地夢づくり宣言」をいかように生かすのか,お知らせください。
 特に,ローカル・マニフェストの検証会の開催は,ローカル・マニフェスト推進首長連盟所属の首長さんの責務だと私は考えておりますが,「おかやま夢づくりプラン」と対照させた上で中間的な検証会を独自に行う考えはおありでしょうか。

(知事)  まず,中長期の計画等についてでありますが,体系の整理でございます。
 本県におきましては,「快適生活県おかやま」の実現という県政の基本目標を示しました長期ビジョン,その行動計画といたしましての夢づくりプラン,このもとに,個別分野ごとに指針や具体的な事業等を取りまとめました計画やプランを策定いたしまして,県民の参加や関係機関との連携も図りながら,各種の施策・事務事業等を総合的に実施いたしております。これらの計画あるいはプランは,その性格や計画期間も異なるということから,お話のように,同一のキーワードでこれをくくるということは困難でございますが,いずれも県民福祉の向上を目指すものであります。また,次期夢づくりプランの策定に当たりましては,現プランやマニフェストも踏まえながら,キーワードにつきましては十分吟味いたしまして,できるだけ県民にわかりやすいプランとなるように努めてまいりたいと思います。
 隣県との政策のすり合わせでありますが,これまでも隣県との知事会議や中国地方知事会,中四国サミット,さらには事務レベルの会議等におきまして取り組んできております。今後,道州制の論議が一層高まるということや県境を越えました連携の強化が求められるということから,関係県と情報や意見を交換いたしまして,政策のすり合わせを行って,中長期の計画に広域連携を盛り込めるように取り組んでまいりたいと思います。
 意義についてでありますが,変革の時代と言われますように,今日,私たちを取り巻く環境は大きく,しかもハイスピードで変化しているところであります。また,財政環境も大変厳しい状況にあるということから,短期的な視野と中長期的な視野を組み合わせまして,計画,実施,評価──プラン・ドウ・シーということを行っていくということが施策事業の目標を明確にいたしまして,効率性を上げ,効果を高めることになるものと考えております。
 基本姿勢等とのつながりでありますが,私は平成8年の初当選以来,「対話の県政,開かれた県政」といたしまして,青空知事室の開催やマルチメディア目安箱の設置によって県民の声を直接県政に反映してきたところであります。「やさしさの県政」につきましては,福祉,健康・医療,防災といった分野を中心といたしまして,安全・安心な生活の確保に努めますほか,UDの普及啓発によるだれもが暮らしやすい岡山づくりなどに取り組んできております。「フレッシュな県政」につきましては,ITの活用によって時代を先取りし,時代の変化に即応いたしました新規施策を展開いたしますとともに,新しい制度や事業方式の導入やさまざまな改革に積極的に取り組むなど,知事就任以来,これらの基本姿勢を変えることなく,県民の皆様の幸せを追求する県政を展開いたしているところであります。
 県民との協働についてでありますが,次期プランの策定に当たりましては,お話のように県民ニーズを反映したものとするということが重要であると考えておりまして,計画策定の早い段階から幅広く県民の意見を聞くなど,協働を基調に取り組んでいきたいと思います。県民ニーズの把握の方法についてでありますが,お話いただきました県民満足度調査といったことも含めまして,何らかの形で把握していきたいと考えておりまして,どのような方法がよいか今後検討してまいりたいと思います。
 「選択と集中」でありますが,次期プランの策定に当たりましては,新たな時代の潮流や県民ニーズを的確に把握した上で,さまざまな課題の中から「選択と集中」の視点に立って重点的に実施する分野や施策等を検討してまいりたいと思います。
 ローカル・マニフェストとの関係でありますが,夢づくりプランは,18年度を目標年度といたしまして具体的な数値目標を掲げた,当時といたしましては,いわばマニフェストを先取りいたしましたプランであると考えております。また,「おかやま大地夢づくり宣言」は,私が昨年秋の知事選挙に臨むに当たりまして,県民の皆様方に対するお約束といたしましてお示しをしたものでありまして,これは任期中に達成しようとする政策目標であります。したがいまして,マニフェストの目標年度は,夢づくりプランの計画期間を超える20年度としているところでありまして,夢づくりプランの数値目標の引き上げや項目の追加を行ったものであります。また,次期夢づくりプランについてでございますが,来年度,本格的に取り組む課題でございますが,その目標年度は23年度と考えておりまして,マニフェストをさらに発展・進化させた数値目標を見込んでいるところであります。マニフェストの検証でありますが,夢づくりプランと目標項目が共通するということから,プランとあわせまして毎年度中間的な進捗状況を評価・検証いたしまして,公表いたしたいと存じます。



<平成17年9月定例会>(2005年9月27日)

(佐藤)  まず,行財政改革と地方分権についてお伺いいたします。
 国から示された新地方行革指針に基づいて,いわば乾いたぞうきんを絞るような第3次岡山県行財政改革大綱を,さらに火であぶるような大綱の見直しの意見書が示されました。意見書の末尾にある「意見書に盛り込まれていない主な意見」こそ,改革の本丸なんじゃないかと言われるような方もおられますけども,とりあえずそれはさておいて,今回も触れられなかった部分があると考えます。すなわち,地方行政委員会についてであります。正直なところ,私は,この25回に及ぶ質問戦の中で,議会が行政権に及ぼす民主的コントロールという観点からすれば,我々議会の側からは,教育行政に関しては,教育長ではなくて教育委員長に,警察行政については,警察本部長ではなくて公安委員長に質問すべきではないかと,そのように考えておりました。そもそも,首長の権限集中を排除するという趣旨で,戦後アメリカ流の行政委員会制度が画一的に導入されて,委員会は首長から独立した地位と権限を持っています。とりわけ,選挙で選ばれたわけではありませんけれども,行政委員会の長は,地方においてその分野の民意を代表するトップであります。本来は,委員長がかわられれば委員長の明確な方針を示されて,毎議会,行政委員長の提案説明があってもよいぐらいの話ではないか,私はそのように考えています。ただ,地方分権が進んで,首長の権限,裁量の拡大が重視される中で,行政委員会の役割や存在意義も今問われています。まずもって,そういった観点から,知事の地方行政委員会についての認識をお知らせください。
 あわせて,今後,地方分権を進める議論の中で,行政委員会の見直しを首長の側から働きかけるお考えがあるのか,お知らせください。
 また,行財政改革及びこうした地方分権の流れの中で,行政委員会が今後いかように変わり,組織の見直しが行われていくのか,象徴的に教育委員長職務代理者と公安委員長職務代理者にお伺いいたします。
 加えて,電算化が進んでいく中,首長のもとに原則1人置かなくてはいけない出納長,市町村なら助役ですが,こうした首長の補佐体制も今後全国画一的である必要もないと思いますが,知事のお考えをお知らせください。
 また,こうした数字による行財政改革は,一般の県民の方には非常にわかりにくいものがあるのではないかと思います。要は,県庁職員の方々が県民の皆様への接し方を少し工夫されれば,さらに県庁が大胆にこれは改革をやっとんだなと,そういったことが県民の皆様に伝わるのではないかと思います。要するに,それは非常に簡単なことで,電話やあるいは直接面会した際のあいさつや話し方のレベルの話であります。具体的には,この夏,クールビズを民間に先立って推進されましたけれども,意識改革につながる取り組みの一つとして,俗に言うビジネスマナーやあるいは接遇研修について,マナーアップ運動といったものをさらに積極的に推進していただきたいということであります。特に,役職が上になればなるほど率先していただきたいことでありますし,また,そもそも,黒塗りの車が県民の皆様からどういうふうに見えておるのかということは,殊さら意識していただきたいところであります。
 より具体的提案は,要するに,例えば電話に出られる際,「〇〇課の〇〇がお受けいたします」とまず名前を名乗られるということであります。電話交換の方はかなり丁寧に対応してくださいますけれども,そこから電話が回ったら後はいきなりいわゆるお役所対応になってしまうことがございます。また,多くの議員の皆様が経験されていると思いますが,携帯電話にどうも県庁からとおぼしき着信履歴が残っておると,それがメッセージもなく残っていて,折り返しかけてみますと,「お客様のおかけになった電話は,相手の方が御利用されているサービスによりおつなぎすることができません。御了承ください」。これ多分県庁だなあと思うんですが,そして,またしばらくすると着信履歴が残っていて,なぜか違う番号であったりしまして,かけ直すと,また同じメッセージが流れると。別に,これは議員に対してだけでなくて,県民の皆様に対してそうだと思うんですが。要は,こういうときは「〇〇課の〇〇でございます。〇〇の件で連絡しました。また連絡します」と一言入れていただければ,そういうときはこっちから連絡をさせていただくというのが普通のマナーであります。要するに,こういったことが大切だと思うんですが,願わくば,こういった行財政改革の大綱や夢づくりプランという大きな計画もいいんですけども,県庁職員の方々が県民の皆様を「モテナスンジャー」に変身していただき,例えばこうした県民サービスの向上のための指針を各部局でつくっていただいて,費用を一切伴わず,接遇だけで行政改革をする,そんな工夫をしていただきたいものですけれども,知事はいかがお考えでしょうか。
 次に,指定管理者制度についてお伺いいたします。
 今回,改正条例が上程されている指定管理者制度の導入につきましては,知事は,さきの6月定例会におきまして,県が設置する公の施設としての意義,目的等を評価,再検討する機会になるものと考えられ,公募の基準については,総務省の通知において,住民の平等利用の確保や施設の効用の発揮,管理経費の縮減,管理を安定して行う物的・人的能力などを基準として定めることが望ましいとされていることを踏まえて,各施設の形態や提供するサービスの内容等に照らして,客観的かつ公平な基準の設定を個別,具体的に検討して,効率的,効果的な施設運営につながるように努められるとされました。
 ここで問題は,こうした指定管理者制度の導入のスケジュールなんですけれども,今議会後1カ月で指定管理者の選定を行うわけでございますが,各施設において,まずこうした基準の設定を担当部署が行って,そして外部有識者を含む選定委員会で審査して,そして公募に応じる団体と既存の管理受託団体との間に,こういう状況で見ますと,非常にタイムスケジュール的にも,そして集められる資料についても,公正な競争がはなから成立してないんじゃないか,そういう声を非常に多く聞きます。多様化する住民ニーズにより効果的,効率的に対応していくために,公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ,住民サービスの向上を図るとともに,経費の節減等を図るという制度の趣旨に照らしても,まずもって公平な競争がまず必要ですし,そしてまた,採算がとれる施設こそ率先して民間にゆだねてもいいんじゃないか,そのようにも思います。今回のこういった流れの中で,いわゆる外郭団体の手からどれだけ民間に実際に指定管理者制度で移っていくのか,そのことに県民の皆様も注視されておられますけれども,改めて指定管理者制度導入にかける知事の思いについてお知らせください。
 また,民間の提案の中には,当然,現在の施設の改築や改修を伴った方がいいといった提案も出てくるかもしれません。既存施設に手を加えてより公の施設が住民サービスに資するようになるのであれば,来年度,管理運営開始に伴って,あるいはそれ以前に施設に手を加える必要もあるんではないか,そのように思いますが,逆にそれができないから新しい委託先には任せられない,そういうことがあるとすれば,これ自体も制度趣旨に反していると思いますが,いかがお考えでしょうか,総務部長にお伺いいたします。
 さらに,指定管理者制度を導入した施設について,もう今の段階で既に開館時間等基本的な部分に余りにも細部にわたり条例で縛りをかけているために,指定管理者の裁量を制限し過ぎているのではないかという声が既にございます。一方で,指定管理者に事故や個人情報漏えい,倒産等があれば,県全体にも責任がかかってくるわけでありますが,リスク管理はいかようにされているのでしょうか,今後されるのでしょうか。私は,各部局に任せる部分と行政改革推進室が主体的に指導すべき部分は峻別すべきであるとも考えますけれども,こういった点についていかようにお考えでしょうか,総務部長にお伺いいたします。

(知事)  まず,地方行政委員会制度に対します認識等でありますが,地方行政委員会は,それぞれ設置の趣旨等が異なるものでありまして,これを一律に評価するということは困難でありますが,一般的に申し上げますれば,地域における行政の責任をあいまいにするという問題を持っていることから,地方分権の精神からも,特に必置規制をするということには問題があり,それぞれの地域の実情に応じました柔軟な設置・運営を可能にすべきものと考えております。現在,私が全国知事会を代表いたしまして委員を務めております第28次地方制度調査会におきましては,この地方行政委員会制度の問題も議論しているところでありまして,私といたしましては,今後とも,こうした場などにおきまして,地方の立場といたしまして,地方分権をより一層進めていくという見地から,必要な意見を積極的に述べていきたいと存じます。
 次に,首長補佐制度についてでありますが,私といたしましては,地方分権の流れも踏まえますと,首長を補佐する機関といたしましては,それぞれの地域の実情に応じました多様な補助機関の創設が可能となるようより柔軟な仕組みとすることが望ましいと,このように考えております。
 次に,県民サービス向上についてでありますが,電話応対を初めとする県職員の接遇を向上させるということは,これは非常に大切なことであると考えております。そのため,自治研修所におきまして,新規採用職員やあるいは主任級職員などを対象といたしました接遇の研修や県民サービス向上の講座を設けまして,接遇の向上,職員の意識改革に取り組んでいるところでありますが,議員御指摘のようなことが事実であるとするならば,いま一度全体の取り組みを強化していかなければならないと,このように考えております。今後とも,職員一人一人が県民の視点に立って仕事を行うように,研修所や職場での研修を進めますとともに,各部局,各職場で接遇改善の取り組みを図るなど,接遇の向上と県民サービスに対します意識改革に努めてまいりまして,県民の皆様方に「県庁も変わった」と感じていただけるように今後とも努めてまいりたいと存じます。
 指定管理者制度導入の決意でありますが,指定管理者選定につきましては,原則として,民間企業も含め広く応募団体を募った上で,透明性,公平性を確保しながら選定を行うこととしておりまして,このことによって,県施設の管理運営に御指摘の住民サービスの向上,経費の節減といった制度創設の趣旨が十分生かされますように取り組んでまいりたいと存じます。

(総務部長)  指定管理者制度についてでございます。
 まず,既存施設の改修等についてでございますが,厳しい財政状況の中で,県といたしましては,真に必要なものに限り計画的に行っているところでございまして,これ以外のものについての改修等は考えていないところでございます。したがいまして,今回の指定管理者制度の導入に当たりましては,現状の施設を前提として,県民サービスの向上や管理運営の効率化を図っていただくことが基本と考えておりまして,そうした観点から,最も適切な団体を選定してまいりたいと考えております。
 次に,リスク管理についてでございますが,まず,条例では,管理運営に当たりまして遵守すべき最低限必要な事項を定めておりまして,指定管理者の裁量で管理の効率化やサービスの向上を図ることが可能であるというふうに考えております。リスク管理に関しまして,御指摘のような事態の責任につきましては,ケース・バイ・ケースではございますが,一般論で申し上げますと,直接の法的責任は指定管理者にありますものの,県といたしましても,設置者としての責任,すなわち,指導監督責任ですとか,県民サービスを安定的に継続していく責任等を有するものと,かように考えております。こうした中で,行政改革推進室は,制度導入に際しまして,各部局に共通する事項,例えば指定手続,方法など全体の基本方針を企画いたしまして,一方,各部局におきましては,具体的な管理者の指定や事業報告,調査等の指導監督を行うこととしておりまして,これにより適切に対応してまいりたいと考えております。

(教育委員会委員長職務代理者)  教育委員会の今後のあり方等についてでありますが,この制度は,教育の地方分権や教育行政への民意の反映を目的に創設されたものでございます。しかしながら,戦後60年を経過し,制度の形骸化や閉鎖性,小規模な教育委員会における施策展開の限界などを指摘する声があることは承知しております。私どもといたしましては,会議の公開を進めるとともに,学校現場へ出て行き,評議員の方々と協議を行ったり,また先般は,子供の安全等について公安委員会と初めて意見交換を行うなど,できるだけさまざまな意見を教育行政に反映させるよう取り組んでいるところでございます。今後とも,教育課題に的確・迅速に対応し,その使命を果たしていく所存でございます。
 また,現在,中央教育審議会において,教育委員会の必置義務や首長との事務分担など制度の見直しが審議されているところであります。その動向にも注視してまいりたいと考えております。

(公安委員会委員長職務代理者)  公安委員会のあり方についてでありますが,御案内のとおり,公安委員会制度は,県民を代表する者によって構成される合議制の機関が警察の管理を行うことで,警察の民主的運営と政治的中立性を保つことを目的として設けられたものであります。そのため,毎月3回開催している定例会において,警察運営の推進状況について細かく報告を求めるとともに,警察職員との懇談や警察署の視察を行っているところであります。公安委員会の組織,権限につきましては,警察法で定められているところでありますし,国,地方レベルにおきましても,見直しの論議は行われていないと承知しているところであります。したがいまして,公安委員会の今後のあり方については,お答えを差し控えさせていただきますが,今後とも,先ほど申し上げました活動を通じて,警察行政を取り巻く問題点を把握し,県警察を適切に管理してまいる所存でございます。
 以上でございます。



<平成17年6月定例会>(2005年6月17日)

(佐藤)  まず,知事のおっしゃられる協働についてお伺いいたします。
 行財政改革の取り組みとして,第3次行財政改革大綱の目玉として,地方振興局が再編され,県民局が新しい時代の広域的な地域の総合出先機関となったわけでありますが,支局ではなく,県民局となった振興局があった地域の者には,なかなかダイナミックな変化があったということがわかりがたいものがあります。ただ,その中で明らかに昨年度と違うのは,総務部門を含んで地域政策部ができ,課ではなく協働推進室という室ができたことだと思います。まさに多様な主体との協働のもと,地域の実態を踏まえた施策を的確に展開するための最前線基地であり,大いに期待するものであります。そして,そこに振興班のみならず企画班ができたということは,県民局が本庁の施策を推進するのみならず,独自の政策形成機能を持つことになったと,私は理解しております。振興局ができた当初,お代官様をつくるのではなくて,市町村の側に立って,本庁に反旗を翻すような,そんな振興局長が出てきてほしいものだ,それが地方自治に資することになる,振興局制度の意味であるというふうに,前の知事がおっしゃられておられたと伺っておりますけれども,独自企画が積極的に出させるようになれば,まさにそういうことかもしれません。さらに,収税業務体制などはかなり強化されており,まずはこうした県民局内部の体制整備のねらいや,さらには,行財政改革の観点のみならず,地方自治の本旨に照らして,予算編成権等も含めて,本庁と県民局の関係がいかように変わっていくとお考えなのか,お知らせください。
 ところで,県民局長がテーマや地域ごとに住民代表を集めた会合を開き,要望や課題を聞く方針とのことでありますが,最優秀賞には5万円の図書券をつけて,管内で官民協働で取り組む事業のアイデアを募集されようとしております。こういった懸賞というスタイルは協働のスタイルとしてはいかがなものでしょうか,また,ボランティアで行っていただくべきようなものにまで金銭が絡んでくるとすれば,それはある意味でボランティア精神への冒涜であって,協働という概念自体の自爆行為になるのではないかと,私は思います。協働を推進することへの金銭等の介在について,知事の哲学を教えてください。
 少なくとも,協働という美名のもとに,県の事業推進のために,市民,県民の皆様を税金をもって手足のように使うようなことがあってはいけませんし,提案するのであれば,提案する者が一緒に実施しろというスタイルでは,なかなか提案も出てこないのではないでしょうか。知事は,市民,県民の皆様が行政と協働することのメリットがどこにあるものと認識されておられるのか,お知らせください。
 また,地方分権の一層の推進を図っていくためにも,県から市町村への権限移譲を進めるための指針が先般示されましたけれども,移譲する事務に応じた人的支援や財政措置など,県民局の実務にいかなる影響が生じるのか,さらに,人材の移譲も考えられるのか,お知らせください。
 また,関連して,協働事業やボランティアに関して,県庁職員の方々の地域活動やボランティアへの参加状況はいかがでしょうか。
 ボランティアは強制されるものではないとはいえ,県から頼まれたので断り切れずにボランティアをやっとられる場合も多くございます。例えば,アダプト事業の引き受け主体は行政の有志がやってはいけないのでしょうか。国体ボランティアもそうでありますけれども,県民の皆様に協働を働きかける以前に,みずからが業務としてではなく,汗を流す姿を県庁職員の皆様に見せていただきたいものでありますけれども,県職員のボランティア等への参加についてはどのようにお考えでありましょうか。

 次に,指定管理者制度について伺います。
 民間にできることは民間にということで導入された指定管理者制度の目的は,当初はPFI事業で建設した施設について,利用料の設定も含めた管理代行を可能にすること,すなわちPFI事業の推進だったように思います。それが今は拡大して,多様化する住民ニーズにより効果的かつ効率的に対応するため,公の施設の管理に民間の力を活用しつつ,住民サービスの向上を図るとともに,経費の削減等を図るところにこの指定管理者制度の目的があると思います。従来の管理委託制度では,地方自治体出資の法人,公共団体,公共的団体が管理受託者として公の施設の管理を行うというものでありましたけれども,指定管理者制度は,条例の定めるところによって,地方自治体の指定を受けた者が公の施設を管理代行するものであります。学校や道路や河川は,それぞれ学校教育法,道路法及び河川法で管理者が定められておりますので,指定管理者制度を導入することはできないとされておりますけれども,例えば,具体的に,図書館や博物館といった文化施設あるいは福祉施設,スポーツ施設や公営住宅などは,管理を株式会社やNPO等への民間事業者が行うことが可能になったということであります。ここで大切なことは,施設が設立された当時と社会の潜在的需要も変わってきていて,政策目標,活動使命を再認識,再構築する絶好の機会であるととらえることではないかなと思います。ぜひこの機に,政策レベルの評価システムにさらして,全施設を再点検すべきであると考えますが,まずは行財政改革における指定管理者制度の意義をいかように考えておられるのか,お知らせください。
 また,議論の前提として,今申し上げましたように,行政側が考えられるのではなくて,実際に利用される県民,市民の皆様が求めている行政サービスをその施設が今十分に提供できているのか,今後何を求めておられるのかについて,一斉にアンケート調査をすべきであると思いますが,いかがお考えでしょうか。
 また,これまでの管理委託制度を廃止され,現在,社会福祉法人,事業団,公社などに管理を委託している施設は,来年9月までに指定管理者制度に移行するか直営に戻すかが迫られていますが,岡山県における指定管理者制度導入可能な施設一覧が静岡県のように示されてしかるべきであると思いますが,詳細な導入スケジュールも含めて,そうした一覧を示される予定はないのか,お伺いいたします。
 私は,むしろ導入不可能な施設の一覧とその理由が示されるべきだと思いますが,導入可能か否かの判断を,だれが,どのような基準で行うかからして公開すべきものと思いますが,いかがお考えでしょうか。
 また,総務省の通知は,複数の申請者に事業計画書を提出させるという原則公募を求めているわけでありますけれども,既存の財団の擁護のために,例えば,さまざまな規約や制約をかければ,実質的には,はなからこれは公募しているとは言えなくなります。こうした公募の基準をいかようにお考えか,お知らせください。
 また,従来の管理委託制度に比べて,指定管理者制度に基づく指定管理者には,非常に強い権限が与えられています。したがって,指定管理者には,公共性の確保という視点が強く求められます。行政が一元的に行ってきた公の保障にかわる県民と行政の合意による具体的な内容を伴った新しい公の保障が必要だと思いますが,いかように確保されるのでしょうか。
 私は,事業報告書の議会への報告義務も課すべきであると考えますが,いかがお考えでしょうか。
 この項最後に,指定管理者制度は,施設の管理に関する権限も委任して行わせるものであり,運営についても一定の枠の中で自由にできることになります。今後,利用者である県民が管理や運営に参加したり提案する機会はどのように確保されるのでしょうか,以上,お伺いいたします。

(知事)  まず,協働についてであります。
 本庁と県民局との関係でありますが,各県民局において協働推進室が中心となって,地域の特性を生かした多様な主体との協働による地域づくりを進めていくこととしております。また,本庁と県民局との連携強化のため,県民局長を本庁の政策企画推進会議の構成員といたしまして,地域の声が本庁各部の予算編成に生かされるよう配慮するなど,地域ニーズに基づきまして,本庁と県民局が一体となって施策を推進してまいりたいと考えております。
 次に,金銭等の介在についてでありますが,無償のボランティア精神はとうといものであるということでございますが,ボランティア・NPOを含む多様な主体と広い分野で協働を推進していくためには,具体的な事業ごとに適切な協働の形態や役割分担のあり方を判断していく必要があると思います。その上で,協働事業の目的や性格から,県において経費を負担すべきものにつきましては,協働の相手方に対しまして,正当な額の金銭を支払うべきものと考えております。
 協働のメリットでありますが,行政が施策や事業を実施する際に,住民やボランティア・NPOなどからの意見や提案を取り入れ,協働して推進していくということは,行政が単独で事業を実施するよりも,住民と行政との相互理解が進み,互いに補い合って多様な地域ニーズへのきめ細かい対応が可能となるものであります。その結果,住民が受け取る公共サービスの質と量が拡大をし,より快適な地域社会の実現が図られ,新たな社会的価値の創造も期待できるものであります。さらに,協働に参加した住民にとっても,社会参加によります自己実現が果たされ,精神的な充足感が得られると考えております。
 権限移譲でありますが,それまで県民局で実施していた事務が市町村に移譲された場合,県民局の業務量の減少あるいは市町村への職員派遣などの人的支援も考えられることから,その意味で事業費や人員に何らかの影響は生じ得るものと想定されるところであります。しかし,そういった場合におきましても,引き続き県民局で行う実務の遂行に支障を生じさせることがないように,適切に対応してまいりたいと存じます。
 また,人材の移譲でありますけれども,人的支援といたしましての職員派遣や人事交流は想定をしておりますけれども,一方,県を退職しての市町村への身分移管につきましては,市町村から具体的な要望がありますれば,職員の意向も十分に踏まえた上で慎重に検討してまいりたいと存じます。
 県職員のボランティア等でありますが,協働の観点から,県職員も一県民として各種の地域活動等に参加することは,意義が大きいと考えております。このため,本県では,職員の地域活動やボランティア活動を支援する目的で,ボランティア休暇を導入いたしまして,その活用を奨励しております。ボランティア活動は,職員の自発的な意思に基づくものでありまして,すべてを把握しているわけではございませんが,ボランティア休暇や休日を利用いたしまして,台風等の被災地支援活動や高齢者福祉施設での介護活動,地域の清掃活動など,さまざまな活動に県職員が参加しております。今後とも,ボランティア休暇制度のさらなる周知徹底を図り,県職員のボランティア活動等がより積極的に展開されますように努めてまいりたいと存じます。
 連絡会議でありますが,私自身は,地域サミット等において,各市町村長と当面する行政課題等について率直な意見交換を行い,県政の推進に反映をさせるように努めております。県民局におきましても,市町村長等との会議はもとより,各担当部,課長会議を定期的に開催いたしますとともに,事業の推進に当たりましては,担当者間で意見交換や連絡調整を行うなど,常日ごろから市町村との連携を密にしているところでございます。今後とも,市町村との適切な役割分担のもと,地域の実情を踏まえた協働の県政の推進により一層努めてまいる所存であります。

 次に,指定管理者制度についてであります。
 意義でありますけれども,この制度は,多様化する住民ニーズに,より効果的,効率的に対応していくため,公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ,住民サービスの向上を図りますとともに,経費の節減等を図るという趣旨で導入されたものであります。この制度の活用は,行政改革を遂行する上で有効なものであると考えております。
 また,御指摘にございましたように,指定管理者制度の導入は,県が設置する公の施設としての意義,目的等を評価,再検討する機会にもなるものと考えておりまして,県が設置する意義等が低い施設につきましては,現管理者への譲渡なども検討するなど,施設のあり方につきましても積極的に検討を加えてまいりたいと思います。
 施設利用者へのアンケート調査でありますが,現在,各施設において,入り口への御意見箱設置や県ホームページでの意見募集あるいは施設を利用する団体代表者によります会議の開催など,それぞれの施設で方法や内容を工夫した上,利用者の意見の反映に努めております。一斉アンケートという御提案をいただきましたが,このような現在実施しております利用者の意見の反映の仕方につきまして,必要に応じ,その充実改善を行うということで,利用者の意向の把握に努めたいと思います。
 施設一覧等でありますけれども,現在,管理委託を行っている施設については,すべて指定管理者制度に移行させるという方向で対応したいと考えております。こうした方向に沿って,年度始めの来年4月の導入を目指しまして,現在検討を進めているところでありまして,それに向けましてのスケジュールあるいは対象施設,公募の考え方等につきまして,まとまり次第早急にお示しをいたしたいと存じます。
 公募の基準でありますが,これについては,先ほど申し上げましたように,現在検討中でありますが,公募に当たっては,総務省の通知において,住民の平等利用の確保や施設の効用の発揮,管理経費の縮減,管理を安定して行う物的・人的能力などを基準として定めることが望ましいとされているということでございまして,この通知も踏まえ,各施設の形態や提供するサービスの内容等に照らしまして,客観的かつ公平な基準の設定を個別,具体的に検討し,効率的効果的な施設運営につながりますように努めてまいりたいと存じます。
 公共性の確保等でありますが,自治法上,開館時間や休館日など,管理の基準は県が条例で定めることとなっておりまして,また,指定後におきましても,指定管理者が毎年度管理業務の実施状況や利用状況など,管理の実態を把握するために必要な事項を記載した事業報告書を県に提出することとされております。さらに,県は,必要に応じまして実地調査などの指示ができることとされておりまして,こうした対応を適切に行うことによって,公共性の確保はできるものと考えております。
 なお,事業報告を通じ明らかにされます施設の管理や県民の利用状況などの管理の実態につきまては,議会に対しまして報告をさせていただきますとともに,広く県民に対しましてもオープンにしてまいりたいと思います。
 県民の参加でありますが,先ほども申し上げましたとおり,事業報告に基づく管理の実態を県民にもホームページなどで公開することといたしておりまして,こうした情報の周知を行うことを通じまして,管理運営面をも含め,広く県民の意見,提案を吸い上げることができるように対応してまいりたいと存じます。



<平成16年2月定例会>(2004年3月5日)

(佐藤)  本日最後の質問でございます。いましばらくのおつき合いをよろしくお願いいたします。
 さて,知事は,県庁舎と議会棟の間の中庭の池に,なぜか数年前から外来魚のブラックバスがすんでいるのを御存じでしょうか。そもそもあの池では,昔アシカが飼われていたといううわさもありますが,このブラックバス,一説によりますと,相生橋のたもとの噴水に数尾放されていたらしいのですが,引っ越しをした後,なぜか今は1匹だけでございます。これがまた,実にナイフのような形をしておりまして,あえて言えば,ヒラメが縦に泳いでいるぐらいにやせ細っております。最近ちょっと血色がよいんですけども。えさをやっている人間がいるとも思えず,多分何かが,お池にはまってさあ大変という状態になるのを待ち続け,この冬も見事に乗り切りました。私は,肥え太った自分の姿を水面に映しながら,このブラックバスをのぞき込むたびに,逼迫する岡山県財政とこの魚の姿がダブって見えて仕方ありません。しかし,その余りに痛々しい姿にかかわらず,いやあえて今回はそれを見ずに,お金と時間がかかる提言をさせていただきます。お金がないのも行革の必要性も,もう十分ようわかっておるんですけれども,どうか「財政的に無理」と,その一言をもって答弁のすべてが終わらないようお願い申し上げます。
 まず,県の出資・出捐団体への補助金交付についてお伺いいたします。
 第3次行財政改革大綱では,見直しの対象を県庁の本庁・出先機関のみならず,61の外郭団体や県出資・出捐法人にも広げていますが,私は,外郭団体以外の出資・出捐団体への補助金については,格別の配慮が必要ではないか,そのように考えます。一般的に補助金の交付を受けている各種団体は,国の施策を含めて専門的に動いている団体もありますが,それでも県の今の財政状況を認識されて,補助事業費の削減については快く協力しよう,そういった意思はお持ちであろうと思います。しかしながら,県の職員の方々の給与削減については,知事は深夜まで交渉されたといいますが,こういった団体に対しては課長名の事務連絡で,時には人員削減を意味する補助金削減が示され,現場が混乱しているケースがございます。
 私は,専門分野であるからこそ,オープンの場で議論され,民主的な手続を経た上で相手の理解を得る必要があると考えます。地方交付税の削減の中で,我が県はもがき苦しんでいるわけですが,岡山県が行う出資・出捐団体への補助金の削減の考え方,さらに,いかに相手方の御理解をいただくかについて,知事のお考えをお知らせください

(知事)  幾つか県の財政状況にやはり関連する質問もございましたんですけれども,順次お答え申し上げていきたいと思いますが,まず最初に,出資・出捐団体への補助金交付についてのお尋ねをいただきましたが,第3次行財政改革大綱におきまして,外郭団体以外の出資・出捐法人につきましても,出資等の必要性や県との関係のあり方について見直しを行うことといたしております。
 来年度の予算編成に当たりましては,極めて厳しい県の財政状況を踏まえまして,徹底した歳出の見直しを行ったところでございまして,出資・出捐団体などに対します補助金につきましても,各団体に対し,県の取り組みを御説明いたしますとともに,各団体の御理解をいただきながら見直しを進めてきたところであります。今後とも,県の財政状況や見直しの必要性について関係団体へ十分御説明をし,御理解をいただきながら,補助金の見直しを進めていくことといたしたいと存じます。



<平成15年11月定例会>(2003年12月5日)

(佐藤)  まずは,新税につきまして。
 課税自主権が認められた地方分権一括法施行後の12年度に,全国的に,ブームのように新しい税財源の研究が始まりました。時には,各自治体とも財政危機の折,新しく課税すること自体が自己目的化し,いかに使うかを考えることよりも,何が課税客体足り得るかを追及し,知恵を競い合っていた,そんな皮肉な見方もできるかもしれません。結果として,三重県が産業廃棄物税,高知県は森林環境税を成功させたわけですが,岡山県は今2つとも採用しようとしております。もちろん課税客体の検証をすればそうそう可能性があるわけではなく,常識的な線に落ち着いたということかもしれませんが,肝心なのは,これがいかに有効に使われていくか,そのことだと思います。そこでまず,知事にお伺いいたしますが,今回,森林保全税を提案されているわけですが,今後も,このように課税自主権に基づいて法定外目的税としての課税が不可能な場合も含めて,さらに増税する客体がある,そのようにお考えでしょうか。
 また,課税自主権による法定外目的税と超過課税はどういう形で使い分けていくのか,あくまで森林保全税は例外なのか,方向性をお知らせください。
 次に,高知県では,森林環境税を通すに当たり,昨年度の2月定例会で,みなし予算ということで,要するに税収の明確な使い道を示して条例を上程いたしました。しかし,岡山県では,今回の森林保全税に関して,みなし予算を示すことなく,今定例会に上程をされました。その理由についてお知らせください。
 また,今回の条例では,基金を一般会計に繰り入れることはないことを条文にうたっておりますが,既に財政赤字補てんに使われている数々の基金があるわけでございますが,これについては今後どのようにされるのか,お知らせください。
 森林保全税につきましては,いろいろ申し上げたいこともございますが,その内容につきましては置くといたしまして,私は,この森林保全税を課すにしても,森林保全条例あるいは森づくり条例といったものが必要ではないか,そのように考えます。具体的なイメージは,精神条例的に,家庭,職場,学校,地域等で森林保全の努力義務を課して,とりわけ森林保有者に対しては,道義的な第一義的な保全義務を課すといったものです。つまり,我々岡山県民は,皆森林保全の努力義務を負っている。ゆえに我々の大切な森林を守るために我々は500円を拠出して,特に森林保全の一義的な責任を果たせていない民有林の放置林に対しては,我々の責任として保全に努めるのだということであります。私は,一般県民に広く薄く課税した財源を,事情はどうあれ,事実上放置された民有林の間伐にも投下するという,こういった方向なわけですから,所有者により重い責任が生じてくるのは当然だと考えます。特に,ある意味,私権の制約を伴うものであり,こういった条例自体,全国に余り例がありません。高知県でもちゅうちょしたものですけれども,ここまで岡山県が踏み込めば,森林保全税も絡んだ岡山の森林保全に対する啓蒙施策は全国一のものになります。こういった森林保全条例について知事の御所見をお聞かせください。

(知事)  まず,新税についてであります。
 新たな課税客体についてのお尋ねがありましたけれども,地方分権の時代の中にありまして,施策を推進をするために必要な独自財源を確保すること,そして経済的手法である税を活用するということ,これは極めて重要な意味を持つものであると,このように考えております。こうした課税自主権に基づきます税制度の検討は,これは多くの公共団体が行っているところでございまして,ほかにも超過課税や新たな課税対象となる客体があると考えられますが,独自税制を考える場合におきましては,他の財源調達手段の有無あるいは政策効果等につきまして検討をした上で,受益と負担の関係あるいは全体の租税負担率など,その時点での状況を勘案をしながら,県民に新たな負担を求めるべきなのかどうかと,こういったような点,熟慮を重ね,総合的に判断をしていかなければならない課題であると,このように存じております。
 課税の方向性でありますが,国,地方を通じまして,主要な税源が法定税目とされておる,そういう現状におきましては,法定外税によりまして財源調達を行うということは困難であることから,法定外目的税は,政策税制として活用すべきものであると考えております。これに対しまして,法定税の超過課税は,原則としては,必要な財源を調達するための手段であると考えております。今回,提案しております「おかやま森づくり県民税」は,県民税均等割の超過課税でありますが,すべての県民が享受しております森林の公益的機能を維持保全するための費用というものを,できる限り多くの県民の皆様方に薄く広く御負担をいただくという,当初案の考え方を変えない,そういう前提で検討いたしまして,導入可能な方式として提案したものであります。今回の場合は,今申し上げましたような経緯から,この方式を採用したものでありますが,行政目的を達成するための政策税制を考えていく場合におきましては,さまざまな角度から検討し,総合的に判断をすべきものと考えております。
 本議会に上程した理由でありますが,「おかやま森づくり県民税」は,現在の深刻な森林の荒廃の状況というものを考えたとき,可能な限り早期に実施をする必要があるということ,また県民の皆様方の理解も進んできているということから,来年度からの施行といたしまして,さまざまな広報活動を通じまして,県民の皆様へ周知する期間,これを確保する必要があると,このようにも考えまして,今議会に提案をしたものであります。
 税収で行う事業内容につきましては,これまで説明会等を通じまして,できるだけ具体的にお示しをしてきているところでありまして,個々の事業の予算額につきましては,新たな基金事業といたしまして,現在,その詳細を詰めているという状況にございまして,御理解をいただきたいと存じます。
 特定目的基金の繰りかえ運用規定でありますが,これは厳しい財政状況を踏まえまして,平成10年度に条例を整備をし,各基金事業に支障のない範囲で緊急避難的に一般会計が借り受ける事が可能となる,そういう規定整備を行ったものであります。こうした繰りかえ運用は,これまで決算上,実行したことはないとはいえ,決してこれは望ましいものではないと,認識をしているところでございますが,今回の行財政改革の取り組みによっても,なお賄えない収支不足が想定をされている中,現在のところ,条例規定を改正する予定はないところでございます。
 森林保全条例についての提案がございましたが,本県におきましては,平成12年に,岡山21世紀森林・林業ビジョンというものを策定をいたしまして,森林保全に向けた県民の果たすべき役割等を明らかにいたしますとともに,各種森林・林業施策を総合的に推進をしてきております。さらには,新たな税制度を活用いたしました水源涵養のための森づくりなどに取り組むこととしているところであります。御提案いただきました条例の制定は,こうした施策をより一層推進をいたしますとともに,県民の森林保全に関する意識のさらなる高揚を図るためにも,一定の意義があると,このように考えられます。
 一方で,森林所有者等の責務につきまして,既に,森林・林業基本法に規定がなされているということ,あるいは本県の中山間地域の振興に関する基本条例が制定をされ,その中で水源涵養の必要性につきましても触れられているという中で,どのような内容がふさわしいのか等につきまして,私といたしましても十分研究をさせていただきたいと存じます。県議会の方におかれましても,議論を深めていただきますようお願いを申し上げる次第であります。



<平成15年6月定例会>(2003年6月24日)

(佐藤)  本県には,ある意味で世代間の公平な分担として,非常に恵まれたハードが整備されていますが,中には相続放棄をしたいようなものもあります。しかし,どこかで活路を見出さないといけないわけですが,特に我々の背にずしんと重くのしかかっているのが吉備高原都市であります。
 吉備高原都市,緑豊かな自然環境と広域高速交通網のアクセスに恵まれた立地条件を生かしながら,保健・福祉・教育・文化・産業・レクリエーションなど,各領域にわたる高度の機能を備えた魅力ある人間中心の21世紀を志向したコミュニティー都市を建設しよう,そういった夢でありますが,仮に日本列島改造論の前であれば,あるいはバブルが崩壊さえしなければ,人間尊重,福祉優先,この崇高な理想に基づく大きな夢は,人口3万人の美しい人工都市として大輪の花を咲かせたかもしれません。しかし,本来は,現在の10倍の人口と3倍の面積の計画である吉備高原都市について語ることは,まさに県政のアンタッチャブルとでも言える状況であります。そうはいうものの,石井知事は,本当のところ吉備高原都市構想というものについて,そもそもどう思っていらっしゃるのでしょうか。
 また,第2次行財政改革大綱により,広域計画Bゾーン以降の事業着手が凍結されていましたが,整備方針がまとめられ,近未来体験都市を標榜いたしておりますが,今後,どのように進めていかれるのでしょうか。
 また,私は,ここでいう近未来にどれだけITがイメージされているのか,疑問に感じております。まずもって,4年にわたり吉備高原都市で行われた地域イントラネット普及促進事業の成果をお伺いいたします。
 ところで,昨年の6月定例会で,岡山情報ハイウェイをIPv6化すべきであると提言させていただき,今年度その基盤整備をしていただくことを,まず歓迎いたしますが,問題はこのIPv6の使い方であります。あれから1年の間に,IPv6も日常用語に近くなってまいりましたが,一言で言えばIPv6は,耐久消費財総インターネット端末時代を根底から支える基盤技術です。すなわち,家電製品や携帯情報端末,モバイル機器がインターネットにつながって,情報家電,情報端末になる場合に,グローバルIPアドレスが必要になるということです。逆に言えば,情報インフラである岡山情報ハイウェイがIPv6化することの意味について,そこからどんな展開が望めるとお考えなのでしょうか,再度,確認をさせていただきます。
 そして,このIPv6の実用性について可能性を模索しているのが多くの企業であるのは言うまでもありません。私は,先日,IPv6ベースで各機器が協調する技術を開発したある会社を訪ねましたが,実際のところ,企業すらその可能性については実証を重ねていかないとわからないという印象を持ちました。
 そこで,私は,吉備高原都市そのものをIPv6のテストベッドにすることを提言させていただきます。とりわけ福祉や環境,さらには防災と,IPv6は非常に可能性がある技術でありますが,その実証実験を限られた吉備高原都市というエリアで行うのです。IPv6化した岡山情報ハイウェイを使い,吉備高原都市では,企業がのどから手が出るほど欲しい実際の生活に即した実証データを得ることができる。さらには,地域にはおのずとITインフラが整備されていきます。企業や地域の方に幾らかのインセンティブをつければ,非常にたやすいことではないかと私は思います。こうして,吉備高原で得られた実証データをもって,産学官が連携した近接する岡山リサーチパークで研究を行い,その研究の成果として,家電製品や携帯情報端末の製造を行い,岡山空港を使い輸出入を行う。あるいはアジアを中心にした外国の研究者が集い,居住すれば,吉備高原都市は国際の分野も加わり,まさに崇高な理念そのままの近未来体験都市になるのではないでしょうか。
 私が勝手に申し上げております夢,マスカットバレーの中核にもなり得ます。IT特別経済区,いわゆるeトップ・エリアの研究開発型集積エリアに吉備高原都市を加えることも含めて,今の吉備高原都市だからこそ可能な,吉備高原都市IPv6テストベッド構想についての御所見をお聞かせください。

(知事)  まず最初に,吉備高原都市構想についてでありますが,吉備高原都市は近未来型の都市構想といたしまして取り組んできたものでございまして,本県の特色を,医療・福祉の先進県であると,こういったものを生かした一大プロジェクトといたしまして,全国からも注目をされ,また評価をされてきたというふうに思っております。ただ,社会経済情勢が大きく変化をしてまいりまして,今現在の県政におきましても大きな課題となっておるということは御承知のとおりでございます。バブル崩壊後の社会経済情勢の大きな変化に対応いたしまして,一時計画の凍結ということを余儀なくされたところでございますが,平成13年度には,後期Bゾーン以降の区域につきましては,状況を見ながら民間を中心といたしました投資を誘導する方針とするなど,当初計画を見直す整備方針を取りまとめたものであります。今後は,この方針に基づきまして,産業の誘致や住宅分譲の促進を図って,都市の活性化やあるいは熟度を高めることによって,質の高い生活や産業の活動というものができるように努めてまいりたいと考えております。
 吉備高原都市における地域イントラネット普及促進事業の成果についてでありますが,ケーブルテレビネットワークを活用いたしました高速インターネット環境の整備を図ってまいりました。また,町内会,学校,障害者福祉施設,企業などによります研究会を立ち上げ,その研究会が主体となりまして,IT講習会の開催や画像,動画を含む地域の情報に関する記事,これをホームページで簡易に作成をするシステムの開発などに精力的に取り組んできたところであります。
 この地域イントラネット普及促進事業でございますが,住民の積極的な参加も得ているところでありまして,吉備高原車いすふれあいロードレース大会のインターネットライブ中継を行うなどによりまして,地域の情報発信や住民間のコミュニケーションが一層促進をされまして,地域情報活用のモデル事業といたしまして,大きな成果を上げてきたものと存じております。
 情報ハイウェイのIPv6化についてでありますが,このIPv6化が図られますと,ほぼ無限とも言える数のIPアドレスを確保できるということになるわけでありまして,これを活用することによって,家電製品を初め,とにかく身の回りにありますあらゆるものにつきまして,インターネットへの接続が可能となります。この点,けさの新聞各紙にも報道されておりますとおりでございます。
 IPv6化の実用化のためには,世界規模で進められます技術開発とか,標準化の推進といったこととあわせまして,プロバイダーや企業,家庭におけるその利用機器が整備をされるということ,またIPv6を活用いたしましたサービスやソフトの開発が行われるといったことなど,官民一体となって取り組んでいくべき多くの課題があるところでございますが,本格的な普及に先駆けて,県内にこの環境を整えていくことによりまして,各種の実証実験を初め,関連産業の誘致とか,あるいは県内における新ビジネスの育成が促進をされるものと,このように考えておりまして,IPv6化対応を県といたしましても急いで行っていきたいと,このように考えているものであります。
 そこで,具体的に御提言をいただきました吉備高原都市をIPv6のテストベッドとしてはどうかという,大変夢のある,将来を見据えた御提言をいただいたと,このように私も存ずる次第でありますが,御承知のとおり,このIPv6をテーマといたしまして,この4月に,国のITビジネスモデル地区に岡山市域が指定を受けたというところでございます。今後,この制度を活用いたしまして,民間事業者がIPv6やICタグ等を活用いたしました新規ビジネスの研究開発に取り組んでいくと,こういうことになっているところでありまして,県といたしましては,こういった岡山市内での取り組みを踏まえまして,御提案のございました吉備高原都市を含めて,他地域への展開をするということを検討してまいりたいと思っております。
 また,eトップ・エリアのエリア拡大でありますが,これも本年4月に,岡山市中心地区のエリアの拡大を行ったところでございまして,現在の指定地域におけるその集積の状況とか,あるいはその効果等を検証しながら今後検討をしていきたいと,このように考えているものであります。



<平成15年2月定例会>(2003年3月5日)

(佐藤)  次に,あえて今までは一般質問で触れてきませんでしたが,今回は県政の基本計画の中期計画,「新世紀おかやま夢づくりプラン」に絡めて忌憚のない質問をさせていただきます。
 夢づくりプランは,県政推進の基本であると認識いたしておりますが,まずは夢づくりプランにおいて設定している快適生活指標について伺います。
 この指標は,自治体の政策評価のベンチマーク指標に該当すると考えられますが,例えば青森県ではどのような指標にするか,また目標値を幾らかにするかについては広く県民による懇話会や県内の多種多様な専門家等による委員会の意見をもとに策定しています。なぜならば,そもそもベンチマーク指標というものは単に行政だけの目標ではなく,企業や県民,当然議会を含んだ全体で共有し,まちづくりの共通の目標として作成するものだからです。
 しかし,岡山県の場合,この指標が県民の共通の目標として認識されているでしょうか。私は疑問に思います。改めて知事に伺いますが,そもそもこの快適生活指標自体はどのようなプロセスで,だれが作成されたのか,目標値は何を基準に設定し,計画期間内に達成した場合,その目標値はどうするのか。平成14年度の目標が公表されていますが,その達成度はいつ,どのような形で公表され,目標が達成されなかった場合,その指標の担当部局にはどのようなペナルティーが科せられるのか。まずは,快適生活指標はノルマでこそあれ,よもやただの努力目標ではないですよねということを確認させていただきたいと存じます。
 次に,行政評価制度について伺います。
 こういった一見新しげで,かつ難解な言葉は思わずもろ手を挙げて賛成しがちですが,こういった用語の中にこそ多くの根本的な問題が潜んでいると私は思います。こういった用語をわざわざ導入された知事御自身はもちろんよくおわかりなんでしょうが,私は理解するのが極めて困難でありました。というわけで,以後ちょっとわかりにくい質問になります。
 本県では,行政評価制度として公共事業再評価システム,大規模施設建設事業評価システム,一般行政施策評価システム,公共事業事前評価システムの4つのシステムを導入しています。一般に地方自治体の行政評価は,政策評価,施策評価,事務事業評価の3段階に分類されますが,岡山県においては一般行政施策評価システムが事務事業評価,快適生活指標が政策レベル,または施策レベルの評価に該当すると考えられます。私は,政策評価はベンチマーク指標や住民満足度調査をもとに,今後の施策の優先順位づけを行うもの,施策評価は施策目標の達成度の評価と施策への貢献度という視点から,事務事業の優先順位づけを行うもの,事務事業評価は個々の事務事業について必要性や行政が関与すべき妥当性等,さまざまな視点から評価することで今後の方向性,継続するか,廃止するか等を判定するものと理解しています。そして,成果志向という点では事務事業の評価よりも施策レベルの評価の方が,より望ましいと言われています。
 そこで,知事に伺います。
 施策評価という視点からすれば,個々の事務事業の評価と施策評価をリンクさせて,施策の視点から事務事業の優先順位づけを判断すべきと考えますが,現在,県が行っている一般行政施策評価システムは施策の評価ではなく,事務事業の評価であり,その評価にも施策への貢献度という視点が見られないように感じます。今後,施策の観点から事務事業を評価することは考えておられないのでしょうか。
 また,内容は,事務事業評価である一般行政施策評価システムと一般の政策評価と言える快適生活指標のリンクはどのように考えておられるのでしょうか。
 最後に,快適生活指標は達成度が低かったプログラムに対しては予算を多くつけるとか,次年度以降の政策の優先順位づけ等にどのような方法で反映させるのでしょうか。
 次に,新しい公共管理,ニュー・パブリック・マネジメントについて伺います。
 夢づくりプランにおいて,英米で見られる新しい公共管理,ニュー・パブリック・マネジメントの考え方を積極的に導入すると書かれておられますが,このニュー・パブリック・マネジメントとは単なる削減型の行財政改革ではなく,成果志向,顧客志向,分権,市場の活用という4つの大きな柱があると言われています。しかし,現在の県のシステムを見ると,行政評価にしても,事業の整理や削減ばかりが目立ち,それ自体がまるで成果のように言われますが,県政を成果志向,顧客志向にするための仕組みが見えてこないように思います。ニュー・パブリック・マネジメントを導入するというのであれば,現在の県政の課題を把握し,それをどのようにして解決していくのか,行政経営改革の最終的なビジョンを明確にして取り組むべきだと思いますが,いかがお考えでしょうか。

(知事)  夢づくりプランの快適生活指標についてでありますが,指標の原案というものは,県が作成をいたしまして,県下9カ所で開催をいたしました夢づくり懇談会やあるいは県のホームページ等多様な機会を通じまして,県議会を初め県民の皆様方へお示しをし,幅広く御意見というものをお伺いをしながら,採用したところでありまして,その目標数値につきましては,これまでの実績や国の政策の動向等を総合的に勘案をして設定をしたものでございます。このことは,県議会でたびたび御答弁を申し上げてきておるところでございます。
 なお,御質問の計画期間内に目標を達成した場合においてでありますが,直ちに見直しをするということは考えておりませんが,指標の性格や達成度合い等を踏まえまして,ケース・バイ・ケースでこれは対応してまいりたいと考えております。
 平成14年度の快適生活指標の達成状況でありますが,6月ごろを目途に夢づくりプランの施策・事業の成果等とあわせてお示しをいたしたいと考えております。
 また,この指標を活用いたしまして,事業の改善,見直し等を不断に行うということにしておりまして,目標が達成できなかった場合におきましてもペナルティー云々ということではなくて,その原因等を十分に調査検討をして,目標達成に向けた新たな事業化等の取り組みというものをさらに強化していかなければいけないと,このように考えているところであります。
 行政評価制度についてでありますが,御指摘のように現行の一般行政施策評価制度は個々の事務事業を効率性等の観点から評価をするものでありまして,御質問にありました施策の観点からの評価につきましては,新年度から導入いたします夢づくりプランを着実に推進をしていくための新たな政策評価システム,その中で取り組むこととしております。
 また,現行の一般行政施策評価につきましても,位置づけやそのあり方を検討した上で,これにつきましては引き続き実施をする予定でありまして,その結果を施策レベルの評価であります夢づくりプログラムごとの主要施策事業の評価に反映をさせるという形で快適生活指標とリンクをさせていきたいと考えております。
 また,72の快適生活指標につきましては,56のプログラムごとの施策評価におきまして,指標の達成状況を把握して,その原因や施策事業の有効性等を分析をする中で,次年度における施策の重点化やあるいは予算の重点配分,こういったことに努めてまいりたいと,このように考えております。
 次に,ニュー・パブリック・マネジメントについてでありますが,社会経済情勢の変化に的確に対応しながら,県民が真に豊かさを実感できる岡山県づくりを進めるためには,民間の経営理念,手法というものを行政運営に取り入れるニュー・パブリック・マネジメントの考え方を積極的に導入することが必要であると考えております。これまでも,各種の行政評価制度を導入をするなど,積極的に改革に取り組みまして,県民本位の効率的で質の高い県政運営に努めてきたところでありますが,今後,第3次行財政改革大綱の策定に当たりましても,県民の視点に立った成果重視の行政運営の推進方策を重点的に検討するなど,岡山県という地域を経営するという発想に立って,効率的で質の高い行政運営の推進に努めてまいりたいと,このように考えております。

(佐藤真治君)  失礼いたします。アイ・シャル・リターン言うて,すぐ返ってきちゃいけんのですけれども,ちょっと要望させていただきます。
 本当に知事からありがたいお言葉をいただきまして,それだけでもう16回質問させていただいたことが報われたなと大変うれしいんですけども,ただそこでくじけてはいけないわけでございまして,ちょっと一言申し上げたいんですけども,快適生活指標に関しまして,ペナルティー云々ではなく,原因は調査し新たに事業化するというふうにおっしゃられましたんですけども,要するにこの繰り返しだったのではないかと私は思うんですけども,行政評価制度,屋上屋を重ねているとは申しませんけれども,幾つかの評価制度がたくさんあって,原因を調査し,結局は新たな事業化だということで,3月のこの時期といいますと,いわゆる決算期でありますから,私の友人たちも,営業マンはノルマを課せられて,明かりがついとるまでは帰ってくるなというふうに言われて,時には自分の自腹を切ってまでノルマの達成をする,数字を上げるために頑張っておられて,そういった方々が払われている税金で成り立っている県政でありますから,そこで県の方がつくった快適生活指標,数字が達成できなくてもそれはペナルティー云々ではなく,原因を調査し新たに事業化するんだと,この繰り返しがやっぱり僕は問題だというふうに思います。もう本当にイタチの何とかみたいで恐縮なんですけども,やはりこういったところを変えていくためにも,再びアイ・シャル・リターンと申し上げて,要望とさせていただきます。ありがとうございました。



<平成14年9月定例会>(2002年9月19日)

(佐藤)  次に,ここは岡山県ですから,よその県のことを引き合いに出しても仕方ないのですが,各地で反公共事業知事が誕生し,その代表とも言える田中長野県政が再スタートしました。84.1%の驚異的な支持があるものの,有権者の6割近くが,どっちもどっち,田中知事と県議会の双方が歩み寄るべきだと考えているそうで,実際の状況を知るべくもありませんが,争点は,要するにむだな公共事業をめぐる問題であったと思います。私は,個人的には,公共事業には確かにむだな部分もあるが,多くがむだという評価は間違っていると思います。また,そもそも,特に産業のない地域では,公共事業そのものが生活の大きな糧となっており,都市生活者の利己主義で一概にむだであると切り捨てられるものでもなければ,公共事業に依存して生計を立てている方には,地域社会に貢献しているという自意識を持って仕事をされている,そのことに敬意を払うべきだと思います。
 また,本県では,公共事業の効率性透明性の向上を図るため,公共工事のコスト縮減,さまざまな評価システム,電子入札の導入を初めとした入札制度の改善等に取り組まれているところであります。しかし,地域社会発展の基礎をつくるための重要な仕事であるにもかかわらず,公共事業は悪だという風潮が高まり,その根拠は@むだだと思われる公共事業が多い。A大規模な公共事業は環境を破壊する。B公共事業を推進しても景気対策にはならず,かえって財政を危機的状況に追い込む。C公共事業の発注受注をめぐって,談合や政治家の介入・汚職等,不透明な部分が多いので,民間が行う建設事業より多くの金がかかっているというものだと思います。
 ところで,ある大学の宿題に,「近年むだな公共事業が問題視されている。ダムの建設や干拓事業を例にとり,理論的には,どのような場合にこのような事業を行うべきか論じなさい。また,そのような事業の最適な規模は,どのような水準かも論じなさい」というのがありました。模範解答は,「公共事業の結果,各住民が享受する便益の総和が公共事業の費用を上回るなら,その事業を行うべきである。そうでないなら,行うべきではない」「最適な規模は,住民の限界効用の総和と事業の限界費用が一致するような水準である」という,問いを問いで答える非常にあほらしいものではありましたが,要は,その公共事業の地域における貢献度と公共機関の財政事情とその必要性のバランスの問題である。突き詰めればそういうことだと思います。また,模範解答には,「むだな公共事業が終わらないのは,むだな公共事業の実施が,政治家にとって利益になるからであり,その根本的な原因は,有権者がそれを望むからである。問題を解決する一つの方法は,公共事業の費用負担は,当該地域の住民に負わせることを原則にするなどして,限界的税負担を適切な水準に引き上げることである」とありましたが,この宿題に,知事はどのような回答をなされますでしょうか。
 加えて,私は,この問題は,国対地方,すなわち地方分権の根幹にかかわるものであり,1,国,都道府県,市町村という縦の3段階構造の中で,自治体の自主権が確立していないこと。2,事業を規定する個別法は,霞ヶ関の局や課の法律解釈や補助金を含む予算で運用されており,こうした中央省庁縦割りの弊害。3,国が新たに借金を重ねて財源を確保してきた,交付税加算や国の補助金に頼らざるを得ない地方財政制度改革のおくれ等を克服しない限り,解決しない問題だと思います。換言すれば,結果として,中央集権構造の中で,国,地方ともに財政破綻に向かってしまった,そのような,補助,単独の区別なく自治体が国の枠組みの中で公共事業を拡大し続けたやり方をかえ,本当に必要なものに集中して投資できるようにしなくてはいけないと考えますが,知事は,国と,いわゆるむだな公共事業との関係をどのようにお考えでしょうか。
 さらに,日本の社会資本の蓄積は,主要国と比較してもまだまだ脆弱とも言えますが,公共事業を雇用創出や景気回復の手段として用いないという可能性も含めて,また社会資本整備といっても,道路やダムや港ではなく,例えば文化的な施設の建設や環境保全事業などに向け,物理的な建造物に限らず,知的資本の蓄積など,将来的には公共事業の定義そのものが変わってしまうということも考えられますが,今後,公共事業はどういう形になっていくのが好ましいと知事はお考えでしょうか。
 また,各地で,市民の意見をもとにマスタープランをつくり,それに見合う形の公共事業を行うという取り組みがなされています。公共事業を行う主体は,必ずしも従来の国と地方公共団体ではなく,民間,NPOのようなものにも担わせるといった発想も必要な時代になってきていると思われますが,今後どのように手法が変わっていくとお考えでしょうか。
 ところで,公共事業が10%,3%と一律に削減される中で,全産業に占める建設業就業者の割合は約1割,土木建設業が衰退産業であるかのような現状では,成長の見込める産業への人材流動が速やかに行われなければ大変な事態になります。いかように,雇用の創出,転職を支援するのでしょうか,商工労働部長にお伺いいたします。
 また,県の行財政改革の一環として,公共事業の削減を考えたとき,行政組織はどのような体制に変わるのでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。
 最後に,公平・公正・透明性は重要であるにしても,法人税等税収の面を考えても,公共工事だけでなく,県からの業務委託の発注,例えば施設の清掃委託等については,地元業者優先の施策をとるべきだと思いますが,いかがでしょうか,総務部長にお尋ねいたします。

(知事)  次に,いわゆるむだな公共事業についての御質問がございました。どういう条件のもとに公共事業を行うのかという大変難しい論文を突きつけられたような思いでございますが,この問いに対しまして,抽象論でお答えを申し上げれば,ただいま議員が御紹介されました模範答案のとおりであるとしか言えないわけでございますが,問題は,具体的にどのように公共事業を進めていくかと,こういうことであろうと思います。当該公共事業の便益であるとかあるいは必要性緊急性等々,あくまでも個別事業ごとにその総合的に公共事業というものを判断をしていくということだろうと思います。その点,本県が先駆けてつくりました公共事業の事前評価システム,こういったものは大変そういった面で参考になるのではないかと考えております。費用対効果のウエートを非常に高くしているというところに特徴があるわけであります。
 次に,むだと言われるような公共事業が生まれる背景の一つということで,地方が実施する公共事業についての考えなんですけれども,こういった我々岡山県内で行われております公共事業について,その判断権というものを関係各省庁が握っているということ,そして,地方は,その関係省庁の財源というものに依存をしておりまして,その財源の補助金とかあるいは地総債,過疎債等々の財政負担以上の便益を享受していると,こういったことで安易に公共事業を行うことになりやすい今のシステム,これがいろいろむだな公共事業として地方が行っている公共事業について指摘される背景にあろうかと存じます。
 私は,そういったことから,公共事業の実施の判断権能とともに,財源も地方に移譲してもらって,我々が,すべてどの公共事業を実施するかということをゆだねてもらうと,我々に判断を任せてもらうということで,受益と負担というものを一致させまして,地方において責任を持って公共事業を行っていくシステム,こういったものをつくっていかなきゃいけないと,これが重要であると,私は考えております。
 公共事業の今後の方向でありますけれども,公共事業というものの定義とか範囲,これはさまざまな考え方がございます。このこと自体について議論をするよりは,まず大切なことは,行政が行っている事業は,これはすべて,最終的には国民,そして住民の負担する財源によって賄われていると,こういう点を認識することでありまして,すべての事務事業を含めて,その優先順位というものを適切に判断をしていかなければならないと,そして,そのことを県民の皆様にわかりやすく御説明し,開かれた県政を展開していかなきゃいけないというふうに考えております。
 特に,問題点といたしましてよく指摘されますのは,現在のいわゆる公共事業に定義づけられますものは,起債の発行対象経費と相なっているわけでございまして,これは住民負担の世代間公平の観点から認められているわけでありますけれども,これによって,当面の負担が軽減されることによって,必要性の判断が甘くなると,こういったことが指摘されますから,そういったことを十分留意をしなきゃいけないと,このように考えておりまして,この点,昨日の姫井議員に対しましても,改めて自重自戒しながら,県立体育館につきましても適切に執行していかなきゃいけないと,このように私は考えているわけでございます。
 新たな手法でございますが,事業の計画策定や意思決定の段階から,住民の皆さんの参加を求めまして,広く関係者の意見を反映させて実施をしていく,いわゆるPI方式(パブリックインボルブメント方式)とか,それから公共施設等の設計建設,管理運営に,民間の資金とノウハウというものを活用して,効率的で質の高い公共サービスの提供を図っていこうという,いわゆるPFI方式への取り組みというものが,最近本県のみならず幾つかの公共団体において行われております。今後の公共事業は,事業のあり方を含めまして,民間やNPOがどうかかわっていくのかと,まさに道路関係公団につきましても民営化ということで今議論がなされておるわけでございますので,そういった点も含めまして,私自身深い関心を持ってこれからも適切に公共事業を執行し,取り組んでいかなきゃいけないと,このように思っているところでございます

(総務部長)  まず,公共事業に係る行政組織についてのお尋ねでございますが,これまでも,県の行政組織につきましては,産業構造や社会経済環境の変化に応じました簡素で効率的な体制の整備に努めてきたところでございます。公共事業の見直しにつきましても,それに伴う業務量がどのようになるのか十分に分析しながら,適正な人員配置や行政組織のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 次に,業務委託等に係る地元業者優先についてのお尋ねでございましたが,事業執行に当たりましては,効率性,経済性,確実性などは当然考慮すべきでありますが,地域産業の活性化や県内業者の育成といった観点も重要であるというふうに考えております。
 施設の清掃業務につきましても,本県の登録業者のほとんどが地元業者となっており,地元業者への発注に努めているところでございます。

(商工労働部長)  公共事業削減のうち,雇用の創出と転職支援についてでありますが,建設業からの労働移動は,その多くが業界内であることから,離職を余儀なくされた建設業労働者を新たに雇い入れ,かつその定着を図った建設事業主に助成を行う建設業労働移動支援助成金制度が国において設けられているほか,産業雇用安定センターにおいて,企業間の出向,転籍のあっせんをしておりまして,建設労働者の送り出し,受け入れ情報のマッチングを図っております。
 県といたしましては,緊急地域雇用創出特別基金を活用して雇用の創出を図るとともに,職業訓練の実施や新規成長分野で新たに人を雇い入れた事業主に対する助成など,国の各種助成金制度の周知に努めているところでございます。



<平成13年12月定例会>(2001年12月12日)

(佐藤)  あわせて,岡山空港に関して幾つか伺います。
 岡山空港は,1,850台の無料駐車場が売りであることを承知の上で,一部駐車場有料化の提言をさせていただきます。
 毎週東京に出張する経営者,会社員の方は大勢おられますが,ぎりぎりで空港へ入った場合,車がとめにくいということがたびたび起こっているように思います。また,車の保護の問題もあるようです。こういう方々にとっては,駐車場が無料であるということは必ずしも大きなメリットであるとは思えません。そこで,特定の最寄りの区間のみを有料にして,無料のエリアも残すことにしてはいかがでしょうか。例えば,最寄りの500台分を有料にし,例えばですが,1日500円として,これだけでも年間数千万円以上の売り上げとなります。お金と時間のどちらを優先させるか,空港の利用者に選択していただく時代であると思いますが,いかがでしょうか。
 さらに,これは昨日の重複質問になりますが,JALの進出もあり,ビルが手狭になり,またレイアウトも改善すべきではないでしょうか。毎年の利用客の増加に伴い,現在の空港カウンター及び待合室等は余りにも手狭だと思います。
 また,店舗の配置も非常に圧迫感があります。レストラン等も滑走路が見えるところへ移動するなど改装の予定等がございましたら,お知らせください。

 特に,商店街のみならず,文化ゾーンの玄関口である表町地下駐車場の見直しがされるということでありますが,まさにこの地は国の予算の重点7分野の一つである都市再生そのものに関する地域のことでありまして,2万人の居住可能性のある中心市街地において,駐車場をこのように縮小する以外に方策がないのか,土木部長にお伺いいたします。

(知事)  岡山空港の問題であります。
 一部駐車場を有料化してはとの御質問でございますが,岡山空港は,開港以来駐車場を無料にしていることが最大のセールスポイントであったわけでございまして,大きな旅客数の着実な増加にこのことが結びついてきているわけであります。岡山空港のこういった優位性というものを確保するために,今年度中に空港の入り口付近に駐車状況を電光式で表示をして,車で来られる方にどこの駐車場が今あいているかということをわかりやすく明示をするなど,引き続き利便性の向上策というものを強力に展開をいたしまして,無料駐車場の利便性といったことで,当面,この無料駐車場という形の運用を継続いたしたいと考えております。
 また,しかし御質問にございましたとおり,駐車場が近くは満杯であるといったようなこともよく私もお聞きをいたしておりますので,より利用しやすい駐車場というものを目指さなければならないと思っておりまして,ターミナルビルの前面にあります駐車場の拡充につきましても検討をいたしたいと考えております。
 ビルの改装予定等についてでありますが,新たな航空会社の進出や旅客数の増加など手狭となる要因がふえておりまして,保安検査機器の増設など可能なものにつきましては早急に対応策を検討したいと考えております。
 なお,現ビル内でのレイアウト改善というものには構造的な制約があるため,ビル全体の増改築につきまして基本計画の策定を急いでおります。旅客の利便性と快適性を抜本的に向上をさせていかなければならないと考えております。

(土木部長)  表町の地下駐車場の見直しについてでございますが,この駐車場の利用実績は計画を大きく下回っておりまして,事業終了年度の平成32年度におきましては,累積欠損額が80億円以上になる見通しでございます。県財政に大きな負担となるということでございまして,このため,問題を先送りすることなく,抜本的な対応策といたしまして,道路公社の事業を廃止しまして,県に移管する方向で見直しを進めておるところでございます。
 現在の機械式駐車場は,維持管理する上で多額の経費を要するとともに,入出庫が非常に不便な構造でございまして,低コストで利用しやすい平面自走式駐車場に改良いたしまして管理運営をいたしたいと考えているところでございます。
 なお,市街地の中心部の駐車場対策につきましては,今後,岡山市やそして地元関係者と十分に協議をいたしてまいりたいというふうに考えております。



<平成13年9月定例会>(2001年9月19日)

(佐藤)  先輩方の御厚情をいただきまして,私のわがままで,毎回毎回一般質問を続けさせていただいてまいりましたが,いよいよ10回目になりまして,ここはひとつ趣向をというわけではございませんが,これからさせていただきます質問は,あるいは,今までで一番過激な質問になるかもしれません。ただ,その根底にあるのは,あくまで職員の方であれ議員であれ,公職にある者の責任と誇り,それを回復したいという願いであり,尊敬する石井正弘知事に対して,いたずらに攻撃しようとか生意気を言ってみようとかというわけではございません。しかし,若い者が何を言うんならという部分がございましたら,これが俗に言う若げの至りでございます。どうか,そこのところをおおらかな気持ちで受けとめていただきますよう,心よりお願い申し上げます。
 さて,私は,この神聖なる本会議の議場で,愚痴を申し上げる気はさらさらございませんが,県議会議員に当選させていただいて2年半,先輩方や執行部,職員の皆様方のお力添えをいただき,自分なりに頑張らせていただいてきたつもりですが,なかなか成果が出ません。それどころか,周りを見渡せば,事態はますます悪化しております。景気は悪化の一方,毎日倒産のニュースが入り,完全失業率は5%突破,たび重なる想像を絶するような,信じられない事件の数々,崩壊する倫理,社会不安,環境の悪化,さらにはアメリカの連続テロ事件を契機にした国際的な戦争の兆し,一体この国はどうなってしまうのか。私は,議員として何をしているのか。何か日本はおかしいぞ。前代未聞の経済危機,社会的危機だとだれもが感じています。小泉総理への一時の圧倒的な支持も,このままでは本当にすべてがだめになる,その前に,根本的な手を打ってほしい,そういった国民の声でした。もはや右肩上がりの経済,豊かな未来,そんな夢にいつまでも酔い続けることはできないのかもしれません。高度経済成長がいつか戻ってくるというのは幻想にすぎないかもしれません。だれもが,本当に大きな不安を抱えています。ここから始まるのは,生き残りをかけた戦いです。今この瞬間に,どれだけ多くの岡山県民が歯を食いしばって頑張っておられるでしょう。どれだけ多くの方が,あしたの,いやきょうを乗り切るために汗と涙を流しておられるでしょう。家族のため,従業員のため,迫りくる倒産,失業,リストラの恐怖と戦いながら生きておられる方が,どれだけ多くいらっしゃるでしょう。
 10カ月になった子供の寝顔を見ながら思います。彼に何を残せるのか。こいつは将来,何もよいことがないかもしれない。既に,彼は,多くの借金を背負っている。また,これからも平気でツケを回されるでしょう。少子・高齢化が進み,さらに,国際的な緊張の中で,ずっと今よりも不安な社会で,ずっと借金を背負い,彼らは生きていかなくてはならないのです。また,どれだけ多くの子育て世代が今を耐えているかおわかりでしょうか。自分たちの受けてきた以上の幸せは,子供たちに与えられないかもしれない。親として,どれだけ情けないか。今をやり過ごしても,将来の経済的不安,社会的不安がどんなに大きいか。
 私は,彼らの声を代弁したいのです。政治は,未来の子供たちのためにあります。今声が出せる,意見が言える人たちのためだけではないのです。しょせん人間は死にます。人類という流れの中では,バトンランナーにすぎない。何を引き渡したか,それがその時代の人間の評価です。岡山県が,未来永劫続くとは思いませんが,我々の価値は,何を手渡したかで後世がすぐに判断してくれるでしょう。
 そんな不安の中で,それでも岡山県民は,岡山県に税金を払ってくださっています。納税の義務を果たすといえばそれまでですが,それは,決して岡山県職員の皆様を初め公職にある者の安定的な生活を願ってのことではもちろんありません。私を県議会議員に推してくださった方は,私が特別職公務員になる就職活動を手伝ってくださったわけでもなければ,先生と呼ばれて偉くなれと祈っておられたわけでもありません。公職にある人間に,全体の奉仕者である公務員に,しっかりと生命,自由,財産を守ってほしい。みずからの命をかけても,岡山県のために,岡山県民のために尽くしてほしい。それが,岡山県民の願いです。そのために,血税を納めてくださっている。代表に選んでくださっている。逆に,それにこたえるのが公職にある者の使命であり,誇りです。岡山県民が,みずからの血税を託した我々をどう見ておられるかは想像にかたくありません。私は,本当に使命感に燃えて,一生懸命働かれている職員の方の姿を身近で見ております。しかしながら,県民は,そうは見ないのです。これだけ民間が死に物狂いで頑張っているのに,我々の血税を使って,公務員は何をしているのか。繰り返される血税がむだにされる姿,しかも民間ではとても考えられない公務員の責任のとり方。民間は生き死にです。「ごめんなさい」では済まないのです。民間では失敗すれば,まさに命がなくなるのです。行政サービスの価値を税金の対価という観点から厳しく監視するということであれば,当然,岡山県に効率的な行政サービスが期待できない場合は,県民が税金を払わないという納税拒否の発想も出てくるでしょう。いつ税金不払い運動が起きても,県庁にデモ隊が来ても不思議ではないかもしれません。そのぐらい岡山県民は怒っておられるのです。今,私たち公職にある者は,一番大切な信頼を失っています。今再び我々公職にある者が,責任と誇り,信頼を取り戻さないといけません。
 まず,知事に,そういう血税を払ってくださっている県民,倒産や失業の恐怖と戦っている方,子育て世代,未来の子供たちに対して,首長として,今,目の前におられると仮定して,メッセージを送っていただきたいと思います。

 さらに,公職としての県職員が,どう県民から見られていると認識されておられるのか,それに対して長としてどうしたいとお考えなのか,お知らせください。
 そんな中で,岡山県では,平成9年11月に岡山県行財政改革大綱,平成11年11月には第2次岡山県行財政改革大綱を策定し,危機的な状況にある県財政の健全化と,21世紀に向けて岡山県が飛躍するための,柔軟でスリムな行政システムの構築を目指して,徹底した経費の削減と抜本的な行財政改革を進めてこられました。そして,今年度の重点目標として,行政情報化の推進,外郭団体の見直し,パブリック・コメント手続制度の検討,PFI導入の検討などを掲げられています。
 日本の地方自治は,破綻か再生かの瀬戸際にあるということで,日本全国の自治体が行政改革大綱を掲げ,歳入の減少に応じて各部の予算を一律カットする,あるいは新規採用を控え,人員の自然減を待つ,あるいは組織を簡素化し,部や課の統廃合を行う,あるいはさらに,サービスの推進,一層の効率化と,項目を並べられています。しかし,民間では,企業経営が苦しくなれば,コスト削減は当たり前で,こういった減量経営が実質的な仕事のやり方や経営効率の向上にはなかなか結びつかないと言われています。
 まず,あまたある行政改革大綱の中で,要するに岡山県の行革の目玉は何なのか,知事にお尋ねします。

 以下,個別に行政改革に関して質問させていただきます。
 まず,国の行革の一環として,地方分権が掲げられるわけですが,地方分権一括法施行後,機関委任事務の廃止が地方分権の成果として挙げられていますが,具体的に,機関委任事務廃止を初め,地方分権一括法施行のメリットがどう県民にあったのか,お知らせください。
 次に,今年度の行革の重点目標として掲げられている行政情報化の推進,いわゆる電子県庁化に関して,ITは,行政の,特に執行業務のあり方を根底から変える可能性があり,考えようによれば,プロパーの事務職員はほとんど要らなくなる。また,民間はそのように努めていると思いますが,こうしたeガバメントが行政機関にもたらすインパクト効果について,どのようにお考えでしょうか。具体的に,県庁内,地方振興局をネットで結んだ結果,どれだけのコストダウンの効果がありましたか。また,現在の業務内容を何年までに,どういう形でコストダウンしていくのか,お示しください。

 次に,私は,行革のためには,市場との競争原理の導入が不可欠だと思います。個々の行政サービスに,官民の区別なく,競争原理を導入する工夫が英米では行われていますが,日本では,例外的な民間委託,民営化に限られます。官民の間に強制競争入札を導入し,民間とのコスト比較にさらし,費用対効果のすぐれた方に行わせるということはお考えでしょうか。特に,知事は,NPOの活用をよく言われますが,将来的には,行政とNPOに競争原理を働かせて,行政のコストダウンを図ることをお考えか,お知らせください。

 次に,行革に関しては,行政と県民の情報の共有化が必要です。しかし,全戸配布の保存版と銘打たれた晴れの国ジャーナルには,県の財政赤字について余り書かれていません。改革案を打ち出すときに,いかに現状が大変か,苦しいか,県民の理解と協力が必要か,繰り返し訴えないといけませんが,明確に示されているとは言えません。残念ながら,行政改革大綱,行革レポートはなかなか県民の手には届いていないのが現実です。現状の問題点,過去の失敗を積極的に情報公開し,改善状況を定期的に公表していくために,県民に理解しやすい形でお伝えする方法はないでしょうか。

 さて,今年度の重点目標として掲げられているパブリック・コメント手続についてお伺いいたします。
 パブリック・コメントは,国では,そのような機会を設けなければならないことを閣議決定し,平成11年4月から実施しているもので,国の定義で言えば,行政機関が政策の立案等を行おうとする際に,その案を公表し,この案に対して広く国民,事業者等の皆さんから意見や情報を提出していただく機会を設け,行政機関は,提出された意見等を考慮して,意思決定を行うというものです。国民,事業者等の皆さんの多様な意見,情報,専門知識を行政機関が把握するとともに,行政の意思決定過程における公正の確保と透明性の向上を図ることを目的としています。岡山県では,パブリック・コメント手続の導入を検討されております。
 そこで,パブリック・コメントとは,そもそもどういう基準,法的根拠で行われるのか,また,その法的効果はいかなるものでしょうか。
 また,パブリック・コメントをとったといえるためには,どれだけの数の反応があり,しかも,その反応の内容がどうでなくてはならないか,明確な基準はあるのでしょうか。
 また,市町村では,ホームページで住民投票のような形でパブリック・コメントをとり,施策推進の根拠としている例がありますが,住民投票との明確な違いは何か,そして,議会との関係をどのようにお考えか,お知らせください。
 あわせて,既にパブリック・コメントをとったとおぼしき事案が散見されますが,それがどう反映されたのかをお知らせください。

 関連して,公的に意見を募るという意味で,大規模事業評価委員会など,いわゆる第三者機関についてお伺いいたします。
 まず,今回,外郭団体について,第三者機関の設置を知事は提案されていますが,本来,選挙を経た議会に対して十分な情報開示をされることが前提であると思いますが,議会の審議よりも先に情報が示され,時には,マスコミ報道され,手続上,第三者機関の意見がにしきの御旗となり,施策が進められているように感じられます。知事は,第三者機関と議会の関係をどのようにお考えなのでしょうか。
 また,第三者機関設置の法的根拠並びに第三者機関の意見等の法的拘束力についてお知らせください。
 また,第三者機関のチェックはどこが行うのでしょうか。
 我々議員は,判断を間違えれば,次は落選ということになるわけですが,選挙によらない民間のいわゆる学識経験者の方が,例えば事業が破綻した場合にどういう責任が生じるのか,道義的な責任のみで事業の方向性など決められるのか,お知らせください。

 次に,今年度の行革の重点目標として,PFI手法の導入が挙げられています。リサーチパーク,インキュベーションセンター建設にPFI手法が使われることが決定しましたが,手法であるPFIについてお伺いいたします。
 地方自治体として,ITは高速道路と同じで,先頭に立たず,周りの状況を見ながら半歩後を行く方が,安全で,しかも補助金などが充実して安上がりだという施策をとるところもありますが,このPFI手法も,導入する自治体はふえてはいますが,実際の成否は未知数で,決定的な成功事例は日本ではまだ出ておらず,どこも恐る恐る始めているのが現状だと思います。また,道路や橋にPFI手法を導入するというイギリスの事例と比べても,日本では廃棄物処理施設などに導入するのが一番なじむように思いますが,今回のインキュベーションセンターに導入された意図をお伺いします。また,この施設の整備等につき,9,000万円のコスト削減ということですが,PFI手法導入に伴う費用,また予測外の支出を見越して,正味幾らの削減になるのか,あわせてお伺いします。
 また,今後,どのようなものに導入されていかれるお考えなのか,また,どの程度のコスト削減が見込めたら,PFI手法を導入する意味があるとお考えなのか,お知らせください。
 また,施設自体が民間事業者所有の施設ということになれば,当然,固定資産税を支払わないといけません。そうした場合には,県の施設にもかかわらず,市町村に固定資産税を払うことになるのでしょうか。こういったPFIに関しての税法の整備はどうなっているのか,お知らせください。
 PFIの場合,総合評価方式と称して,学識経験者などから成る審査委員会が事業者の選定をするわけですが,その公平性,公正性,透明性はどう担保されるのでしょうか。
 また,PFI事業者が附帯事業でもうけたいと思い,そのことに頑張ったあげくに失敗し,当初の目的の事業もできなくなった,そういった事態にはどう対応されるのでしょうか。仮に事業が破綻した場合,最終的な責任はだれが負うのでしょうか。また,県にとって新たな負担は生じないのでしょうか。
 今,公職にある方は,あるいは田町や中央町で,隠れるように,肩身の狭い思いで飲んでおられるかもしれません。もし県庁のバッジや議員バッジをつけて飲んでいたら,見も知らない県民の方から,「いつも頑張ってくれてありがとうな。あんたらのおかげでこんなにようなったで。これからも頼むで」と肩をぽんとたたかれる,ありがとうの一言,感謝の言葉,公職にある喜びはそんなものだと思いますが,それは夢なんでしょうか。

 ところで,知事は,毎週火曜日夜放送中のNHKの「プロジェクトX 挑戦者たち」をごらんになっておられますか。恐らく時代の逆境の中にある多くの方々が,あの番組に勇気づけられているのではないでしょうか。毎回テーマはさまざまですが,こんなに熱く生きていた人がいたのか,こんな形で苦難を乗り切ったのか,わしだってやれるんじゃねえか,頑張ろう,そう思うのです。1兆円以上の財政赤字の解消,これはまさに「プロジェクトX」です。私たちに与えられた試練です。願わくば,知事,将来,「プロジェクトX」に出てください。それだけの価値のある大改革です。そのときには,まことにずうずうしいお願いですが,当時の県議会議員として,私も,写真でよいですから出してください。どうか「プロジェクトX」が「プロジェクト×(バツ)」にならないようお願いしながら,すべて石井知事に質問させていただきます。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。


(知事)  いつものことながら,早口で大変たくさんの質問をいただきまして,まことにありがとうございました。
 順次お答えを申し上げたいと思います。

 まず,県民へのメッセージということでございますけれども,御質問の中にもございましたが,大変厳しさを増しております経済,そして雇用の情勢の中にあります。そしてまた,地球規模でさまざまな環境問題も発生をしております。そういった中で,また同時に,今議会でも少子・高齢化の問題がいろいろ言われておりますけれども,そういった中で,多くの困難に直面をしておられる県民の方々がいらっしゃるわけでございます。しかし,岡山県は,考えてみますと,これまでも多くの先人の方々の努力によります,幾多のさまざまなそういった困難を乗り越えて,今日の発展を築いてきたところでございます。県民の皆様方の英知と,そして努力というものを結集をしていけば,これらの幾多の困難を必ずや乗り越えていくことはできると私は確信をいたしております。
 御案内のとおり,さまざまなそういった問題,これを解決していくためには,やはり生活者の視点に立って,今いろんな困難を抱えてらっしゃいますが,そういう方々の立場に立った行政というものが大変重要かなと思っております。そういった方々とともに手を携えまして,私自身先頭に立ち,岡山県の可能な限りの発展,それを目指しまして,これからも全力を尽くしてまいりたいと,このように考えております。佐藤議員におかれましても,ぜひ県政におきましての,ひとつ御支援と,また御協力をお願いを申し上げたいと存じます。

 そこで,公職としての県職員,どのように見ておられるかと,こういうことでございますが,確かに,御質問にもございましたとおり,真摯に公務に励んでいる,一生懸命頑張ってる,そういう職員もいる。こういう声を聞く一方で,今のお話にございましたような,倒産,あるいはリストラ,こういった一般の中小企業の取り巻く厳しい環境の中にあって,役所は倒産する心配もないわけですから,依然として旧態依然たる仕事をしてるんだなと,こういったような厳しい声を聞くこともあるわけでございます。私といたしましては,当然のことでございます,高い倫理観はぜひ持っていただきたい。同時に,今の置かれた困難な県政の状況の中にあって,高い使命感というものも同時に持ち合わせてもらって,チャレンジ精神あふれる県政を前向きに展開をしてもらいたい。そのために全力を尽くしてもらいたいというふうに,職員には常に意識改革を呼びかけているところであります。

 続きまして,行政改革についての幾つかのお尋ねでございますが,まず行革の目玉というお尋ねでございます。
 平成9年と11年,2次にわたる行財政改革大綱を定めました。最初に定めた平成9年,その際には,佐藤議員,当議会にまだ議席を占めておられなかったわけでございますが,御案内のとおり,あのときは財政再建団体への転落,これが大変。この危機を乗り越えるということが大変重要な,最大の県政の課題であったわけでございまして,それを一番大きな目標といたしました。そのために,大規模事業の思い切った凍結であるとか,とにかくありとあらゆる事務事業の徹底した見直しというものに取り組んでまいりました。当然,県庁の職員の人件費というものにも協力をしていただく,こういったような形で取り組んでまいりまして,定数の削減につきましては,全国的に見ましても,最も厳しい数値となっております。そして,組織の削減,さらには外郭団体の見直しといったようなことにも取り組んできているところでございまして,おかげさまをもちまして,あの当時は起債制限比率,全国平均が大体10ぐらいの数値でございましたが,岡山県が19からもう20を突破する寸前であった。第2位は,ちなみに15ぐらいであったということでございますので,大変厳しい数値でございましたけれども,今は,この起債制限比率も徐々に低下をしてきているというところまで少しずつ改善してきているということを御報告できるような状態になってきているところでございます。

 続きまして,地方分権一括法施行のメリットということでございますが,これはもう御案内のとおり,我々地方公共団体に国からの権限移譲がされまして,そして我々が,機関委任事務が廃止されたこと等によりまして,自分自身で政策を,国の関与,コントロールなしに立案をすることが可能になったわけでございまして,これを受けて,住民の皆様方のニーズというものを的確に反映をする,そういう自主的なかつ個性的なる行政運営を行うことが可能になったということでございますので,その結果,県民にとってのメリットということで申し上げれば,行政への参画の可能性が大きく広がったというふうにとらえることができるんではないかと思っております。

 次に,行政情報化の推進についてのお尋ねがございましたけれども,佐藤議員は,ただいまコストの削減はいかほどかというふうな,コスト論についての種々のお尋ねをいただいたんですが,行政は,必ずしもコストだけではないわけでございまして,もちろんコストの面は十分配慮しなければならないわけでございますけれども,一方で,パブリックな面からの行政のサービスを適切に提供していくという,そういう面もあわせ持っております。そういう立場から御回答申し上げますと,電子県庁というものは,申請とか届け出,こういったものとかあるいは入札とか調達,そして税の申告等あらゆる行政手続というものを電子化することによりまして,行政サービスの利用者の利便性を高める,こういうことにあるわけでございます。あわせまして,行政の内部におきましても,その内部事務について,ITによります大幅な業務の革新を図りまして,その結果,行財政改革にもつながっていくという,そういう大きなインパクトを持つものと思っております。県庁のイントラネットがあるわけでございますが,これにつきましては,電子メールとかあるいはホームページを通じました県民の皆様方との情報の共有化,大いにこれに活用されておりますけれども,この情報のインフラは各種行政手続の電子化等の,先ほど申し上げました入札などでございますが,こういった具体的な政策とあわせまして,県民へのサービス向上への効果というものをねらっているものでございます。したがいまして,単にコストダウンだけを目的としたものではないということにつきまして,御理解を賜りたいと存じます。

 御質問いただきましたコストのメリット等でございますが,この点は,今年度策定をいたします平成15年度を目標年次とした行政情報化推進計画,その中におきましてできる限りお示しをすることといたしたいと存じます。
 市場との競争原理の導入についてのお尋ねでございましたが,行政も一事業者として,民間事業者とともに,例えば清掃の業務,これを行政と民間事業者がともに入札をするといったような御提案,大変これはユニークな御提案であると私は考えておりますが,強制競争入札という制度,これにつきましては,日本と,それから実際に例があったという英米とでは地方自治の仕組みとか法制度が異なっておるために,現行の枠組みの中で行うことは,これはなかなか難しい問題があるのではないだろうかと,このように考えております。

 NPOについてのお尋ねもございましたが,これにつきましても,やはり行政のコストダウンを図っていくためにNPOの政策を進めていくということではないわけでございまして,私といたしましては,行政とNPOが適切に役割分担をしながら,そしてともに手を携え合って,協働して,これからの新たな県政の課題を進めていく,例えばまちづくりを進めていく,そのよきパートナーとしてNPOの問題というものに対応していきたいと,このように考えているところでございます。

 次に,行財政改革等の広報でございますが,この点につきましては,毎年県民向けの行財政改革リポートというものを作成をいたしまして,市町村等に配布をし,そして県庁,地方振興局,銀行のロビーに置くほか,県のホームページには掲載をいたしております。しかし,御指摘にございましたとおり,晴れの国ジャーナル等に十分掲載してないではないかという御指摘はごもっともなことでございます。これからは,そういった広報媒体も活用などいたしまして,できる限り多くの県民の皆様方に行財政改革について御理解を賜りますように努力していかなければならないと存じます。

 次に,パブリック・コメント手続についてでございますが,これはもう御承知のとおり,これについての法律は制定はされておりません。導入をしようとする公共団体が,要綱等で基準とかあるいは手続を独自に定めて行っているのが例でございます。また,住民から意見を募集して,意思決定を行うための,これは参考とするものでありまして,したがって,賛否の意見の数によりまして意思決定の方向というものを決定をする住民投票,この制度とは異なるものでございます。
 議会との関係はどうかというお尋ねでございますが,議会にお諮りをする事案につきまして,よりよい執行部の案を作成をすると,そういう観点からパブリック・コメントは行われるものでございます。
 本県では,これまでも各部局が必要に応じましてパブリック・コメントの手法を採用してきておりまして,その具体例,県民意見を反映したその具体例は何かというお尋ねでございますが,御案内のとおり,男女共同参画の促進に関する条例を制定する際に,県民の意見をお伺いをいたしましたところ,審議会の委員につきまして,公募枠をぜひ設けるべきであると,このような御意見がありまして,この県民意見を条例には取り入れをしております。現在,パブリック・コメント手続の全庁的な運用等につきまして,検討を行っております。できる限り早く,要綱等によりまして,統一的な手法につき明らかにいたしたいと考えております。

 続きまして,第三者機関についてでございますが,専門的な観点からの意見とかあるいは利害関係者の意見等をいただくために,法律やあるいは県の条例,要綱等に基づき設置をしているものでありまして,それぞれの機関ごとに適切な方を選任をいたしまして,意見等をいただいておりますが,それらは法律的に強制力を持つものではございません。
 なお,当然のことでございますが,審議いただきました事案に関しましては,第三者機関の意見はあくまでも参考でございまして,県がみずから責任を持って決定をしているものであります。
 議会との関係でございますが,議会にお諮りをする事案をまとめる,その過程におきまして,必要に応じ第三者の意見を参考にしているものでございます。

 続きまして,PFI手法についての幾つかのお尋ねをいただきました。
 インキュベーションセンターへ導入をした意図でございますが,本格的な施設を整備をして,次代を担う新規事業者が数多く誕生し,そして本県の産業に活力を与えるとともに,新たな雇用の創出につながること,こういうことを目指しているものであります。PFIの導入によりまして,コスト削減が見込まれること,これはもとよりでございますが,そのほかにもインキュベーションマネジャーによりまして,入居者が必要としております技術とか経営の指導,それから販路の開拓支援などに,民間のノウハウを生かした質の高いサービスの提供,いわゆるソフト面でのサービスの提供というものが見込まれるという利点もございますし,当然,県の財政負担の平準化が図られる,こういったこと等の効果が期待できるものであります。
 施設整備等のコスト削減でございますが,想定事業費であります約37億円から国庫補助金等を差し引きまして,アドバイザー経費等を加えますと,したがって,これはハード,ソフト全体の総経費でありますけれども,県の実質支出額は15年間で約29億円と試算をいたしております。これを現在の価値に換算をして,県が直接みずから実施をする場合と比較をして計算をいたしますと,少なくとも9,000万円の削減が見込まれるところであります。
 また,予測外の支出ということにつきましては,災害等によりまして,損害の一部を事業者に負担をさせることにしておりまして,その削減の効果は約6,400万円と推計をいたしております。
 導入方針等でございますが,PFIは民間の創意工夫と資金を活用しながら,多様な公共サービスを提供していこうというものでございまして,社会資本の整備を進めていく上で有効な方法と私は考えております。本県では,大規模施設建設事業評価システムの中で,PFI導入の検討というものを義務づけをまずしております。そして,評価の中で,県の負担の軽減とかあるいは公共サービスの向上が見込まれる場合におきましては,PFIの導入を積極的に図るということにしているところでございます。
 固定資産税についてでありますが,PFI事業で整備をした施設が民間事業者の所有である場合におきましては,これは当然課税対象となるわけであります。
 PFIに関する税法の整備についてでございますが,特別土地保有税の非課税と,それから特定用途港湾施設の一部について,固定資産税の課税標準の特例措置が講じられております。
 総合評価方式の公平性等についてでありますが,事業者の選定につきましては,PFI法におきまして,公募の方法等によるものとともに客観的な評価を行いまして,その結果を公表することとなっております。また,国が定めたPFIに関する基本方針におきましては,評価基準を公表することと,このようになっておりまして,こういった公表制度を適切に運用することによりまして,公平性あるいは透明性というものは十分確保されているものと認識をしております。
 最後に,リスク分担についてでございますが,PFI事業は,いわゆる第三セクター方式とは異なっております。事業期間における責任とリスクの分担を,あらかじめ行政側と当該事業者との間におきまして契約で明確に定めた上で,公共事業を民間にゆだねていくというものでございまして,施設の設計とか建設の責任あるいは維持管理,運営の責任,これは原則として事業者にあるわけでございます。
 また,民間事業者の責めに帰すべき事由によりまして,事業の継続ができなくなる場合というものも当然想定されるわけでございます。御質問にもございました。そういうケースにおきましては,契約を解除いたしまして,そしてそれによって岡山県に損害が生じた場合におきましては,それを相手方に対して請求することができる,そういう契約条項になっておりまして,特段の損害を県がこうむることはない,そういう仕組みとなっておるわけでございまして,以上,PFI,インキュベーションセンターにつきましてのお答えを申し上げました。
 大変御懸念される立場での御質問を幾つかいただいたわけでございますが,申し上げるまでもなく,このインキュベーションセンターにつきましては,現下の経済情勢,そしてITを活用した製造業の岡山県としての育成を,ベンチャーを養成していこうと,こういう非常に前向きなチャレンジ精神あふれる県政の取り組みということで,県職員も先頭に立って,本来ならば3年ぐらいかかるであろうという事業を1年半ぐらいでやり上げようということで,一生懸命頑張ってやってるものでございまして,御心配の向きはこれからも一生懸命皆様方に御説明させていただきますので,どうかひとつ御理解をいただきまして,県議会の皆様方の御支援を心からお願いを申し上げる次第でございます。

 「プロジェクトX」の話。その番組は,大変私がよく見る番組の一つでございまして,時間があれば見させていただいております。大変こういう厳しい時代の中にありまして,本当に明るい,あのときあれだけ頑張ったなと,頑張った人がいるんだなという明るい話題を提供していただいております。そういった面におきましては,現下,大変厳しい時代ではございますけれども,県議会の皆様方と手をとり合って,この危機を乗り越えていきたいと思います。私という名前は出ましたけども,そうではございませんで,ここにいる皆さんがぜひ一緒になって,「プロジェクトX」に後々登場できるような,そういう取り組みを進めていきたいと,こう思っております。佐藤議員におかれましては,その節には,もう少し体の方もスリムになっていただきまして,テレビに登場していただければと御期待を申し上げまして,答弁とさせていただきます。



<平成13年6月定例会>(2001年6月14日)

(佐藤)  また,岡山県立児童会館は非常に老朽化していますが,三木知事以来の由緒あるプラネタリウムを備えており,いま一度,環境学習,科学学習の拠点として再生できないか,保健福祉部長にお尋ねします。

(保健福祉部長)  県立児童会館についてでございますが,プラネタリウムの上映あるいは科学模型の展示のほか,県内の児童館の指導ですとかボランティアの育成などの役割も担っており,併設された児童遊園は休日には児童の利用も多くなっております。当面は,貴重な財産として現存施設の活用促進を図ってまいりたいと考えております。



<平成13年2月定例会>(2001年3月8日)

(佐藤)  次に,岡南飛行場についてお伺いいたします。
 昭和63年3月の岡山空港開港に伴い,小型機専用の飛行場として生まれ変わった岡南飛行場は,管制圏または情報圏を持たない飛行場での対空通信情報提供や気象情報提供などユニークな運営が全国から注目されています。平成4年に国から小型航空機の拠点飛行場──ゼネラルアビエーション空港の第1号として認定され,現在はエプロンの拡張整備が進んでいるわけですが,この開発事業は地元・地域の経済,産業,文化と我が国の航空振興に役立つ機能整備が図られています。
 とりわけ,地元岡山市民にとってはある種のせつなさや懐かしさが込み上げてくるのがこの飛行場です。また,現在は,県警や消防のヘリコプターの発進基地になっている頼りになる飛行場です。今回は,時代の荒波を生き残り,さらにハード面が整備されつつあるこの愛すべき岡南飛行場の有効活用といった観点から,知事及び土木部長に質問をさせていただきます。
 まず,岡南飛行場拡張整備事業第1期の供用開始はおおむねいつごろからと認識させていただいたらよろしいのでしょうか。
 また,今後の岡南飛行場の利用促進を図るため,地元住民,航空関係者,行政関係者等いろいろな方々の意見を聞く場を設けてはいかがでしょうか。
 次に,エプロン拡張に伴ういわゆる利用促進のポートセールスですが,とりわけ,例えば八尾空港からの行き来を考えると,高松空港,広島西飛行場との関連が問題になりますが,岡南飛行場の整備,サービス強化を含め,どのような対策をお持ちでしょうか。
 さらに,管制塔からの対空通信情報提供は岡南飛行場の特徴ではありますが,一方,不規則飛行の指導など,航空交通の安全はどのように確保されるのでしょうか,対策をお知らせください。
 この項最後に,夜間照明設備のない岡南飛行場は夜間駐機受け入れができません。冬場なら午後4時30分,夏場でも午後6時30分が限界とされています。そこで,岡山空港で小型航空機の夜間駐機受け入れが行えないでしょうか。


(知事)  次に,岡南飛行場でございます。
 利用促進についてでございますが,岡南飛行場は,全国でも数少ない小型航空機の拠点飛行場として整備を進めているものでありまして,来年度は新たなエプロンなども供用されることから,今後,岡南飛行場の利用促進を図るために,航空関係者はもちろんのこと,地元などの関係する方々からの御意見も参考にしながら,多くの方々に利用しやすい飛行場の運営方法というものを検討してまいりたいと存じます。

(土木部長)  岡南飛行場の供用開始についてのお尋ねでございますが,岡南飛行場では,現在,エプロンの拡張や誘導路の増設及び航空灯火の整備などを進めており,それらの工事も最終段階を迎えております。平成13年度は,航空法上の検査を受け,その後の諸手続を経て,平成13年8月から9月にかけての供用開始ができるよう国との協議を重ねているところでございます。
 次に,ポートセールスについてでございますが,整備の面では,駐機スペースの拡充はもちろんのこと,格納庫用地も個人向けから企業向けまでさまざまなニーズに対応することにしております。また,サービス面では,類似飛行場にはない施設として,共同スペースを設け機体の清掃や始業点検に利用していただくことにしております。今後,これらの特徴を生かしたポートセールスを展開していきたいと考えております。
 次に,航空交通の安全についてでございますが,現在,岡南飛行場では対空通信や気象などの航空機の安全な運航に欠かせない情報を提供しているところでございます。また,航空機が離着陸する際にも所定の経路の遵守を促し,安全性の向上に努めているところでございます。しかしながら,所定の経路を逸脱した飛行が行われることもあるため,より確認しやすい目標物を定めることや不規則飛行を行う者に対して効果的な指導方法の検討を行っているところでございます。
 最後に,岡山空港への小型航空機の夜間駐機の受け入れについてでございますが,新空港を開港する際に,定期航空の安全確保の観点から岡南飛行場を小型機専用飛行場として存続させ,岡山空港との機能分担を図ることとしたものであります。したがって,岡山空港への小型航空機の夜間駐機につきましては,緊急かつやむを得ない場合に限って受け入れているものでありまして,御理解を賜りたいと思います。



<平成12年12月定例会>(2000年12月12日)

(佐藤)  行政評価制度についてお伺いいたします。
 県におかれましては,昨年の大規模施設建設事業評価制度の導入やこのたびの一般行政施策評価制度の導入など効率的,効果的な県政を行うために行政評価制度の導入を進められていることは歓迎するところであります。
 我が国の都道府県における行政評価制度は,三重県の北川知事が始められた事務事業評価が最初であるということは御存じのことと思います。しかし,北川知事がこれを始められたきっかけが,米国のデビッド・オズボーンが書いた「行政革命」という本を知事が読まれたことにあるということを知る人は少ないかもしれません。
 この本は,1980年代からイギリスやアメリカなどの欧米諸国で試みられ,行政改革に大きな成果を上げた新しい行政経営の手法について書かれています。学問的にはニュー・パブリック・マネジメント,新公共経営と呼ばれている手法・考え方ですが,私としては,顧客,つまり住民志向,成果志向,市場メカニズムの活用,権限移譲と組織の簡素化,ビジョン・戦略の明確化が大きな5つの柱ではないかと考えます。住民を行政サービスの顧客としてとらえ,その満足度の最大化を図る顧客志向の行政,また幾ら予算を投入したか,どれだけ施設を整備したかではなく,それによって最終的に住民にどのような利益をもたらしたか,すなわち,アウトカムを把握し,その成果向上を目指して県政を運営していくという成果志向の行政,ニュー・パブリック・マネジメントの考え方からすれば,行政評価制度はそのうちのごく一部にすぎません。ニュー・パブリック・マネジメントの理念は,単に一つの制度を導入して済むというようなものではなく,計画策定や予算編成,組織,人事考課など,既存の行政システムについてかなり大胆な改革を伴うものです。実際,三重県におきましても,行政評価制度の導入を初め21項目に及ぶさまざまな改革,取り組みが行われています。
 このたび導入された一般行政施策評価制度は,主に公共事業を除く県の事業について,県の関与の妥当性,必要性,有効性,効率性等の観点から評価し,事業の継続や見直しなどの方向性を決め,次年度の予算編成に反映させていくものと聞いております。しかし,この方法は一般に事務事業評価と呼ばれるものであり,その上位に位置する施策の評価とは異なると思います。施策というのは,複数の事業によって達成される共通の目的のことであり,事務事業の上位に位置するものと認識しております。事実,自治省の行政評価に関する報告書におきましても,政策,施策,事務事業はそれぞれ明確に区別されています。こういった点からも,「一般行政施策評価制度」という呼び名は,事務事業を対象とするものにもかかわらず,施策を対象とする評価制度ではないかとの誤解を招くものと思われますので,「事業評価」あるいは「事務事業評価」という名称に変更してはどうかと思います。
 また,この事務事業評価は,必要性や効率性といった定性的な評価の視点から事業のランクづけを行うため,事業を削減し,予算規模を縮小するといった財政改革には寄与するものと考えますが,これだけでは本来の行政評価制度とは呼べず,成果志向の県政を実現するには十分ではないと思います。
 欧米諸国におきましては,政策や施策が最終的に住民にもたらす影響,成果をあらわす指標,いわゆるアウトカム指標とその目標値を設定し,その目標を達成するための個々の事業を実施した後に,目標値と実績値を比較分析し,そこから個々の事業見直しや予算の重みづけを行うという一連の作業をもって行政評価(パフォーマンス・メジャーメント)と呼んでおります。
 三重県におきましても,事務事業評価導入後に政策,施策,事務事業を目的と手段の関係から整理し,施策についても,県民への最終的な成果をあらわすアウトカム指標を可能な限り設定して,事務事業評価と一体となった施策評価の導入に向け取り組んでいると聞いております。
 次に,公共事業の評価についてです。
 県におかれましては,他の都道府県に先立ち,大規模施設建設事業評価制度を導入され,県立図書館の事業評価を行ったことは歓迎すべきことであります。しかし,この制度は,評価の対象が大規模施設のみに限られ,その他の公共事業については今回の一般行政施策評価制度の対象からも外されております。一般に公共事業はソフト事業に比べて予算規模が大きいため,財政の健全化という視点一つから見ても,ソフト事業以上に厳密かつ合理的な評価が要求されると思います。また,一たん着工してからの見直しは事実上困難であるため,事業構想段階や計画段階での事前評価に重点を置くべきであると考えます。
 現在,公共事業の評価としては,国の指針に基づいて全国の都道府県が行っている再評価制度というものがありますが,これは対象が一定の要件を満たす事業のみに限定されており,また評価方法が第三者機関による審議を中心としているため,結果的にはほとんどの事業が継続という判定になっていると聞いております。
 このような状況の中で,宮城県,三重県などでは,独自に費用便益分析などの科学的な手法を用いた公共事業の事前評価制度の導入を進めており,また,広島県においては,今年度から県単独の公共事業について優先順位づけの指針・マニュアルを作成中であると聞いております。財政状況の厳しい本県においても,このような公共事業全般にわたる合理的な事前評価制度の導入を検討されてはいかがでしょうか。
 そこで,お尋ねします。
 第1に,知事は,三重県の北川知事も読まれたデビッド・オズボーンの「行政革命」をお読みになったことはおありでしょうか。もしお読みになっていたら,その御感想をお聞かせください。
 第2に,県政をニュー・パブリック・マネジメントの理念に基づき,県民志向,成果志向に変えていくお考えがおありでしょうか。もしあれば,その具体的な方策をお聞かせください。
 第3に,「一般行政施策評価制度」という名称は,事業評価でありながらいわゆる施策評価との誤解を招くおそれがあるので,「事業評価」または「事務事業評価」という名称に変更してはどうでしょうか,総務部長にお尋ねします。
 第4に,このたび導入した評価制度では,評価は各部局が行うことになっていますが,その理由もお聞かせください。また,結果はどのように県政に反映されるのか,あわせてお答えください。
 第5に,今後,政策,施策,事務事業の体系に基づいた総合的な行政評価制度の構築に向け検討されてはいかがでしょうか。
 第6に,大規模施設以外の県単独の公共事業の事前評価について取り組まれるおつもりがあるかどうか,もしあれば具体的な内容とスケジュールを,なければその理由をお答えください。

(知事)  次に,行政評価制度でございます。
 デビッド・オズボーンの「行政革命」についての感想でございますが,私はまだ読んだことはございません。ただ,大変著名な書ということでございまして,御案内のとおり,1980年代のアメリカにおける自治体のさまざまな具体的な事例などを掲げながら,御質問にもございましたが,顧客志向とか,あるいは成果志向などの行政システム改革のための10の方策というものを示した大変意義深い書であると,このように私も承知はいたしております。
 県政を県民志向,成果志向に変える考えがあるかとのお尋ねがございましたけれども,私といたしましても,県政は県民の皆様の幸せと豊かな生活の実現のためにこそあるということを県政運営の基本的な考え方ということにしているわけでございまして,そういう面では県民志向であると認識をしております。また,行政が自己満足に陥ることなく,常にその成果というものを検証していくべきだと,成果志向ということを目標にしなければいけないと,このことにつきましては,今日の行政運営のあり方としてこれは当然のことであると私も同感でございます。私自身も,青室知事室あるいはマルチメディア目安箱等によって県民の皆様に軸足を置いた県政を推進してきているわけでございますし,また岡山県ならではの取り組みといたしまして,大規模建設事業にかかわる評価制度を導入し,さらに事務事業にかかわる評価制度というものも導入をするなど,効率的な県政運営に岡山県の独自性も出しながら取り組んできているところでございます。
 御質問のニュー・パブリック・マネジメントの理念ということでございますが,これは,もう基本的には私が目指そうとしております県政の方向とこれは合致をしていると,このように考えております。したがいまして,今御質問にもございましたようなさまざまなニュー・パブリック・マネジメントの考え方,これを参考にしながら職員の意識改革あるいは行政システムの改革というものを進め,今後とも,経営感覚を持って行政運営に対処していかなきゃいけないと私もそう考えております。
 評価手法と結果の反映でございますが,事業担当部局みずからが評価をすることといたしましたその理由でございますが,評価にかかわる事務の負担の軽減,膨大な数の事務について評価をしていかなきゃいけないと,この問題,あるいは事務事業の実効ある改善,あるいは職員の政策形成能力の向上をみずからが図ってもらいたいなどを理由としたものでございますが,しかし評価の過程にありましては,当然のことながら行財政改革の観点から行うものでございますので,行革担当部にチェックもさせることとしております。
 また,評価結果についてでございますが,これは翌年度の予算に反映をさせるということにしておりますし,評価調書につきましては県政情報室等で公開をするなど,行政の県民の皆様方への説明責任というものも果たしてまいりたいと考えております。
 総合的な行政評価制度の構築でございますが,これまで公共事業やあるいは大規模施設の建設事業,あるいは一般行政施策について評価制度を導入してきたところでございまして,まずはこれらの制度の着実なる定着というものを図ってまいりたいと思います。
 また,今後,これらの制度の検証に加えまして,行政施策の達成度等を総合的に評価する制度も含めまして,評価制度のあり方について引き続き研究をしてまいりたいと存じます。
 県単独公共事業の事前評価でございますが,公共事業の実施に当たりましては,計画とか実施の各段階におきまして,その必要性とか効率性というものを評価することが必要であると考えておりまして,また,新規事業における決定方法の明確化とか,あるいはプロセスの透明化に努めていくこと,これはもう議員御指摘のとおり私も重要と考えております。したがいまして,一定の県単独公共事業を含みます公共事業と補助の公共事業,これにつきまして事業実施前の評価が必要であると私も考えておりまして,国の新規採択時の評価とか,あるいは他県の事例等もこれからさまざまな展開があると思います,それらを参考にしながら,私といたしましては,早期導入ができるように,対象となる事業あるいは評価手法等につきまして担当部局に今検討するように指示をしております。検討してまいりたいと考えております。

(総務部長)  「一般行政施策評価制度」の名称についてでございますが,このたび導入いたしました評価制度は,県の政策や施策を効果的に達成することを念頭に置き,個々の事務事業を評価することが現実的かつ有効なものであると考えまして,事務事業を不断に見直すシステムとして制度化したものでございます。
 御指摘のございましたように,政策と施策,そして事務事業,これらを明確に区分する考え方からいたしますと,これは事務事業に対する評価制度ということになるわけでございますけれども,県の事務事業には,一般行政施策や大規模施設の建設事業あるいは公共事業などさまざまなものがございまして,この中で一般行政施策を評価対象にするということから「一般行政施策評価制度」という名称にしたものでございますので,御理解を賜りたいと存じます。

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