2008年5月20日(火) 【再生への挑戦】

 今朝は、朝一で、高島屋前で、恒例の自民党青年部局の街頭演説。雨も予想されていましたが、好天気に恵まれ、しかし、弁士は、1人。午後から、県民局など徘徊しましたが、朝の1時間で、一日のエネルギーを使い果たした感じです。

 自民党の巨大な広報車「あさかぜ」で、自民党の看板を背負って、1時間喋り続けるのは、ハンドマイクの数倍は疲れます。特に、タクシーの運転手さんは、ずっと聴かれている?ので、話題は変えなくてはならず、もはや修練。


 夕刻からは、本当に久方ぶりに、岡山県商工会議所連合会・岡山商科大学連携事業の夕学講座で、岡山商大へ。衛星放送を利用した慶應義塾の社会人教育機関である慶應丸の内シティキャンパスのサテライト講座です。

 本日は、星野リゾート代表取締役社長・星野佳路氏の『リゾート再生事業への挑戦』。
 当然、行政や倉敷チボリ公園を意識しながら拝聴しました。


 思えば、我が家も、私が中2の時に自主廃業し、私自身も、司法試験浪人崩れということで、いわゆる再チャレンジ組だと認識しております。

 今後人生で、万が一、何かの拍子で崩れることがあっても、必ず再生するという気概は常に持っていますし、逆にそれがある限りは、決して崩れないと信じてもいますが、「再生」というのは、大好きなテーマです。


 顧客満足度と利益率の両立を図りながら、リゾート運営の達人になるという、星野リゾートの成功は、所有と運営の分離の中で、運営に特化するクールな部分はもちろん、そこはやはり、日本的なスタッフを巻き込んでいく部分があるんだなぁ、と感じました。


 何よりも、地域経済に新しい維持可能な仕組みを提供する(日本の観光をやばくする)という理念は、まさに、都市と地方の地域格差を是正するキーワードに観光がある、ということを意味しています。

 しかも、余暇市場の伸びが、全て海外旅行に向いて、日本から海外へ1700万人、逆に、海外から700万人という観光の貿易赤字の解消のために、地方に海外から客を呼び込むという話でもあります。

 @国の知名度AアクセスB安全といった面では、日本は、フランス、スペイン、アメリカ、中国、イタリアといった3000万人以上の海外旅行客を集める五大観光大国に劣るところはないはずですから、@資金調達とA生産性の問題をクリアすることで、実現が可能だという地方再生の話は、実に魅力的です。


 ただ、再生できるかの基準は、やはり、ビジョンと価値観を明確にして、コンセプトを掲げて、トップは、質素・倹約を旨として、教科書通り、馬鹿正直に、うまく行くまで、やり続けるしかない、ということでありました。

 経営に対する不信感を無くしていくために、経営者がビジョンに、どこまでもこだわる必要がある、ということで、これをマニフェストに置き換えて、政治の話にも当てはまります。



 問題は、特にコンセプトですが、例えば、倉敷チボリ公園のコンセプトってなんだったんだろうな?と、やはり思います。

 そもそも、チボリって何?デンマークってどんな国?なんで、倉敷にチボリ、デンマーク?そうした根本的な問いに、全く答えていません。公園のどこにも答がありません。結局、落ち着いた花と緑の公園だというのが、イメージになっています。

 これからの倉敷チボリ公園は、都市公園なのか?文化施設なのか?アミューズメントなのか?商業施設なのか?コンベンション施設なのか?あるいは、リゾート施設なのか?
 新しい投資家を呼び込むだけの共感できるコンセプトが、あまりに明確でなかったのではないか?と、今さらながらに思います。
 「広域観光拠点」という言葉には、コンセプトはありません。

 したがって、モチベーションの上がらないコスト削減そのものは、効果があっても、コンセプトに基づくソフトとハードの整備ができなかったようにも思います。

 マーケティングの教科書の基本中の基本が改めて問われるべきなのでしょう。いったい誰に向けての公園なのか、ニーズから、探る基本に帰るべきです。

 費用負担だけが、問題の争点になってしまっています。
 星野リゾートなら、倉敷チボリ公園をどう見るでしょうか・・・。


 ところで、「楽しんで仕事をする」という理念も掲げておられましたが、要は、顧客に誉められる現場をたくさんつくることで、モチベーションが上がるということです。
 そのためには、持ち場(所管)や予算が理由で、できないこともあるが、それについて、少し自由度を上げるつけることも必要だという話でした。

 これを行政に置き換えるとどうでしょうか?顧客満足度以前に、端から、県民・市民の皆様に感謝の言葉を貰うことすら想定していないかも知れません。

 あるいは、本当はこうしたいけれどできないのだという縛りに、一番苦しんでいるのは、職員の方々かも知れません。これで、モチベーションが上がらなければ、悪循環です。

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