2006年1月13日(金)【当初予算発表=攻防開始!】

=======================================
 先ほどまで新年会のはしご。岡山青年会議所の新年合同懇親会で、知事は、おりしも今年は、ASPAC高松大会(アジア大会)の年でもあり、中四国州の夢を熱く語られました。2月には、道州制に関する国の方向が示されます。
 一方、本日は、生活環境保健福祉委員会。各常任委員会で、当初予算要求内容の説明がありました。一般会計では、昨年比で、6.4%ダウンの6945億4200万円。税収入が好調に推移しているものの、これが再来年の交付税措置の基準になる(増収分下げられる)ため、再来年度予算は早くも厳しいという声があります。
 まずは、執行部からのサーブで、全国的にも珍しい事前審査制というスタイルでの予算審議の攻防が始まりました。
=======================================

 ↓詳しくは

 来週早々にも、知事はじめ80人の訪問団がインドに向かわれますが、議会的には、予算が示されたのを受けて、本格的な議論を始める最も勉強が必要な時期。
 ただしかし、ここから大きく変わるのは少なく、むしろ、今までの要望がどこまで盛り込まれているか、というのが、正しい読み方かもしれません。

 なにしろ量が膨大なために、資料を集めた各部の予算を読むのはこれからですが、知事肝入りの10億4400万円の「夢づくりプラン」よりも、生活支援員を配備する「小一グッドスタート事業」の拡充は極めて良い話。もとはといえば、国の緊急雇用対策事業でしたが、単県の事業になり、石井知事が推進される県の施策としては、大ヒットの施策だと思います。

 また、特に安全・安心対策のために、8割以上がハード面の整備になる、ある意味で、やや極端な公共事業削減を少しでも埋める10億円の計上も評価できるものです。


 一方で、「単県医療費公費負担制度」の見直しについては前途多難が予想されます。

 「岡山県乳幼児医療費公費負担補助制度」 (乳幼児医療費・通院が市町村と合わせて無料)が、3歳以上就学前まで拡大されるのは大歓迎ですが、自己負担も加わり、さらに、返す刀で、「老人医療費公費負担制度」→新規対象者を認定せず段階的に廃止、「心神障害者医療費公費負担制度」→65歳以上の新規手帳取得者は対象外。自己負担導入。「ひとり親家庭等医療費公費負担制度」→自己負担導入。これらが、18年10月からです。

 県の試算的には、市町村の負担は、拡大分も、自己負担分とで、行って来いで増えないとするものですが、問題は、市町村への補助率の見直しです。

 県から市町村への補助、これは、地方分権の根幹に関わるような大問題です。地方分権一括法は、国と地方自治体は、対等協力関係にあるとしていますが、県と市町村の関係がどうなのか、県の姿勢が象徴的に顕われると言って良いと思います。


 具体的には、県当局は、、「単県医療費公費負担制度」の補助率について、18年4月から、基本的に県2分の1、市町村2分の1に一律化、中核市である岡山市・倉敷市については、県6分の1、中核市6分の5にする腹づもりです。

 ただこれについては、財政力に応じて、6分の5まで、県が補助していた町村もありますし、なによりも、中核市は、不当に低く6分の1に抑えられていたのを暫定的に5分の1で踏ん張ってきた経緯もあり、それをまた6分の1まで戻すということで、市町村、さらに、中核市である岡山市からの強い反発が出ています。

 我々岡山市選出の議員も、全国的には、補助率が2分の1の例もあるばかりか、政令指定都市でも、もっと補助率が高い例もあり、不当な補助率の低さを是正すべきである旨を強く主張してまいりました。ところが、ところが、今回は、むしろ逆行です。

 正直なところ、この補助率については、県・市の関係の悪さの象徴として引き合いに出される事が多く、地元議員としては、だから県議会議員は役に立たないのだと、また市議の先生方に怒られるという、実にどうもまずいことなのです。


 もっとも、御津町の合併で、4歳まで上がっていたいわゆる乳幼児医療費の無料化について、ともかく3歳から現実的に1歳ずつ上げていこうというのが、私も政策宣伝カーで広報してまわった新市長の選挙の際の主張であり、対象年齢の拡大は、本来は非常に良い話です。
 しかし、いきなり就学前まで県が補助するから、岡山市はどうしますか?と言うのは、寝耳に水のような話ではあります。
 具体的には、1歳上げるのに、2億7500万円かかると言われる中、県の補助率の6分の1まで引き下げた上で、就学前まで上げるなら、一挙に7、8億円かかるということで、普通は、対応が難しいと思われます。
 せめて、5分の1で行くなら、まだ話は分かりそうなものですが、急すぎて、これはやや厳しいものがあります。


 ただ、お隣の中核市・倉敷市は、子育て支援策に御熱心な市長のもと、県の補助率に関わりなく、無料化の対象年齢の引上げを進められており、ここまで来れば、なにかもう政治的な判断が迫られるような話になってしまいました。
 正直に書いて市長選の時には、予測されていない話で、騒動の種を県が撒いたようで、個人的には申し訳ないような思いすらあります。


 ともあれ、補助率の是正については、我々地元議員は声を大にして主張してまいります。あるいは、市町村の負担増にならないという積算の根拠が明確に示されることを強く求めます。


 もっとも、これらは、自己負担増があって、成り立っている話です。自己負担増というのは、国の障害者自立支援法や介護保険の考え方と関係があるのは間違いありません。
 まさに財源がない中のゼロサムゲームで、子供には良い話ですが、高齢者や障害者には良い話ではありません。


 また、少なくとも、不十分な三位一体改革の流れの中で、県が国に対して感じる憤りのようなものを市町村が、県に感じられるとしたら、つまりは、県が国にやられていることを市町村にするとしたら、それは地方分権の流れに逆行する恥ずべき事態です。
 なにより、財政難の中、国と基礎自治体は生き残る必要はありますが、根本的に県にはそれは求められていないのですから。

 もちろん、県が財政破綻すれば良いという、やけくその話ではありませんし、道州制への夢があるわけですが、まずは、我々議員のところに、市長会長名や市長名で正式文書の要望書が届くということ自体が、県と市町村間で、相互理解が得られるほどの事前の十分な協議がなされていなかったということです。

 同じ岡山県内にあって、地方主権を目指す地方自治体として、いわば国に対して、共闘すべき同士である県と市町村の、その距離感はなんなのか、あまり美しい話ではないことは間違いありません。

 子ども達に良い話ですから、すっきりと行きたいところですが、しばしこの問題、紛糾すること必至です。

Copyright (c) 2006 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp