2004年9月17日(金)【指定管理者制度について】

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 一般質問3日目。
 指定管理者制度に関して、ふつふつと疑問が芽生えました。
 指定管理者制度とは、昨年9月の地方自治改正で、公共施設の管理を民間に委ねることができるようになったもので、これまで、福祉施設や公民館などの管理は、財団法人や社団法人など自治体の出資団体などにしか委託できなかったものが、民間企業やNPOも、指定管理者になれば、管理を担えるというものです。
 使い方によっては、この制度は、物凄く効果的、かつ、官製市場の民間開放の象徴ともなり、画期的な行財政改革の仕組みになり得るとも思います
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 旧日銀ホールについては、既に、優れた企画能力を有するプロデューサーや企業経営者で構成されるNPO法人が指定管理者となることとされ、今議会で恙無く承認されますが、10月1日からは、同法人に、開館準備事業も委託されます。

 ちなみに、平成17年7月1日から平成20年3月31日までの2年9ヶ月が、指定期間となっています。
 この指定期間の長さについて、今日の議会で、自民党西岡議員の質問に応えて、「事業計画を立案する場合、一定の中期的な見通しに基づいて毎年度の経営を考えていく必要がある」、「あまり長期間となると硬直的な運営になるおそれがある。」との説明がありました。


 ところで、指定管理者制度とは、昨年9月の地方自治改正で、公共施設の管理を民間に委ねることができるようになったもので、これまで、福祉施設や公民館などの管理は、財団法人や社団法人など自治体の出資団体などにしか委託できなかったものが、民間企業やNPOも、指定管理者になれば、管理を担えるというものです。

 今日の答弁では、「公の施設の管理について、民間事業者のノウハウを活用することにより、住民サービス向上や経費の削減を図ることが可能になるものです。」と説明がなされましたが、私の中で、これが非常に引っかかっています。
 なにかが、おかしいような気がします。


 昔で言えば、「民間活力の導入」と言うべきで、「活用」という言葉が気に入らないし、なにか、管理委託させてやっている、つまりは、行政サイドからの物言いのような気がして仕方ありません。

 また、私は、あくまで、この制度の一方の趣旨は、サービスの受け手の県民・市民にとって、公施設の管理を公務員がやるのと民間人がやるのと、どちらが良いのか、あるいは、公施設を機動性がなく融通のきかない行政やその関連団体の管理から解き放つぐらいの意味に思っています。言いたくはないですが、某センターなどその典型かもしれません。


 「効率的な経営が行われたかどうかで一定の評価を行う」気でいるようですし、観客動員数や施設の稼動状況のいくつかの基準を立てるようですが、まずは、その尺度を公設公営施設に当てはめてみんかい、という気がします。

 公平中立性を保つために、結局新しいことは何もしない公設公営施設よりも、多少冒険をして融通が利く、公設民営の方が良いのではないか。あるいは、我々の税金を我々に戻すだけの事なのに、民間に委ねてやったんだと、行政は、高みで文句だけ言う、屋上屋の管理機構にでもなるつもりなのか、どうせ人事異動でいなくなるのに。

 敢えて言えば、原則公設民営で良いくらいです。どうしても必要なものだけ、公務員が直接管理すれば良いのではないか。



 ちなみに、本日の答弁では、今後のスケジュールは下記の通りです。
 「現在は、各施設を所管している部ところにおいて、それぞれの施設の性格、役割を踏まえながら、指定管理者制度の導入に向け検討をしている。

 現に管理している100を越える施設の管理形態について精査・検討を行い、導入するものについては、遅くとも、18年4月までには導入したいと考えており、各施設の設置条例を改正したうえで、18年2月議会までに、指定管理者の指定について、議会に諮るように作業を進めるとのこと。

 また、今後新たに設置される施設については、県が直接運営するか、指定管理者制度を導入するかを判断したうえで、条例制定等所要の手続きを行うこととする」とのことです。



 一読して疑問に思うのは、「おいおい、これは誰が、どんな基準で、精査・検討するんだよ」と、いうことです。だいたい民間が参入しようにも、公共施設の管理費用等々の情報開示がどれだけあるんだ。土俵にも乗れないじゃないですか。ライブドアが怒ると言うものです。

 また、これを多少理解力がある人間が、まともに読めば、「行政で管理するのが面倒なものを民間に委ねるんだろうな。楽なところは、外郭団体にでも任せて、天下るのかな。」と、なるのではないか。それなら、楽天も、参入するぞ、というぐらいのものです。

 行政の関連団体に、何か都合の良い、選考基準や選考過程もできるかもしれませんが、少なくとも、外郭団体温存の隠れ蓑に、この制度が使われるようなことがあってはいけません。

 サービスに関して、官と民が入札で争う、サービス市場の風に、行政も晒される時代が来ているように思います。我々にも選挙があるように。


 実は、今回の私の質問の中で、新総合ボランティアNP会館の会館後の石関町の総合福祉会館の管理について問うたところ、従来通りの外郭団体の管理のようです。行政の下請けのような管理のための外郭団体が今後も必要なのでしょうか。

 なにか、指定管理者制度について、ふつふつと疑問が湧いてきました。しかし、使い方によっては、この制度、物凄く効果的、かつ、官製市場の民間開放の象徴とも言え、画期的な行財政改革の仕組みになり得るとも思いますし、先駆事例がありそうに思います。

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