2004年8月26日(木)
【義務教育費国庫負担制度廃止?】

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 「自由に使えるお金に換えてあげるから、なんの補助金をなくして欲しい?言ってごらんなさいよ」という、小泉首相からの夏休みの宿題。
 とりあえず、義務教育費用は国が負担するという「義務教育費国庫負担制度」の廃止に、我が県知事が、立場上、旗振り役。
 もちろん、これはあくまで確実に税源移譲が担保される改革であることが前提の話。時代の流れは、教育も含めて地方主権で、その方向性は理解します。
 ただ、一方で、自民党文部科学部会と文教制度調査会は、義務教育費国庫負担制度の堅持を求める決議。
 地方議会は、地方議会として、独自の判断を迫られます。
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 本日は文教委員会。地方振興局の県民局への再編、夢づくりプラン重点的な課題などは、各部共通の大テーマ。

 なんといっても行財政改革ですが、適当といえない基金にまで手をつけた16年度の財政見通しが、法人関係税等の伸びがあり、59億円も改善され、約287億円の収支不足となりました。
 17年度も、改善され、第三次行財政改革の効果も顕われ、約228億円の収支不足となりそうです。
 もはや、三位一体改革でどうにかなるという話ではありません。


 ただ、三位一体改革のうち、国庫補助金の削減については、まさに、今、文教が主役。

 特に、かなり乱暴に言えば、義務教育の費用は国が負担するという「義務教育費国庫負担制度」の廃止、あるいは、総額裁量制から、さらに、一般財源化という流れについては、地方政界、教育界から、スポットライトが当たっています。
 これがまさに、地方主権の未来を考えた時の象徴的な問題とされているのです。

 にもかかわらず、担当の委員長という立場上とは言え、まさに我が県知事が、どうも廃止推進の旗振り役になっていたのかのような感は否めません。

 もっと言えば、「自由に使えるお金に換えてあげるから、なんの補助金をなくして欲しい?言ってごらんなさいよ」という、小泉首相から投げられた夏休みの宿題のようなボールをとにもかくにも思い切り打ち返したものの、「なんか今バットが折れたな」というような感じです。


 今までは、義務教育に当てる補助のお金が、自由に判断して使って良いよという、一見良さげな話の問題の本質は、憲法上の義務教育について、財政面も含めた国の責任の範囲はどこまでか、さらに、地方の自主性に任せることで、教育の水準は保つことができるのか、ということにあります。

 つまり、財政が火の車で、教育以外に金をまわしたいなというように、財政力が弱いことが、イコール教育水準が低いということにならないか、という懸念があるのです。

 逆に、先に、教職員の児童手当、退職金が一般財源化されていますが、敢えて言えば、こうして補助金による縛りが外れて、一般財源として何に使っても良いですよということになれば、リストラが行い易くはなります。

 行財政改革に資する面はあるかもしれません。


 ただ、我が国においては、大戦中、国・地方の負担が半々になった時期を経て、戦後、税制改革で一度地方に委ねたが失敗、一般財源化でうまく行くのかという、むしろ地方に自信がないという側面もあります。
 それ自体は、情けないと言われても、「そうは言っても、うまいこと言って、どうせ総額を減らすんだろう」という、国への不信が混在しているのです。


 実は、議長会も含めた地方6団体のうち、8割の知事が廃止案に賛成という意外な形になったものですが、もちろん、これはあくまで確実に税源移譲が担保される改革であることが前提の話です。
 ここは、国を信じたということになります。

 しかし、地方交付税3.9兆円カットに、税源は4500億円増えただけという苦い過去は、岡山県議会においても、我が党から共産党まで、数十年も堅持を訴えてきたことを180度転換させるだけの、敢えて言えば、国に対しての信用がありません。

 もっと言えば、おそらく高度な政治的判断で、知事はそうは言われるけれども、議会として、ただ追認して良いのか、独自の判断をすべきではないのか、というムードがあります。


 そもそもが、自民党文部科学部会と文教制度調査会が、義務教育費国庫負担制度の堅持を求める決議をしたことからも、文部科学省 対 財務省という要素も含めて、我が党中央も、一枚岩とも言えません。

 郵政民営化もそうですが、真の狙いはなんだろう?と、党員も考えさせられるという意味では、分かり難いことが多すぎる説明がともかく不足している三位一体改革ではあります。

 いずれにせよ、9月定例会で、議会として意見書を提出すべきかどうか、まずは、文教部会の判断が必要になります。
 部会長として、極めて大きな課題を頂戴いたしました。

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