2004年7月4日(日)
【岡山県・市間の憂鬱(乳幼児医療費公費負担制度)】

            略

気になる話題といえば、乳幼児医療費公費負担制度。特に、岡山市の乳幼児医療費助成制度について、正直なところ、今秋の知事選挙への影響が必至なほど、岡山市議団の先生方に、大きな不信を呼んでいます。

 この問題は、前知事・前市長の関係に起因するのではないか、という説もありますが、県サイドが、頑ななようにも見えます。

 市長が言われるのもごもっともなところが多々あり、特に、先の市議団から県へのご要望に対しての県当局の対応は、極めて遺憾であると言わざるを得ません。


 岡山県は、今年度(今年10月)より、特に負担が大きい入院診療に係る乳幼児医療費の公費負担補助対象年齢を義務教育就学前まで拡大しますが、 岡山市でも、この4月、岡山市総合政策審議会、保健・福祉部会の乳幼児医療費の補助対象年齢を3歳未満から今年度中に、4歳未満まで引き上げるべきとの答申に、6月定例会を経て、実現に動き出しています。
 そして、岡山市の今年度最大の課題であると市長も明言しています。

 ただ、この引き上げには、年齢を一つ上げるのに、市単独で行けば、平均2億7500万円と多額の経費が必要で、ネックになるのは、県の補助率が、現行5分の1(来年には、6分の1)と日本最低水準であることです。

 ゆえに、岡山市議団も県に働きかけられたわけですが、苫田ダム供用開始に伴う、水道料金値上げ問題同様、県サイドの対応が、不誠実であったと受けとめられていて、私も、疑義を感じています。


 この段階で既に、市の県に対する不信が増幅しているわけですが、岡山市選出の県議会議員としては、この問題の解決のために、真摯に取り組んで参ります。

 なお、今議会では、共産党が取上げましたが、昨年私も本会議で取上げていますが、下記の通り、木で鼻をくくったような答弁で、私も、「理解できません」と、言い放っております。

 「財政が厳しい」が、金科玉条のように使われますが、乳幼児医療費以外にも、下記のように憂鬱な問題があります。


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平成15年9月定例会 佐藤真治一般質問より(抜粋)
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(乳幼児医療費公費負担補助制度)

 おかげさまで,私の子供も2歳10カ月になりました。近ごろは,私が出かけるときには「また来てね」,帰ってきたら「いらっしゃいませ」と,しっかり言葉も覚えました。

 ところで,御案内のことと存じますが,いわば乳幼児医療費がただとなる乳幼児医療費公費負担制度の給付方式については,現物給付にしていただき大分楽になりましたが,岡山市においては対象年齢は3歳未満,我が子がこの制度の恩恵を受けるのもあと2カ月でございます。

 同じ中核市の倉敷市が,この10月から4歳未満から5歳未満に引き上げになりますが,中学卒業までとする7町村には遠く及ばず,岡山市は78市町村の最低ということで,同じ子育て世代の「おやこクラブ」のお母さん方から,何をやっとんのかと、しかられているのでございます。

 子育て支援を言いながら,一番たくさん子供がいて,ひょっとすると一番親が税金を払っているかもしれない,そんな地域で,何でこうなるんと,これは素朴な疑問だと思います。

 そもそもが,岡山県の行う乳幼児医療費公費負担補助制度について,岡山市は平成8年の中核市移行以来,他市町村に比べて厳しい補助率となっています。

 これは,中核市倉敷市に対しても同じ傾向がありますが,全国35中核市を比較してみた場合,岡山県の補助率は最も低い水準となっています。調べてみますと,中核市,政令指定都市といった町の規模によって県が補助するのかどうか,さらにそれで幾ら補助するのかというのは,どうも必ずしも論理的な関係はないようであります。それは,対象年齢についても同様だと思います。

 逆に言えば,もちろん国の補助を前提にした話ではありますが,知事や基礎的自治体の首長の福祉政策の考え方に左右されるものだと思います。

 つまり,知事次第ということもあるのではないかというふうに私は思うのですが,はっきりしているのは,県同様財政難に苦しむ岡山市にしてみれば,子育て世代支援策としてせめて補助率を従前の2分の1に戻していただければ,対象年齢引き上げが少しでも容易になるという事実です。

 岡山市民の子育て世代と,そして子供たちを代表して,乳幼児医療費公費負担補助制度の補助率削減の理由を伺うとともに,補助率引き上げについての知事の御所見をお伺いいたします。


(学童地域支援事業)

 また,学童地域支援事業については,放課後児童クラブの児童数や開設日数が国制度の基準を満たしていない場合,単県の上乗せ事業として運営費や障害児の受け入れ加算時の補助が実施されている事業です。

 しかし,岡山県の実施要綱では,これは要綱ですけれども、実施主体は中核市を除くとされ,岡山市,倉敷市への運用はできない扱いになっています。改正の検討はできないのでしょうか,保健福祉部長にお伺いいたします。


(合併処理浄化槽補助金)

 また,下水道事業の見直しの中で,合併処理浄化槽が大幅にふえてくると思われますが,合併処理浄化槽の補助金についても同様の問題があります。今後の方向をお知らせください。
 生活環境部長にお伺いいたします。


(岡山県建設事業費市町村負担金)

 関連して,産業廃棄物処理税に関しては,中核市にこれが交付されることを歓迎する声はありますが,思い起こせば国体の主会場の問題でも,岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例の改正について,これをめぐって岡山市議会では大変な議論もありましたし,最近では城下の駐車場でも議論がありましたが,岡山市に限らず対市町村に対して,原則的に県の事業は県のお金でやり,例外として,地元市町村に利益が生じる場合に生じるであろうというのが地元負担だと思うのですが,そもそもその基本理念がどういったものなのか,どういったときにどういった割合で地元負担が生じるのか,お知らせください。


 特に,たびたび指摘され,また提言もなされていますが,昭和32年公布の岡山県建設事業費市町村負担金徴収条例そのものについて,特に岡山市に対して,また他市町村についても,他県に比べて負担率が非常に高率となっていますが,その理由,また適債事業に係る後年度の交付税措置が考慮されておらず,最終的に税制負担が不均衡になっている事業について,その根拠と今後の方向についてお知らせください。

 また,私は,今後市町村に対してあくまで対等な立場で十分な情報提供と意見交換の場が必要であると考えますが,今後の指針についてお知らせください。


 私がこうした一連の質問の中で申し上げたいこと,その思いでありますが,地方分権一括法施行後は,県と国の関係同様,市町村と県もまた対等協力関係にあるはずではないか,そういった思いであります。

 財政が逼迫しているのは,各市町村も同じことでありまして,真の地方分権,真の地方主権確立のためには,市町村という基礎的自治体が財政的にも自立していくことが重要であり,市町村の自立のために県は国と闘っていくんだ,あるいは県も市町村の自立を促していくんだ,そういう姿勢が今後ますます重要になってくると思います。



石井 正弘知事答弁

(乳幼児医療費公費負担補助制度)

 次に,乳幼児医療費公費負担補助制度についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては,市町村との役割分担の観点から,財政力の強い市につきまして補助率を見直すべきとの行財政改革懇談会の答申を受けまして,平成9年に策定をいたしました行財政改革大綱におきまして,岡山市の補助率を6分の1としたものであります。
 なお,財政力の弱い町村につきましては,6分の5あるいは6分の4という高い補助率も適用をしておる,これが岡山県の特徴でございます。
 現物給付化に伴います激変緩和措置も講じておりまして,岡山市,倉敷市に対しましては,平成16年度まで補助率を5分の1に引き上げているというところでございます。

 御質問にもございましたけれども,政令都市に対しまして一切もう補助をしてないという県もありましたり,あるいは中核市につきまして原則の補助率より若干数値を変えているもの等,他県におきましてもさまざまな補助率の適用状況は異なっているようでございますが,岡山県におきましてはそのような経過で現在の補助率としているものでございます。
 なお,第3次の行革大綱をこれから策定しようという厳しい状況下にあるところでございまして,何とぞ御理解を賜りたいと存じます。


(岡山県建設事業費市町村負担金)

 県建設事業費市町村負担金徴収条例の基本理念でありますが,これは県が行う建設事業によって特定の市町村に受益がもたらされる場合,受益市町村とその他の市町村との間の不均衡を是正をするために,その受益の範囲内において地元負担を求める,こういう考え方でございます。

 負担率等でありますけれども,本県の場合,総事業費から国庫支出金を控除した額に負担率を乗じて負担金を算出をしておるということでございまして,総事業費に対する市町村の負担率は他県と比べて高くなっているのではないかとの御指摘がございましたけども,そのようになっているとは考えておりません。

 例えば,広島県と比較をして都市計画国庫補助事業で見ましてもほとんど同じ数値と相なっております。岡山県が特に高いということではないと私は考えております。

 なおまた,交付税措置の違いによります財政負担の不均衡についてのお尋ねもございましたが,県と市町村との実質的な負担が同額となりますように,負担特例措置を講じているということでございます。県の起債に対して措置される交付税の額の,例えば半分だとしますと,その半分に相当する額を市町村の負担額から減額をすると,こういったようなことで,とにかく県と市町村が交付税が出る場合には,それも勘案して均衡するように特例措置を講じていると,こういうことでございまして,御理解を賜りたいと思います。

 今後とも,市町村の理解を得て事業を進めてまいりたいと,このように考えております。



土井 道彦生活環境部長答弁

(合併処理浄化槽の補助金)

 お答えをいたします。
 岡山市との関係の中で,合併処理浄化槽への補助についてでございますけれども,県におきましては,その普及を積極的に推進するということのために,昭和63年度から合併処理浄化槽への補助を行う市町村に対しまして,国の定めた基準額の範囲内で,市町村が補助した額の3分の1を補助してきたところでございます。

 しかしながら,厳しい県財政のもとで,市町村との役割分担の観点から見直しを行っておりまして,財政力の強い岡山市等につきましては,平成9年度から従来の補助額に調整数0.7を乗じた額を補助してきているところでございます。

 こういう状況でございますので,県の財政状況が引き続き厳しい中にありましては,これを復元することはなかなか難しいことだと考えております。どうぞ御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。


宇都宮 啓保健福祉部長

(学童地域支援事業)

 お答えいたします。
 岡山市との関係におきます学童地域支援事業についてでございますが,この事業は,県の事業として国補助制度を取り入れて行っております,放課後児童健全育成事業を補完するものでございます。岡山市,倉敷市の放課後児童健全育成事業は,中核市みずからの権限をもって行っておりまして,もともと県の補助が入っておりませんで,県の事業とは別のものでございます。そういった趣旨から,単県制度の学童地域支援事業におきましては,中核市を補助対象から外しているものでございまして,御理解賜りますようお願い申し上げます。
 以上でございます。


佐藤 真治

 たくさんの「御理解ください」という答えがありましたけれども,「理解できません」ということだけ,御要望というか,その意思だけ表明させていただいて,ありがとうございました。

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