2004年2月6日(金) 【岡山県財政破壊】

 これはもう常識で考えて、財政破綻と言うよりも、致死量を超えた国による地方財政破壊です。


 昨日、中国地方知事会は、地方の財源保障を求めて国に意見書を提出しましたが、ここにきて、昨年来行ってきた第三次行財政改革大綱の議論、現在行っている来年度当初予算に関する議論の前提が崩れました。

 税源移譲が不十分な中で、地方交付税削減を打ち出したということですが、国の示す三位一体法案の中身は、所得税から住民税への本格的な税源移譲が行われるまでの経過措置として、所得譲与税と財源移譲予定特例交付金を新設し、さらに、地方交付税総額を今年度比6.5%減の16兆8861億円と大幅削減する改正地方交付税法案です。



 来年度の県予算については、過去最悪の今年度当初収支不足「197億円」を大きく上回り、昨年8月の見通しである「171億円」から、さらに「206億円」の不足で、過去最高になる「377億円」の収支不足になるという発表は、大きな波紋を呼んでいます。

 来年度一般会計の歳出見込み額は、国の地方交付税削減方針も想定した上で、3年間で500億円の収支不足解消を目指した「第三次行財政改革大綱」に沿って、公共事業費や、人件費を切りつめた結果として、今年度費4.6%減の「352億円」減らした「7361億円」。

 ちなみに、人件費は、総額「1896億円」ですが、人事委員会のマイナス勧告に加えて独自の2.8〜6%の減。公共事業費は、地方負担の30%削減ということで、来年度は、まずは、10.5%カットが示されており、第三次行革の初年度効果額は、80億円の見込みです。



 一方、一般会計の歳入見込み額は、県税収入が、3年ぶりに、今年度費5%増の「84億円」増え、「1812億円」。

 それもかかわらず、「地方交付税交付金」は、「251億円」減って、「1847億円」で、交付税の不足分を穴埋めすることが許される「臨時財政対策債の見込み額」は、「131億円」減って、「326億円」と、合わせて、本年度より14.3%減の「382億円」が減り、「2173億円」。

 全国平均以上に、法人関係の税収が上向いたために、算定額が減り、下げ幅は、国の地方財政計画が示した削減率12%減をさらに下回りました。

 一方で、県に移る地方譲与税などの財源は、50億円程度。
 結果として、行政改革の努力に応じて発行ができる「財政健全化債」を充当しても、来年度一般会計の歳入見込み額は、本年度当初予算に比べて、「729億円」減の「6984億円」。



 この収支不足を埋めるために、8億円の遊休地の売却に加えて、文化振興基金、土地開発基金、さらには国体運営基金などの特定目的基金・企業会計からの「281億円」の借入れで補おうということですが、これは、本来禁じ手。今年度中に、税収増で、200億円程度の税源が発生する見通しで、これを引き当てにする方向ですが、獲らぬタヌキの・・・に、なるかも。



 これで、来年度末の県債残高は、本年度見込みより、「139億円」多い、「1兆1935億円」。

 20%を越えると県債発行を制限される起債制限比率は、昨年度まで8年連続で全国最悪でしたが、今年度よりさらに0.2%悪化の18.3%。

 3歩進んで、5歩下がる状態です。



 産業振興して税収が上がれば、地方交付税が減るという仕組みの中で、要するに、頑張っても国からは金が降りてこない、そんな状況で、1兆円以上の借金を返す当ては、全くありません。
 いわば元本どころか金利も払えないのですから。

 残された道は、潔く財政再建団体転落か、地方自治体解散か、革命で政体が変わるか、平成の徳政令か、「固定費」の削減か?まるで、兵糧攻めで、決断を迫っているようです。

 競争原理が働き、強い者だけが、組織で生き残る、あるいは強い組織体に変える、という、民間の考えるリストラと同様のことが起こらざるを得ないように、中央は煽っているようにも思えます。
 民間からすれば、当然の事が当然に起きるとも言えます。


 はっきり言えるのは、どうあれ、振り返ってみれば、この大統領型の小泉政権の時代に、物凄い勢いで世の中が変わっているということです。

 間違いなく、我々は、変革期に立っています。

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