2003年10月4日(土)【森林保全新税に反対します】

 古来より、絶対権力は絶対に腐敗するわけですが、それが、王であれ、将軍であれ、独裁者であれ、そもそも、こうした人権侵害に結びつく行政権の乱用、行政権の恣意的発動に対して、民主的コントロールを及ぼすのが、議会制民主主義の本旨です。

 端的には、行政権の乱用は、しばしば、恣意的な課税となって顕われます。

 そして、まさに、いかに課税し、いかに分配するかが、政体の違いであるわけですが、四公六民だの五公五民だのという言葉を待つまでもなく、最小限の課税で、最大限、国民の生命・自由・財産が守られる国が、国民にとって、良い国であるのは間違いありません。

 逆に言えば、課税に関しては、まともな国ならば、よほど慎重な議論が行われないといけないわけです。


 ところで、本日の山陽新聞に寄れば、岡山県税制懇話会なる諮問機関が、先日まで、「水源かん養税」と称していた「森林保全新税」について、個人の県税の均等割課税に、一律500円、法人には、一律5%上乗せして徴収すると「決めた」とあります。

 法定外目的税としていた「水源かん養税」は、その徴収のあり方への疑問から迷走し頓挫。県民から一律に徴収する普通税の「森林保全新税」として復活致しました。

 こんな話は、議会は、認めていません。少なくとも、私は、説明不足に納得していません。
 私は、議員として、少なくとも今は、絶対に、これを認めません。場合によっては、徹底抗戦です。

 もちろん、こういう話になることは、薄々は、知ってはおりましたが。


 もとより、森林の公益性に基づく保全の必要性は、否定すべくもありませんが、そのために新税を課すというのは、別の話です。

 しかも、敢えて言いますが、この新税の500円という額には、なんの根拠もありません。懇話会のメンバーが、適当に、決めたものです。400円より500円の方が、効果がある、と。
 新税の年間4億5400万円の目途など、決まっていないのです。こんな課税が、世の中にあるでしょうか。

 もっと言いましょう。もしも、その新税が、県民の意識を醸成すると称して、啓蒙活動のために、ビラを作り、イベントをすること自体が、環境破壊そのものなのです。間伐の促進や林業の担い手育成は、堂々と予算要求してくれば良いではないですか。

 我々は、啓発と称して、結局、他人任せで、汗をかかない行政の姿をどれだけ見せられてきたでしょう。ビラを撒くだけなのです。
 さらに、意識啓発など、県民を馬鹿にするにも、ほどがあります。

 そういった費用は、行政のコストを削減する中から、捻出すべきです。それだけの努力を行政はしていません。だから、第三次行財政改革大綱なのではないですか。

 岡山県が、県民に増税を言える立場ではありません。


 しかも、マスコミには、さも決定かのように、情報を垂れ流す。議員は、県の施策に、抗うかのように見えます。はっきり言って、議会に何の相談もないのです。しかし、もう決定のようでしょう。
 いったい何度こういった議会軽視を繰り返せば済むのでしょうか。

 議会は、こんなものは、認めてはいません。


 これからも、男女共同参画新税でも、子育て新税でも作って、県民税に上乗せして行くのですか、大義名分が正しければ、いくらでも増税できるのか、このやり方を認めるなら、きりがないのです。

 12月定例会に向けて、議会の反発は必死だと思いますが、同時に、それが、都市部対山間部の争いにならないように切に祈ります。

 森林保全の必要がないなどとは、誰一人思っていないのですから。

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