2002年3月24日(日) 【人工島の明日】

 共産党の議員は、水島港の玉島ハーバーアイランドを敢えて「人工島」という言い方をされますが、倉敷市・水島港玉島地区人工島という言い方が、正式のようです。

 本日、その「人工島」で、国際物流拠点港の核として、国際コンテナターミナルが、供用開始となりました。

 99年までに、−7.5mの国内貨物用岸壁2ヶ所が完成し、海外貿易用にも暫定利用が始まっていましたが、5000t級までしか接岸できませんでしたが、県内初の海外貿易専用のコンテナターミナルは、1万t級の中型コンテナ船の接岸が可能な−10m岸壁1バース(延長170m)や、コンテナ積み降ろし用ガントリークレーン2基のほか、薫蒸庫や荷捌・保管施設などの各種施設を備えています。

 さらに、2006年度までに、245haを埋め立て、国内貨物埠頭にー7.5m岸壁4ヶ所、国際コンテナターミナルにー10m岸壁2ヶ所、−12m岸壁1ヶ所を整備します。
 国との共同事業で、総事業費は、約1100億円です。


 おそらく2002年度岡山県政10大ニュースに入るほどの非常に大きな出来事ですが、要するにここからです。国際定期航路は、現在4ヶ国1地域の13航路。さらに、新規就航、輸送量の拡大が望まれています。

 と、ここまで来て、岡山空港3000m化と同じような状況であると言えなくもありません。残念ながら、岡山県物流拠点計画において、考えられる最大の失敗策である「岡山県北流通センター」ほどではないですが、まずハードありきではないか?という謗りを受ける可能性が、あります。
 ここからなのですから。


 単純に考えても、湾岸高速を走りながらUSJに行く時に、神戸や大阪の湾岸の倉庫やガントリークレーンに、皆様なにを思われますか?そのまま、湾岸を関空まで行かれたら、岡山をどう感じられるでしょうか?
 また、周辺を福山港や松山港や高松港、さらには、境港に囲まれている状況で、輸入促進する大消費地がどこにあるのか?岡山市・倉敷市地域で、それだけのハードが必要な根拠は、なにか?

 あくまで、個人的見解ですが、人工島の先行きに、非常に苦しいものを感じています。私が感じるぐらいですから、多くの方も感じているのかもしれません。


 ただ、その中で、敢えて生き残りを図るには、むしろ、下記のエコタウン構想の中で、例えば、水島コンビナートを支えてきた産業の中から、リサイクル資源を生み出すような施策に、私は、魅力を感じます。そこから、海外に向けても思わぬ展開があるかもしれません。
 物流は、物流ですが、「環境」を絡めるのです。

 特に、周辺への環境問題が比較的クリアされ易い「人工島」ですから、あるいは、当初の国際物流拠点と異なった視点からの重大な施策転換があれば、活かす道があると思います。


 マスカット・バレー構想もそうですが、批判を加えても、今さら、ある物を叩き壊すわけにもいかないのなら、大胆に、政策転換しても、活路を見出す努力をすべきだと思います。いや、そうしないといけないのです。

 ともかく、岡山空港やリサーチパーク、岡南飛行場などと同様、いかに使いこなすかを考えないといけない施設が増えてしまいました。


cf.その634より 【玉島ハーバーアイランド・エコタウン構想】

 内容は、表題の玉島ハーバーアイランド・エコタウン構想。FAZ指定されたものの、おそらく、工場の集積などが、難しいと予想される玉島ハーバーアイランドに、IT、環境産業の集積を図り、人工島を中心にした広い範囲をエコタウン構想で括り、整備していこう、という話です。
 水島コンビナートのリサイクルも絡む、スケールの大きい構想です。
(ただ、直島は、どうするのか、との声あり。)


cf .その529より 【玉島ハーバーアイランド】 (その他参考 その90、139)

 続いて、玉島ハーバーアイランド(「こころ」その220およびその230参照)に。連絡橋から下を眺めると、エイが悠々と泳いでいました。

 中国地方東部の国際物流拠点港としての機能を充実するため、245haの人工島に、外内貿コンテナターミナルをはじめとした港湾施設を整備するとともに、特定重要港湾への昇格、新たな国際定期コンテナ航路の開設、企業誘致に向けた取り組みが、この玉島ハーバーアイランドで行われています。

 高梁川対岸の水島コンビナートには、当然、例えばー16m級の水島港内航路で、巨大なタンカーは、独自に入っていますから、最深ー12m岸壁が、呼び込みたいのは、3万t級の定期コンテナ貨物船です。
 この4月のFAZ指定もあり、現在20万tの輸入コンテナ貨物を平成18年度までに、47万tに引き上げる計画です。

 ちなみに、今回の水島港のFAZ指定(正確には、倉敷市が指定されたのですが。)のうち、この玉島ハーバーアイランド内の182haが、輸入貨物流通促進事業の集積を特に促進する特定集積地区に設定されました。

 この地区に、輸入貨物を取り扱う物流関係事業者や製造業者等の集積を促進し、FAZ指定を受けている(正確には岡山市)岡山空港の航空輸入貨物、及び港湾輸入貨物を一括して取り扱うことのできる加工・流通拠点としての機能向上と効率化が求められます。


 イメージとしては、国際経済交流を促進する施設として「CONVEX岡山」を真ん中に(「総合物流センター」、正確には早島町もFAZ指定を受けています。)、増設なる「岡山空港航空貨物ターミナル」と、平成14年度完成予定の玉島ハーバーアイランドの「水島港国際物流センター」という、陸海空の物流拠点が、結ばれるのです。

 これが俗に言う、岡山が物流拠点である、交通の結節点である、ということの面目躍如というところでしょう。
 しかも、岡山空港の側には、「リサーチパーク」があり、「岡山情報ハイウエイ」という先駆的なIT技術が、ITの集積が、さらに、優位性を高めるというわけです。
 これが、物流拠点、我が岡山県が描く青写真です。


 しかし、今必ずしも、玉島ハーバーアイランドの港湾関連用地の分譲が、順調というわけでも、将来バラ色というわけでもありません。第三セクター「水島港国際物流センター株式会社」の管理する水島港国際物流センターは、とりあえずできても。

 全く個人的な考えですが、よほど、これは付加価値をつけられないと、倉庫業、物流業だけでは厳しいぞ、と感じます。要するに、例えば、倉庫のバックヤードに、加工する、付加価値をつける場がないと、荷さばきプラスαが必要ではないか。そのためにも、新技術の開発も必要です。
 米原じぁあるまいし、乗り換え易くても、乗り換えるだけでは、駄目だと思います。

 玉島ハーバーアイランドは、意外に注目度は低いかもしれませんが、例えば、今秋の岡山空港3000m化の真の狙いは、定期航空貨物便の増設であるように、物流戦略は、我が県が、生き残る基本です。
 叡智を結集し、どうしても成功させないといけない事業です。

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