2001年9月21日(金) 【井原鉄道株式会社】

 本日は、決算特別委員会で、公安委員会の平成12年度主要施策の成果および歳入歳出決算に関する調査が行われましたが、あまり、真新しいものがなかったので、お隣の行政改革・国体等特別委員会より、井原鉄道株式会社についてお報せします。

 井原線は、岡山県総社市、清音村、真備町、矢掛町、井原市および広島県神辺町を縦断し、岡山福山間を結ぶ路線として、昭和41年5月、国鉄井原線として、着工され、昭和50年代の半ばには、路盤工事の5割が完成していましたが、国鉄の経営状態が、年々悪化。
 国において、国鉄再建を図るために、全国の地方交通線を対象に見直されるなかで、 昭和55年から建設予算が凍結され、工事が中断されました。

 その後、昭和61年12月、岡山、広島両県と関係12市町村が主体となり、第三セクター方式として、民間団体(74)の協賛を得て、井原鉄道株式会社が設立されました。資本金は、7億円。うち、岡山県の出資金は、2億300万円です。
 ちなみに、会長は、知事。社長は、県OB。社員56人中、プロパーは、21人。JROBが、28人。JR出向が5人。

 昭和62年10月には、鉄道事業免許を取得し、同年12月には、日本鉄道建設公団が、全額国の補助(総額430億円)で、工事再開。完成後は、井原鉄道株式会社に無償譲渡、同社の財産として管理しています。
 なお、鉄道施設の固定資産税は、関係市町村は、15年間の減免措置を講じています。

 平成11年1月11日に開業。41.7kmの単線、非電化で、15駅。この間をなんと1時間かけて、一日23往復しています。


 そもそも、開業当初に見込まれる赤字については、開業から5年間は、国から4割の補助金が、交付され、残りの赤字については、総額が平成9年度に策定された収支計画に基づき決定された井原鉄道経営安定基金から補填することとしました。

 ちなみに、その収支計画の概要は、平成11年度の開業から12年間(平成21年度)まで、単年度赤字が続き、その間の累積赤字は約20億2000万円と見積もられ、そのうち、国から6億4000万円の補助があり、残り、13億8000万円を2県12市町村で、前述の井原鉄道経営安定基金として、平成11年度から13年度まで積み立てるというものでした。

 こういった国鉄から第三セクター化した鉄道会社の運営の枠組みは、旧運輸省の指導によるもので、かように、資本金のほか、基金積み立てをし、欠損に対応するという形式なのだそうです。


 ところで、全国の第三セクター鉄道38社のうち、平成12年度の黒字は、北越急行、智頭急行など7社。残り、31社は、全て赤字で、井原鉄道も赤字の鉄道に含まれます。

 井原鉄道の場合は、実際は、平成9年度に策定した収支計画に比べ利用者数は、約5割。収入は、計画の6割。特に、予想された通勤客の利用が、計画の4割。しかも、減少傾向にあります。

 開業3ヶ年の経常損失そのものは、当初計画の範囲内に収まっているものの、収入が計画に比べ、大幅に落ち込み、会社の経営内容は、たいへんに厳しくなっています。

 そこで、収入計画の見直すとともに、「経営健全化計画」を策定し、体質改善に取り組んでいる、という状況です。


 端的に非常に厳しいと思います。吉備線か、伯備線の、JRに乗り入れるのか、乗り入れて、利用客増が、本当に見込めるのか。観光振興のために、15駅。1時間。利便性はどうなのか。
 公共交通なので、破綻、廃止というわけにはいかず、常識的に考えれば、しかるべきタイミングで、県からのしかるべき応援が必要になる、というのが、大方の見方です。
 誰を責めれば良いのか・・・・。ちょっと、見通しが暗いかもしれません。


 本日は、TV県政討論会の打合わせ。55分番組ですが、割り振りで、産業対策として、インキュべーション・センター、PFIを3分、話すことになりました。
 どこまでも、ついてまわるこの件。

Copyright (c) 2001 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp