2001年9月8日(土)
【ハンスに、さようなら(チボリ公園)】

 昨日の熱血の「こころ」の翌日に大変申し訳ないようなことですが、諸般の事情で、夕方にかけて、チボリ公園を久方ぶりに訪ねました。
 5、6回目になると思うのですが、今回初めてベビーカーを押して家族連れで行きましたら、このチボリ公園の素晴らしさを再発見させられました。

 個人的には、人数については、さることながら、新社長が、ご就任されたことにかかわらず、職員の方の対応自体は、もともと感じが良いと思っていましたし、これだけ、「思い」があるテーマパークは、珍しいのではないか、と再認識しました。


 コペンハーゲンのチボリを昨夏、訪ねた時、およそ日本、とりわけ岡山に存在することを疑問に思っていたのですが、子ども連れで行って、初めてわかったことが、たくさんありました。一人で、場内をまわっても、多分わからなかったことです。

 お年寄りに対しては、どうかな、と思いますが、特に、各所に、小さな子ども連れへのありがたい配慮が施設としてある、さらに、職員の方の気配りもある、うれしくなりました。

 おそらく、入場料が、今の半額で、もう少し、楽に、安く、食事ができたら、佐藤家的には、頻繁に訪れるだろうな、もっともっと木が茂り、たくさん木陰ができて、ちょっとした森のようになったら、月に1回は行きたいな、そんな気持ちにさせられました。
 チボリ公園は、全国に誇れる公園であると思います。


 やはり、自然公園であると同時に、アンデルセンやレゴを除けば、縁もゆかりもないデンマークの風景が日常と離れた一種のファンタジーになる、そんな公園が、岡山市から自家用車で1時間足らずのところにある、これは僥倖だな、と思います。
 しかも、実際、デンマークに行かれた方は、おわかりになると思いますが、かなりディテールにまで拘った、真摯な造りも、実はしている、本物です。

 岡山県民が、一人年に1回行けば、200万人は、軽く突破していたでしょうに。もっと愛してやれば良かった、とつくづく思います。私を含めて、まず、岡山県民が、魅力がわかっていなかったのかもしれません。


 とりわけ、チボリ公園の魅力は、ミュージカルエンターテイメントにあります。ベビーカーをずらっと外に並べて、子ども達と一緒に、「新チボリの森の12ヶ月〜いのちはめぐる〜」「新ハンスの冒険」を観たのですが、あんなに子ども達が、喜ぶとは!!

 私は、以前、「新ハンスの冒険」を一人で観て感動し、ビデオを買い、家でも見ておりましたが、ライブでは、カエルのピピンや人魚姫に、友紀を撫でて頂き、親の方が大喜び。なにより、能天気なハンスの生き様、さらには、演じられる方々の熱気がこちらにびんびん伝わってきて、大人まで勇気づけられます。

 きっと子ども達には、良い思い出になるんだろうなぁ、県外の子は、友達に興奮を伝えるだろうな、きっとチボリ公園の花は忘れても、ハンスは忘れないだろうな、と思いました。
 なんか、端っこの方の、ちょっとぼろい野外劇場で、妙なハイテンションで、よく考えると舞台装置は、かなりせこかったよなぁ、でも、勢いあったよなぁ。あったかくて、おもしろかった。それが、チボリ公園のイメージとして残るのでしょう。

 おそらく、中学生の初デートで、高校生のグループ交際で、ちょっと大人になって、そして親になって、やっぱり、チボリ公園に来たら、ハンスを観てしまう。仮面ライダーやウルトラマンのように、時代によってコロコロと姿は変わりません。ハンスは、ハンス。
 チボリ公園に行けば、いつもそこにいる、はずだったのに・・・・・。


 来年1月14日(祝・月)に、チボリ公園から、ミュージカルエンターテイメントが、消えます。
 なんでかなぁ?

 佐藤家的には、「ハンスを観なければ、チボリに行ったとは言えんね。」「今度来ても、絶対行くもんね」「て、いうか、ハンスを観に行くもんね」、と珍しく意見の一致をみました。
 おそらく、30分のこのミニミュージカル、子ども連れなら、殆どの親が、満足しているのではないでしょうか。どこにでもある回転遊具などより、遥かに。

 マッチ売りの少女が涙を誘うアンデルセンシアターと違い、無料がいけないのか。岡山県が、毎年突っ込んだのは、6億円の地代と、9億円以上の補助ですが、カルケバン劇場のミュージカルを含めて園内の文化事業に億単位で血税が入っています。
 逆にそのことが、真っ先に切られる理由です。


 もはや、民間主導ですから、県議会議員として、なにか申し上げるべきではないのかもしれませんが、一人の親父として、ミュージカルは、切るべきではないと思います。
 前述のように、そこには、もうたくさんの思い出ができていて、また重ねていけるはずのものだからです。そして、それは、おそらく集客の材料だったと思います。チボリらしさとして。

 加えて、ウイークエンドフェスティバルということで、この15日から、岡山県の9つの地方振興局が、各地の郷土芸能の披露、民芸品、特産品の展示販売を公園のど真ん中、プレーネン広場で行います。うーん。
 チボリ公園の真ん中に、のぼりが立って、富村のアユなんかが、売られるかもしれません。
 岡山県の各地方振興局は、頑張っちゃうのでしょう。そうかぁ・・・。
 ちょっと、よくわかりません。皆さんは、どう思われますか?

 また、今後は、地元プロがどんどんチボリ公園内で、演奏を開始します。仮面ライダーやウルトラマンの着ぐるみショーまではないと思いますが、いよいよデンマークを題材にしたテーマパークであるということは、重視されなくなると思います。
 むしろ、チボリ公園が、まさに岡山の文化の発信地になるということでしょう。それは、大切なことだとは思います。


 とにかく、現状のままのチボリ公園では、駄目なのです。
 ある種の割り切りが必要だと思いますが、デンマークのコペンハーゲンのチボリ公園のように、昼は、家族連れやお年寄りが集い、夜については、もう少し、大人の社交場にできるなら、本来の持ち味をそのままに、いけないかしら。生半可では、駄目なんでしょうねぇ。
 大胆に改革しないと、とても維持できない状態であるのは確かです。ともかく現状ではどうしようもないのですから。ファンタジーでは、済まないのです。


 いずれにせよ、岡山県民一人一人が、もっとチボリ公園を愛していたら、それをもっと伝えられていたら、ハンスは、ずっとそこにいたかもしれません。

 願わくば、どうかハンスに、会いに行ってやって下さい。

Copyright (c) 2001 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp