2001年6月20日(水) 【県の発電所 企業局決算】

 本日の決算特別委員会は、企業局の決算状況の調査が行われました。
ttp://www.pref.okayama.jp/kigyo/


 地方公営企業法に基づき、岡山県は、電気事業と工業用水道事業を行っています。
 以前は、有料道路事業として、蒜山・大山スカイラインや鷲羽山スカイラインがありましたが、償還期限が過ぎたので、いずれも無料化しています。
 岡山県は、どちらかというと、公社事業や、第三セクターが、事業運営を行う傾向があると言えるでしょう。

 全国的には、企業局が、上水道事業や、工業団地・住宅団地造成、駐車場、ゴルフ場やスキー場といった観光施設、東京都交通局のように地下鉄を走らせるなど、様々な事業が、行われています。

 企業局と言うと非常にわかりにくいのですが、一般会計から離れ、経営体として独立採算を目指す「経済性」の側面と、例えば電気事業なら、自然エネルギー政策やバイオマスの利用など、「公共性」を追求するという、矛盾した側面を持っています。



 公営による電気事業は、主に河川総合開発事業等の一環として発電を行い、電力会社へ売電する卸供給です。全国では、33県が行っており、辞めていく県も多いそうです。

 現在、電気に対しては、いわゆる市場原理を導入した事業自由参加、小売り自由化という流れと、いわば国策とも言える自然エネルギー促進法に象徴されるようなクリーンエネルギー化の、いわば矛盾した要請があります。

 戦後、エネルギー供給が逼迫した時期に、旭川ダムで、消費電力の3割分を確保していた時期もありましたが、現在は、水島火力発電所のように、圧倒的に化石燃料に頼っています。
 また、岡山県は、旭川、新見、加茂の大型発電所に加えて、オイルショック以後、純国産のクリーンエネルギーとして、大規模なものより、12の小水力発電所が稼動しており、全国的にも先駆的とされています。

 ちなみに、平成17年運転開始予定の三室ダム(神郷町・最大出力460kw)と苫田ダム(奥津町・同4900kw)は、小水力発電所になります。


 さて、この電気事業も幾つか問題があります。今までは、総括的原価方式ということで、売電価格は、採算が取れる額で国が認可していたわけですが、いよいよ自由化を迎え、それが大きく崩れるということです。

 ちなみに、売電価格は、旧通産相の卸供給の算定基準に基づき、全国平均は、9円64銭。中国5県平均が、11円。岡山県は、10円5銭です。概して、東北、北陸、中部は安く、西日本は高い傾向があります。
 どういった形で、新規が参加してくるか、予測がつきません。

 ところで、12年度実績は、目標電力の92.4%の205684メガワット毎時で、前年比1.9%増。12年度の収益的収入額、約24億円から、収益的支出額、約20億8600万円を引いて、約3億1000万円の純利益を計上しています。

 ただ、前述のように、電力市場自由化の潮流の中で、コスト意識に徹し、適切な料金改定や、発電施設の計画的効率的改修を行うとともに、環境に優しいクリーンエネルギーの開発・研究に、取り組む必要があります。
 いつまでも、採算が取れるかは、わからないのです。

 しかし、引くに引けないことのひとつに、市町村交付金があります。
 企業局の電気事業資産は、固定資産税が非課税であることから、「国有資産等所在市町村交付金法」に基づき、固定資産の価格(交付金算定標準額)の1.4%を施設所在市町村に交付金として、交付しています。
 総額は、1億2700万円。新見市は、約3726万円。建部町は、約2372万円。美甘村は、約1817万円。鏡野町が、約2247万円。加茂町が約1493万円、と決して少なくありません。


 一方、その他の自然エネルギーは、どうかということですが、太陽光発電については、県庁に、啓蒙用のものがありますが、やはり、住宅・家庭用で、コストが5倍かかり、営業的には無理、とのことです。

 また、風力発電ですが、県下は、山田養蜂場にありますが、問題は、風そのもの。北海道や、東北(例えば、竜飛岬)の企業局なら採算が取れても、瀬戸内では難しいかも?

 結局は、自由化に逆行してでも、電力会社に購入の義務づけでもないと、自然エネルギー開発は、難しいものがあるかもしれません。

 いずれにせよ、公営による電気事業の未来は、必ずしも明るくないと思います。


 続いて、工業用水道事業についても、結構、厳しいものがあります。水島、笠岡、勝央工業用水道として、各地区の工業団地に給水されており、収益的収入額、約35億円。同支出額、約33億円。純利益、約2億2400万円ですが、浄水場の維持管理には、かなりの費用を要すること、また、もそもが、水需要の減少が見込まれる中で、工業用水のリサイクル率のアップ。


 いずれにせよ、企業局も、ある段階で大幅な見直しが必要になる時期が来るかもしれません。

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