過去の岡山県議会一般質問集 <路面電車・LRT>篇

<平成26年9月定例会>(2014年9月25日)

(佐藤)  ところで,本部長は2008年8月から2011年3月まで富山県警本部長を務めておられました。その間,2009年12月23日には富山市の路面電車環状化が完成しており,県警本部長として道路への路面電車新設導入,つまり道路空間を減らして路面電車導入を担当していたことになられます。LRT導入については,岡山のほうが早かったのに,コンパクトシティーという考え方からしても,J2では優位に立っているんですけれども,富山と今大きく水をあけられた感がございます。今後,本来イオンモールの進出よりも先立っている必要があった岡山市の進めるJR岡山駅前の路面電車の乗り入れやJR吉備線のLRT化など御指導いただきたいと思いますが,その当時の感想も含めて御所見をお聞かせください。

(警察本部長)  最後に,JR岡山駅への路面電車の乗り入れ等についてお答えします。
 JR岡山駅への路面電車の乗り入れやJR吉備線のLRT化につきましては,公共交通機関の利便性の向上につながる施策であり,形態によっては交通の安全や円滑面に支障を及ぼすおそれもありますものの,基本的には自動車から公共交通機関への転換を促進し,自動車交通量の抑制につながる効果も期待できるものと認識しています。
 ちなみに本年8月に岡山市等によって新たに設置された路面電車岡山駅前広場乗り入れ計画案調査検討会や吉備線LRT化基本計画検討協議会において,整備の基本方針等について協議が現在始まったところであり,県警察はオブザーバーとして参加しているところですが,今後とも,関係機関,団体との緊密な連携のもとに,交通管理者として交通の安全と円滑の観点から必要な意見を申し上げ,よりよい交通環境の確立に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(佐藤)  要望にとどめさせていただきますけれども,先ほどイオンモール岡山が進出したときに周辺部どこが渋滞するかわからないというのは,これは大変なことでございまして,我々南のほうにおりましたら,大体どこが渋滞しとるかわかるわけでありますが,せめてその部分を把握していただきたいということが1つと,そして何よりコンパクトシティーの話でありますが,これは決して中心市街地の再開発,活性化とイコールの話ばかりではありません。言うまでもなく,自動車をちょっと外に出しながら,公共交通機関を整備して,例えばLRTであったり,あるいは何よりいつも申し上げる自転車であったり,あるいは歩行者の方であったり,いわゆる自動車に頼らない公共交通機関や自転車や歩行者が歩ける,そうした街をつくっていこうという発想もあると思います。その中で,今回のイオンモール岡山の進出は,若干ちょっと矛盾しているわけでありますが,これからコンパクトシティーをつくっていく中で,やはり警察の方の御指導というのが大変に重要になると思いますし,とりわけ富山で大変今成功している事例があるということで,ぜひとも本部長の温かい御指導を賜りますことをお願い申し上げて,質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。



<平成26年2月定例会>(2014年3月6日)

(佐藤)  先ほどの件では,特に公共交通の分担率,この数値目標を持った計画を具体的につくっていただきたいということは要望させていただきたいと思います。
 ところで,今秋,JR岡山駅前に年間2,000万人の来客を見込む西日本最大のショッピングモールの開業を控え,岡山でも生活に必要なさまざまな機能を中心市街地や鉄道の駅など公共交通が利用できる拠点の近くに集めることで,市街地の拡散を予防し,交通機関や自転車,徒歩などで十分に暮らせる街,すなわちコンパクトシティーの議論が盛んになってきました。ショッピングセンターや病院などの公共機関が街の中心ではなく郊外の大きな道路沿いに出店したり移転することが多くなっておりますが,自動車を運転できないと途端に日常生活は非常に不便になってしまいます。また,薄く広く市街地が広がるということは,将来の行政コストを上昇させる要因となります。こうした問題点を解決するために,街をなるべくコンパクトにまとめて,街の中での移動に電車,バスなどの公共交通機関を走らせ,市民の誰もが街の中で自由に移動でき,誰もが住みやすいまちづくりを実現するのがコンパクトシティーの目的です。これに関連して,国土交通省からは都市再生特別措置法と地域公共交通活性化再生法の改正案,経済産業省からは中心市街地活性化法の改正案が提出され,もはやコンパクトシティー化は国策とも言えます。県内でも,岡山市以外にも玉野市,備前市,新見市も集約型のまちづくりの方向に進んでおります。コンパクトシティー化の認識とそれぞれのコンパクトシティーにおける公共交通ネットワークをいかに構築するかを含めて,県が支援すべき内容についてどのようにお考えか御所見をお聞かせください。
 そして,コンパクトシティー構想の中で,岡山市は路面電車のJR岡山駅前東口広場乗り入れを検討しますが,率直な御感想をお聞かせください。
 実は,駅前乗り入れは,さらに,広域に考えたときには,JR岡山駅からは8方面に伸びるJR線と路面電車の相互乗り入れが可能であって,吉備線LRT化,さらには周辺の倉敷,児島,宇野,西大寺までLRT車両が乗り入れていく構想の一部である,駅前乗り入れ構想はその一部だということで,JR岡山駅を中心に放射状に広がる将来的なLRTネットワークの構築についての所見をお聞かせください。
 一方で,人口減少や高齢化が進む過疎地域などの集落地域では,今後,暮らしを続けていくことが危ぶまれる状況が全国各地で一層拡大していくことが懸念されます。こうした状況に対して,地域の再生を目指す新たな取り組みとして,医療,福祉,買い物等の日常生活サービス機能を集約させ,暮らしの安心と希望をつなぐ小さな拠点づくりが始まっています。全国に小さな拠点の取り組み事例として,実は岡山県内では笠岡市の北木島町と新見市の哲西地域,きらめき広場・哲西,道の駅鯉が窪が紹介されております。先日,高知県で「小さな拠点」づくりフォーラムが開催されました。特に地域づくりの中心的な役割を担っている団塊の世代の方々がどんどん高齢化されていくこの10年間が正念場と言われる中,課題解決先進県として高知県はモデルを確立し,全国へ情報を発信し,国等への政策提案するために,平成24年,25年度で13カ所の集落活動センターが設置されていますが,市町村の意見,要望を反映しながら今後10年間で130カ所開所し,高知ふるさと応援隊を10年間で1,000人導入することを数値目標に掲げています。実は,2050年には人口が9,700万人になるということですが,その意味というものは,居住できる地域の66%のエリアで人口が半分になる,そして約2割の地域で実は人口がゼロになるということでございます。確かに住みなれた地域に住み続けることが難しい時代にはなってきておりますが,しかし四季折々の多様性のある集落が衰退,消滅すれば,日本そのものが衰退をしてしまいます。また,このことはいずれ日本中が高齢化率40%を超え,今中山間地域に起きていることは大都市部の郊外では必ず起きてくることだという認識が必要です。既に町なかにもいわゆる限界集落は生まれてきております。先ほどのコンパクトシティーと過疎地域における小さな拠点づくりは問題の本質は実は同じでございまして,人口減少社会を迎える日本の根本的な課題であり,対策であると思います。小さな拠点整備について,その拠点を都市部とどう結ぶかを含めて,知事の思いをお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 コンパクトシティー等についての御質問であります。
 認識等についてでありますが,人口減少,高齢化社会に対応したコンパクトシティー化は非常に重要な方向性であると認識しております。このため,県としては,集約型のまちづくりの方針を示すとともに,市町村に対して先進的な取り組み事例や国の支援制度について引き続き情報提供を行ってまいります。また,歩いて暮らせるまちづくりの観点から,公共交通機関を中心とした交通体系の確立に向けた取り組みについても支援してまいりたいと存じます。
 次に,路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れについてでありますが,乗り入れが実現すれば,JR,路面電車双方の利用者にとって利便性が向上するなど,県都である岡山市のイメージアップにもつながるものと期待しているところであります。
 次に,LRTネットワークの構築についてでありますが,LRTは低床式で誰もが利用しやすいなどのメリットがある中で,吉備線への導入については電化など多額の事業費が必要であると聞いており,岡山市とJRとの間で運行区間や事業費等について検討を重ねた上で進められるものと考えております。倉敷等へのさらなる乗り入れについてのお尋ねですが,現在検討されている吉備線の状況等も踏まえ,関係自治体,JR等の考えも聞いた上で検討すべき事柄であると存じます。
 次に,小さな拠点整備についてでありますが,過疎化,高齢化が進む中山間地域では,生活に身近な行政,診療所,介護施設,商店等を一地域に集める小さな拠点の整備は理想的な対策の一つと考えております。こうした地域が高度で多様な機能を持つ都市部との間で,交通の確保を初め,両地域の連携,交流を図ることは極めて重要であり,県としてもこうした取り組みを支援してまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  どうもありがとうございます。コンパクトシティーにしても,小さな拠点にしても,これは今まで県のスタンスとして市町村の動向を見守る,あるいは国の政策の打ち出しを待つというふうなことが多いわけでありますが,具体的にも岡山市さんが非常に活発な動きを始めておるということでございまして,岡山県としてもこの応援も必要だということもあると思いますが,知事の役割として,各市町村の首長さん,そして何よりも県がやらなくてはいけないこととして国との連携というのがあると思います。国とのパイプをいかようにつくってそれを市町村とどのように結ぶか,その中で知事自身が果たされる国とのパイプ役としての役割についての御認識を,コンパクトシティーと小さな拠点それぞれについて同じ課題だと思うんですが,お知らせいただければと思います。

(知事)  コンパクトシティー,小さな拠点,それぞれについて私が市町村と国の間に立ってどのような役割が果たせるのか,役割を果たすべきかという御質問に対してお答えをいたします。
 実際,国としても,基礎自治体,市町村大変数が多いものですから,そういう意味でも,ある種問屋的機能として県の役割は重要だと思っております。市町村の中には直接霞ヶ関とのパイプの太い方もいらっしゃいますので,その方がいろいろ工夫をされることを私が何か間に割って入るようなことはあえて必要ないと思いますけれども,何か市町村でやりたいことがあると,直接訴えかける場合でもなかなか響いてこないというときに私が皆様方の声を集約して国にお届けする,もしくは国から聞いてくるというのは私の大切な役目であろうと感じております。
 以上でございます。



<平成21年2月定例会>(2009年3月3日)

(佐藤)  特に,JR吉備路沿線には,吉備津彦神社,吉備津神社,高松稲荷や備中高松城,鬼ノ城など,まさに日本のまほろばとも言える史跡が並んでおり,決して大和路に劣るところはなく,一説には年間観光客50万人を超えるとされているのですが,県内の広域観光の中でも,後楽園や倉敷美観地区と必ずしもうまく連携できておりません。
 先日,吉備路自転車道を久しぶりに自転車で走りましたけれども,この吉備路自転車道は,正式名称は,一般県道岡山総社自転車道線であり,その起点は総合グラウンドにあった旧いずみ町交番前なのですが,ここにある看板からして,津島遺跡を津高遺跡と書いておりまして,こうした案内看板や休憩所,特にトイレの表示はかなり工夫が必要だと思います。そもそも岡山市の政令指定都市移行に伴って,吉備路観光の幹線とも言える総社までつながる,この吉備路自転車道については,総合的にどこが所管することになるのか,吉備路観光における位置づけの御認識と今後の整備の方向も含めて,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,第4回岡山市都市交通戦略検討会議では,都心と地域拠点との連携軸の強化,都市内の回遊性の向上を目標とし,吉備線のLRT(次世代型路面電車)化など,交通戦略の事業プログラムを示しました。まさに,LRTと吉備路自転車道がリンクすれば,非常に魅力的な観光拠点になるはずでございますが,国道180号の交通緩和策という観点からも,JR総社駅まで続くJR吉備線LRT化の話は,県も積極的にかかわるべきだと私は思いますが,御所見をお聞かせください。


(知事)  吉備線のLRT化についてでありますが,お話のように,岡山市が年度内を目途に策定を進めておられます都市交通戦略素案によりますと,都心と地域拠点との連携軸の強化に向けた交通施策の一つとして,吉備線のLRT化が示されておりまして,来年度,LRTの推進等に向けた事業調査が行われると聞いております。LRTは,駅間距離を短くして利便性を高めることができる,また,低床式でだれもが利用しやすい,さらには,大気汚染の心配が少ないなど,人にも環境にも優しい公共交通であるというように考えているところでありまして,県といたしましては,岡山市の検討状況等を見きわめながら,適切に対応してまいる所存であります。

(土木部長)
 次に,吉備路自転車道についてでございますが,岡山市の政令市移行に伴いまして,岡山市内の区間は岡山市が,それ以外の区間は県が,それぞれ管理や整備を行うこととなります。このため,御指摘の案内看板等の不備につきましては,早急に点検を実施いたしまして,3月末までに適切に対応いたします。
 また,吉備路観光における位置づけの認識と今後の整備の方向につきましては,自転車を利用した観光スタイルの提案は,今後の吉備路観光におけます重要なツールとなり得るものでございまして,岡山市や総社市とも連携いたしまして,案内看板ですとか,あるいは休憩施設等の整備を推進してまいりたいと考えております。



<平成18年6月定例会>(2006年6月21日)

(佐藤)  最後に,路面電車について。
 現在,路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れについて,RACDA(路面電車と都市の未来を考える会)により,署名活動が展開されています。JR岡山駅については,平成21年度に完成予定の東西連絡通路と西口広場バスターミナルにあわせて東口バスターミナルも再検討の方向のようですが,駅前広場の利便性については,多方面からさまざまな声が上がっているのは御案内のとおりであります。そうした中で,飛躍的に交通の利便性が向上されると思われる路面電車の駅前乗り入れは,JR土讃線の高知駅,JR山陽本線の横川駅,JR鹿児島本線の鹿児島駅で実施され,高知駅では駅乗り入れをしたことにより,高知駅前電停で約15%から20%の利用客の増加があったとのことであります。岡山市内の路面電車の都心環状化構想はひとまず置いておいて,路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れというのは,非常に現実味のある話だなというふうに思います。もちろん私も,岡山駅前広場整備は直接は県の所管ではないということは,十分に認識いたしております。ただ,県も全く関係がないわけではございません。特に,駅前路面電車利用者の4割は倉敷など,県内からのお客で,岡山駅から8方向に走るJR線のお客を岡山市内,特に商店街に送っているというデータもあります。岡山市役所職員は恐らく皆無でありましょうが,少なからずの県庁職員の方々も路面電車を通勤に利用しているはずで,体感されるはずですが,広域交通行政施策の一環として県も考えるべきではないでしょうか。まず,路面電車に対する知事の認識をお知らせください。
 ところで,岡山駅東口広場には,ちょうど桃太郎の銅像を囲む形で岡山県の新千年紀記念事業で「吉備沃野」というパブリックアートがあります。西暦2000年を記念して各界を代表する委員から構成される新千年紀記念事業推進会議において,芸術家の専門家等を交え,1年間にわたって審議をした結果,整備されたものであります。これが78市町村の名前を書き込んだ歴史的なものになっており,しかも現在老朽化が甚だしく,駅前広場の有効活用に必ずしも資するものではないように思います。失礼ながら,このパブリックアートが政令指定都市を目指す岡山市の駅前広場で,今後78市町村の名前を残す意義も不明でありますし,駅前広場の有効活用の一助になっているようには感じられません。さらには,今後,先ほどの路面電車の岡山駅東口広場への乗り入れについても積極的な要因にはならないと思います。なくてもいいと思うんですけれども,せめてお色直しが必要なように思いますが,どう感じておられるのか,御所見をお聞かせください。
 ところで,JR西日本が表明している吉備線の路面電車化が実現した暁には,コンベンション機能のある西口のママカリフォーラムから東口,表町を電車で結ぶことができるという夢もあり,また,吉備路観光の起爆剤としてもLRTの吉備線への乗り入れについては注目が集まっています。JR吉備線については,特にこの春暫定開通した都市計画道路米倉津島線,いわゆる中環状道路西崎工区はT字路で行きどまりで,新たな渋滞ポイントを三門小学校前と三門交番前に生んでいるわけでありますが,早晩JR吉備線といかにこの中環状が交差するかは問題にはなりますが,ともあれ国道180号まで早急に抜いていただかないと話になりません。まずは,中環状がいつ国道180号と接続するのか,また,その先国道180号岡山西バイパス開通後は,恐らく県道または市道に格下げが予測される国道180号の万成峠の拡幅の予定について,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,岡山より後に路面電車の構想を打ち上げた富山市では,利用者減少によりJR富山港線の存続が危ぶまれる中で,北陸新幹線建設を契機に,路面電車走行空間改築事業及び昨年度創設されたLRTシステム整備費補助の補助制度を活用し,JR富山港線の路面電車化を実現しています。国では,現在3つの補助制度が同時に採択できるLRT総合整備事業が創設されて,LRTの整備が一体的総合的に支援されることになり,国会でも岡山の逢沢一郎代議士を会長とするLRT推進議員連盟が活発な活動を展開しています。そうした中,6月16日の岡山市議会で,吉備線LRT化について,政令指定都市に向けたまちづくりの観点からも,吉備線を含む市内におけるJRT導入は,公共交通の重要な手段との認識を示し,今後,国,県,関係者と協議しながら,最もふさわしく市民に受け入れられるLRT計画の素案づくりを鋭意進めたいとの答弁がありました。明確に岡山市が動くとの宣言であり,早晩岡山県にも正式な協力要請があることでしょう。JR吉備線LRT化そのものについては,実現すれば恐らくそのインパクトは富山港線の比ではないと思います。岡山市内では,石井中学校区から一宮,高松,足守地区,さらに総社,考えようによれば井原線にまで影響する基礎自治体を越えた話でもあり,沿線住民の利便性が増し,180号の渋滞緩和,環境対策にも資する巨大プロジェクトであります。事業費,役割分担,沿線の道路整備等,課題も生じると思われますが,県も積極的に協力しようとお考えか,知事にお伺いいたします。
 とりわけ,JR備前三門駅周辺の渋滞問題に苦しむ三門学区初め地域の方々にとって,JR吉備線については高架にして中環状と立体交差をさせるというのがまさに悲願であり,岡山県も現場サイドではその合意形成のために本当に汗をかいてこられました。私は,LRT導入が必ずしも高架事業全体をとめるということとイコールではないと理解しておりますが,県ではこの事業に今後どのように取り組んでいかれるのか,土木部長の御所見をお聞かせください。

(知事)  路面電車に対する認識でありますが,公共交通機関は,環境への影響や輸送効率性,また,高齢化社会への対応等の面ですぐれておりまして,県ではその利用を促進しております。特に,路面電車は二酸化炭素の排出量が自動車より少なく,利用が進むことで都市における環境負荷の低減に寄与いたしますほか,交通渋滞の緩和や市街地の活性化も期待できる公共交通機関であると認識いたしております。
 「吉備沃野」のお色直しでありますが,「吉備沃野」は新千年紀の記念といたしまして,各界代表で構成されます新千年紀記念事業推進会議での審議結果も踏まえまして,岡山駅前広場に整備したものであります。完成後5年近く経過し,広場のモニュメントとして噴水や桃太郎像等と一体となって,県内外の多くの人に親しまれておりまして,昨年は地元ローターリークラブの協力によって中心部の花壇の改修も行われたところであります。今後とも,傷みによる修繕を含めまして,必要があれば適切に対応してまいる所存であります。


(土木部長)  次に,米倉津島線の整備等についてでございますが,西崎工区に続きます吉備線工区につきましては,現在約86%の用地買収を終えておりまして,来年度から工事に着手する予定でございます。今後とも,地元関係者の御協力をいただきながら,早期に国道180号と接続できるよう努めてまいりたいと存じます。
 また,国道180号の万成峠の拡幅につきましては,現在,事業を進めております吉備線工区の進捗状況等を見ながら,今後,岡山市など関係機関と協議を進めてまいりたいと存じます。
 最後に,JR備前三門駅付近の高架化についてでございますが,米倉津島線の整備の一環といたしまして,JR吉備線を高架化する計画でございまして,この計画に基づきまして,現在吉備線工区の道路部について用地買収など鋭意整備促進に努めているところでございます。

(佐藤)  要望だけにさせていただきますけれども,これはそう感じるか感じないかということだと思うんですが,少なくとも総合グラウンド,平均が4,000人とったというのはわかるんですけれども。例えば,4月29日に,ファジアーノ岡山というサッカーのJリーグを目指すチームの試合では,4,000人以上の観客が桃太郎スタジアムに参りました。6月にも3,000人以上の観客が来て,そのときの状況で,それは桃太郎スタジアムだけを使っておったわけでありますけれども,ほかのところを使えば,少なくとも日曜日に4,000人という数字はまず出ないだろうなと。それから,岡山市の方で今御要望があるわけですが,バレーのシーガルスの本拠地を例えば桃太郎アリーナにしてはどうか,あるいはそういった試合がどんどん出てくるかもしれません。地域のスポーツ振興ということで,そういったトップチームを育てるということであれば,観客の方もたくさん来ていただけるような,そんな総合グラウンドではないといけないということで,駐車場がこれ以上整備できないというのは,ある程度は理解いたしますが,少なくともそうであるならば,そこまでの交通手段等の確保をぜひ考えていただきたいなと要望として思います。
 それと,LRT,吉備線の方でございますが,地域の高まりということでございまして,今は岡山市の方がしっかりとこれから基本計画をつくっいこう,その中で国と県,そしてまたJRと協議をしていくということでございますので,ぜひその土俵に乗っていただいて,県の方もいろんな事業をやられておりまして,地域の方もこれは本当に何年もかかっている大変な事業でございます。そこまでの汗に対しては十分敬意を払いながら,しかし新しい時代のLRTということで,そういった動きに岡山が乗っていけるかどうか,これは一つの政治判断ではないかなと思いますので,ぜひ前向きなお話として今後やっていっていただければと要望させていただきます。まことにありがとうございます。



<平成16年2月定例会>(2004年3月5日)

(佐藤)  さて,ここからがちょっと時間とお金のかかる話でございますが,昨年のこの時期,JR西日本が赤字ローカル線である岡山の吉備線及び富山の富山港線をLRT化する検討を始めたとのニュースは,世間をあっと言わせました。具体的なイメージは,吉備線の線路を軌道にかえて,路面電車を走らせて,数百メートル間隔で駅を設けて,1時間に一,二本の列車本数を15分に1本程度にふやそうというものでございます。
 物理的には,実は路面電車はJRと同一軌道幅ですから,JR線を走ってきて,郊外から市内に直接乗り入れすることができます。停車駅もふやせますから利便性が向上しますし,保守・整備などの面では,鉄道に比べても維持費が2分の1と,コストの抑制ができます。JRが鉄道を路面電車化したという前例はございませんけれども,国土交通省は,ローカル線を活性化する試みとして評価できると,前向きに受けとめているようではあります。特に,吉備線はこの秋に100周年を迎えるわけですが,次の100年を考えたときに,ある意味で転換期に来ている,そのように思います。
 ところで,ここで言うLRT(ライト・レール・トランジット)とは,路面電車を中心とする新しい都市交通システムの総称で,LRT化に当たっては,新型車両,特に低床車のバリアフリーに考慮した車両が導入されることが非常に多く,要は,現在岡山市内を走っておる路面電車「MOMO」が,公共交通機関の基幹となって,都市を,郊外を走り回っている,そういったイメージでございます。
 ちなみに,2月17日には,超党派で国会のLRT推進議員連盟が発足して,LRTを今後20年で全国に3,000キロ建設すると9兆円の投資にもなる,そのような試算も示されています。何より,LRTは時代の趨勢として,1978年以降に世界各地で導入され,昨年末で約70都市,今年末には80都市近くで建設されます。
 しかし,言うまでもなく,LRT化の最大の課題は,コストと実現後の経営主体の問題です。これは,確かになかなか頭が痛い問題で,特に電化がまだ実現されていない吉備線では,今言っているのは2段跳びのような話にもなるわけでございますし,JRにしてみれば,ローカル線切り離しという側面もあるかもしれません。軌道法の事業特許の関係では,第三セクターの設立も必要になってくるかもしれません。それでも,自動車交通から,あるいはパーク・アンド・ライドで公共交通機関へ利用のシフトを考えるLRT化の検討化をすべき時期にも来ているとも考えます。
 まずは,こうした自動車交通からLRTを含めた公共交通全般へのシフトについての知事の御所見をお伺いいたします。
 加えて,公共交通機関,とりわけバスについては,いわゆる自由化の中で,今行政サイドでそれを指導するということにはなってはいないと思いますが,先日ある市民団体が,公共交通機関の乗り継ぎ調査を行ったところ,方面別の再編成や,あるいは公共交通機関間での連携等,さまざまな問題があるとのことでございました。私は,道路の整備のみが交通対策ではなく,自動車交通と公共交通機関を絡めた体系的な交通政策を,行政や業界,何より利用者である市民を交えて考える必要があると思いますが,いかがお考えでしょうか。
 また,交通政策には,社会的な費用や便益評価,端的には制度的,法的に,いわば交通環境アセスメントを位置づける必要もあると考えますが,いかがでしょうか。
 ところで,現在,山陽自動車道をあたかも国道180号バイパスのように利用していただくべく,総社インターチェンジから岡山インターチェンジを200円にする社会実験が予想の倍の利用があって,大好評につき延長して行われているわけでございますが,それだけこの180号バイパスの建設の要望が強いということだと私は認識しております。
 ただ,当面は,沿線の宅地化が進めば進むほど,180号の渋滞は必至でございます。願わくば,吉備線の利便性が上がることで,通行する自動車の総量を減らせないか,そういう要請がございます。加えて,180号と交差する外環状や中環状道路の整備とLRT化がある意味密接に関係しています。こうした中,先ほど申し上げた吉備線のLRT化をどのように評価されるのでしょうか,知事にお伺いいたします。
 さらに,LRT化は,県道岡山吉井線が併行するJR津山線にも当てはまる問題だと考えます。例えば,LRTが牧山,さらに金川まで延びれば,結果として53号バイパスに乗る車が減って,53号の渋滞緩和にもつながります。こうしたJR津山線のLRT化については,いかがお考えでしょうか。
 関連して,県道岡山吉井線の渋滞対策についてお伺いいたします。旭川沿いの拡幅工事が進んでも,宿から南,岡山市内中心部に向かう三野や北方界隈については4車線化が進んでいないため,今以上に渋滞が発生するのではないかと危惧します。だからこそ,私は津山線を生かさなくてはいけないと思うのですが,そのためには,玉柏あたりでパーク・アンド・ライドをすることも重要だと思います。県道岡山吉井線の道路整備の方針を含めて,渋滞対策についてどのようにお考えなのか,土木部長にお伺いいたします。

(知事)  次に,交通政策であります。
 公共交通への転換と体系的な交通政策でありますが,モータリゼーションの進展に伴いまして,大気汚染や交通混雑等,さまざまな問題が生じておりまして,輸送効率やエネルギー消費効率等の面ですぐれております公共交通への転換を進めていくことが必要であると存じます。
 このため,県では,公共交通の利用促進を図っていくために,ITの活用によりますバスの定時制の確保や優先レーンの設置など,交通混雑の緩和を目指す交通需要マネージメントを,各界,各層の幅広い御意見をお伺いをしながら推進をしているところでございまして,今後とも,これらの取り組みをより一層進めて,総合的な交通政策の推進に努めてまいりたいと存じます。
 交通環境アセスメントについてのお尋ねをいただきましたが,交通政策の分野におきましても,今後渋滞緩和によります時間短縮や二酸化炭素排出削減などの社会的な費用・便益評価の考え方を取り入れることは意義のあることと,このように考えておりますが,実は,まだその評価方法とか目標数値の設定につきまして,一般的に確立をされていないということでございまして,今後の課題というふうに考えているものでございます。
 今後,国の動向とか欧米諸国の先進事例等を参考にしながら,費用・便益評価のあり方というものを研究してまいりたいと存じます。
 最後に,吉備線,津山線のLRT化についてのお尋ねでございます。LRT化そのものは,人と環境に優しい交通機関でありまして,道路混雑や環境負荷の低減等,都市の交通問題を解決する手段といたしまして,近年,欧米を中心に整備が進んでおります。私も,昨年ダイムラー・クライスラー社を訪問した際,その近くにございますカールスルーエー市を訪問させていただきまして,本県のRACDAの方が御視察をされたその後でございましたが,私も実際に路面電車に乗りまして,その快適性,そしてLRTというものが次の時代,間違いなく成熟社会におきましては広まってくるものと,このような確信を得たものでございます。
 ごらんのとおり我が国でも,富山市におきまして検討が進められるなどの動きがございまして,これからの公共交通のあり方に方向性を与えてくれるものとなっていると,このように私も評価しております。
 しかしながら,お話をいただきました,吉備線・津山線での事業化という具体的な問題につきましては,事業費とか事業主体,既存事業との整合性の問題など,いまだ多くの課題が残っていると認識をしているところでございまして,まずは関係機関と協議をして,これらの課題を解決していくということが必要かなと考えているものでございます。

(土木部長)  県道岡山吉井線の渋滞対策についてでございますが,新大原橋から中原橋までの区間につきましては,これまでに用地買収を終え,現在,全線にわたり工事を進めておりまして,平成17年度末には完成する見込みでございます。
 また,中原橋から岡山市街地までの2車線区間につきましては,中原橋以北の事業の完了に引き続き事業化ができますよう努力してまいりたいと考えております。

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