2002年12月13日(金) 【高速道路の今後】

 本日は、広域交通物流対策特別委員会。話題はやはり、道路関係四公団民営化推進委員会の最終報告を受けて、端的に、中国横断自動車道にどういう影響があるかという話。

 ちなみに、道路関係四公団民営化推進委員会は、「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)に基づき、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団に代わる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保について一体的に検討するため、法律により設置された機関です。

 ここのところ、本州四国連絡橋公団については、瀬戸大橋の料金も絡めて触れて参りましたが、日本道路公団関係も、本県に、当然関係があるのは言うまでもありません。


 さて、民営化推進委員会は、高速道路の新規建設に厳しい歯止めをかけた最終報告が実現されるように政府への監視を強め、必要があれば勧告を行うということですが、そもそも、新規建設に積極的な委員長が、辞任せざるを得ない混乱状況の中で提出された最終報告の正当性に疑問があるという声すらあります。

 自民党道路調査会(古賀誠会長)は、今後の道路整備を進めていく上で容認できないとする決議を採択、あとは、政治決着という混乱状態であるのはご案内の通りです。
 自民党ってなんちゅう幅があるのだろう?野党って何だろう?とつくづく思ったりします。



 ちなみに、最終報告の概要は以下の通り。

 道路関係四公団の道路資産と債務を承継する保有・債務返済機構と、日本全国を@東日本A拡大首都高速B中日本C拡大阪神高速D西日本の5地域に分割(岡山県は、西日本)した道路の管理運営並びに道路建設等行う5つの新会社を設立。

 機構は、道路資産の所有及び長期債務の返済、借換えのみをその業務とする。新会社は、機構から道路資産を借り受け、貸付料を支払う。貸付料は、債務総額の約40年間の元利均等返済をベースとして算定。

 新会社は、発足後10年後を目処に、道路資産、債務を買い取り機構は解散。民営化と同時に通行料を平均1割値下げ。

 既存路線の通行料金に依存して従来通り建設を続けることは認めず、国の施行命令により高速道路の建設を強制する仕組みは廃止。

 しかし、評価としては、新規建設に厳格な歯止めをかけたが、不採算路線でも国や地元自治体の税金投入などで柔軟に対応する考えを示したものである、ということになっています。


 一方、国土交通省は、道路関係公団の民営化後につくる高速道路のうち新会社が建設しない路線の建設費を、地元自治体にも4分の1程度負担させる方向で検討を始めたとのことです。

 税収不足の自治体の反発は必至のため、地方に財源を移譲し負担を軽減する方針のようです。
 これまで高速道の建設費は財政投融資などの借金で調達して通行料収入で返していたため、地方負担はありませんでしたが、民営化推進委員会は、この仕組みが、高速道の野放図な建設を招いたと判断し、地方負担の導入を打ち出し、国交省も、一部路線は通行料金で建設できないと判断、地方との費用分担など新しい仕組み作りの検討を始めました。

 ちなみに、一般国道として建設する自動車専用道は現在、国が10分の7、都道府県が10分の3を負担しており、高速道は地方の負担増に配慮して、さらに負担率を下げる見通しで、地方分は4分の1程度となる公算が大きいとのことです。


 ところで、高速道路が一通りは整備されている岡山県の場合は、瀬戸大橋以外には、中国横断自動車道岡山米子線の4車線化と、同姫路鳥取線(延長86km中、県内14km)が、関係してきます。
 米子までの途中の2車線は、どうですか?鳥取までは、自動車で、どのように行かれますか?北海道の高速道路でなく、地元については、どう思われるでしょうか?

 当然、継続実施を国に強く要望していくということでありますが、構造改革の名の下に、いわゆる道路族とか、抵抗勢力と言われる方々が、一概にどうと言えるのか、お住まいの地域でも、かなり認識が変わってくると思われます。

 大切なのは、いみじくも、総理が、都会対田舎の対立になってはいけないと言われることであり、正直に書いて、私自身も判断がつきかねます。


 しかし、例えば、瀬戸大橋なら、債務のうち、1兆3000億円を切り離して、国の道路特定財源で処理し、国と地元10府県市による出資を10年間延ばす代わりに、通行料金は今の20%引き下げを続けるという国土交通、財務省案の前段と、委員会報告の通行料半額という、良い所どりだけできれば、地方とすれば、それに超したことはないわけです。

 もっとも、こういう都合を実現することを政治力だと言える時代は、終わったかもしれません。
 いずれにせよ、我々は、残念ながら、能天気な右肩上がりの時代にはもはやおらず、常に、最良ではなく、よりましな方の選択を強いられている時代に生きている、そういう認識は、必要なのかもしれません。

 同時に、国の揺れが、リアルに地方に伝わるそういう時代であることも。市町村といった基礎的自治体を国から守る、そういう役割が、今の県にはあるのかもしれません。

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