2008年9月27日(土)【国が国なら、県も県】 | ||
ところで、全国町村会が、市町村合併を進めた結果、町村の機能が低下したとして、これ以上の合併推進につながる道州制の導入に「断固反対である」と明記した要望書を自民党に、提出されました。
一方、倉敷市議会は、県の財政構造改革プランに対し、「財政負担を市町村に転嫁する内容であり、受け入れは困難」とする意見書を可決されました。早晩、岡山市からも、さらなる厳しい反応があると思います。 いずれも、背景に県の果たすべき責任論がありますが、しかし、県の広域調整機能や補完機能もさることながら、財政問題そのものでもあり、非常に考えさせられます。 国がやってきた切り捨てを県が同じようにやるんだね、それが、市町村の正直な反応だと思います。 こうした状況の中、気になるのは、中山間地や農村部の過疎地の問題です。格差社会の象徴とも言える地域間格差の問題で、まさに、過疎地への対策の見直しが行われようとしています。 昭和45年、自民党が中心となった議員立法で、最初の過疎法が制定され、10年ごとに、4次にわたり、更新されてきました。 現行の過疎法は、平成22年3月末に期限切れになりますが、大幅な人口減少、急速な高齢化の中で、いわゆる限界集落が増加しており、国が広く国民に対して保障すべき必要最低限の生活水準(ナショナルミニマム)が、全国津々浦々まで保障されなくてはいけないという意味では、自体はむしろ深刻化しています。 この9月定例会では、県町村会などから、総務委員会に付託された「新たな過疎対策法の制定に関する陳情書」も、採択されています。 もちろん、明日投票の吉備中央町の選挙でも、過疎対策は、争点というよりも、共通課題として掲げられています。 ともあれ、国は、4次にわたって、「過疎地域『対策緊急』措置法(S45)」、「過疎地域『振興特別』措置法(S55)」、「過疎地域『活性化特別』措置法(H2)」、「過疎地域『自立促進特別』措置法(H12)」と続いてきましたが、にもかかわらず、なのか、だからこそ、事態のさらなる悪化を防いだのか、分かりませんが、5次が検討されています。 特に、国の補助のかさ上げ(法第10条、11条)、過疎地域自立促進のための地方債(法第12条)の発行で、ハード整備は、むしろ手厚い面もあったわけですが、この過疎債を完全に切るわけにはいきません。 しかし、行政における『自立』という言葉はいつもそうですが、4次で、自立を謳ったのは、財政的に従来通りの支援が難しくなっている証左だと思います。 いずれにせよ、社会基盤の整備など一定の成果はあったものの、生活交通や医師の確保は、まったなしの状態です。 様々な委員会や研究会が、各組織で立ち上がっていますが、財源はなく、しかも、人的資源が減少している中で、『自立』や『再生』を求めること自体が、酷な状況でもあります。 ちなみに、岡山県内では、27市町村中18市町村が、人口要件、財政要件を満たして、過疎地域に指定されるか一部過疎地域を持っています。岡山市でも、旧建部町区域は過疎地域に指定されています。 他に、島嶼部もありますから、実感は別にして、法的に過疎の問題がないと言えるのは、倉敷市、総社市、玉野市、早島町ぐらいで、県下全市町村的な問題です。 しかも、過疎地の高齢化率は、それ以外の20.5%に対して、なんと32.4%。地域コミュニティの再生や活性化という金科玉条は通用しません。高齢者の皆さんに、地域を自立させるために、まず自立して下さいと言えるのでしょうか。 本当に、どうしたらええんじゃ? ともあれ、道州制の導入反対が言われるほどに、県行政に町村が期待して下さっているのか、逆に、道州制の議論イコール、町村合併の促進の話になるからかは分かりませんが、構造改革路線で、国から切られて、財政構造改革プランで県からも切られるなら、町村の状況は、益々深刻になります。 まさに、安全安心の話、生き死にの話です。 ポスト過疎法に議論以上に、県の町村への支援の在り方も、さらに考えなくてはいけません。財政力があると言って、市も、県から自立して下さいというのがイコール補助金削減と言うのも・・ 知事選挙では、県と市町村の関係は、大論点のひとつです。 | ||
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