2002年12月29日(日) 【市町村合併の「ムチ」】 | ||
今朝は、今年最後の京橋朝市。16年ということですが、また大勢の人でした。深柢分団は、0時を越えて、午前1時半に撤収。
さて、今朝の読売新聞によれば、『政府・与党は28日、市町村合併促進を目的に、小規模自治体への優遇措置廃止など地方交付税制度を見直す方向で検討に入った。』とのこと。 17年3月までの合併なら、10年は、地方交付税を据え置くよ、合併特例債もあるよ、という「アメ」の後の、市町村合併への「ムチ」が、いよいよ見えてきました。 地方交付税制度は、都市と地方の財源の偏りを調整するため、国が地方に国税の一部などを地方に分配する仕組みであり、我が国が誇る独特な制度として、経済発展の中で、全国全地域が、均衡ある国土の発展を目指して、「平等」に扱われてきた制度です。 ちなみに、岡山県の14年度の当初予算の一般会計約7726億円のうち、県税収入は、約1834億で、地方交付税は、2210億円に及びます。しかし、地方交付税約19兆5000億円(2002年度)の3分の1以上は、借入金で賄っており、さらに、地方交付税特別会計が巨額の簿外債務を抱え、地方交付税制度そのものを危機に陥らせています。 そこで、今回、国の財政再建のためにも、小規模自治体に、手厚く配分する「段階補正」をなくす方向が示されたということです。 たとえば、交付税の算定基準のうち、消防や廃棄物処理、議会などは、自治体の規模が大きくなれば、効率的に運営・維持できるため、合併を促す効果がありますが、逆に、小規模自治体ほど人口1人当たりで計算した経費が大きくなるため、大規模自治体と同額で計算することを検討しているようです。 また、議員の給与を賄う議会関係費や三役の給与などを賄う総務費も、地方交付税の算定対象から外し、市町村独自の財源で負担させる案が浮上しているとのことで、現在、地方交付税を交付されている全国3000以上の市町村にとっては、議員数の大幅な削減や議員を実質無報酬にするなどの措置を取らなければ、財政が破たんする可能性があります。 制度見直し後も市町村が合併しないことは可能だが、超過する経費は市町村独自の財源で手当てしなければならないということで、独自の税源が小さい小規模自治体にとって交付税の縮小は死活問題となるため、全国町村会などは強く抵抗するものとみられます。 結論を言えば、地方交付税の縮減の問題は、地方の独自財源である税収を国から地方に大幅に移転させること、すなわち、国税から地方税への移譲、税源の移譲があり、地方自治体が自由に使える財源があるならば、基本的に補助金も不要になり、地方交付税も、財政調整機能だけ持たせれば見直すべきかもしれません。 要は、まず金よこせです。 ところで、小泉首相の諮問機関である地方制度調査会(諸井虔会長)が来年3月をめどに中間報告をまとめ、政府・与党は、今回のように、これを受けて地方交付税制度の見直しを含めた本格的な協議を行い、基本方針を固める方針ですが、受けた「これ」が、いわゆる「西尾私案」です。 地方制度調査会副会長の西尾勝・国際基督教大教授が、11月発表した私案は、いわば地方で、物議をかもしています。 具体的には、「基礎的自治体」は、福祉や教育、まちづくりなどの事務を担うための規模と能力が必要だとの観点から、現在の「市」を「基礎的自治体」と位置づけ、一定規模の人口に満たない自治体は、解消すべきだというのが骨子です。 平成17年3月に、合併特例法が切れた後は、解消すべき自治体の人口規模を法律上明示し、今のような財政支援措置を伴わない合併を推進し、それでも合併せずに残った小規模市町村については、他の基礎的自治体への編入など特例措置を設けるべきだ、という、超合併強行論と言えると思います。 ただ、合併後も、旧市町村の住民の連帯を保つために、一定範囲内の事務を執行する「内部団体」の設置を提言しています。つまり、旧市町村単位の自治組織は残すべきとしていることは重要です。 要するに、これが、政府・自民党の方向と言えると思います。 ちなみに、「基礎的自治体」の規模は未定ですが、自民党案と同程度の人口1万人程度と見られています。極論すれば、地方自治が成り立つ規模は、人口1万人以上で、それを達成する合併を進め、できない場合は、権限はく奪か、強制合併する、と言えなくもありません。 一方で、平成の大合併は、明治や昭和の大合併と比べて、団体の規模についての数値目標がなく、現実に進められている合併は、さいたま市や新静岡市など政令指定都市を目指したものから、市の3万人特例にも満たないものなど様々で、こうした現状や、一部小規模町村が合併論議に消極的である現実をふまえて、平成の大合併にも数値目標を導入して一層促進する為の方策を示された点は、高く評価出来るという意見もあります。 ただ、私は、地方自治、住民自治の原則からして、こういう進め方には、疑問を呈したいと思います。 要するに、まずは、金太郎飴が出来ないと言うのなら、まずは、地方に対し「税財源の地方分権」を行なうべきで、議論はそれから、地方が自主的に判断しようじゃないか、ということです。 岡山市の政令指定都市化の話も、いわば、期限付きの地方交付税と合併特例債という「アメ」に躍らされている感もありますが、要は、もともと、地方、とりわけ、基礎的自治体の金は、基礎的自治体地方の金で、国にいったん上げて、マージンをとるような県経由で降ろさんでよろしい、そもそも、そういう構造を改革してほしいのだ、と私は、言いたいのです。 何度も書きますが、まずは、地方の金は地方によこせ、です。 ところで、合併に関わる住民投票が、奈義町で行われ、来年には、勝央町で行われますが、西尾私案なら自滅の道です。間に入って県が、どうするのか、その役割は、極めて重大です。 ただ、岡山県町村会から12月議会に緊急提出された「地方制度に関する意見書の提出について」という陳情は、西尾私案に対して真っ向反対するものでありましたが、継続になっています。 夢のある岡山市の政令指定都市化の話とは逆に、地域が今まさに喘いでいる話であり、いかに、国から市町村を守るか、それが、県の役目だと考えるなら、試金石だったはずですが。 平成17年まで、もう2年しかありません。 | ||
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