2002年10月12日(土)
【政令指定都市を考える その8 北九州市】

 10日に、広域交通物流対策委員会として、玉島ハーバアーアイランドの参考として、北九州市の響灘西地区ひびきコンテナターミナル予定地を訪ねました。

 北九州港の長期構想「響灘環黄海圏ハブポート構想」は、平成7年6月の国の「大交流時代を支える港湾」として、東京湾(横浜港)、伊勢湾(名古屋港)、大阪湾(神戸港)に加えて、北部九州の地域整備が盛り込まれたことに端を発するもので、直接には、釜山港をライバルに、ハブポートとして、大水深バースを作って行こうというものです。

 環黄海地域から「北米に向かう場合」、日本海経由ルートの方が、太平洋経由ルートよりも、最大2日程度早く到着できるということで、「北米ルートの」主力ルートになるだろう、また、廃棄物処分場として、埋立地があり、コンテナ港湾が容易に出来るということが整備理由ですが、要するに、関門海峡の水深が足らず、門司港が使えない(ゆえに、レトロ)のと、博多港へのライバル意識がなせる技のように、私には見えてしまいました。

 というよりも、同じ政令指定都市でありながら、福岡市と北九州市の勢いの差というのは、行かれた方は、どなたでもお感じではないかと思います。ただ、私は、岡山市には、街のムードとして、良くも悪くも、北九州市と似た雰囲気を感じています。


 戸畑や八幡など重厚長大産業で栄える5市が、合併したのは、昭和38年2月。4月には、政令指定都市になりました。
 その後、昭和63年から、「北九州ルネッサンス構想」が、進められていますが、人口の減が続いています。指定都市最高の高齢化率19.5%で、人口100万人を割っていく流れにあります。


 ちなみに、「北九州ルネッサンス構想」は、バブル時期ということもあってか、「北九州学術研究都市」、平成17年供用開始予定の北九州市から、大分市、宮崎市、鹿児島市まで約436kmを結ぶ「東九州自動車道」、2500m滑走路で24時間空港を目指す「新北九州空港」そして、「響灘環黄海圏ハブポート構想」の4大プロジェクトを核にしたものですが、やはり、福岡市をかなり意識したものと思われます。


 もっとも、昨今、北九州市が注目されているのは、平成9年に、国からの承認を受けた環境産業を軸として産業構造の転換・再構築を図る「北九州エコタウン構想」です。
 「実証研究エリア」「総合環境コンビナート」「響リサイクル団地」からなるエコタウン地区に加えて、平成16年からは、環境への取組みが評価され、広域的なPCB処理事業も動き出します。

 博多港と違い、背後に一大消費ゾーンが見込めない「響灘環黄海圏ハブポート構想」ですから、コンテナターミナルには十分すぎる広大な埋立地をこのエコタウン構想と絡めて、新産業ゾーンにする、すなわち、それが、すぐそばに、政令指定都市・福岡市がある北九州市の生き残りをかけた道なのだと思います。

 特に、北九州市は、リオの地球サミットでは、「国連地方自治体表彰」を受け、先のヨハネスブルグサミットでは、公害克服を国際協力に生かしてきた(東南アジア4ヶ国6都市と「アジア環境協力都市ネットワーク」を構築)取組みが世界から注目され、「地球サミット2002持続可能な開発表彰」を受賞しました。

 こういった北九州市の取組みは、環境先進県(民間が)にあり、FAZ指定され、経済特区にもなろうかという玉島ハーバーアイランドの今後の方向にも、少なからず影響があると思います。


 ただ、モノレールが、JR小倉駅から伸びるのは、まだしも、小倉城の真横に、福岡市のキャナルシティーを思わせる「リバーウォーク北九州」ができつつありますが、駅北の「アジア太平洋インポートマート」も加えて、やや、中心市街地の地図が見え難くなっています。
 とりわけ、小倉城を市役所とサンドイッチで、完全に隠してしまう作りは、県外の者には少し残念です。焦りのようなものがあってはいけません。


 私は、その街にはその街の文化・歴史・伝統というものがあり、要するに、街がでかくなれば良いんだろう、という政令指定都市化論には、与できません。
 ある意味、周囲の都市に惑わされないその街独自の街づくりの重要性を北九州市からは感じます。

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