2002年9月7日(土)
【政令指定都市を考える その2 静岡市・清水市】

 お待たせ致しました、かどうか、やっと、「その2」です。

 おそらく、「岡山都市圏の未来を考える」というシンポジウム(9月14日土曜日午後1時45分から、玉野市総合体育館)のご案内が、町内会の回覧版でまわっていることと思います。

 パネルディスカッションのテーマは、「みんなで考えよう 21世紀のまちづくり〜政令市の可能性を視野に入れて〜」で、主催は、県南政令市構想研究会(岡山市・玉野市・灘崎町)で、各経済団体には、動員指示が出ており、基調講演で、片山総務大臣が、おそらく、「チャンスは今だ!」といった内容で、熱く語られると思われます。

 この会については、新聞社も大きく動いていますが、同種の研究会は、「県南政令市構想・北部地域研究会(岡山市・瀬戸町・御津町)」もあり、敢えて、玉野市でということで、事務局岡山市と玉野市サイドの意向がかなり強く働いていると思われます。


 そのこと自体が、どうというのでは全くないのですが、要するに、静岡市・清水市でも、商工会議所が、かなり積極的に動き、てこ入れの段階、煮詰まった段階では、必ずこういったシンポジウムが開催されていました。
 ある意味、静岡市・清水市(以下静清)合併の手法をそのまま踏襲しているということは言えると思います。

 そして、なにより、意外な人的なつながりがあるのですが、それは、後述致します。
 いずれにせよ、岡山市の合併・政令指定都市化の議論の端緒・ルーツは、あらゆる意味で静清合併にあることをお伝えしたいと思います。



 さて、そもそも、静清合併ですが、戦後間もなく、昭和25年から論議されています。だいたいが、市街地がまともに繋がっていて、静岡市は、商業都市、清水市は、国際港湾都市であるとは言うものの、市境が、全く引けないほど、生活圏が一体となっています。

 青春18きっぷで、東海道線を下れば、静岡県に入って、豊橋に抜けるまで、三島、沼津、富士、清水、静岡、焼津、藤枝、島田、掛川、袋井、磐田、浜松、湖西、東海道53次等でも、比較的名の通った中規模の街が幾つも続きます。

 駅のスタンプ収集マニアの私としては、みどりの窓口があり、駅のスタンプ(名所)もある街が、いやに、太平洋側に、ずらずらと並んだものだなぁ、いちいち降りるのがたいへんだなぁ、という印象を持ったものです。
 そういう意味では、この合併については、他県人でも、違和感がないものかもしれません。

 また、浜名湖、中遠、北遠、奥大井、御前崎、駿河路、富士、伊豆西海岸、中伊豆、伊豆東海岸地区と、浜名湖もあれば、南アルプスも、富士山も、駿河湾、伊豆半島もある、そして、東は、神奈川県に、西は、愛知県に接している、まずは、東西に180kmと非常に横に長い県であるという地図を描いて下さいませ。

 加えて、東海道新幹線(東京までは1時間)、東名高速(第2東名)が、走っているものの、のぞみは、止らない、静岡空港もない(2006年開港予定)と、それだけ、都市の核機能としては弱かったという現実があります。
 東京圏、名古屋圏の中にあって、そこに、核を作りたいというのは、首肯できるものです。

 ちなみに、掛川と静岡の間に建設予定の静岡空港からは、新千歳、福岡、長崎、熊本、鹿児島、那覇、ソウル、北京、上海、台北、香港、バンコク、シンガポール、グアム、サイパン、ホノルルの15線が、就航予定です。
 静岡県の人口は、約377万人、県勢からも、これだけ、見込めるということでしょう。


 かような地理的条件に加えて、現知事は、地方分権を積極的に進める旧自治省出身。また、静岡県は、総務省幹部への登竜門という色彩が強く、片山総務大臣は、自治省から静岡県に総務部長として赴任されたこともあり、また、現知事とは、姻戚関係にもあられることから、ことさら、静岡への思いが強くあられるのだと思います。



 いずれにせよ、岡山県と決定的に違うのは、知事の意向が色濃く出ており、また、それに対して、総務省の全面的なバックアップもあったということです。
 そういう前提があっての政令指定都市の要件が、静清合併に最適である「70万人」になったというわけです。

 そういうこともあり、知事のお考えには、道州制への意向というのが、強くあられるようです。また、東部・中部・西部それぞれに、政令指定都市を作るという構想もあるようです。

 すなわち、静清合併の後には、豊橋方向を見据えて、57万人都市である浜松市を中心にした西部の政令指定都市、また、富士市、沼津市、伊東市、三島市等々を集めて東部の政令指定都市の2つが、続くかもしれないという話です。
 もっとも、浜松市は、実質的には、この夏に動き始めており、東部は、やや厳しいのではないかという認識があるようです。

 お隣の長野県や山梨県との道州制を見越した時に、核となるのは、新静岡市ということで、その構想自体は、首肯できるものです。
 なにより、中部横断自動車道、第二東名高速、静岡空港のインフラ整備は、政令指定都市の存在で、加速されるだろう、そういう戦略でもあります。


 岡山市の場合は、中四国州の雄都ということですが、むしろ、こういった静清合併を受けた後発組の浜松市が、参考になるはずです。


 大部になったため、つづく。

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