2008年11月27日(木)
【道州制導入は薔薇色か?】

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 おそらく、昨日の倉敷市の市政懇談会で、倉敷市長が、倉敷チボリ公園の跡地に、都市公園を残すことについて、岡山県の側にも相応の負担を求めたいと地元県議会議員に要請された話は、結局、総務委員会マターになって、来年早々の大問題になると思います。

 今年の総務委員会は、まさに、10年に一度ぐらいの当たり年で、県政の重要問題が直撃します。
 しかし、本日、委員の皆様から、さんざん不評を買いながら、午前9時に招集した総務委員会ですが、本日は、その問題に入る前に、まさかの道州制の議論で紛糾。12月1日の開会日の上程まで、『岡山県行財政構造改革大綱2008(案)』の議論は、明日も続きます。

 おりしも、予算要求の陳情団で、知事以下執行部、および党役員は、今日明日は、上京。またまた、問題を起こしてしまった(?)総務委員会。よほど、委員長が悪いのか、悪いときに委員長になったのか・・・。
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 政府の地方分権推進委員会において、本年5月の第一次勧告に続き、年内にも国の出先機関の見直し等に関する第二次勧告が予定されるなど、地方分権改革が山場を迎えていますが、そうした中、地方分権改革の究極の姿と言える道州制についても、全国レベルで、導入に向けた各界各層の議論が一段と加速しています。

 そうした認識の下、今回の『岡山県行財政構造改革大綱2008(案)』にも、2項の「県行財政の現状・課題と取り巻く環境」として、「道州制の検討の加速」ということが、掲げられています。これは、あくまで、客観状況であるとは思うのですが、「道州制導入自体の加速」とも読めなくもなく、激しい議論になりました。

 私は、個人的には、『道州制は、地方分権改革の究極の姿であり、地方による主体的、総合的な政策展開を可能とし、地方の将来の発展のためには不可欠の改革です。』『将来の都道府県のあり方も視野に入れながら分権時代にふさわしい行財政システムの構築を図る必要があります。』という記述に問題があるとは思わないのですが、これを5年計画である、この度の『岡山県行財政構造改革大綱2008(案)』の大前提とすると、様々な削減の根拠にもなるということだと思います。

 道州制導入については、政治観や将来展望で全く異なるわけで、議論が大きく分かれますが、逆に、いわば前文にある、この大前提の議論で、大綱そのものの可否を決めるという話になるという認識は、ありませんでした。

 今までの行財政改革大綱でも、道州制の話はあったはずですが、ここに来て、そもそも論になるのは、かなり道州制の議論が高まってきたとも言えます。ある意味、執行部側も甘かったし、今まで、誰かに委ねてしまい、真摯に議論して来なかった事自体も、問題でした。

 それにしても、数十分で議論できる内容でもなく、総務委員会だけで語るべき話でもなく、かといって、有耶無耶に大綱に書いてあるのを通してしまって良いのか、またまた難しい問題になりました。

 あくまで、個人的にですが、自由民主党青年部局主催の「日本の未来創造セミナー」で、道州制を取り上げたいと、今日思いました。思ったということは、やるということです。
 どうも、立場によって、道州制のイメージが限りなく違うようです。ここで、きっちりと整理する必要があります。

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 さて、最近の道州制の議論はこうです。

 かねてから議論はありましたが、公式に、「道州制の導入が適当とされる」とされたのは、首相の諮問機関である『第28次地方制度調査会』が、平成18年2月の「道州制のあり方に関する答申」を提出し、結論づけたのはたのが最初。
 この時、いわゆる区割り案が出て、9,11,13分割案が、示されましたが、岡山県の主張する中四国州は、9分割案になります。
 ちなみに、「第27次地方制度調査会」から、現在の「第29次地方制度調査会」に至るまで、地方六団体の代表として、全国知事会を代表して出席しているのは、石井知事一人です。

 平成19年1月には、『全国知事会議』で、「道州制に関する基本的な考え方」を取りまとめましたが、この時、道州制は、あくまで、国の財政再建のためではなく、「地方分権を推進するためのもの」であり、「内政は基本的に地方が担う」ことが確認されています。

 ちなみに、石井知事は、全国知事会内の特別委員会の道州制特別委員会の委員長であり、常任委員会の総務委員会委員長でもあります。敢えて言えば、4期も期数を重ねる知事が少ないため、次期全国知事会会長に、最も近い立場にもあると言えます。

 さらに、やはり、同年1月には、総務大臣が兼務する道州制担当大臣の下に、道州制導入の基本事項を議論し、「道州制ビジョン」の策定を目的とする『道州制ビジョン懇談会』が設置されました。

 今年に入り、3月18日、『日本経済団体連合会』が、「第二次提言に向けた中間とりまとめ」を発表し、2010年に基本法を制定し、2015年の導入を目指すとしました。

 3月24日には、前述の『道州制ビジョン懇談会』が、「2010年に道州制基本法の原案作成、2011年に、通常国会に道州制基本法案提出、2018年の完全移行を目指す」と、政府機関として初めて、行程表を示し、導入時期を明示しました。

 6月27日には、「道州制の本格的な導入に向けた道州制ビジョンを策定する」と、『経済財政改革の基本方針2008(骨太の方針2008)』が閣議決定されました。

 7月25日には、『道州制ビジョン懇談会』の中に、税財政の専門委員会が立ち上がり、さらに、11月5日には、区割りの専門委員会も検討を開始。

 前後して、内閣としての基本法制定のための検討機関設置についても、9月23日の自公連立政権合意があり、9月29日の麻生総理の所信表明演説で、道州制導入が明言されました。特に、国主導ではなく、「地域主権型道州制を目指す」との積極姿勢は、全国知事会の議論に配慮してのものです。


 そしてここからは、解散総選挙を意識してか議論が加速。

 特に、7月29日に、『道州制に関する第三次中間報告』『自由民主党道州制推進本部』は、11月中旬に、マニフェストにも組み込み、年内に基本法骨格づくりをする方向で動いたため、11月17日に、『道州制ビジョン懇談会』も、基本法骨子の議論開始を表明。当初、「2010年に道州制基本法の原案作成」としていましたが、スケジュールを前倒しして、その骨子の議論を来週12月上旬から開始することになりました。
 一方、11月18日には、『日本経済団体連合会』が、「第二次提言」をとりまとめ、基本法制定の時期を1年前倒しして、2009年としました。

 解散総選挙を意識してか、にわかに、国や経済界からの道州制導入議論が加速することに対して、知事会の側では、警戒の声が上がっているようです。国にとって都合の良い、国の財政再生のための道州制ではなく、あくまで、分権時代に相応しく、国の権限を地方に移す(県の権限を市町村に)ものであり、単なるコストの削減のための都道府県合併ではなく、二重行政の無駄を廃しつつも、新型インフルエンザ対策や、空港、防災、瀬戸内海の環境問題など、広域連携の推進を目指すべきであると、国に釘を刺す必要があります。


 一方で、民主党の道州制導入への考え方は、2004年のマニフェストでは掲げられていたのですが、『日本改造計画』のあったように、小沢代表は、都道府県を廃した300諸侯の市町村のイメージがあるのか、2007年のマニフェストでは謳われていないようです。当面、都道府県は残そうということなのか、このあたりよく分かりません。


 しかし、そうした動きに対して、11月26日、全国町村会は、道州制導入について、「市町村合併を強制し、多くの農山漁村の住民自治は衰退の一途をたどる」との理由で、反対決議を採択されました。「巨大な道州は、自治体と住民の距離をますます離す」ということで、市町村合併が、必ずしも、住民の生活福祉の向上に役立っていないという思いもあるのでしょう。
 11月25日には、長野県で、県町村会が、県知事に反対要望を提出されていますが、こうした動きは全国に広がる可能性もあります。

 1800の地方自治体を最終的に、700〜1000にしようとすれば、基礎自治体の規模は、10万人程度ということになるのか、新たな中央集権体制に繋がるという危惧の声があるのも事実です。

 岡山県は、高齢化率が50%を超えるなどのいわゆる「限界集落」を「小規模高齢化集落」と呼称を改めますが、こういった地域を多く抱える町村からすれば、薔薇色の道州制などあり得ないのかもしれません。こうした状況で、町村に配慮無く、「道州制の検討の加速」という言葉が大綱に踊って良いのか?という指摘は、確かに傾聴に値します。

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