2001年5月5日(祝・土)【水俣病とSPring-8】

 GWで、妻子は妻の実家へ。ならば、父ちゃんは静養かというと、そうならないのがジョブ中毒。結局、一人でどこに行っても、追われるように「視察」になってしまいます。一種の職業病だと思います。

 ここのところのテーマは、外から見る岡山ですが、どうしても気になるのは、東備地区といわゆる播磨の連携。本日は、ドライブがてら、備前、和気、佐伯、播磨科学公園都市、牛窓、西大寺界隈をまわりました。


 備前焼まつり、藤公園を抜けて、途中、本日から13日まで、佐伯町の学び館「サエスタ」で、開催されている「水俣・佐伯展」に、お邪魔しました。佐伯町は吉井川中流が一番美しく見えるところかもしれませんが、サエスタの立派さは、ともあれ、なぜ町をあげて、環境(公害)問題、とりわけ水俣病なのかな、と思わないのではありませんでした。

 主催が佐伯町、県市の教育委員会が、後援にずらっと並んだ、水俣展。企業や行政の責任、市民運動のあり方も含めて、非常に考えさせられる内容でした。
 40数年前に起きた、この教訓を今にどう生かすのか、非常に重いテーマを真正面からぶつけられますが、ご家族で行かれることをお勧めします。



 まるで、吉備高原都市に向かうような雰囲気の中を「播磨科学公園都市」に。ご案内の通り、筑波研究学園都市、関西文化学術研究都市と並ぶ、いわゆる研究学園都市です。

 竜野西ICから、約25分。岡山空港からは、50キロの位置にあります。距離的には、実は、神戸市よりも、岡山市に近く、姫路市を母都市として多様な産業が集積する龍野市、相生市、赤穂市の4市と10町を含めて、「西播磨テクノポリス地域」という言い方をします。

 ちなみに、高度技術工業集積地域開発促進法(通称テクノポリス法)に基づき、26地域が、その地域特性に応じて、テクノポリス開発計画の承認を受けていますが、吉備高原都市もそのひとつです。近くでは、香川、愛媛、広島各県で、承認を受けた地域があります。


 西播磨テクノポリス地域の拠点都市として整備しているのが、播磨科学公園都市ttp://web.pref.hyogo.jp/harima/index.htmで、2千ヘクタールに及ぶ緑に包まれた新宮町・上郡町・三日月町にまたがる西播磨丘陵にあります。

 豊かな自然環境の中で21世紀の科学技術の発展を支える学術研究機能と優れた先端産業の集積を中心に、快適な住居環境等、高次元機能を備えた「国際的な科学公園都市」の形成を目標とし、世界都市”KANSAI”の学術研究機能の枢軸となる近畿リサーチ・コンプレックスの一翼を担っています。
 また、関西文化学術研究都市とともに関西リサーチコンプレックスを形成し、21世紀の国際的な科学都市圏の形成を目指しています。

 トータルコンセプトは、「人と自然と科学が調和する高次元機能都市」 サブコンセプトは、@科学技術都市A国際交流都市B公園景観都市C医療健康都市、であり、吉備高原都市より「科学」の分だけ、分かり易いものがあります。

 第1工区の住宅用地面積は50ha、計画人口は5,100人、計画戸数は、1800戸です。第3工区まであり、現在の1工区で、半分だそうですが、ご多分に漏れず、全ての分譲が進んでいるわけではありませんでした。

 ただ、基幹的施設である姫路工業大学理学部をはじめ、姫路工業大学付属高等学校、西播磨コンピュータ・カレッジ等、先端的な科学公園都市にふさわしい多様な教育機関が整備されていますし、平成7年4月には播磨高原東小学校が、平成9年4月には播磨高原東中学校が開校し、小学校から大学院までの教育施設が都市内に整備されています。
 このあたりは、吉備高原都市の比ではありません。
 ついでに、吉備高原都市にはない、赤穂市「消防」署新都市分署もあります。また、県立ヘリポートもあります。


 また、(以下丸写し)播磨科学公園都市では、国際的な評価に耐えうる魅力ある都市づくりを目指して、都市のトータルコンセプトを基本理念に、都市全体の建築デザイン等の調和を図るため「アーバンデザイン計画」を策定しています。

 「アーバンデザイン計画」はこのコンセプトを都市景観のデザインに生かし、都市全体を統一的な視点に基づき、地形、修景緑化、建築デザインなどを、都市が備えるべき機能と景観の両面から一体的にデザインすることにより、快適な居住環境と優れた研究環境を創出していきます。

 また、都市内の住宅地区は、高密度で利便性の高い中高層タイプと低密度の林間タイプとに分け、住宅構造上のアクセントをつけるとともに、デザイン性の高い街区を形成します。
 なるほど、岡山西警察署でお馴染みの磯崎新さんや、安藤忠雄さんが、中心に建築された美観は、近代都市にふさわしいものです。空き地を除けば。


 また、この播磨科学公園都市には、世界最大規模の大型放射光施設である「SPring-8」が、あります。(他に小型放射光施設「ニュースバル」)ttp://www.spring8.or.jp/JAPANESE/general_info/overview/(以下丸写し)放射光は、物質の分析、反応、解析などのための画期的な手段として、材料科学、地球科学、生命科学・医療等の幅広い分野の研究への活用が期待されています。

 SPring-8は、世界最高性能の放射光を発生することができる大型の基礎研究施設であり、日本国内はもとより世界中の研究者にも広く開かれた共同利用施設として、平成3年から日本原子力研究所と理化学研究所が共同で建設を開始しました。

 そして、兵庫県をはじめとする産・学・官の各界支援のもと、平成9年10月に完成し、供用を開始しました。運営は、SPring-8の共同利用の促進のため、国から「放射光利用研究促進機構」に指定された財団法人高輝度光科学研究センターが行っています。
 現在、SPring-8には世界中から多くの研究者が集まっており、21世紀を担う最先端の研究が進められています。



 私は、今日は国道250号(旧2号)と2号で行ったこともあり、特に強く感じた交通アクセスの悪さは、「播磨テクノライン」の新宮インターチェンジが完成し、将来的に山崎ジャンクションまで延伸すれば、山陽自動車道と中国自動車を縦に結ぶ基幹道に沿うことになります。ただ、どうしても自家用車に頼ることになるでしょう。
 加えて、西播磨空港という計画もあるようです。


 また、西播磨テクノポリス地域には、総合的・統一的な情報インフラがなく、各組織・団体で制作されている放射光の研究文献データや、地域企業情報などの重要な情報が必ずしも整備されていない状況にあり、放射光研究の支援と地域産業育成のための総合的なプラットフォームづくりが望まれていました。

 その点も、「放射光研究支援システム」、「播磨新産業創造プラットフォームシステム」、「サイト管理省力化システム」の3つのシステムで構成されている「播磨テクノ情報システム」ができています。ttp://www2.cast.gr.jp/index.htm



 播磨科学公園都市のイメージとしては、吉備高原都市とテクノサポート、岡山県工業技術センター(ttp://www.okakogi.go.jp/Official/index.html)を一緒にしたようなものでした。
 地区センター「光都プラザ」の前のレクレーション用地が、子供達の遊び場として機能し、オプトピアに閑古鳥が鳴いている、そんな休日にわかるのは、パンフとホームページと体感によるものだけですが、おそらく、今は、そう誉められている状況ではないと推察します。

 しかし、岡山情報ハイウエイを擁する岡山県が、実は必ずしも、うまく生かしきれていないわけですが、いずれ播磨科学公園都市に、そういった情報技術基地を集積させれば、吉備高原都市よりも、かなり未来があるように思います。


 とりわけ、兵庫県は、産業労働部内に、科学・情報局を持ち、科学技術政策課を作り、世界に通用する競争力を持った産業の育成を目指し、産学連携の推進施策や大型放射光施設(SPring-8)の利用促進をはじめとした研究プロジェクトの推進等、産業技術の振興に係る総合的施策の企画及び推進を行っています。
 同部国際局が、国際政策課、国際交流課、国際経済課(岡山県なら経済国際化対策班)という、陣容を見ても、かなりダイナミックに進められる要素は、あるように見えます。


 それにしても、何か似たようなものをどうしてまた、こんなに近くに、お互い造りあうのだろうと、強く思いました。県境がなければ、近所です。
 東備と播磨の連携ですが、我々が、県境を意識する限り、難しいように思いました。例えば、岡山の産業支援は、何も岡山の技術だけでやる理由などないのですから。
 ちょっと外に出れば、小林秀雄ではないですが、皆、蛸壺の中で、同じようなことを自分達だけでやっているのかもしれません。
 どんどん情報を結ばないと、岡山北部流通センター同様、あるいは様々な工業団地同様、全部が自滅し、結果、全滅が、待っているかもしれません。

 空港、港、工業団地・・・・あちこちで、同じことをやっています。大いなる無駄かもしれません。

Copyright (c) 2001 SHINJI SATO Inc. All rights reserved.satoshin.jp