2000年8月20日(日)
【関西と岡山 岡山は生き残れるのか?】

 関西にお住まいの方、縁の方には、自明ですが、関西は一大ネットワークで、近畿と東海も、つながっています。おそらく、意識の上でもそうでしょう。関東同様、そうだろうとは、ずっと思ってはいたのですが、奈良に行って改めて体感しました。大阪、京都をすぐ向こうに感じます。

 ご案内の通り、奈良自体は大昔の都であるという観光面を除けば、基幹産業として、何があるわけではなく、お世辞にも大都会とは言えませんが、駅と言えば、短絡的にJRという発想の岡山県人としては、私鉄の近鉄の奈良駅の方が、街の中心だというのは、どこか不思議な気がするものです。いずれにせよ、私鉄が強いのです(特に、運賃)。

(  奈良では、やや勘違いもしておりました。自転車道もありました。レン
 タルサイクルもあるところもあるようです。けれど、ほんじゃぁ、駅前か
 ら自転車こいで経巡りますか、というものとやや違っております。
  800円で、一日乗り放題の名所(ユネスコの世界遺産)を巡る循環バ
 スを1時間に1本走らせれば、事足ります。亀も鹿も自転車でないと見ら
 れないわけではありません。そこら中から、人は来るのですから、それを
 どうやってこっちに引っ張るか、なのです。あちらにも、こちらにも、個性
 が魅力が、溢れている中で、あっちからこっちにも来てもらうために、自
 転車は必ずしも効果的ではない状況です。 )

 東京近郊の多くの街、とりわけ私鉄沿線の駅が、自然発生的にできたというよりも、急行や準急の停車駅に(そうなるように)、宅地を開発し、関連デパートを建てて、それなりの街にしてしまい、あげく自社の遊園地等をつくり路線に付加価値を付ける、という戦略である、のは関西でもしかりです。
 いわば、公共運送機関を持ついくつもの財閥が、競うように街を切り開いていく、その結果として、広域の活力のある地域が広がっているわけです。試みに、近畿と東海の鉄道マップを見て下さい。

 例えば、近畿圏には、近畿日本鉄道、阪急、南海、京阪、阪神の私鉄5社を核に、大阪では地下鉄に乗りいれる形で、神戸、京都、岐阜、名古屋、津、鳥羽、奈良、和歌山等々に放射線に鉄道交通網が伸び、街が広がってます。そして、東海では、名鉄が、それをつなぎます。加えて、基幹としてJRがあります。そこら中に、私鉄関連のものがあり、関東からも殴り込みをかける私鉄系デパートなどが、加わります。

 これらは、新発見というより、学生時代からの再認識でした。


 青春18切符で、姫路で新快速を降りる時いつも思うのです。姫路で、関西は切れてしまうと。相生を越えると無性に寂しくなります。東海道、山陽本線で一番「ひどい」区間が、ここだと断言します。なにも、交通機関は電車だけでないことは、充分承知した上で、岡山は関西と切れています。
 かといって、四国高松や広島とも切れています。中国地方の雄たらんという気概も感じられません。内に内に向いてつぶしあっている感すらあります。

 私が、岡山市民として最も嫌いな言葉のひとつが、「倉敷に、なんでも持っていかれる」(「東京で、岡山の県庁所在地は倉敷と言われた」も嫌いです。)見識を疑いたくなります。倉敷と張り合っても仕方ないのです。いかに、他都市とうまく連関するか。
 岡山市のためにも、津山が(あ〜因美線)、児島が、東備が、衰退しては絶対にいけないのです。全てはつながっています。倉敷が良ければ、それと結べばいいだけのことです。
 他とぶった切って、岡山だけでうまくやれるわけがないのです。

 とりわけ、岡山県全体を考えた時、東備に集中投下しないと関西圏からの入り口で、岡山は死んでしまいます。
 せめて、新快速が、神戸と岡山をつなぐために、途中駅にいわば準急停車駅程度の街が連発しないことには、商売にならんでしょう。
 赤穂線が、もとの山陽本線だった(この30分の短縮で、岡山が失ったものは、かなり大きいのかも)という経緯があっても、ポイントは、東備です。

 都市間競争の時代とはいえ、ネットワークの時代でもあります。関西圏とさしでは戦えません。


 奈良で第2回の「バサラ祭り」が、行われるようです。新しい市民参加の夏祭です。後発ですが、潜在的に人が集まる可能性を持っています。面白ければ、そこら中から人が来るでしょう。とても羨ましく思います。

 関西発のJRの夏のチボリ公園のキャンペーンは、新幹線で、イブニングチケットで入場し、日帰りするというものです。築庭300年の後楽園の岡山は素通りです。(ルパン3世の企画がありますが)

 それでも、どこでも同じ笑顔と個性のファーストフードをかじると大都市圏にはない岡山らしさというのもあっていいぞ、とも思いました。


 自転車道を見に行ったのですが、全然違うことを感じて帰ってきた次第です。

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