過去の岡山県議会一般質問集 <コンソーシアム>篇

<平成26年6月定例会>(2014年6月24日)

(佐藤)  それでは次に,産業振興について伺います。
 やはり岡山市においてはイオンの進出が黒船に例えられることがありますが,年間2,000万人もの来客があるならば,それをいかに面的にも時間的にも展開するかが課題になってまいります。LRTのような都市交通については以前,申し上げてきましたので,これを産業振興と絡めた場合,観光文化施設もありますし,都市の装置はそろってきたとポジティブに考えることができます。
 そこで,これを起爆剤として,交通の結節点においていわゆるコンベンション機能をさらに高めていくコンベンションシティー構想の推進は重要なテーマになると思います。そもそも,従来も交通の結節点ということで,学会や大会の開催の招致などについて間違いなく岡山は地の利があるわけでありますが,願わくば3,000人規模の大会場があって20程度の分科会まで開催できれば,相当な規模のコンベンションが呼び込めるはずです。ただ,現状でいうと,駅周辺の会場ではグランヴィアホテルが最大で,ママカリフォーラムがそこそこに大きく,実は国際交流センターがそれを補完しているという形になっています。今後,イオンや新医師会館のホールがこれに加わるとしても,例えば飲食ができない岡山シンフォニーホールは分科会場としても距離がちょっと気になりますし,岡山市民会館についても願わくばこうした観点の中に組み込んで考える必要があるとは思いますが,いずれにせよ現状において国際交流センターがかなりコンベンション開催時には便利な施設であるということは言えると思います。私はかねがね,国際交流センターのミッションということを申し上げてまいりましたが,基本的にはもはやこれは実態に即して,月曜から金曜日まではコンベンション施設やビジネス目的の使用も含めてかなり柔軟な対応ができる機動性の高い,駅に近い,ある意味,格安の貸し館としてさらなる増収を図って,そして逆に平日の夜や土日についてはその収益を必ずしも採算は合わないかもしれない本来業務である国際交流や国際貢献に向けるというのも,これもありじゃないかなと思うに至りました。あえて言えば,今までの岡山県国際交流センターから産業国際交流センターとミッションを昇華すべきだと思いますが,御認識をお知らせください。
 また,関連して,これを機に国際交流センター,生涯学習センター,総合グラウンド,きらめきプラザ,記録資料館,天神山文化プラザ,県立美術館,博物館,県立図書館,ルネスホールなど縦割り行政の所管を超えて,所長,館長,指定管理者レベルの協議会をつくり,ネットワークでそれぞれのミッションを相互乗り入れで強化,補完し合い,動くべきではないかと思うにも至りました。先日,実は山田方谷に関する講演会を全く同時刻に県立施設で行うということが起きましたが,例えば子供たちがスタンプラリーのような形で社会教育施設で体験学習をしたり協働で事業を行うことはできないか,少なくとも連関するどの施設でも情報等は簡単に入手できる,かような県立施設のコンソーシアムの構築について御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 産業振興等についての御質問であります。
 まず,岡山国際交流センターについてでありますが,同センターは県民と外国人との相互理解を深め,交流を推進し,地域の国際化を図ることを目的に設置したものであり,国際化に関する情報提供や事業を行う中核的施設として活用されていますが,会議室は学会や企業説明会などでも広く利用されております。また,管理運営の収支差額は,指定管理者がセンターで行う国際交流事業の充実にも活用されているところであり,今後とも,岡山駅に近いという立地条件を生かし,利用促進に努めてまいります。
 次に,県立施設のコンソーシアムについてでありますが,関連する施設が連携してサービスを提供することは有意義であるため,例えば岡山カルチャーゾーン内の県立施設については既に協議会を設け,一体となった魅力発信や情報共有に努めております。お話の新たなコンソーシアムの構築までは考えておりませんが,今後とも,関連する施設間での情報提供を一層緊密にするなど,連携の充実を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  ありがとうございました。
 先ほどの国際交流センターにつきましては,コンベンション機能ということになりますと,学会等が1年以上前から動き始める,大きなものになれば2年,3年前から会場の設営,段取りをせにゃあいけんということで,残念ながら今の交流センターではなかなかそれに対応できておりませんので,ある意味,ビジネス目的で収入を上げるためにということであれば,よりそこら辺を機動的に運用できるようにお願いをしたいと思います。



<平成17年9月定例会>(2005年9月27日)

(佐藤)  次に,さて早いもので,岡山県立図書館開館から1年がたちました。利用者も予想をはるかに超えて,おおむね好評のようで,県立美術館,天神山文化プラザ,ルネスホールとともに,まさに文化ゾーンの核となっていることを心から喜びたいと思います。しかし,県内の図書館のネットワークのかなめとしての機能のみならず,旧来の図書館にない機能として,子育て支援とITを活用したビジネス支援という観点こそがこの図書館の目玉ではなかったかなと認識しておりますけれども,まずは,今後の図書館のさらなる充実の方向についてお聞かせください。
 ところで,この県立図書館を社会教育施設として見た場合に,伊島町にある生涯学習センターとの役割分担,機能分担ということが問題になってくると私は思います。この2施設の機能は,非常に現在重複している部分が多いのではないでしょうか。特にスタジオのたぐいは,残念ながら,どちらも十分に使い切れていないんじゃないかと私は認識していますが,施設として現在のところ非常に似通ってしまっている。しかし,生涯学習センターの生涯学習情報提供システムの「ぱるネット岡山」は,民間まで含めた学習情報を非常に多く集められていて,ポータルサイトとしては,これは出色のものであると評価させていただきたいんですが,箱物として行政の所管が違うこの生涯学習センター,そして烏城高校,県立児童会館があの場所に集合しているメリットが十分に生かされていないのではないか,そのように感じております。そのうち,県立児童会館につきましては,先ほど申し上げた指定管理者制度の導入で大きく生まれ変わることを期待いたしますけれども,生涯学習センターについても思い切った見直しが必要なのではないでしょうか。
 私は,2月定例会で,大学コンソーシアムの支援について提言させていただきましたけれども,あの伊島町の生涯学習センター内に,大学コンソーシアムの拠点を設置すれば,周辺は多くの大学に囲まれている地の利からも,そしてまた,単位互換性という意味では,学生がそばにおるわけですから,さまざまな学生が集う場になって,そして一般の県民が生涯学習の場として訪ねることもできる,また,人文社会科学系での産学官の連携を積極的に進め,県の総合的な大学との連携の窓口の場にも成り得て,何よりも社会教育施設として,県立図書館とこの生涯学習センターの機能分担がはっきりできるように思いますけれども,いかがお考えでしょうか。
 また,生涯学習センターの一つの特長として,視聴覚ライブラリーの拠点であるということも挙げられます。視聴覚ライブラリーの端緒というのは,生涯学習というよりもGHQの政策によるもので,要は,16ミリのフィルムを団体向けに貸し出すという仕組みが時代の流れの中で今はフィルムがビデオになって,それがDVDまでなかなか変わっていない,そういった状況であります。そして,この視聴覚ライブラリーは,むしろ教育現場で使われる資料のような形になっていて,現在,一般への貸し出し,一般団体への貸し出しというのは年々細ってきている,そういった状況であります。特に,インターネットの普及は,著作権の問題をクリアできれば,視聴覚ライブラリーのあり方そのものを変えてしまいます。ただ一方で,市町村合併により幾つかのこうした視聴覚ライブラリーが廃止され,例えばその地域の習俗等を収録したフィルム,あるいはビデオというものがあるわけですが,それがこのまま散逸してしまうおそれがあります。願わくば,一刻も早くデジタル化を進めていく必要があります。しかし,現状は,県のこの視聴覚ライブラリーの連絡の協議会が,市町村に対してフィルムの扱い方等の研修会等を行うのが本当に精いっぱいでありまして,こうした面で早急な支援が必要であると考えます。この点についていかがお考えでしょうか。

(教育長)  まず,県立図書館の充実についてでございますが,お話の子育て支援では,子育てに役立つさまざまな育児書や児童図書の充実に努めております。児童図書コーナーでは読み聞かせなども行っており,多くの家族連れに利用をされております。また,ビジネス支援では,ビジネス関連図書や産業・企業情報のデータベースの充実を図りますとともに,経済関係団体等と連携したビジネス支援セミナーや若い人の就業や起業への関心を高めるため,図書館主催で高校生対象の起業家塾も開催をいたしております。今後とも,引き続き子育て支援やビジネス支援の充実を図りますとともに,県民ニーズの把握に努め,これまで以上に広く県民に親しまれる図書館を目指してまいりたいと思います。
 次に,生涯学習センターと県立図書館との機能分担についてでございますが,県立図書館は,御承知のように,図書資料の提供を主とした県内の中核施設であり,一方,生涯学習センターは,県民が生涯にわたって行う学習活動を支援するための拠点施設でございます。生涯学習センターは,県民公開講座であります岡山県生涯学習大学や学習情報提供システム「ぱるネット岡山」を運営いたしており,学習機会を提供する場として,生涯学習の集まりや催しに広く利用をされております。
 また,大学とのかかわりにつきましては,岡山県生涯学習大学の講座を大学に委託したり,大学での講義をインターネットで配信するなどの連携を図ってまいりました。御提案の大学コンソーシアムにつきましては,現在,関係大学間で来年4月の発足に向けて準備が進められており,その動向を見守ってまいりたいと存じます。
 最後に,視聴覚ライブラリーへの支援についてでございますが,一部の市町村のライブラリーでは,お話のように,地域の貴重な郷土資料等を所蔵しており,記録保存のためデジタル化も必要であると考えております。今後,市町村の求めに応じまして,生涯学習センターにおいて,技能習得のための研修会や機材の提供などの支援を行ってまいりたいと存じます。
 さらに,デジタル化した資料のうち,著作権の問題のないものにつきましては,広く県民に御利用いただけるよう,視聴覚ライブラリーの貸出資料として整備したり,県立図書館の「デジタル岡山大百科」への登録を働きかけますとともに,今後,支援のあり方につきまして市町村の関係者とも話し合ってまいりたいと存じます。



<平成17年2月定例会>(2005年3月8日)

(佐藤)  最後に,産学官連携についてお伺いいたします。
 私は,地方の時代の多様な主体には,市民はもちろん,行政,企業,NPOに加えて,大学というものがあると思います。学生まで含めれば,総合大学なら行政と同じぐらいは,さまざまな分野にさまざまな人材がいて,NPO以上に行政と拮抗できる人材と知恵,あるいは現状を打破できる潜在能力があるはずであります。これから先,特に独立行政法人化された国立大法人を中心に,地方における大学の役割がますます重要になると思います。もっと言えば,地方の時代において,地方の大学の質が,その地方の命運を決めることにもなり,産業界のみならず,行政も政治も,もはや大学と無関係ではいられません。むしろ,県も市も大いに大学と連携し,関係を深める必要があると考えます。まずは,地方の時代に,地域における大学の役割について,知事の御認識をお知らせください。
 岡山県では,昨年,岡山県の肝いりで,岡山県産業振興財団が動いて岡山TLOが設立されていますが,現在の産学官連携の流れを見ますと,ある意味,経済産業省あるいは産業界からの要請というか,何か画期的な技術のシーズが大学に隠れていないだろうかというニーズからスタートした側面が強かったように思います。そのこと自体,否定するわけではもちろんございませんけれども。ですから知的財産云々という場合には,乱暴に言えば,理系の話であって,特に医学,薬学系からすれば,むしろ遅過ぎるような流れではないかと言えなくもありません。岡山TLOにしても,参加大学は理系あるいは高等専門学校が主であります。ちなみに,四国TLOは,四国4県の21大学,高専と連携しており,中四国州を標榜する岡山県の技術移転活動が,岡山TLOを基軸にするのなら,やや視野が狭いのではないかと言わざるを得ません。この点についての御認識もお伺いいたします。
 ところで,大学のシーズは,私は何もこうした技術面だけではないと思います。少なくとも,地方の時代に優秀な人材を地方に輩出する,その教育のノウハウそのものが大学のシーズであります。あるいは,特許になじむものではなくても,知的財産といったものはあると思います。もっと言えば,自然科学系ではない,人文科学系はもとより,社会科学系の産学官連携もあると考えます。特に,大学コンソーシアムという言葉は,そうした,いわゆる文系の連携の要素も強く含むものであり,大学コンソーシアムに産や官が絡んでくるとすれば,これは岡山型と言えると思います。そして,そこに生涯学習的な人文科学系,さらに実学として経済界とリンクしたような,社会科学系のものまで組み込めば,これは新しい動きと言えるのではないでしょうか。また,岡山県行政の推進の上で,人材交流も含めて,さらに大学と連携していくことも必要であると,私は思います。かような観点から,知事は,人文科学系,社会科学系と産学官の連携,とりわけ大学との協働について,いかようにお考えでしょうか。
 また,総合的な大学との連携室といったものが行政機関には必要ではないかと私は考えますが,いかがお考えでしょうか。

(知事)  次に,産学官連携であります。
 地方の時代の地域における大学の役割でありますが,今,地方は分権の時代を迎え,個性ある地域づくりに取り組んでいるところでありまして,すぐれた知的資源を有する大学との連携は,本県の経済や地域社会の発展にとって,極めて重要であると考えております。これまでも,新たな時代に対応した産業振興を図るため,岡山産学官連携推進会議を核として,岡山TLO,ミクロものづくり岡山等による大学との連携を進めてきたところであります。今後とも,より一層連携を強化いたしまして,地域経済の発展に努めてまいりたいと考えております。
 岡山TLOでありますが,岡山TLOは,岡山大学を初め,県内9つの大学や高専の参加を得るなど,地域一体型の技術移転を目指しているところであります。今後,さらに県内産業の振興を図るためには,TLO活動の広域化を進めるということが議員御指摘のとおり,重要であると考えております。このため,香川・岡山ブリッジシティ構想によります四国TLOとの連携など,近隣TLOとの技術シーズの共有化等の連携策について協議を進めておりまして,さらに,全国展開も図りながら,県内企業への活発な技術移転につなげてまいりたいと思います。
 人文社会科学系での連携でありますが,次代を担う人材育成,まちづくりあるいは文化振興など,人文社会科学分野におきまして,専門的な知識あるいは優秀な人材を有する大学との連携を深め,その成果を地域社会の発展や産業振興に生かしていくということが必要であると考えております。現在,県内の大学が中心となりまして,大学コンソーシアム岡山(仮称)の設立への取り組みが進められているところでありますが,県といたしましても,このコンソーシアムへの協力を初め,人文社会科学系での連携を積極的に進めてまいりたいと存じます。
 なお,総合的な大学との連携室の設置について,特に新たにそういうものを設けることは考えておりませんが,県の総合窓口を企画振興部といたしまして,担当部局間の連携をより一層密にすることにより,適切に対応してまいりたいと存じます。



<平成15年11月定例会>(2003年12月5日)

(佐藤)  次に,産学官の連携について伺います。
 県の施策では,産学官連携の重点分野の育成として,ナノテク分野,バイオ関連分野,医療・福祉・健康関連分野,環境関連分野が掲げられ,この3月には,岡山・産学官連携推進会議が立ち上がっていますが,それに関連して幾つかお伺いいたします。
 まず,医療・福祉・健康関連分野の「ハートフルビジネスおかやま」について,福祉用具の開発支援,利用者への情報提供を図るということですが,今年度,総合社会福祉センターの民間委託に伴って,補装具製作所を廃止されており,また岡山県産業振興財団に事務局を置き,長年活動している岡山県福祉機器研究会では,残念ながら利用者側の参加が余りなかった,そのように聞いております。また,福祉の現場との連携が極めて重要だと思いますが,利用者の皆さんの声を反映させるためには,「ハートフルビジネスおかやま」から生まれた商品を展示する福祉機器の展示場が必要である,そのように思います。例えば,南部健康づくりセンターあるいは新設の新総合福祉ボランティア・NPO会館に,こういった展示場を設けることは考えられないでしょうか,商工労働部長にお伺いいたします。
 次に,産学官の連携による環境関連分野の産業創出については,木質バイオマス,さらにはミニエコタウン構想等々ありますし,さらには,リサイクル素材の活用も重大な課題ではありますけれども,産学官ということでの目玉施策が打ち出されておりません。私は,環境産業として,水の浄化,端的には児島湖を意識した水質浄化産業の育成が極めて岡山らしい施策ではないかと考えます。児島湖の汚泥しゅんせつ事業が,残念ながら余り効果が出ないまま終わろうとする今,場合によっては,特に,産学官連携の水質浄化プロジェクトチームを創設したり,水質浄化コンテストを企画し,水質浄化に関して世界の英知を岡山に結集し,環境産業立県をすることは考えられないでしょうか,知事の御所見をお伺いいたします。
 加えて,ITの分野でも,産学官の連携が進んでいるように認識しておりますが,IPv6について,私はこの場で何度も取り上げてまいりましたが,岡山情報ハイウェイがIPv6化することの具体的なイメージが,ともかくこれがわかないという声を非常によく耳にします。確かに,これからの技術だけに,生活が具体的にどのように変わっていくのか,なかなか説明ができないのも事実です。そこで,私は,6月定例会で申し上げました吉備高原都市のIPv6のテストベッド化がたちまち無理としても,まずは県民の皆様に,岡山情報ハイウェイがIPv6化して生活がどのように変わるのか,実感していただくような場を提供してはいかがかと考えますが,知事のお考えをお伺いいたします。
 これに加えて,産学官の連携によるIPv6の協議会を立ち上げてはいかがでしょうか。
 ところで,来年4月から,すべての国立大学が法人化し,文部科学省の一機関から独立する中で,岡山大学も例外ではなく,民間的発想の経営手法を入れ,学外者も加わり,さまざまな意味で社会へ開かれたものしようとしています。ある意味では,かなり自由度が増した地方の国公立大学法人に資金獲得まで含めた私立大学同様の競争原理も働かせるということではないかと思います。とすれば,もちろん憲法に保障された大学の自治を侵してはなりませんけれども,地方の岡山大学が岡山の産業界等に果たす役割を明確に示していただかなくてはいけませんし,逆に産業界や岡山県サイドからも,地方固有の問題にどう対処するのか,岡山県にいかような人材を輩出してくださるのか,岡山大学に要望を出していくべきではないでしょうか。特に,技術に限らず,大学のシーズを探すには,大学へのニーズを伝えなくてはいけないと思います。それもまた,私は産学官の連携ではないかと考えます。そういう連絡協議会的な仕組みをつくることには,大きな意味があると思いますが,知事はいかがお考えでしょうか

(知事)  産学官連携であります。
 環境産業でありますが,県では,環境産業を重点育成分野の一つに位置づけまして,研究・開発への助成やあるいは地域ミニエコタウン事業によります支援,さらには本県の特性を生かしました木質バイオマス利用技術の開発支援等を行ってきております。環境関連の課題は,水質,大気,廃棄物など多岐にわたっておりまして,多様な取り組みへの支援策が必要であると考えておりますが,御提案いただきました水質浄化産業の育成は,産業振興と環境対策の両面で本県にふさわしいテーマであると考えておりまして,今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。
 IPv6でありますが,次世代ネットワーク技術でありますIPv6導入は,身の回りのあらゆるものがネットワークにつながって,すべての県民がITの恩恵を受けることができるユビキタス社会実現のために不可欠でありまして,普及に当たりましては,その利便性を県民の皆様方にわかりやすくお伝えをすることが重要であると考えております。そのために,現在,策定を進めております次期IT戦略プログラムに掲げております生活実感戦略におきまして,IPv6技術によって生活がどのように便利になるのかを県民の皆様に体感していただくための効果的な方策の検討を進めております。
 なお,IPv6の協議会の設置でありますが,産学官によって構成されております岡山県高度情報化推進協議会を活用することも含めまして,今後,検討をしてまいりたいと存じます。
 岡山大学への働きかけでありますが,岡山大学は,本県の中核的な研究・教育機関といたしまして,本県の社会経済,文化の発展に重要な役割を担っているため,地元産業界や県の側からも,岡山大学に向けまして絶えずニーズを発信していくことが重要であると考えております。そのため,現在,岡山・産学官連携推進会議において,県内5大学との産学官の連携・協働の強化を図っているところでありまして,その中で,大学の技術の移転を促す岡山TLOの創設などにつきまして協議をしているところであります。特に,岡山大学が設置をいたしました地域貢献連絡協議会に県としても参画をし,環境対策や生涯学習,食の安全等の本県の諸課題について研究・教育がなされますように,県から働きかけをいたしますとともに,さまざまなテーマに基づきまして,共同研究の場を,現在,設定をしているものであります。今後とも,地元産業に密着した研究活動や,若者が地元で働きたくなるような教育カリキュラムの実施など,岡山大学に対する提言や要望を重点的に,また積極的に行っていきたいと存じます。

(商工労働部長)  産学官連携に関しましての「ハートフルビジネスおかやま」についてでございますが,利用者から真に求められている福祉用具の開発のためには,産学官の連携に加えまして,福祉現場の意見をお聞きすることが極めて重要でありまして,現在,20を超える保健福祉関係団体の自主的な参加をいただいておるところでございます。この取り組みから生まれますところの福祉用具の新製品につきましては,県民が気軽に立ち寄れる場所に展示いたしたいと考えております。お話の新総合福祉・ボランティア・NPO会館での展示を含めまして,今後どのような場所で展示ができますかどうか,検討をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。



<平成14年12月定例会>(2002年12月10日)

(佐藤)  次に,市街地の活性化というわけでもありませんが,大学コンソーシアム京都の岡山版,大学コンソーシアム岡山の創設を提言させていただきます。
 大学が多数集積しており,歴史的にも大学都市として発展し,学術研究,文化芸術活動等を通じて,大学と地域社会及び産業界のつながりや大学相互の結びつきがはぐくまれている京都では,大学と地域社会及び産業界の連携を強めるとともに,大学相互の結びつきを深め,教育研究のさらなる向上と,その成果の地域社会,産業界への還元を図る大学コンソーシアム京都がつくられています。これはもう京都駅のすぐ横にございますけれども,特に大学コンソーシアム京都では,1997年より京都市と連携して,社会人の学習ニーズの高度化にこたえるものとして,京都の各大学,短期大学から提供された科目を正規の学生と同様に受講することができ,単位の修得が可能な制度であるシティーカレッジ事業を行っていますが,このことで,教養や自己啓発,職業能力の再開発等,個人の関心に対応し,サラリーマン,OL,主婦,高齢者の方々の広いニーズにこたえています。
 とりわけ,岡山県立大学がやや交通の便が悪い環境にあるため,例えば社会人向けの大学院講座をJR岡山駅周辺で開校する等,本県でも導入してみてはいかがでしょうか。
 さらに,岡山情報ハイウェイを駆使し,各大学の講座を一般社会人向けに開いてはいかがでしょうか。
 さらに,国内や海外の大学などとの連携により,単位や学位が取得できるバーチャル大学である岐阜県の「国際ネットワーク大学構想」のように,世界の大学と結ぶことはできないでしょうか。また,企業や行政機関及びNPO・NGO団体などにおいて,2週間から1カ月程度の就業体験を行う教育プログラムである「インターンシップ・プログラム」を学生向けに開設できないでしょうか。
 関連して,和歌山地域コンソーシアム図書館のように,公共図書館と大学の図書館とのコンソーシアムを形成することはできないでしょうか。
 以上,総務部長に質問いたします。

(総務部長)  大学コンソーシアム岡山についての質問にお答えいたします。
 まず,社会人向け大学院講座についてでございますが,県立大学におきましては,産・学・官による共同研究の推進や公開講座の拡充など,地域や社会に開かれた大学として積極的に取り組んでいるところでございます。
 岡山駅周辺での大学院講座の開校についての御提案がございましたが,社会人の学習機会の拡大や産・学・官の連携の促進が期待できますことから,岡山駅周辺の利便性のよい場所におきまして,現在受け入れております社会人大学院生の指導や一般県民向け公開講座の開設ができないか,検討してまいりたいと考えております。
 次に,ネットワーク大学についてのお尋ねでございますが,先般,県立大学で,井原市内の県立高校と岡山情報ハイウェイを活用して実験的な遠隔授業を実施したところでございます。御提案のございましたインターネットを活用した一般社会人向けの講座の開設や他大学との連携につきましては,この遠隔授業における成果や問題点等を踏まえまして,今後研究してまいりたいと考えております。
 次に,「インターンシップ・プログラム」についてでございますが,現在,中国5県の大学等が加盟いたしました中国地域インターンシップ推進会議や岡山経済同友会などにおきまして取り組まれているところでございます。この制度は,学生の職業意識の醸成や自主性,柔軟性のある人材の育成に極めて有益であり,本年度から県立大学におきましても,情報工学部3年次生の単位取得可能な選択科目として取り入れております。今後,企業等と連携しながらさらにその拡充に努めてまいりたいと考えております。
 最後に,大学図書館のコンソーシアムについてのお尋ねでございますが,本県では,岡山情報ハイウェイを活用して,県内公共図書館の横断検索システムが稼働しているところでございます。このシステムに県内の大学図書館が参加することにつきましては,県民の多様なニーズにこたえる上で意義があると考えられますので,県立大学や教育委員会を通じまして県内の大学図書館で組織されます岡山県大学図書館協議会において検討していただきますよう働きかけてまいりたいと考えております。

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