2004年8月4日(水) 【起業家教育】

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 本日は、文教委員会県内調査で、「産業教育」をテーマに、岡山県情報教育センター、岡山東商業高等学校、水島工業高校を訪ねました。
 実社会を見据えた専門課が掲げる「起業家教育」あるいは、「プロへの道」は、単に大学に合格し大企業に就職することが、何をも担保しない時代の、あるべき誇り高き高等教育の姿を垣間見るようでした。
 なによりも、先生方の学校や生徒を愛する強い気持ちが、伝わってきて、感動しました。
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 文教委員長が、あて職で、常任理事になっているため、6月1日に、岡山県産業教育振興会理事会に出席させて頂きましたが、その日の「その1555」にありますように、私は、職業知識や技能が身についたとはとても思えない普通科の卒業で、現場に疎いところがあることを感じ、特に専門高校に県内調査で行きたいと考えていました。

 産業教育は、120周年を迎えるということですが、商業、工業、農業高校等の専門高校の振興と、産業教育現場と産業界・関係機関との連携強化を進めることは極めて重要です。

 そこで敢えて、一日「産業教育」を考えるという委員長の我が侭を通させて頂きました。

 県内調査では、珍しいテーマ設定であったため、むしろ、調査先の校長先生には、大変に喜んで頂き、本当に新鮮な感動を覚えました。


《岡山県情報教育センター》

 まず、岡山県情報教育センターは、もともと情報処理実習の場として、昭和39年に設置以来、県下の商業高校、工業高校のコンピュータ実習中心的役割を担い、卒業後の就職等で重要な意味を持ちました。

 その後の、急激なハード・ソフト両面の発達により、センターの役割は変化し、平成12年度からは、教育関係職員の研修の場に。また、将来的には、吉備高原において、教育センターと統合を予定しています。

 まずは、教職員研修が事業の基幹ですが、国のe−Japan戦略にのっとり、H17年までに、全ての教員が、ITを用いた教育が可能になるIT指導力の育成として、指導可能職員の育成を行っています。
 昨年末で、指導可能職員は、小学校73.1%(国平均72.7%)、中学校47.0%(同53.8%)、高校55.0%(同46.1%)で、平均すると60.5%。この教育の中には、ネット上の様々な事件に対応したものも含まれます。
 また、IT環境の整備は、校内LAN46.5%(国平均37.2%)。さらには、教材の開発できる教員の育成も目指しています。

 また、「わかる授業」と「情報活用能力の育成」を目指してIT活用支援の教育情報提供も行っています。
ttp://www.jyose.pref.okayama.jp/ 昨年7月期には、30万Hitしたとのことです。
 また、鳥取、兵庫の3県連携IT交流事業、また、e−ラーニングの基礎研究はじめ、最先端機器等の活用も含めて、教育の情報化推進を行っています。

 さらに、岡山県教育情報ハイウェイネットワークの管理、700本の教育用ソフトウェアライブラリーセンターの設置も行っています。
 私は、産学官の連携、SOHO、NPOなど教育ソフト開発を行っているわけですが、産業振興のためにも、実際に教育現場に繋ぐことも含めた仕組みが必要ではないか、と、要望いたしました。


《岡山東商》

 岡山東商は、明治31年に県下初の商業高校として開校以来、百年を越える歴史と伝統を持つ、東京では一橋大学になった、全国4、5番目の商法講習所や県商の流れを汲んでいる誇り高き商業高校の雄です。

 東商といえば、「東商デパート」が有名ですが、昨年度からは、アントレプレナー教育と言われる起業家教育を踏まえて、選択の「課題研究」の中で、販売実習を越えて、生徒の手による模擬株式会社「アッシュカンパニー」を設立、今年度は、「パズル」を立ち上げ、企業経営を体験させるプログラムを推進しています。
 SIP(student venture project)と表現されていました。

 起業家教育は、商業高校全体の課題ですが、東商は、岡山県早期起業家教育研究会の事務局です。
 起業家というのは、社長になるという意味ではなく、リスクに挑戦する文部科学省の言う「生きる力」「自立心」の実践ということで、東京では、幼稚園から起業家教育を行う動きがあるそうですが、あるいは、普通科の生徒が弱いところかもしれません。

 東商は、大学、短大、さらには専門学校を含めて進学が7割を越えますが、知識が世の中でどういう繋がっていくのかということを常に意識し、3割の就職組も、まさに即戦力。

 高校生の離職率は、3年で、46.8%、1年で、26.2%という数字がありますが、その点も強烈に意識されています。


《水工》

 水島工業高校は、水島工業地帯の誕生を受け、昭和37年開校以来、40年。機械、電気、工業化学、建築、情報技術の5専門課を持ちます。

 平成14年度から経済産業省のエネルギー教育実践校に、その研究成果として、(使用済み)天ぷら油をディーゼル代替燃料とグリセリンにリサイクルで生産するBDF(Bio Diesel Fuel)プラントが立ち上がり、特に、14年度からは、異校種間連携プロジェクトとして、県立興陽高校と循環型エレルギー利用を行っています。

 具体的には、農業課が栽培した菜種油で、家政課が、調理。使用済み天ぷら油を水工のプラントで、燃料化。BDFをトラクターに使用し、菜種を栽培・・・・。こういった一連の取組みの評価から、平成15年度から、県のスーパーエンバイロメントハイスクールに指定されています。
 そこから、水素型燃料電池カー「メシア」も完成。非常に高価になりますが、エンジン音もなく、二酸化炭素を出さず、水を排出します。


 ちなみに、BDFに関しては、日本では、年間40〜60万トンの廃食用油が生じ、そのうち約25万トンが回収されています。ディーゼル特有の黒煙は、3分の1〜6分の1の減、自然分解性が高く、毒性もなく安全。軽油とどんな割合でも混合でき、エンジンの改造も不要です。

 また、BDFは、未使用の天ぷら油でも可能で、植物性が向いているとされ、「菜の花プロジェクト」は、全国で100ヶ所以上立ち上がっています。
 井原市も検討委員会が立ち上がり、井原線の活用する取組みがなされているそうです。

 ヨーロッパでは、100万トン規模の利用が行われているそうですが、特に、ドイツでは、全土に2000ヶ所以上のBDF専用スタンドがあり、環境税が免除されています。
 アメリカでも、2010年までには、輸入ディーゼル燃料の30%をBDFに代替。日本でも、廃棄物をエネルギーとして再利用し、循環型社会の確立を目指す「バイオマス・ニッポン総合戦略」でも、BDFは、主役です。

 水工は、7割弱が就職と工業高校の中でも、特に就職が多いそうで、水島のみならず、井笠、鴨方、総社なども、高有効求人倍率で、就職します。
 目的の一つに生徒に、二十数種類ある資格を取らせることがあり、インターンシップ等の企業訪問、社会人講師の活用等で、就職の定着率が高いそうです。


 それにしても、単純に大学に進学をするということが何なのか、一方で、大学の専門学校化、専門学校の大学化、さらには、構造改革特区で、株式会社の大学が認められるようになる中で、実社会との連関という視点は、どの教育機関においても、益々重要になって行くと思います。
 どうあれ重要なのは、この社会で生き抜いていく力を身につけて行くことです。

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