2008年2月5日(火)【バイオマスの利活用について】

 最近、「こころ」が、異常に長いのです。特に、25日からの本会議も意識する時期で、一般質問が出来るという仮定の上で、ネタ探しに出向いて、まとめているというのは、まさにビンゴかもしれません。

 本日は、『バイオマス発見活用促進セミナー in 岡山ーバイオマス利活用と地域活性化ー』という催しが、岡山大学でありました。最近、私は、道州制を見越して、他県の動き、あるいは、中四国経済局、農政局、地方整備局など、国の出先機関の動きをかなり気にしております。

 これらの機関が、中四国の括りであるというのは、中四国州の論拠になりうるものです。特に、中四国農政局は、本県にあるのは強みです。

 本日の主催は、中国四国バイオマス発見活用協議会ですが、これは、農林水産省の国庫補助事業・バイオマス発見活用促進事業の一環です。

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そもそも、バイオマスとは、動植物から生まれた再生可能な有機性資源です。代表的なものに、家畜排泄物や生ゴミ、木くず、もみがらなどがあります。

 しかし、このバイオマスの種類を明確に分けておかないと、議論が混乱します。

 すなわち、1つめが、「廃棄系バイオマス」。家畜排泄物、下水汚泥、廃棄紙、食品廃棄物、建設発生木材などです。
 特に、食品廃棄物は、肥飼料等への利用が約20%しかありません。

 ちなみに、国の20年度新規の「外食産業バイオマス利用実験事業」は、割り箸を資源として再利用する試行的な取り組みです。
 1年間に、日本人は、1人あたり約200膳、日本全体では、約260億膳の割り箸を使うそうで、2tトラック4万5500台分の9万1千t、地球を130周、月と地球を7往復できる520万kmになる計算。


 2つめが、「未利用バイオマス」。稲わら、籾殻等の農作物非食部、林地残材などの林産資源で、特に、林地残材は、製紙原料等への利用は、僅か約2%。


 3つめが、「資源作物」。さとうきびなどの糖質資源、米や稲等の農産資源、なたねや大豆、落花生等の油脂資源ですが、これが、現在、物価上昇の一因になっているのは、御案内の通りです。

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バイオマスに関する施策は、平成14年12月に、『バイオマス・ニッポン総合戦略』を策定し国家プロジェクトとして動いています。
 農地の有効活用を含む農林水産業地域の振興政策であり、環境政策であり、エネルギー政策であり、新産業政策であり、国も、内閣府、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の1府6省にまたがる政策の窓口が、農林水産省ということです。

 本来なら、これに、県も習って良いところです。


 バイオマスについては、我が県では、重点化事業として、「グリーンバイオ・プロジェクト推進事業」が予算要求されています。これは、バイオマス由来の資源・エネルギーの活用を促進するため、バイオマスプラスチックを活用した新製品の開発や、バイオエタノールの事業化を推進するとともに、バイオマスエネルギー等次世代エネルギーの研究を進めます。
 実は、これは、産業労働部新産業推進課の所管です。

 かねてから、産業施策としての文脈で語られるのが、漠然と何かおかしいな?と思っていたのですが、今日、自分なりに整理と理解が出来ました。
 これは、バイオマス施策の一部です。

 ここで、明確にしなくてはいけないのは、「原料生産」「収集・運搬」「バイオ燃料製造」と「流通・販売」は、一体となって、低コストで安定供給するための取り組みを行う必要があるわけですが、縦割り行政の弊害と言える、国と地方の役割分担、各外郭団体の役割分担が、不明確で重複しており、少なくとも、岡山県においては、「原料生産」「収集・運搬」の視点が、抜けています。

 これらを総合的に考える窓口が県にも必要です。

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具体的には、端的に、食糧自給率39%の我が国で、食糧供給と競合しない我が国独自のバイオ燃料の生産をする農業施策を農政局に委ねています。
 エネルギーと食糧自給という大命題を見据えて、道州制を見越したときに、農政局との関係を今後どのように変えていくべきなのでしょうか。

 ともあれ、いざというときの食糧基地として、耕作放棄地にバイオ燃料用の作物等、すなわち、資源作物の作付けすることは、まさに、10億円を要求する新年度事業の目玉と歌う、限界集落問題を含む中山間地域支援そのものではないのかと思います。
 資源作物について、今後、農業施策・中山間地振興施策の中で、どう位置づけていくのかは、大きな問題です。

 国のレベルで言うと、農林水産省・農政局と、農林水産省の外郭団体とおぼしき研究機関の独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構と経済産業省・経済局と経済産業省の外郭団体とおぼしき産業技術総合研究所が、ともに、バイオマスを研究しているようですが、県内において、こうした国の機関と、岡山県産業振興財団と農業総合センターや各研究機関が、産学官連携の視点から、バイオマスをいかように考えていくのかも、課題です。

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 一方で、今年度の北海道・洞爺湖サミットを念頭に、地球温暖化対策を考える中で、地球環境を守る鍵は、大気中の二酸化炭素を増加させる化石資源の使用から、原料の生育過程で、二酸化炭素を吸収するバイオマスの有効活用にあります。

 その意味では、本来は同趣旨の森づくり県民税とバイオマスとの関係というのも、考えたいところです。加えて、岡山県内では風力発電は厳しいですが、二酸化炭素の増大を伴わない他の自然エネルギーの活用も考えなくてはいけません。

 ちなみに、我が子は、昨年、淡路島で、ドン・キホーテもびっくりの風力発電の超巨大風車を見て以来、風力発電に凝っています。

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 そして、こうしたバイオマスの発生から利用までが、効率的なプロセスで結ばれた総合的利用システムが構築され、安定的かつ適正なバイオマス利用が行われているか、あるいは、今後行われることが見込まれる地域をバイオマスタウンとしています。

 市町村が中心となり、バイオマスタウン構想を策定し、農政局が窓口になっていますが、全国で、構想を発表したのは、104市町村。県内では、真庭市と新見市が公表。

 特に、真庭市の施策は、全国的にも先進的で、視察者が多くなりすぎて、バイオマスツアー真庭が、スタートしています。昨年、妻子も伺いましたが、温泉があるというのが、また素晴らしいです。

 また、広大な干拓地において、ガソリン代替燃料(バイオエタノール)の生産設備誘致を柱に、家畜排泄物での発電などを試みるバイオマスタウン化を笠岡市が、検討しています。

 国は、平成22年までにバイオマスタウンを300程度構築する支援を行いますが、環境先進県を歌うなら、県はさらなるバイオマスタウン構想の公表をする市町村の支援を行わなくてはいけませんし、都道府県を越えたバイオマス利活用の広域連携の必要性もあります。

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