2006年2月9日(木) 【農業の明日】

 本日は、午前中は、環状道路の計画がある郊外の市街化調整区域である地域で、農業のお話を伺いました。

 道路が通れば、調整が外れるという論理必然性は、実はないのですが、農地を持つ高齢者の方々は、開通後土地の値段が上がり売却できることを期待して、いわば資産管理的に、稲作を実際は、他者の手に委ねられながらも、継続されている地域は、あるいは、市内には多いかもしれません。

 ただ、調整が外れても、道路に面してない田畑は、必ずしも売れるとは限らず、結果的に農業相続しながら宅地並課税に耐えるという事態が生じることがあります。このことは、耕作地を放置すれば、いつのまにやら廃棄物の捨て場になり、しかし、駐禁で耕作機械も入らない、極めて耕作し難い農地を街中に残すことになり、さらには、散布式の農薬や用水路の安全性等で、地域間トラブルを生んだりします。


 県庁所在地では最高の農業都市岡山市は、その形状から、放っておけば、果てしなく市街地が広がり、人口減や食糧自給率に関わりなく、農地を破壊して、あげく、街も田畑も、維持不可能になる危険性があります。
 そうでなくても、右肩下がりの米価、自動車輸出の見返りのように自由化されて廉価な輸入農産物が増加、さらには、この原油高も直撃です。

 いわゆる線引きの権限は、国から県に降りてきました。いわば中心市街地を守る郊外型大規模店舗を規制する流れの中で、軸足の強い農業用地を確保するための地域のゾーニングも、積極的に図る必要があるのではないかしら。

 下記のように、非常に多くの課題を頂戴して、さらに多方面から情報を収集して、整理をしていかなくてはいけません。是非皆様のご意見やご提案をお寄せ下さい。

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下記は、伺った御意見です。

○法人化、認定農業者になることを行政は熱心に勧めるが、果たしてなんのメリットがあるのか?
 少なくとも、先祖代々の自分の土地を守りたい高齢者に大規模化への意欲は持ちにくいのではないか?

○行政は二言目には「担い手」というが、最後は家内労働が一番機動的な農業に、例えば、高齢者や団塊世代のリタイア組が参入するという発想自体、基本的に専業農家をなめていないか?
 まずは、若い世代が、農業で食えるという夢がもてる仕組みにすべきである。
 なお、家庭菜園というのも、ある意味、困ったものである。

○建設業者が新規に農業に参入するイメージは分かるが、農業機械は、高価で細分化され、およそ通年使える機械ではなく、さらに、自然相手であり、結果的に、割に合わないと感じるのではなかろうか。

○人員削減で、普及指導員が現場に出てくる時間がないのではないか?机上のデータを示すよりも、現場に足を運び、己の経験に裏打ちされた指導をして欲しい。熱心な人もいるはずだ。

○なにかといえば、昼間に会議をしないで欲しい。行政はその時間も給料のうちだが、耕作で忙しい。雨の日か夜にして欲しい。そんなに推奨するなら、農家になって、そう言う貴方にやって欲しい。

○農協の合併はやむを得ないのかもしれないが、預金量が多いという理由で、ATMを残し、支所の中心を持って行かれたら、現場から離れて非常に不便である。農協は金融機関がメインではないのではないか。コスト削減の意図は分かるが、現場にメリットが無く、この際、そういうことなら、近所にある郵便局を指定口座にしたいくらいだ。

○農協が土・日休みで、しかも、農薬など予約制にされると、土・日の耕作に支障がある。農業機械も含めて、業者は、土・日も来てくれる。

○生産農家は、生産するのが仕事である。本当は、加工もしたいが、機械を買う金はない。売るのは、農協や全農さんに頑張って欲しい。しかし、選別は極めて重要なので、選果場などの整備は必要である。

○現状で、農薬を使わない農業はあり得ない。ただ、特別な作物を作りたくても、農薬の登録がなされておらず、結果として断念することがある。

○休耕地の整備は、場合によっては、耕作地より金がかかる。

○精米代が高いのではないか。

○子ども達の安全のために、農業用水に頑丈な柵をつくるというのは如何なものか。

○いずれにせよ、従来の発想では、農業がダメになる。発想の転換が必要である。

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