2004年2月17日(火) 【企業の農業参入】

 牛丼が無くなって新メニューの焼鶏丼を食べました。

 コーヒーのないクリープのような、セブンは来ないけど俺達だけで頑張ろうぜ!と、悲壮な覚悟で戦うウルトラ警備隊のような、そんな風情のいつもの牛丼屋。心なしか、お客も少ないです。

 牛丼に捧げたい『何も言えなくて・・・夏』。「隣にいつもいたなんて信じられないのさ」・・失って初めてわかる、髪は長い友達です。



 さて、今朝は、第2回農業セミナー「企業の農業参入」にお邪魔しましたが、驚いたのは、明らかに建設業関係の方が多かったことです。

 私の横に座られた経営者も、公共事業が減っていく中、新規の事業展開ができないか、と、藁にもすがるような思いで、来られているということでした。

 雇用の受け皿としての農業へのシフトも重要な施策だと思いますが、既存の企業にも、農業にはビジネスチャンスがありそうだ、と感じられるのでしょう。

 ただ、その方が、「○○(作物)は、補助金が多くて、おいしいらしんじゃ。」と言われたのが、少し引っ掛かりました。


 平成17年の新たな『食料・農業・農村基本計画』の策定に向けた国の構造改革の流れの中で、米政策の抜本的改革、特区によるリース方式での株式会社の農業参入、農業経営の法人化の推進が図られています。

 農地法の改正で、株式会社や有限会社を含む農業生産法人は、農地や牧草地を買ったり借りたりして農業経営ができるようになりました。

 農村地域の高齢化、過疎化、耕作放棄地、不作付地の増加を見れば、明日にでも、企業が参入できそうにも思えます。


 講演に立った岡大農学部の教授は、農業というもののイメージを一新するぐらいに、私的には、無茶苦茶ビンゴで、「公序良俗に反しない限り信念に基づいてやりたいことをやろう。制度なんぞ後からついてくる。既存の制度に反しようが、お調子者やギャンブラーが、認知される。」という基本は、いちいち納得。

 特に、「産業としての農業」という観点から、「失敗する権利」をもって、農業への新規参入を勧められました。



 ところがしかし、「農業法人設立の要点」について、農業経営課の方が説明され出してムードが一変。

 要は、会社の定款変更で済むような話ではなく、全くの新規創業で、書類上の手続きはたいへんだし、市場を読みながら、商品のマーケティングに基づいて生産する必要がありますし、どうも地域に入って行くのは、面倒なことが多そうだなぁ、と感じていたところに、初期投資に、最低5000万円はかかりますね、と言われた日には、会場全体に、しゅーっと、萎えるものがありました。


 知りあいのJAの方も、例えば、「リースで行っても、3000万円はいるだろうなぁ、で、銀行は、そういうのに金を出す仕組みになってないし、実際は、会社でやるの難しいよ」、とのこと。

 農協や農林公庫などの融資はありますが、企業が平素お付き合いのある市井の銀行で、「どうも本業では儲からねぇから、今度うちの会社、新規で、農業もやろうと思うんだけど、ついちゃぁ金貸してくんねぇかな〜。」、「はい良いですよ」ということは、非常になり難いものがあります。

 また、土地信仰の日本で、先祖伝来の土地を株式会社に売りましょう、という土壌があるとも言えず、やりたくても、できねんじゃねーか?そんな心配もあります。



 家族で新規就農したり、個人でインターネットを使って販路を作り、珍しい物を栽培するということはあっても、企業として考えるには、経営者として、二の足を踏むものがあるかもしれません。

 ただ、そういうネックになる部分がクリアされないと、日本の農業そのものが、立ち行かなくなる、そういう心配があります。
 ニーズも、担い手も、ないわけではないのに・・・。

 件の経営者は、「無理じゃなぁ・・」と一言残して帰られました。

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