2000年7月23日(日)
【出版物再販制維持の請願について】

 考えていた請願が、早くもどん詰まりました。
 商工労働部との話で、国の規制緩和の推進の大きな流れの中で、それに逆行する意見書を提出してほしいと請願を出しても、採択すべきだという「執行部意見」は、岡山県単独では、出せないだろうとのことです。現在他県について調査してもらっています。

 この規制緩和の流れを作った平成9年の行政改革委員会「最終答申」については、
ttp://www.e.u-tokyo.ac.jp/~kanemoto/gyokaku/iken/kakuron-11.html
をご覧ください。今回の争点が、わかります。「経済的規制は原則廃止、社会的規制は必要最小限」との原則で、再販制を見直し、例外的に維持する場合でも、「相当の特別な理由」が、必要としています。

 この件については、廃止すべしという意見を多く頂きました。特に、新聞、書籍、雑誌、レコード、音楽テープ、音楽用CDの6品目に限って価格競争を制限するのは、結果、消費者利益を損なう、そもそも経営努力が足りない、新聞の個別配達や文化の成熟度と再販制は関係ない、という意見です。

 (どうも品目により、状況が全く違うようで 今回は書籍、雑誌について。)
 私は返品自由な委託販売制度が崩れ、買いきりが主流になる結果、リスクが書店にかかり、売れ筋中心の出版になり、中小書店の倒産が続発、国民全体が出版文化を平等に享受できなくなる恐れがある(街角や田舎から本屋が消滅する)、という意見に近いものがあります。

 廃止で、ダメージを受ける方々が、あまりに多く個別に浮かんでくるのです。商店街と同じく、議員として守りたいのです。
 様々ご意見もおありでしょうが、中小書店のため、今回は動かさせて頂きたく存じます。もっとも、全国的に動きがないと全く意味はないのですが。

 しかし、今回の請願は、「経済的な規制」であり、時代の趨勢で「理由」がないとして、商工では、きついという結論が出ています。要望に沿えません。ここは、要件に沿うように、組み立てを替えるしかありません。すぐには、メゲません。

 そこで、文教から「社会的規制」として、「特別な理由」で構成し直して、請願を提出しようと考えています。よって、ここから、あれこれと理屈(こじつけ)を考えるのと同時に、教育委員会や所属の文教委員会への根回しが、必要になります。議員が多少なりともとも、頭を使うところです。
 全ては、9月議会に向けた動きです。


 もっとも、たとえこれをクリアしても、行革委の最終意見が出た平成9年とは根本的に違うことがあります。
 いうまでもなく、IT革命です。例えば、岡山情報ハイウエー(155Mbps)で、音楽CD1枚伝送するのに、どれだけ時間がかかるかご存知ですか?僅か8秒です。

 もちろん、技術革新に制度は到底追いついていませんが、単に通信販売の取り寄せでなく、本そのものが情報として売られ始めたら、誰が、紙の固まりに何千円も支払うでしょうか。新聞の宅配がナンセンスになる時代がそこまで来ています。本屋さんやCD屋さんはどうなるでしょう。レンタルは、今のままのわけがありません。
 文字、音、画像等ネットで送れるものは、再販価格といった議論そのものが、なくなるかもしれません。

 あるいは、そこまでは少なくとも踏ん張らないといけません。

 今、規制「緩和」よりも、もっともっと巨大な「革命」が起きているのです。

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