2003年11月25日(火) 【産学官連携について】

 いよいよ28日から、「11月」定例会。
 毎度のことながら、18回目連続になる一般質問の準備に追われています。今回は、かなり、提言・質問があります。


 本日は、地域振興特別委員会の県内調査の一部に合流。この春開設された、岡山リサーチパークインキュベーションセンターを訪ねました。

 岡山リサーチパークにおいては、岡山県工業技術センター、テクノサポート岡山、岡山大学地域共同研究センターと並んで、地域産業創出を目指す核施設です。


 一昨年の夏、「その600」前後では、私自身、補正予算反対まで行きかけるほど建設を反対したのが、この施設であり、しかし、できたからには、逆に、吉備高原都市同様、負の遺産にしてはいけないということで、「マスカットバレー構想」を掲げ、私自身、様々な提言をしてきました。
 私にとっては、いわくつきの施設です。

 一昨年の6月定例会の岡山情報ハイウエイのIPv6化、今年の6月定例会の吉備高原都市のIPv6のテストベッド化、そして、この11月定例会で予定している、IPv6の具体的なイメージが湧く展示施設を作るべきであるという提言、それらは、全て、インキュベーションセンターから始まっています。


 しかし、PFIの手法で運営されているからには、ある意味、管理運営は、民間の手に渡っているとも言えますし、しかも、15年契約ですから、半年あまりで成果が出て云々という話にはなりません。

 いわんや、入居されて、日々研究に励まれている方々がおられます。


 ただ、私の中では、岡山県工業技術センターに隣接するテクノサポート岡山にあった7つの研究施設に、わざわざ移転して頂いてまで、研究室を埋めて、施設的にはより充実しているテクノサポートの方には、3つの外郭団体が統合した「産業振興財団」の事務局が入っているのが、どうしても解せません。

 なにより、要するに、県は、15年に渡り、委託料やサービス利用料をPFI業者に、払い続けるわけですが、例えば、研究施設が埋まろうが埋まるまいが、県が支払う金額は変わりませんし、事務事業評価の対象になるというわけでもありません。


 もとより、産学官の連携のもと、岡山リサーチパークが、インキュベーションセンターから「孵化」した技術を使って、ものづくりの生産工場で一杯になることを夢見ています。

 どうあれ、議会としては、賛成したわけですから、我々にも大きな責任があります。
 私も議員をしている限りは、この施設と付き合って参ります。



 午後からは、「おかやま夢づくり産学官連携推進フォーラム」。

 知事の講演を改めて拝聴して、県の施策が非常に整理できて、ありがたかったのですが、いろいろ思うところもありました。

 なお、本日、産業戦略本部から「中間報告」が提出されていますが、現段階で、入手できていません。

 気になるのは、産学官の「官」とはなんぞや、です。

 産業振興に関して、6000億円もの予算を持つ、経済産業省の立場からすれば、官とは、公益法人や外郭団体を含めて補助金を出す団体のようでありますし、産学のベンチャーキャピタルを図る会社からすれば、官とは、公的研究機関のようでもあり、岡山県の立場からすれば、官とは、産学の間を取り持ち、協議会を設立したり、シンポジウムを開いたりするコーディネーターのようでもあります。


 個人的には、中国経済産業局といったものが、将来の道州制の単位であり、正直、予算も、この程度の規模で完結すべきではないか、特に、国の細々とした補助基準に従っていけば、判断の手間や、いわば公平性で、結果として金太郎飴で、地域間競争に逆行しないか。

 というか、6000億円を地区で割って、配分は任してくれりゃぁ、よろしいがな、もっと言えば、いちいち国から配ることはないがな、と思いました。


 また、県が、協議会のようなものを立ち上げるのは良いけれども、結局は、十分な予算を伴わず民間に運営を投げたりしていないか、全国の学に繋げるための十分な情報が提供できているかどうか、なにより、公的金融機関は勿論、融資に繋げられるかどうか。


 加えて、県の施策では、産学官連携の重点分野の育成として、@超精密生産技術分野Aバイオ関連分野B医療・福祉・健康関連分野C環境関連分野が、掲げられ、この3月には、岡山・産学官連携推進会議が立ち上がっていますが、環境の目玉施策が、まだ出ていません。

 例えば、県西部のナノ加工技術は、世界に誇るものですし、バイオでは、「バイオアクティブおかやま」が、まずは、日本一の生産量を誇る黒豆を研究し、岡山発の機能性食品や、特定保健用食品の開発を目指しています。

 また、「ハートフルビジネスおかやま」は、福祉用具の開発支援、利用者への情報提供を図ります。
 もっとも、これについては、行政内部の連携が不十分で、産学にご迷惑をかけているのではないか、と危惧します。

 加えて、次代の光化学頭脳拠点への取組みにも注目です。


 しかし、産学官の連携による環境関連分野の産業創出の目玉施策がありません。
 もちろん、木質バイオマス、さらには、水島エコタウン構想もありますし、さらには、リサイクル素材の活用も重大な課題です。

 ただ、私は敢えて、環境産業として、「水の浄化」、端的には、児島湖を意識した水質浄化産業の育成が、極めて岡山らしい施策ではないかと考えます。

 児島湖の汚泥浚渫事業が、あまり効果が出ないまま終わろうとする今、場合によっては、水質浄化コンテストを企画し、世界の叡智を岡山に結集し、環境産業立県をするのです。

 幸い、岡山には、先進的な技術を持つ企業があります。来年から国立大学も、独立行政法人になるわけですが、地域に大学が、いかに地域の課題に取り組み、それが、地域の産業とどう連関するのかは、非常に重要なことだと思います。

 児島湖がきれいにならない限り、岡山県が、環境先進県を名乗る資格はありません。

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