2002年4月23日(火)
【ビジネス・インキュベーション】

 本日は、午後から、「岡山大学産業技術創生研究会 事業展開交流分化会」で、岡大キャンパスに。「ビジネス・インキュベーションを考える」という、非常に関心のあるテーマでした。

 ところで、国(中国経済産業局)をはじめ、「イノベーション」「産学官連携」「産業クラスター」「TLO」と耳触りの良い言葉が、行政サイドから聞こえてきますが、概念が錯綜し、さらには、どうも実態とかけ離れているような気がしてなりません。
 端的には、「学」は、打ち出の小槌ではないでしょうし、「官」が並んで加わる理由がどこにあるのか、という指摘はあるのだと思います。



 さて、「IT」がらみで、岡山県の状況を言えば、行政を補完するというより、協動しながらも、その実、遥かに凌駕する機動力・情報力・コーディネター力を持つ「岡山リットカフェ」や、さらには、ビジネスインキュベーター岡山(BIO)など、民間のインキュベータが動いています。

 行政サイドも、既に、「eプラザ」や、新見市の「i−box」があり、平成15年には、岡山県の「例の」「PFI手法による」「岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター」が、整備されます。

 もちろん、この面での県の窓口は、産業振興財団ということになりますが、中小企業団体中央会や商工会連合会など、強力な支援体制の布陣です。

 しかし、私は、ツールとしてのIT、ソフトとして、どう使うのかまでは、知らないよと、行政の言う「IT」は、ハード面のみを指すのかと疑念すら持っています。とりわけ、インキュベート(孵化)というカタカナが、ブームとなって踊りだし、行政が、「IT・インキュベート」と言うと、もうドキドキします。



 ところで、本日の報告の中のインキュベータの事例には、私も行ってびびった深センや、上海、さらには、お馴染みシリコンバレーのことがありましたが、岡山県の「岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター」の「インキュベーション・マネージャー」に本当に期待できるのでしょうか、疑問です。

 アメリカは、実は、コネクション社会で、ベンチャーキャピタルや仕事に、いかに結びつけるか、要するに、企業との取り持ち役で、現実にビジネスに結びつけるのが、インキュベーション・マネージャーの役目だという指摘は、PFI事業者に委託して安心する、県の姿勢を不安に思わせるに十分でした。

 少なくとも、ベンチャー・キャピタリストと、インキュベーション・マネージャーは、ある意味で同義ではないか、と言われると、そりゃそうだろうなぁ、と思います。


 さらに、「卒業(孵化)させることこそが、インキュベータの使命である」しかし、「有精卵でないと孵化しない」という指摘は、起業後、成長の違いにどう対処するか、ベンチャーとは新規創業なのか、実際は「卒業」率の高い既存企業の二次創業をどのように扱うか(減税措置等)、等々示唆に富んだものでした。



 実は、「岡山リサーチパーク・インキュベーションセンター」は、大丈夫か?という声を非常に多く聞きます。52室もあって、埋まらずに、お化け屋敷になるんじゃないか?分譲が進まない工業団地と似たことにならないか、不安の声ばかり聞こえてきます。

 私は、問題になるまで抵抗したわけですが、今となっては、こういった施設群を決して無駄にしてはいけない、だから、「マスカット・バレー」なのだと、ある意味では、言わざるを得ないことになっています。はっきり言って、私も議員である限り、この施設については、多大なる責任があります。

 どうしても不安が、ぬぐえません。願わくば、県民の皆様のお知恵を頂き、センターに結集させて頂きたいところです。



 ある職員の方が、ぼそり、「商店街の活性化と違って、インキュベートは、具体的に何をして良いのかわかんないんですよ。」と、こぼされました。
 私は、「必要な人に、必要な時に、必要な金と情報(支援)を、必要な場所で、提供すれば良いんじゃないですか?」と申し上げたのですが、うーん、それ以外なにがあるのでしょうか?行政は、わざわざそれを外しがちです。

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