2002年2月12日(火) 【産学官連携】

 旧正月明けましておめでとうございます。

 そうでなくても、バブル崩壊の深刻な後遺症。
 グローバリゼーションの進展に伴う産業の空洞化で、製造業の海外生産比率は、89年度の5.7%から、99年度予測は、14.1%。
 貿易収支黒字は、98年度の16兆円から、どんどん目減りし、01年度には、8.6兆円に。

 起死回生をと、産業技術力の強化がいわれ、「科学技術立国」の錦の御旗のもと、平成14年度予算では、科学技術は、重点7分野として、2%アップの概算要求がなされています。

 「産学官の連携」を合い言葉に、経済産業省、文部科学省が、しのぎを削り、大学には、突然スポットライトが当たったように期待が集まっています。とりわけ、理工学系には、大きな注目が集まっています。

 なお、この問題については、過去の689【産業クラスター】、719【産学連携はできるのか?】、753【産業クラスター】で、詳しく扱わさせて頂いております。


 私自身は、元気に生きていれば卒業できた、といわれる政治経済学部政治学科の卒業で、学生時代は、専ら寄席通いの典型的な文系人間。敢えて言えば、人生とはなんぞやは、教授よりも、玉川スミの三味線漫談から学んだ気がします。
 あれがモラトリアムでなくてなんなんだ、という学生生活であったゆえか、もうひとつ大学の凄さが肌で解かっていないところがあります。
 あれからどれくらい大学は、学生は、変わったでしょうか?


 本日は、誠に時機を得た「ホンネで語る産学官連携」というフォーラムがありましたが、かなり大胆な大学内の改革が同時並行的になされないと、「大学の空洞化がもたらす地方産業の空洞化」という深刻な事態になるのではないか、という思いを強く持ちました。

 加えて、産学官コーディネーターの重要性を再認識させて頂きました。県内に300人おられるとのことですが、いかに機動的、先駆的に、点を線に、線を面に、面をうねりにするのか、非常に重要な仕事です。

 コスト競争では中国には勝てない、ならば、日本の製造業は、量産ではなく、カスタムメードの方向に行くしかない、というのは首肯できるとしても、地場の中小企業と地方の大学が、よほどうまく連携しないと、弱肉強食のデジタルの世の中で、企業も大学も、ひいては地方も、この日本の中ですら、生き残ることができない。
 そういう恐怖感を持ちます。まさに、前門の狼、後門の虎。

 一番恐いのは、競争に慣れていない、官です。官がコーディネーターを主導的にやるのは事実上無理だと思います。
 中国経済局は、3年で200社の大学発のベンチャーを目指しているそうですが、音頭取りは良いですが、実際、どれだけ出てくるか?


 大切なのは、やはり、地方紙、あるいは全国紙をどんどん飾るような、スポーツではない大学のスターです。企業の社会人が、大学院に入ることはもちろん、大学の学生に、まだ見ぬ若者に、未来を託さざるをえないのです。
 そういった人材に、岡山の産業の浮沈はかかっています。

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