2001年12月20日(木)【産学連携はできるのか?】

 本日は、市役所を経巡った後、岡山大学で開催された「産業・技術創生研究会技術研究交流会分科会」に出席させて頂きました。これは、中国銀行の「寄附講座」と呼ばれるもので、参加者は少ないのですが、かなり水準の高いプロジェクトと言えると思います。
 あるいは、むしろ制度的な枠組みを作る大学、行政関係者向きのものかもしれません。

 ここのところ、工場や岡山大学等への出入りが目立ちますが、産学官の連携を考えた場合、当然のことだと思います。

 景気の長期低迷の中で、イノべーション、ベンチャ−の波は、大学から起こるのではないか、いや、大学から起こさないといけないのです。独立行政法人化の流れの中で、象牙の塔と言われる大学から、イノベーション能力や新事業創出能力を引き出し、産と結び、産業振興に結びつけることが、地域の生き残り策です。
 生涯学習でもそうですが、大学が、およそ日常生活からかけ離れた所で、生き残ることは、これからはまず不可能です。

 岡山大学を中心とした大学への期待が、今ほど高まっている時代はありません。基礎研究の重要性を維持しながら、大学内に眠るシーズをいかに引き出すか。特許をどう活かすのか。中小企業が、生き残りを賭けた競争の中で、自社のトップシークレットを守りながら、いかに、大学との連携の中から、ビジネスチャンスを掴むか。そのための制度的支援がどうしても必要です。

 スポーツ以上に、学術的に、あるいは、ビジネスで、大学からスターやヒーローが続々と登場する、しかも、岡山から生まれてくる。そうでないと、岡山は、生き残ることができないのです。


 しかし、どうしても根本的な問題にぶち当たります。当然、連携の先には、新規創造、あるいはベンチャー、起業があるわけですが、思うに、日本人のメンタリティーは、非常にベンチャー向きではないのではないでしょうか。
 いろんな表現の仕方もあると思いますが、端的には、「失敗」に冷たい社会であるということです。ひとたび人と違うことをして、失敗すれば、見事にラベリングされ、敗者復活に対して寛容ではありません。
 裏を返せば、成功に拍手も送ることができないわけです。

 松下幸之助翁ではありませんが、成功するまで、やり続けなくては、成功しませんが、失敗すれば奈落の底に落ち、成功すれば思いきり足を引っ張られるような社会で、なぜ挑戦をするでしょうか。才能があるものほど挑戦しないでしょう。

 私は、あてもんの国・香港で、人生波瀾万丈でないとつまらんじゃないか、という香港人に、いたく関心しましたが、既に、日本は、見栄や体裁を言っておられる状況ではありません。何もしなければ、死ぬのです。
 根本的な発想の転換が必要です。

 一番変革しないといけないのは、社会構造の根本にある人間の意識の改革ではないでしょうか。とりわけ産学官連携は、全てが、意識改革しないと絶対に成就しない、いわば試金石です。


 そして、私の中では、全ては、インキュベーションセンターに凝縮されるのです。私が、たちまち関われることです。はっきりしているのは、今のままなら非常にまずい状況にある、しかし、やるからには、絶対に成功させないといけない、ということです。

 おそらく、読者の皆様には、産学官連携、PFI、インキュベーションセンターへの関心は、薄いと思いますが、私にとって最初に関わるこの箱モノについては、私は、とことん付き合う覚悟です。

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