2001年12月12日(水) 【消えた質問】

 本日私の12月定例会の一般質問が終わりました。実は、今朝になって、諸般の事情で「産学官」に関する質問が、「飛び」ました。誠に異例のことですが、質問原稿2ページ分、もちろん既に部長答弁も用意されていましたが、中止。
 やむをえない判断でした。

 傍聴頂いた方には、なぜ突然「産学官」の質問を打ち切ったのか、たいへんな疑問だったと存じますが、やむをえませんでした。
 端的には、9月議会の後遺症と言えるかも。結局、再質問、再々質問もできませんでした。うーん。

 ただ、この一件に関わらず、今までで、一番地味な部類に入る質問でしたが、おもしろい答弁もありました。新聞見出し的には悪くありません。
 しかし、ちょっとなぁ・・・・・・。



1 中国との共存共栄等について
 (3)中国との新空路開設              (企振)[知事]

   岡山ー北京便の可能性について示唆されました。

 (4)国内他地域を経由した空路開設         (企振)[知事]

   有力な手法として活用する、という積極答弁でした。


2 岡山空港について                 (土木)[知事]
 (1)一部駐車場有料化

   無料は当面堅持するが、空港ビル前の拡充の方向を示唆。

 (2)ビルの改装予定等

   今朝の山陽新聞にあるように、レイアウトの変更ではなく、ビ
   ル全体の改善をする。


3 文化芸術について
 (3)デジタルミュージアム等の可能性        (教育)[知事]

   県立図書館建築にむけ、デジタルミュージアム構築。
   1万4000の蔵書のデジタル化。他施設とネットワークを構築。


 (4)後楽園・城下周辺の整備方針等
   ア 出石町再開発            (企振)[企画振興部長]

     全く変化なし。白紙撤回。凍結堅持。

   ウ 表町地下駐車場の見直し         (土木)[土木部長]

     岡山市、地域住民と十分協議する。進める方向。

 (5)文化振興の推進体制          教育協力(生環)[知事]

     法律的、中立性の観点から、教育委員会と分担。
     知事部局に移す意志なし。
     但し、国民文化祭など大きな行事は知事部局で。


 以下、あだ花のような、幻の「産学官」の質問原稿です。日の目を見るこ
とはない原稿です。

次に、産学官の連携についてお伺い致します。

 新世紀おかやま夢づくりプラン(仮称)で言えば、「時代を切り開く産業フロンティア県政」に該当しますが、国策として、「科学技術創造立国」を標榜する現在、基礎研究の充実を大学に、その研究成果の活用を企業が行い、産業を振興し世界に貢献するため、「科学技術基本法」や「産業技術力強化法」が成立し、民間に対する大学の研究成果の技術移転促進に、制度や予算面で、支援体制が取られつつあります。

 また、企業の集積とそれを核とした大学や産業支援機関との交流・連携を前提にした地域経済の発展形態である「産業クラスター」論が盛んになってきました。要するに、ネットワーク型の産業組織を前提に、競争力強化の方向を模索し、イノベーション能力や新事業創出能力を産み出し、産業振興に結びつけることが、地域の生き残り策と言うことです。

 換言すれば、「産業クラスター論」は、その根本精神において、従来の国土開発の基本である「均衡ある地域の発展」を全面否定し、「地域の特色ある発展」に、シフトしたことが特徴で、いわば護送船団方式から、地域間競争を勝ち抜きたい、そんなやる気のある所が、早い者勝ちになる、そういった施策といえます。

 そこでまず、重厚長大の時代のコンビナートから、「産業クラスター」に変遷していくと捉えた時、我が県の「産業クラスター」をどことイメージすればよろしいでしょうか。商工労働部長にお尋ねします。

 さて、大学が学術的な視点から研究し、この視点と企業の経済的な視点が融合して成果を上げる、「産学官」協力の重要性は度々指摘され、国でも、様々な機関や審議会が、様々な提言や答申を行い、提言を踏まえ、組織造りや促進施策も実施されてきましたが、なかなか日本社会全体の意識変革に至りません。

 米国では、大学と企業の包括提携が盛んですが、日本では、企業との関係も教授など個人の努力に依存し、組織としての取り組み不足である、と、産学官連携不振のその理由を大学に求めることが多いのですが、実際には、大学で生まれた技術の芽、可能性に自分の問題として、投資をしない産業界の責任も大きいと言われています。

 しかし、国立大学の独立行政法人化、最大の課題になる文部科学省の予算の獲得を見越して、1998年施行の「大学等技術移転促進法」に基づき、大学の研究成果と企業を結びつけ、経済を活性化する技術移転機関(TLO)の設立が全国で相次ぎました。
 研究成果が移転され、実用化されてベンチャー企業など新産業の育成につながれば、大学にとっては、その技術供与で得た利益を研究費に充てられますし、新たな雇用の受け皿にもなります。

 岡山大学も、日本の国公私立トップ30大学を世界最高水準に育成するという「遠山プラン」に先立ち、2000年に、「21世紀の岡山大学構想」をまとめ、「大学院重点大学」志向を鮮明にしました。
 しかし、TLOが、大学が研究開発や学生確保で競い合うことを示す象徴的な存在であると言われ、山口大学が、べンチャー企業創出に取り組み実績を上げているのに比べると、岡山大学は、TLOを作り、県内産業界と交流促進するのが遅れていると言われています。

 こういった状況を前提に質問させて頂きます。
 まず、官として、産学連携につき、産の側に、どのような働き掛け、刺激策をとられているのでしょうか。また、私立大学との連携については、どうお考えでしょうか。
 さらに、行政の持つ「試験研究機関」は、こういった流れの中で、今後どのような役割を担っていくのでしょうか。以上、商工労働部長にお尋ねします。

 こうした連携の仲立ちをするのは、岡山情報ハイウエイだと思いますが、各大学でどのように利用されているのか、とりわけ、それが、若い研究者の参加にどう結びついているのでしょうか。企画振興部長にお尋ねします。

 また、TLO設立につき、どのような支援をされているのでしょうか。
 ところで、我が党が進めているNPO法の改正が実現すれば、12分野に加えて、起業支援や科学技術の振興などが、活動対象になる見通しです。NPOは、組織の性格上、過度に利益を追求せず、起業を取り巻く様々な関係者の中でも中立的な立場を保てるということで、利益第一目標の投資会社と異なり、大学や地域社会、行政などとベンチャーを取り持ち、地域の活性化や雇用創出のきっかけ造りにも貢献できる役割を果たしうると思います。
 こうした起業支援NPOをどのように支援されていかれるのでしょうか。

 加えて、ポストITの成長分野として、ゲノム(全遺伝情報)ビジネスに絡み、バイオ関連ベンチャーが注目されていますが、バイオに関する産学官の連携をどのように進めていかれるのでしょうか。以上、商工労働部長にお尋ねします。

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