2006年6月7日(水)
【岡山県総合グラウンドについて】

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 朝から幼稚園での水難救急訓練の挨拶、会葬、県民局、現地調査と来て、暑くてかなわない真夏日の中、県営グラウンド内で、6月定例会の一般質問用の取材。
 下記は、原稿草案の草案も兼ねております。
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      ↓ 詳しくは

 岡山県総合グラウンドはご案内の通り、平成10年9月定例会の知事提案説明の言葉を借りれば、

「 岡山国体の秋季大会主会場についてでありますが、さきの津島遺跡検討委員会による埋蔵文化財調査結果や、古都南方・下地区の計画の絞り込みにおいても大幅な事業費の削減が困難であることなどから、現在の危機的な財政状況を踏まえ、関係機関と協議し、慎重に検討した結果、現在の県総合グラウンド陸上競技場を改修して主会場とする結論に達したところであり、関係者皆様の御理解を賜りたいと存じます。
 なお、改修に当たっては、津島遺跡検討委員会の調査結果を尊重し、埋蔵文化財の保護・保存に十分配慮の上、スポーツ施設と文化財が共存する施設整備に向けて、今後、関係者と協議を重ねてまいりたい」
 として、昨年の岡山国体の主会場となりました。

 この知事の判断自体は、やむを得なかったものですし、歴史的には評価されてしかるべきものでしょう。


 ただ、一方で、埋蔵文化財の保護・保存は、他都市の総合グラウンドにはない特徴、あるいは、大きな縛りであり、そのことが、都市公園として、基本的には、そうそう車が進入すべきではないという基本的な考え方に、繋がっているように思います。

 確かに、40年の間に、自然が溢れる見事な森になり、およそ自動車が似つかわしくはないというコンセプトは分からないではありません。


 ただ、その後の桃太郎スタジアム(陸上競技場)の改修は、まだしも、桃太郎アリーナ(新体育館)の建設、今工事中の新テニスコート建設など、遺跡に気を遣いながら、なんだかんだで工事は進められ、気がつけば、総合グラウンド内は、
 @桃太郎スタジアム、A補助陸上競技場、B野球場、C桃太郎アリーナ(体育館)、D庭球場、Eバレーボール場、F水泳場、G弓道場、H武道館といった各種体育施設に、津島遺跡の上の遺跡広場では、どなたも思い思いにスポーツを楽しまれ、近頃は、結婚式場にも使われている総合グランドクラブ、津島遺跡をめぐるマラソンコースなど、遺跡の頃の古代人も、びっくりの状況になっています。

 そして、この間、モータリゼーションの波に逆行し、ぎゅうぎゅう詰めの敷地の中で、駐車場は、隅に追いやられました。

 かって1万3000人収容で、プロ野球が頻繁に誘致されていた県営野球場は、ナイターともなれば、2000台が駐車できることを謳い文句に、県内外から観客を呼び込んでいましたが、現在の正式な駐車場は、球場前の第1駐車場が122台、武道館前の第2駐車場が138台、飛び込み台を壊して作ったプール横の第3駐車場が100台の計360台です。

 しかし、これではとうてい対応できないため、臨時駐車場として、自由広場に124台、野球場裏に148台等で、トータルで、最大が632台です。
 そして、国指定の津島遺跡内部にはなりますが、桃太郎スタジアムの西の三角池周辺を開放し、約250台の駐車場を確保するのが、考えられる最大の駐車場です。


 昨今は、建築物の横には、駐車場の設置が義務づけられているわけですが、いったい県は、この総合グラウンド内の施設が最大限に使われたとして、何人の人間が集まり、そのためには、どの程度の駐車場が、必要と考えているのでしょうか。

 とりわけ、総合グラウンド周辺は、駐車場が少なく、このGWの池田動物園無料開放と児童会館「子どもまつり」がバッティングして、京山の駐車場は、なんと2時間待ち。
 例えば、いずみ町の県公社がなくなるようなことがない限りは、周辺は市内有数の一等地、駐車場整備に多くの期待ができる状況にはありません。



 そして、さらなる大問題は、おそらく、旧体育館跡に、新テニスコートができれば、それだけで、第1駐車場が一杯になることが予想されますが、恐ろしいのは、国指定の津島遺跡内の約250台の駐車場が、まもなく使用不能になることです。

 なぜか桃太郎スタジアム前の三角池周辺に、岡山県教育委員会は、水田や湿地を含めた遺跡の復元を考えています。来年度には着工で、国指定遺跡で、国費も入り、もはや止められない状況のように聞きます。

 スポーツ施設と文化財が共存する施設が宿命ではありますが、十分な協議が本当になされた結果なのでしょうか。
 体育施設利用者や地域住民の避難場所としても使えるスペースが、古代に逆戻り。

 例えば、藁葺きの古代人の家が、消防法に合致するのか知りませんが、ともあれ、古代人が蘇り、桃太郎スタジアムの駐車場は、武道館や野球場や桃太郎アリーナで催しがあれば、プール横の僅か100台で、現代人は、古代人に屈服するしかありません。

 4月29日の4000人以上、先日6月4日の3000人以上動員したファジアーノ岡山の試合の日は、駐車場は、まさにパニック、文字通りの「おどりゃぁ、すどりゃぁ」が展開されました。

 もともと遺跡の上なのですから、遺跡が悪いわけではありませんが、せめて駐車場の手当はどこかにして事を進めるべきです。もはや止められないのなら。

 それにしても、なぜ今、古代遺跡復元なのでしょうか?



 実は、武道館や桃太郎アリーナでの競技大会では、自動車で来ても駐車場がないとアナウンスしておく必要があり、そんな話は聞いたことがないと、しばしば全国の笑いものになっています。まさに、岡山の恥になってしまいます。

 ちなみに、この武道館も、建設の際に、遺跡に阻まれ、現在の場所に規模縮小して建てられました。その結果、柔道も剣道も、正式に4面をとることができません。

 特に、柔道は、畳を小さくし、要は、岡山県は、京間で柔道をするという事態が発生しています。剣道や空手なら桃太郎アリーナということもあるでしょうが、柔道大会の度、体育館に畳を敷いてというのが、武道館のあるべき姿でしょうか。

 加えて、岡山県立弓道場ですが、県立では考えられない近的6人立ちのみという施設であり、先日は、桃太郎アリーナで、大会が行われましたが、弓は、体育館内で射るものでしょうか。

 先日観た米子の武道館は、相撲の土俵もあり、弓道なら近的12人立ちはもちろん、遠的6人立ちの道場も備えた総合武道館で、全ての武道の全国大会を開催できる立派なものでした。
 老朽化した岡山県立武道館は、駐車場確保のためとは申しませんが、現在地以外の場所での建て替えも含めて、武道振興のために、改めて、そのあり方を考える時期に来ているのではないでしょうか。


 いずれにせよ、JR岡山駅西口からの公共交通機関のあり方をよほど考えないと、駅から近いということは駐車場がないということですから、歩いてきてくれ、ということとイコールになります。

 特に、体育施設への障害者の方々の駐車場は、益々遠くなり、ユニバーサルデザインというのは、誰にとっても不便と言うことか?という話です。
 もはや、管理上の工夫と言うよりも、施設整備、構造上の問題と言わざるを得ません。


 3万人が収容できるサッカー場が欲しい者としては、果たして本当に長い目で見て、総合グラウンドのリユースが正解だったのか疑問にすら思えてきます。

 他にも、使用料金に大学生の学割がきかないという点等もありますが、総合グラウンドのあり方について、是非、皆様のご意見をお知らせ下さい。

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