過去の岡山県議会一般質問集 <芸術・文化振興>篇

<平成26年6月定例会>(2014年6月24日)

(佐藤)  それでは次に,産業振興について伺います。
 やはり岡山市においてはイオンの進出が黒船に例えられることがありますが,年間2,000万人もの来客があるならば,それをいかに面的にも時間的にも展開するかが課題になってまいります。LRTのような都市交通については以前,申し上げてきましたので,これを産業振興と絡めた場合,観光文化施設もありますし,都市の装置はそろってきたとポジティブに考えることができます。
 そこで,これを起爆剤として,交通の結節点においていわゆるコンベンション機能をさらに高めていくコンベンションシティー構想の推進は重要なテーマになると思います。そもそも,従来も交通の結節点ということで,学会や大会の開催の招致などについて間違いなく岡山は地の利があるわけでありますが,願わくば3,000人規模の大会場があって20程度の分科会まで開催できれば,相当な規模のコンベンションが呼び込めるはずです。ただ,現状でいうと,駅周辺の会場ではグランヴィアホテルが最大で,ママカリフォーラムがそこそこに大きく,実は国際交流センターがそれを補完しているという形になっています。今後,イオンや新医師会館のホールがこれに加わるとしても,例えば飲食ができない岡山シンフォニーホールは分科会場としても距離がちょっと気になりますし,岡山市民会館についても願わくばこうした観点の中に組み込んで考える必要があるとは思いますが,いずれにせよ現状において国際交流センターがかなりコンベンション開催時には便利な施設であるということは言えると思います。私はかねがね,国際交流センターのミッションということを申し上げてまいりましたが,基本的にはもはやこれは実態に即して,月曜から金曜日まではコンベンション施設やビジネス目的の使用も含めてかなり柔軟な対応ができる機動性の高い,駅に近い,ある意味,格安の貸し館としてさらなる増収を図って,そして逆に平日の夜や土日についてはその収益を必ずしも採算は合わないかもしれない本来業務である国際交流や国際貢献に向けるというのも,これもありじゃないかなと思うに至りました。あえて言えば,今までの岡山県国際交流センターから産業国際交流センターとミッションを昇華すべきだと思いますが,御認識をお知らせください。
 また,関連して,これを機に国際交流センター,生涯学習センター,総合グラウンド,きらめきプラザ,記録資料館,天神山文化プラザ,県立美術館,博物館,県立図書館,ルネスホールなど縦割り行政の所管を超えて,所長,館長,指定管理者レベルの協議会をつくり,ネットワークでそれぞれのミッションを相互乗り入れで強化,補完し合い,動くべきではないかと思うにも至りました。先日,実は山田方谷に関する講演会を全く同時刻に県立施設で行うということが起きましたが,例えば子供たちがスタンプラリーのような形で社会教育施設で体験学習をしたり協働で事業を行うことはできないか,少なくとも連関するどの施設でも情報等は簡単に入手できる,かような県立施設のコンソーシアムの構築について御所見をお聞かせください。

(知事)  お答えいたします。
 産業振興等についての御質問であります。
 まず,岡山国際交流センターについてでありますが,同センターは県民と外国人との相互理解を深め,交流を推進し,地域の国際化を図ることを目的に設置したものであり,国際化に関する情報提供や事業を行う中核的施設として活用されていますが,会議室は学会や企業説明会などでも広く利用されております。また,管理運営の収支差額は,指定管理者がセンターで行う国際交流事業の充実にも活用されているところであり,今後とも,岡山駅に近いという立地条件を生かし,利用促進に努めてまいります。
 次に,県立施設のコンソーシアムについてでありますが,関連する施設が連携してサービスを提供することは有意義であるため,例えば岡山カルチャーゾーン内の県立施設については既に協議会を設け,一体となった魅力発信や情報共有に努めております。お話の新たなコンソーシアムの構築までは考えておりませんが,今後とも,関連する施設間での情報提供を一層緊密にするなど,連携の充実を図ってまいりたいと存じます。
 以上でございます。

(佐藤)  ありがとうございました。
 先ほどの国際交流センターにつきましては,コンベンション機能ということになりますと,学会等が1年以上前から動き始める,大きなものになれば2年,3年前から会場の設営,段取りをせにゃあいけんということで,残念ながら今の交流センターではなかなかそれに対応できておりませんので,ある意味,ビジネス目的で収入を上げるためにということであれば,よりそこら辺を機動的に運用できるようにお願いをしたいと思います。



<平成23年6月定例会>(2011年6月24日)

(佐藤)  次に,知事は,昨年度開催した国民文化祭の成果を継承・発展し,新たな文化の創造と文化を核にした地域づくりに向けた取り組みを進めていくことが重要だとおっしゃられました。しかし,第9回おかやま県民文化祭のメーンフェスティバル,県民局ごとの地域フェスティバル,岡山芸術回廊などの事業の開催が中心で,イベント重視の感は否めないと思います。まずは,既存の文化の尊重や継承・発展に対して,新たな文化の創造ということでありますが,そもそも文化とは何なのか。創造というのは,どういう意味なのか。昨年の国文祭の成果を含めて,知事の文化行政における哲学を教えていただければと思います。
 ところで,文化ということでは,石井知事が財団法人の理事長を務めておられる林原美術館の問題がございます。
 林原の件は,岡山県経済においても極めて残念なことでありましたが,一方で,同社はメセナ事業にも極めて熱心で,林原共済会を通じて福祉文化活動を行い,林原美術館,林原自然科学博物館なども運営しております。当時の三木行治知事も深くかかわって,財団法人を設立し,1964年に開館した林原美術館については,役員会では更生手続によって同財団の約1万件の所有品とは別に,同社や前社長からの指定文化財を含む寄託品の散逸,これを懸念する声が浮上して,岡山ゆかりの資料も多いし,文化財保全の観点から,従来どおりの一括保存を求める考えでまとまったというふうにされておりますが,その後どうなったのか。また,岡山県としてもえにしの深い林原美術館に対して,いかような支援を行われるのか,お知らせください。
 これに関連して,林原グループは,岡山駅至近の一等地に大変広大な土地を持っており,長らく本社や林原モータープールなどに利用され,「ザ ハヤシバラシティ」構想もございましたが,県都岡山市の玄関口の広大な土地であるだけに,私は行政としても推移を見守るだけのような対応はすべきではないというふうに思いますが,御所見をお聞かせください。
 さらに,カルチャーゾーンについてでありますが,岡山県立博物館内に岡山カルチャーゾーン連絡協議会がありますが,御案内のとおり,後楽園,県立博物館,県立美術館,天神山文化プラザ,県立図書館,ルネスホールは県の施設,そして岡山城,シンフォニーホール,オリエント美術館,岡山市民会館は市の施設,夢二郷土美術館,林原美術館は民間の施設でございます。これに加えて,すばらしい画廊もたくさんある。これらの施設それぞれに青少年の体験学習や若手育成など,文化活動の登竜門のような事業が継続的に行われていて,私はしかるべきだと思いますし,いわゆるアワードもあってもよいはずだと思いますが,単発のイベントをするのではなくて,カルチャーゾーン内の施設が連動する動きが求められますが,現状をお知らせください。
 また,平成18年2月定例会でも指摘させていただきましたが,国民文化祭を経て,なお県と市と民間の施設の共通入場チケットすら,いまだに存在しておりません。まさに失礼な言い方になりますが,これが縦割り行政の象徴的な姿であるというふうに思います。カルチャーゾーンの周遊ループバスであったり,水上交通があって,普通の町,文化の創造以前の問題ではないかというふうに思いますが,御所見をお聞かせください。
 何より,県都岡山市において,県立児童会館改め未来科学棟,生涯学習センター,池田動物園,京山ソーラーグリーンパーク,岡山光量子科学研究所,岡山国際交流センター,きらめきプラザ,総合グラウンドと,このカルチャーゾーンも含めて大回遊したら,岡山の文化に触れて,子供たちの可能性が無限に広がるゾーンになりますが,このゾーンの生かし方についてもお考えをお知らせください。
 さらに,カルチャーゾーンについてでありますが,岡山県立博物館内に岡山カルチャーゾーン連絡協議会がありますが,御案内のとおり,後楽園,県立博物館,県立美術館,天神山文化プラザ,県立図書館,ルネスホールは県の施設,そして岡山城,シンフォニーホール,オリエント美術館,岡山市民会館は市の施設,夢二郷土美術館,林原美術館は民間の施設でございます。これに加えて,すばらしい画廊もたくさんある。これらの施設それぞれに青少年の体験学習や若手育成など,文化活動の登竜門のような事業が継続的に行われていて,私はしかるべきだと思いますし,いわゆるアワードもあってもよいはずだと思いますが,単発のイベントをするのではなくて,カルチャーゾーン内の施設が連動する動きが求められますが,現状をお知らせください。

 また,平成18年2月定例会でも指摘させていただきましたが,国民文化祭を経て,なお県と市と民間の施設の共通入場チケットすら,いまだに存在しておりません。まさに失礼な言い方になりますが,これが縦割り行政の象徴的な姿であるというふうに思います。カルチャーゾーンの周遊ループバスであったり,水上交通があって,普通の町,文化の創造以前の問題ではないかというふうに思いますが,御所見をお聞かせください。
 何より,県都岡山市において,県立児童会館改め未来科学棟,生涯学習センター,池田動物園,京山ソーラーグリーンパーク,岡山光量子科学研究所,岡山国際交流センター,きらめきプラザ,総合グラウンドと,このカルチャーゾーンも含めて大回遊したら,岡山の文化に触れて,子供たちの可能性が無限に広がるゾーンになりますが,このゾーンの生かし方についてもお考えをお知らせください。
 さらに,文化の継承・発展ということでは,桃太郎少年合唱団がございます。1962年の岡山国体開催を記念して,ウィーン少年合唱団の倉敷青陵高校体育館での演奏に強く感動された,当時の県知事三木行治元知事の提案で,青少年の健全育成と地域音楽文化向上を目的に創設されたのが桃太郎少年合唱団であります。いよいよ来年,創立50周年を迎えますが,今も岡山県の誇る少年合唱団であり続けることに,心から感謝と敬意を表させていただきます。ただ,少年少女合唱団は全国約1,000団体と推計されるんですけれども,40団体以上あった少年合唱団は,約10団体と減少しております。減少の理由は,著しい少子化,学習塾の隆盛,少年のスポーツ志向,経済的問題に加えて,規律と気品を重んじ,協力的態度を持つ少年を育てる社会教育事業の一つとして設立されたものの,行政を含めたバックアップ体制が弱まっているということも,私はあると思います。桃太郎少年合唱団については,本来であれば,「晴れの国おかやま国体」でも,国文祭でも,もっともっとスポットライトが当たるべきであったように思います。桃太郎少年合唱団への支援についてお考えをお知らせください。

(知事)  次に,文化行政についてであります。
 まず,哲学についてでありますが,文化は人々の共感する心をはぐくみ,地域を元気づけてくれるかけがえのないものでありまして,地域の特色ある文化は,個性豊かな地域をつくり,人々の誇りと愛着を育てるものであります。国文祭では,郷土の歴史や文化に対する県民の意識が高まり,主体的な文化活動が盛んになりますとともに,分野や地域,世代の枠を超えた連携と交流によりまして,新たな文化の創造にもつながるなど,大きな成果があったと感じているところであります。こうした国文祭の成果を継承・発展させ,文化の持つ力により,県民一人一人が生き生きと輝き,心豊かに生きることができる岡山県をつくってまいりたいと存じます。
 林原美術館への支援についてでありますが,3月に財団法人林原美術館の理事等の連名で,株式会社林原の更生管財人及び所管の裁判所あてに,収蔵品が分散しない更生計画案の作成に配慮を求める嘆願書を提出いたしましたが,その後,県内76の博物館,文化施設等が加盟する岡山県博物館協議会からも,更生管財人等に同様の嘆願書が提出されたところであります。池田家ゆかりの品々を含む林原美術館の収蔵品は,岡山の地で一体的に保存されることで価値がさらに高まるものであると考えておりまして,そういった方向でスポンサー企業の選定が進むことを強く期待し,動向を注視してまいりたいと存じます。
 駅前の広大な土地への対応についてでありますが,この土地は岡山市のまちづくりはもとより,岡山県の将来の核ともなる極めて貴重な空間でありまして,市及び県の発展につながる土地利用が行われることを期待し,また,強い関心を持っているところであります。今後とも,会社更生手続の動向を注視いたしますとともに,まちづくりの主体となる市から相談がありますれば,適切に対応してまいりたいと存じます。
 カルチャーゾーンについてのうち,施設の連動についてでありますが,地域内の12施設で構成する岡山カルチャーゾーン連絡協議会を中心に,相互の連携を図り,周遊マップの作成・配布や各施設の催し物等が一目でわかる共通ホームページでの情報提供に取り組んでまいりましたほか,特に昨年は,国文祭を記念いたしましたスタンプラリーの実施,地元のプロやアマチュアの合同による鳥人幸吉をモデルとしたオペラを上演するなど,だれもが参加でき,楽しみ,感動できる機会の充実に努めているところであります。さらに,ことしから実施する岡山芸術回廊においては,さまざまなワークショップや子供たちがカルチャーゾーンを探検する催しを開催するなど,岡山の文化を担う人材の育成にも引き続き努めてまいりたいと存じます。
 これに関しまして,共通入場チケットについてでありますが,これまでも岡山カルチャーゾーン連絡協議会の場で検討されてきたところでありますが,1つ問題がありまして,と申しますのも,入館料が通常と異なる特別展,これは複数の企業や団体等との実行委員会形式で運営されている場合が多いといったようなことでありまして,こういったことなどから,現時点で実現に至っていないというものでございます。しかしながら,現在,各施設の割引券がついた周遊マップを作成・配布いたしておりますほか,エリア内5施設が相互に割引制度を設けるなど,回遊性を高めるよう努めておりまして,今後とも,これまでの割引制度の有効性を検証しながら,カルチャーゾーンをより多くの人々に楽しんでいただけるように工夫してまいりたいと思います。
 なお,歴史・文化施設が集中し,景観にも恵まれましたこのカルチャーゾーンは,歩いて楽しいまちづくりということを目指しておりまして,周遊バス等につきましては,今のところ考えていないところであります。
 周りを含めた生かし方でありますが,お話のゾーンで申し上げれば,例えば半日は京山周辺で科学や動物に触れ,あるいは総合グラウンドでスポーツを楽しみ,残る半日はカルチャーゾーンで歴史・文化・芸術に親しむなど,子供にとって有意義な行程が組めると考えられます。カルチャーゾーンを中核として,岡山市内の各文化・スポーツ施設が連携を図ることによって,新しい岡山の魅力づくりにもつながる可能性があることから,今後,岡山市と連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。

 次に,桃太郎少年合唱団についてのお尋ねでございます。
 財団法人桃太郎少年合唱団の理事である佐藤議員から御質問がありましたので,名誉会長である私のほうからお答えをいたしたいと思います。
 約50年にわたる合唱団の活動は,次代を担う青少年の健全育成や文化振興への貢献につながるものでありまして,また,国文祭では定期演奏会を国文祭応援事業として開催いたしますとともに,県少年少女合唱連盟の一員として,岡山市主催の合唱の祭典でも活躍されたところであります。これまで県では,生涯学習センターでの練習拠点の提供,桃太郎少年合唱団も加盟している少年少女合唱連盟事業への助成など,支援を行ってきたところでありますが,今後,これまでの活動がさらに発展できるよう,県民文化祭参加事業でのPR支援,適切な情報提供など,市町村と連携をしながら応援してまいりたいと思います。



<平成22年11月定例会>(2010年12月7日)

(佐藤)  さて,いわゆる忘年会シーズンでございますが,多くの方といろいろ話をしておりますと,政治に対しては,もう期待を裏切られてあきらめを通り越した後には,むしろ我々日本人はもう腹をくくって本当に潔くてさわやかなものがあるなあと,妙なことを感じております。自民党も大いに反省しなくてはいけませんが,政権交代があろうがなかろうが,日本の政治は変わらない。もうこれから先,何が起ころうが,心と時間の無駄になるような,政治に頼るのはやめて自立して生きていこうという,ある種の覚悟が今の世の中には感じられると思います。こうなると,もうきれいごとはもはやどうでもよいわけで,ドラえもんに出てくるのび太の夏休み学習計画のように,立派な計画をつくっている間に夏休みが終わってしまうような,そうした抽象的な話には関心がもうございませんし,「国の推移を見守る」とか「注視する」とか,具体性のない答弁をいただかないように,身の回りで起きている事柄に対してたちまち具体的にどうするのかをお伺いすることを中心に,今回は質問及び提言させていただきます。
 まずは,今秋開催された国民文化祭でございますが,もちろん文化の催しではありますが,財政危機宣言を行った後にあえて開催したものでございます。大成功した「晴れの国おかやま国体」についても,思いのほか地域経済への波及効果が感じられなかったという声がありましたが,国文祭についても地域経済を下支えするため,県内製品の優先調達,県内業者への優先発注という方向は,随所に当然当てはまったものと思います。どのように心がけられ,地域経済に対してはどのような影響があったのでしょうか。
 特に,文化を核とした地域づくりがさらに観光施策,経済施策に結びついていくものだとすれば,今回の瀬戸内国際芸術祭との連携のまずさは,大いなる反省点であると思いますが,今後の対応を含めて御所見をお聞かせください。

(知事)  国民文化祭に関しまして,地域経済への波及効果であります。
 第25回国民文化祭岡山県実行委員会におきましては,物品調達につきましては,県内に本店,支店等を有する県内事業者からの調達を,これを原則とし,事業の発注につきましては,県内業者への優先発注に努めますとともに,県内下請業者の優先活用につきまして徹底を図りました。
 また,地域経済への波及効果でありますけれども,国文祭の各事業における開催経費と出演者,来場者等による消費支出額をもとに現在算定中でありますが,1月中には公表できると考えておりますけれども,100億円は優に上回るものと,このように考えております。
 瀬戸内国際芸術祭との連携でありますが,互いのイベント会場等でのリーフレットの配布やPRブースの設置,合同のPRステージの実施など連携いたしまして広報活動を行いますとともに,芸術祭開催日から,犬島あるいはJR岡山駅,新岡山港などに設置されました総合案内所におきまして,国文祭の情報を提供するなど,あらゆる機会をとらえまして,芸術祭に訪れる観光客等の本県への誘致に努めたところであります。こうした連携の効果等もありまして,おかげさまで国文祭にも,また,芸術祭にも,目標を上回る多くの参加があり,各地で感動と楽しさの輪が広がる実り多い祭典となったと考えております。今後とも,文化や経済,観光面等で香川県との交流,これを一層深めますとともに,3年後に開催が予定,検討されております第2回瀬戸内国際芸術祭に向けました香川県との連携のあり方につきまして,検討してまいりたいと存じます。



<平成21年2月定例会>(2009年3月3日)

(佐藤)  ここからはあえて,個別具体的に,岡山市が政令指定都市に移行する前に,その記念として,岡山市のいわゆる地元ネタについてお伺いさせていただきます。
 まずは,旭川及び後楽園かいわいについて伺います。
 昨年5月の地方分権改革推進委員会の1次勧告では,権限の移譲が柱でございましたが,国道や一級河川の管理,農地を転用する権限の移譲なども打ち出しています。まさに,一級河川旭川については,特に下流域は国の管理になっておりますが,県内で完結しており,将来的には都道府県で管理すべきだという話でございます。まずもって,こうした一級河川の管理については都道府県が行うべきだと考えますが,御所見をお伺いいたします。
 ところで,旭川京橋・桜橋地区の港湾施設は,もともとは戦前河川改修に伴い,内務省が設けたものでございますが,その後も県が国から河川法に基づいて占用許可を受けて,ほぼ,この県庁前から二日市の岡山市立中央図書館手前の旭川右岸の河川敷を港湾施設として占用しておりました。しかし,新岡山港も整備されて,港湾施設として利用されないことから,平成12年度末で港湾施設を廃止しましたが,諸般の事情で原状回復ができず,占用廃止が行えないまま現在に至っております。現在は,港湾というよりも,芝生園地の緑地が公園的に整備されて,京橋朝市も開催されておりますが,特に後楽園前などは遊歩道の整備が進んでおり,親水性の高い憩いの場として,さらなる活用が望まれております。一方,中環状と外環状をつなぐ幹線でもある都市計画道路の津島飛行場線については,番町以北については,都市計画の変更を行って,拡幅をしないというのが市の方針でもあり,しかし京橋以南の判断も政令指定都市移行後は市にゆだねることになりますが,なかなか見込みが立っておりません。そういうこともあって,この道路のバイパス機能を河川敷の区域内道路が果たしているということで,なかなかこれは重要な道路になっております。今必要なことは,旭川京橋・桜橋地区の港湾施設について,それが港湾施設でないのなら,今後の活用をはっきりさせることであります。そのためには,国,県,市が同じ土俵に上がる必要があります。いわんや,一級河川は地方が管理すべきだという気概があるのならば,県こそがリーダーシップをとるべきだと考えますが,いかがでしょうか。
 もっとも,旭川京橋・桜橋地区が港湾施設ではないというのは,一つの考え方にすぎないと思います。私は岡山市と組んで,新たなる港湾施設に変えていけるのではないかと考えております。例えば,世界的なアートの聖地として,瀬戸内海の島めぐりに出る船が,公園緑地として美しく整備された新しい京橋から出航する。そんな世界的な観光拠点になる。そこに京橋朝市がある。そういう夢も描いております。旭川京橋・桜橋地区の新たな港湾施設としての活用について,あわせて土木部長の御認識をお聞かせください。
 さて,この旭川でございますが,少し上流に行きまして,新鶴見橋という大きな橋がございますが,古い鶴見橋のほうは,まさに後楽園の玄関口になります。しかし,鶴見橋かいわいの堤防については,一段低くなっている地域があって,防災上,危険ですし,知事が初当選された以降も,後楽園周辺整備事業,いわゆる出石町の再開発について,白紙撤回されたまま,つまりは観光文化拠点の整備を撤回した状態が延々と続いております。いわゆる,この近所の農政局跡地は,現在ある岡山後楽館中高が旧南方小学校へ移転することが決まっていて,出石町再開発と相まって,兼六園周辺に絶対に負けない観光文化ゾーンにするために,例えば観光バスの集積地にするような種地にもなっております。来年の国民文化祭を見越して,この機に後楽園かいわいやカルチャーゾーンについても,県,市,国で一体に考えるチャンスであり,岡山市が政令指定都市になるとする今,県,市,国一体で旭川まで加味して,グランドデザインを描かなくてはいけないときであります。その認識をお知らせください。
 あわせて,兼六園周辺と後楽園の周辺の違いについての御認識と,その中で県が果たすべき役割についてもお伺いいたします。
 また,こうした重要な時期に,一方的に岡山シンフォニー1階の観光物産センターの廃止方針を決めました。観光物産拠点も廃止するところに,観光・文化行政の戦略性を全く感じませんが,観光物産センターの跡地の活用策とあわせて,御所見をお聞かせください。
 最後に,吉備路かいわいについてお伺いいたします。
 特に,JR吉備路沿線には,吉備津彦神社,吉備津神社,高松稲荷や備中高松城,鬼ノ城など,まさに日本のまほろばとも言える史跡が並んでおり,決して大和路に劣るところはなく,一説には年間観光客50万人を超えるとされているのですが,県内の広域観光の中でも,後楽園や倉敷美観地区と必ずしもうまく連携できておりません。
 先日,吉備路自転車道を久しぶりに自転車で走りましたけれども,この吉備路自転車道は,正式名称は,一般県道岡山総社自転車道線であり,その起点は総合グラウンドにあった旧いずみ町交番前なのですが,ここにある看板からして,津島遺跡を津高遺跡と書いておりまして,こうした案内看板や休憩所,特にトイレの表示はかなり工夫が必要だと思います。そもそも岡山市の政令指定都市移行に伴って,吉備路観光の幹線とも言える総社までつながる,この吉備路自転車道については,総合的にどこが所管することになるのか,吉備路観光における位置づけの御認識と今後の整備の方向も含めて,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,第4回岡山市都市交通戦略検討会議では,都心と地域拠点との連携軸の強化,都市内の回遊性の向上を目標とし,吉備線のLRT(次世代型路面電車)化など,交通戦略の事業プログラムを示しました。まさに,LRTと吉備路自転車道がリンクすれば,非常に魅力的な観光拠点になるはずでございますが,国道180号の交通緩和策という観点からも,JR総社駅まで続くJR吉備線LRT化の話は,県も積極的にかかわるべきだと私は思いますが,御所見をお聞かせください。
 また,この吉備路において,畿内に次ぐ規模を誇る岡山県内の大型前方後円墳の発掘調査が,いよいよ動き始めました。二重周濠が確認された両宮山古墳に続いて,昨年は湊茶臼山古墳,さらに今春から全国第4位の規模を誇る造山の造山古墳の周辺部の調査が始まります。もしも周濠が見つかれば,畿内の大王墓と肩を並べて,吉備の王の巨大な勢力が明らかになると注目されております。ところが,この造山古墳に加えて,全国9位の規模の作山のほうの作山古墳,こうもり塚古墳,備中国分寺跡などが含まれている吉備路風土記の丘県立自然公園の中核施設,県立吉備路郷土館の廃止が決まっております。全国17カ所の風土記の丘で資料館廃止は初めてということで,しかしその一方で,国体の際に,桃太郎スタジアムを改修するための約束とはいえ,津島遺跡史跡整備事業が完了して4月から供用開始するのは,どこか私はちぐはぐな感じがしてなりません。世界遺産登録を目指す百舌鳥・古市古墳群にも劣らないとの評価があるにもかかわらず,吉備の巨大古墳については,石室まで発掘されたものも限られて,史跡指定さえもされていないものもございます。本格整備された古墳もなく,保護や活用が立ちおくれております。古墳の管理主体は市町村とはいえ,遺跡の保全・活用を見据えた計画,体制づくりを進めるべきではないかと考えますが,教育長の御所見をお聞かせください。
 また,最後でございますが,文化観光の拠点として,財政危機を脱した暁には,古墳時代から近世に至るすばらしい遺跡,史跡が多い吉備平野のJR吉備線近くにこそ,老朽化した博物館を建てかえて,文化財を集積した総合博物館を建てる,しかも大和朝廷に拮抗した古代吉備王国の規模からして,太宰府や奈良や京都と同様の国立博物館を誘致する,そんな夢を描きたいものですが,教育長の御所見をお聞かせください。

(知事)  次に,旭川及び後楽園かいわいに関しまして,まず一級河川の移管でありますが,都道府県内で完結する一級河川の移管に当たりましては,現在の整備管理水準を確保するために必要な財源等に関しまして,適切な措置が講じられることが何よりも重要であると考えておりまして,そうした前提条件が整うならば,都道府県が責任を持って受けることができると考えているものであります。
 後楽園かいわいのグランドデザインについてでありますが,後楽園周辺整備事業が白紙撤回された経緯や,来年度からの岡山市の政令市移行を踏まえますと,岡山市が主体的に検討する必要があるものと考えております。
 兼六園との違いでありますが,兼六園周辺では,多くの歴史的町並みが保存されます一方,後楽園周辺では,オリエント美術館や林原美術館など,特色ある文化施設が集積しているという違いがあるものと認識いたしております。今後,後楽園周辺のまちづくりにつきましては,これは政令市となる岡山市が主体的に進めるべきものであると考えておりまして,県といたしましても,県有施設の管理者の立場から,国とも連携し,積極的にこれに協力してまいりたいと存じます。
 観光物産センターの廃止等でありますが,本センターが現在地に移転する際には,交通の利便性や駐車場の存在,カルチャーゾーンの入り口に位置すること等を考慮し,当時としてはすぐれた立地条件を持つ場所に設置を決定したところでありますけれども,その後,人の流れが駅周辺にシフトするなどの変化が見られたこともありまして,このたび観光物産センターの廃止方針を決めたところであります。今後は事業の費用対効果や民間との役割分担を踏まえながら,より多くの観光客が集う場所において,伝統的工芸品の展示や実演イベント等による県産品のPRや,観光案内を行えるよう,そのあり方等を現在検討しているところであります。
 なお,本センターの跡地につきましては,県が引き続き活用することは困難でありまして,御理解を賜りたいと存じます。
 最後に,吉備線のLRT化についてでありますが,お話のように,岡山市が年度内を目途に策定を進めておられます都市交通戦略素案によりますと,都心と地域拠点との連携軸の強化に向けた交通施策の一つとして,吉備線のLRT化が示されておりまして,来年度,LRTの推進等に向けた事業調査が行われると聞いております。LRTは,駅間距離を短くして利便性を高めることができる,また,低床式でだれもが利用しやすい,さらには,大気汚染の心配が少ないなど,人にも環境にも優しい公共交通であるというように考えているところでありまして,県といたしましては,岡山市の検討状況等を見きわめながら,適切に対応してまいる所存であります。

(土木部長)  旭川京橋・桜橋地区の港湾施設についてでございますが,船舶による物流や人流の利用がなくなりまして,同地区の港湾施設の廃止をしたものでございます。現在,占用許可取り消しに向けて,国と協議をしているところでございます。
 お話の新たな港湾施設としての活用につきましては,地域の活性化を図るための一つの方策でございますが,京橋付近では治水上,十分な河川断面が確保されておりませんで,今後,治水対策と一体的に検討されるべきと考えております。
 次に,吉備路自転車道についてでございますが,岡山市の政令市移行に伴いまして,岡山市内の区間は岡山市が,それ以外の区間は県が,それぞれ管理や整備を行うこととなります。このため,御指摘の案内看板等の不備につきましては,早急に点検を実施いたしまして,3月末までに適切に対応いたします。
 また,吉備路観光における位置づけの認識と今後の整備の方向につきましては,自転車を利用した観光スタイルの提案は,今後の吉備路観光におけます重要なツールとなり得るものでございまして,岡山市や総社市とも連携いたしまして,案内看板ですとか,あるいは休憩施設等の整備を推進してまいりたいと考えております。

(教育長)  まず,遺跡の保全等についてでありますが,造山古墳を初めとする巨大古墳につきましては,吉備の国を代表する文化遺産であり,県民共有の財産として適切な保護,保存に努めているところでありますが,それらを整備,活用していくことも大切であると考えております。これらの古墳を整備,活用するに当たりましては,所管する市町村が主体となって,保存管理や整備に関する計画を策定することが求められるところであります。県教育委員会としましては,計画策定や遺跡活用へ向けた取り組みが一層推進されるよう働きかけるとともに,文化庁との連絡調整や専門職員の派遣等を通じて,関係市町村を支援してまいりたいと考えております。
 次に,博物館の建てかえ等についてでありますが,現在の極めて厳しい財政状況下での具体化は困難でありますが,吉備の国を全国に発信する機能を持ち,新しい時代にふさわしい博物館のあり方について,十分時間をかけて取り組む必要があると認識しておりまして,近年開館した主要博物館の実態調査などをもとに,研究を進めているところであります。
 また,国立博物館の誘致につきましては,国の整備方針が明確でないことや,さきの九州国立博物館の例を見れば,地元自治体が用地を確保したり,多額の建設費を負担しているなどの課題があると考えておりまして,今後の国の動向を見守ってまいりたいと考えているところでございます。



<平成18年2月定例会>(2006年3月9日)

(佐藤)  思い起こせば,平成14年2月定例会で,当時の久保田国体推進局長が,この場でパネルを出されまして,「こんにちは,ももっちです」とおっしゃられたのがきのうのことのようでございますが,昨年の国体,障害者スポーツ大会で大活躍した我らがマスコット「ももっち」は,今はちゃっかりと来年の第19回全国生涯学習フェスティバルの第1回からのマスコット「マナビィ」と並んで出てきております。願わくば,この調子で岡山県のキャラクターとして定着してほしいのですが,ところで聞くところによりますと,「ももっち」は男でも女でもないそうであります。もはやそういうところを超越した存在なのでしょうが,「ももっち」のモチーフが桃太郎であることは間違いないところでございます。ところで,桃太郎というお話は,裏伝説もさることながら,大変に奥の深い話でございます。「山へ芝刈りに,川に洗濯に」は,それとなく父の恩は山よりも高く,母の恩は海よりも深し。海で洗濯できないので川でございますけれども,それを教えております。お供には犬,猿,キジでございますが,これは,犬は忠義,猿は猿知恵と言うぐらいですから知恵,キジは勇気,すなわち知・仁・勇をあらわしているわけであります。そして,「渡る世間は鬼ばかり」何てことを申しますけれども,知・仁・勇をもって世間,社会という荒波を乗り越えて大成功して財をなし,孝行しましたよという,大変にありがたいお話でございます。
 何を申し上げたいかと申しますと,ぜひ「ももっち」にお供を,仲間をつくっていただきたいということであります。犬,猿,キジ,そして恩讐のかなたに,今は鬼とも和解して,その子供とは連れなんじゃというふうな,そういった楽しいキャラクターで岡山県をアピールしてはいかがでございましょうか。国民文化祭では,国体のときよりも仲間も結局グッズも多くなるわけでございますが,それでこそ桃太郎の国岡山がアピールできると思います。岡山では,OHKの「OH!くん」やTSCの「ななちゃん」など,これはいわゆるキャラが立っておりますけれども,願わくば,「ももっち」はサンリオの「キティちゃん」,あるいは「ミッフィー」をライバルに,世界に羽ばたいていただきたいと心からお祈り申し上げる次第でございます。
 次に,後楽園についてお伺いいたします。
 今議会では,倉敷チボリ公園の基本的方向性についての議論がなされておりますけれども,後楽園も問題ではないでしょうかということを申し上げたく思います。平成11年9月,12年9月,16年2月の定例会で質問させていただきましたが,改めて伺いますのは,平成22年の国民文化祭に向けて,江戸時代を代表する大名庭園であり,郷土岡山が世界に誇る貴重な歴史的文化遺産である日本三名園の一つであります後楽園に関しては,主会場とも言える文化ゾーンの中核として,築庭300年祭以上の力を入れる必要があると考えるからであります。日本三名園の一つながら,平成17年度の入園者は,国体があったにもかかわらず66万人程度と予想されております。新幹線岡山開通時の昭和47年度には入園者が210万人,瀬戸大橋開通時の昭和63年度には150万人,築庭300年祭のときには大変にみんなが努力した結果入園者92万4,000人,幻想庭園など定着したイベントも多いのですが,ここ5年間は60万人から70万人台で推移しております。チボリ公園以上に,後楽園にとっては100万人というのが非常に高いハードルになっております。同じ三名園の兼六園の平成16年度の入園者は,後楽園の2.6倍の164万人,水戸の偕楽園でも124万人であります。入園者が減れば一般会計からの持ち出しもふえ,しかも今10%削減が続いているという極めて限られた予算の中で,むしろ多くのボランティアの方に支えられ,後楽塾開設等,本当に涙ぐましい努力で管理運営されていると思います。それでも,今や後楽園は観光バスは朝一か夕刻前に,つまり食事を外した時間に1時間だけ立ち寄る観光スポットで,旅行業界の観光地としての内部ランクも非常に低くなっております。いつも申し上げることでございますが,私は,後楽園は周辺施設との回遊性に決定的に問題がある,そのように考えています。後楽園は絶対に兼六園には負けていないのでありますけれども,周辺の総合力で大きな差がついてしまっている。そのことはだれもがもうわかっておるわけでありますけれども,明治に入り池田家より御寄贈いただき,現在県が管理をし,昭和27年に後楽園が文化財保護法で国の特別名勝に指定されて,そうそう自由にいじれない,しかしそのことも重々理解した上で,今抜本的に後楽園に対する対策を講じなければ,後楽園は,遠くインドの方にはその魅力がわかっていただけても,貴重な文化財として守られながらも,入園者はじり貧になる忘れられた観光地になってしまいます。まずは,平成12年度末の事業評価委員会で後楽園周辺整備事業としての出石町の整備計画,これが白紙撤回されたわけでございますが,これが鶴見橋の歩道整備以外何もできなくなっている,そんな錦の御旗になっております。このままでは,後楽園の入園者は減少の一途をたどるばかりであり,何らかの対策が今必要であると思います。そこで,後楽園の入園者をふやし,にぎわいを創出するためには,周辺地域を含めた新たなグランドデザインが今必要であると考えますが,いかがお考えでしょうか,知事にお尋ねいたします。
 具体的には,岡山城かいわいは岡山市の管轄で,お城の殿様のお庭である後楽園の方は県の管轄ですなどというのは,市民県民のどなたも御存じありませんし,何より観光客にとっては,これはもうどうでもよいことでございます。月見橋を境として,岡山城・後楽園ゾーンが一体的に整備されてイベント等が今連携されている,そういった状況にあるとは言えないかもしれません。例えば,岡山市立のオリエント美術館や県立美術館,さらに民間の林原美術館や夢二郷土美術館を含めたカルチャーゾーン共通パスなども含めて,岡山市等との連携を図って,周辺施設との回遊性を高める施策はいかように進められているのでしょうか。また関連して,全県下の美術館,博物館のコンソーシアムとして岡山県博物館協議会がございますが,国民文化祭に向けて活動を充実させるべきだと思います。いかがお考えでしょうか。
 さらに,周辺整備ということで言えば,全国の観光地と比べると,恥ずかしいことにバス駐車場のそばに運転手さんや乗務員さんが休憩される場所すらございません。県外から来られて,バス内で皆さん待機されておられるわけですが,こういった配慮のなさが,結果的に観光業界の内部での評判を下げて観光客を遠ざけてしまいます。ぜひ善処をお願い申し上げます。
 また,県立博物館は本当に涙ぐましい努力ですばらしい企画展示をされていますが,大変に老朽化しておりまして,将来において建てかえるなら現在のあの場所にある必要があるのかしらというふうに思うわけでございますが,むしろ普通ならば後楽園資料館や観光休憩所があるような場所でありまして,こういった県ができる周辺整備について,ハードになりますけれども,いかようにお考えでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 ところで,知事は今議会で,直営施設についても指定管理者制度導入による民間管理の可能性を示されましたが,管理運営業務の内容や法律上の制約から私は後楽園が民間管理になじむものとは理解いたしておりませんけれども,この点いかようにお考えでしょうか,土木部長にお伺いいたします。
 また,都市公園という性格上,都市局都市計画課の所管ではありますが,文化財なら教育庁に,デスティネーションキャンペーン等を展開する観光施設ならば産業労働部に,よりなじむものと思いますが,後楽園は文化財か観光施設か都市公園かと考えたときに,観光施設によりウエートを置くと考えた方がよりさまざまな施策が展開できるように思いますが,いかがお考えでしょうか,お伺いいたします。
 さらに,平成21年の緑化フェアにおいては,主会場の西大寺カネボウ跡地を後楽園が既存の都市公園としてサポートする必要があると考えますが,御認識をお知らせください。

(知事)  まず,「ももっち」についてでありますが,御指摘のとおり,「ももっち」は桃太郎をモチーフとしておりまして,全国に向けたアピール度を高める意味でも,犬,猿,キジといった仲間たちに脇役として加わってもらうという展開が必要ではないかと考えておりまして,今現在,その犬,猿,キジの脇役のデザイン化を急いでいるところでございます。「ももっち」には,そうした仲間ともども,子供さんからお年寄りに至るまで幅広く愛される岡山県のキャラクターとして全国に向けた本県のPRに大いに活躍してもらいたいと,このように願っております。
 次に,後楽園についてであります。
 周辺整備のグランドデザインについてでありますが,お話のとおり,後楽園の入園者はここ数年60万人台で推移いたしておりまして,伸び悩んでいるというのが現状であります。このため,新たなグランドデザインが必要ではないかとの御質問をいただきましたが,後楽園周辺整備事業が白紙撤回されました経緯等を考えますと,現時点では,同じコンセプトでの計画につきましてはなお慎重な対応が必要と考えております。
 御質問のソフト対策といたしまして,にぎわいの創出や回遊性を高める対策につきましては,さまざまな工夫を加えながら進めてまいりたいと存じます。現在,入園者増加策といたしまして,300年祭を契機に毎年実施しております幻想庭園や初春祭など,さまざまなイベントを行いますとともに,来年度からは夜間開園の期間を延長するなど,新たな取り組みを行うこととしております。
 周辺施設等との回遊性でありますが,後楽園を初め,岡山城や美術館など歴史文化施設が集中しておりますカルチャーゾーンは,全国にも誇れる岡山を代表する文化・観光の拠点であると考えております。これまでも,これらの施設で構成する岡山カルチャーゾーン連絡協議会を中心といたしまして,相互の連携を図りながら,施設間での共通割引券や周遊マップの作成などの取り組みを行っているところであります。さらに,来年度から,本県ではNPOや岡山市等と連携いたしまして,ゾーンの拠点性や回遊性をより高めるため,町並みの文化的雰囲気や統一感を創出するなど,歩いて楽しいまちづくりに新たに取り組むこととしております。
 岡山県博物館協議会についてでありますが,県立美術館が中心となり平成3年に設立されまして,現在県下74の美術館,博物館が加盟し,文化施設とまちづくりをテーマとした講演会や各種研修会の開催,共通パンフレットの作成など,積極的に活動しております。これら美術館等は地域における文化的拠点でありまして,協議会の活動を活発化させることは,国民文化祭に向けた文化力の向上と機運醸成に大いに資するということになることから,県立美術館がさらにリーダーシップを発揮いたしまして,美術館相互の出前講座等の新たな連携事業にも取り組むなど,さらに活動を充実させてまいりたいと考えております。
 観光施設としての施策の展開でありますが,後楽園は日本三名園の一つでありまして,300年以上の歴史を現在に伝える世界に誇れる文化遺産でありますとともに,都市生活にゆとりと潤いをもたらす緑豊かな空間といたしまして,今日まで多くの県民の皆様に親しまれてきたところであります。また,同時に,県を代表する観光施設であるということも十分認識いたしているところでありまして,今後とも,文化遺産としての価値を生かしながら,より一層観光資源としての後楽園の新たな魅力を発見できるイベントを展開いたしますとともに,観光キャンペーン等によりまして,国内外から多くの観光客の皆様に訪れていただけるように最大限の努力を払ってまいりたいと存じます。
 全国都市緑化フェアのサポートでありますが,フェアの開催は,緑豊かな潤いのあるまちづくりを推進し,歴史文化あふれる岡山を全国へ情報発信することができる有意義な機会であると,このように考えておりまして,御提案の後楽園の活用につきましては,現在策定中の基本構想の中で,既存の都市公園とあわせまして検討を進めているところであります。

(土木部長)  まず,後楽園につきまして,県ができる周辺整備についてでございますが,これまでに,駐車場近くの多目的トイレの改築や鶴見橋の歩道橋の整備にあわせまして,正面入り口から新たな歩道の整備を行うなど,来園者の利便性の向上に努めているところでございます。また,県立博物館につきましては,後楽園,岡山城とともに,岡山の文化と歴史を今に伝える貴重な施設であると考えておりますが,現在,教育委員会では新県立博物館構想もございまして,その推移を見ながら後楽園正門周辺の整備について検討してまいりたいと考えております。
 次に,指定管理者制度の導入についてでございますが,来年度には直営施設の指定管理者制度の導入を含めました管理運営のあり方について再検証することとしておりまして,この再検証におきましては,各施設の管理運営業務の内容や法律上の制約など,さまざまな観点から細部にわたり検討を行うことといたしております。後楽園は,文化財保護法による特別名勝で,郷土岡山が世界に誇る貴重な文化遺産でありますことから,指定管理者制度の導入につきましては,慎重に検討する必要があると考えております。



<平成16年2月定例会>(2004年3月5日)

(佐藤)  次に,観光振興及び文化振興の観点から知事にお伺いいたします。
 幾つかは平成11年9月定例会でも伺いましたが,来年「晴れの国おかやま国体」が開催され,県外からのお客様に岡山の文化に触れていただく絶好のチャンスであることはもちろん,そのときとかなり前提が変わってきていると思います。今,県都岡山市の中心部は大きく動いています。再開発によるマンション建設計画はメジロ押しで,特にJR岡山駅西口方面は,平成17年のおかやま国体に向けて,まさに大きく生まれ変わろうとしています。そして,2009年に本当に「ザ ハヤシバラ シティ」ができるのであれば,中心市街地の地図が大きく塗りかえられます。
 しかし,私は,あくまで既存のインフラを生かした2つの核があり,それをうまくつなぐこと,それが街づくりの観点から極めて重要であると考えます。そうした中,私は今まで以上に,岡山カルチャーゾーンと称される文化ゾーンの意味が重要になると思います。そして,地域の方々が本当に不安に思っておられるように,もしここで方向を誤れば街が死んでしまう,そんな危機的状況である,県としてもそういう認識が必要なのではないかと思います。
 私は,JR岡山駅から1キロメートルも行けば,すばらしい文化ゾーンが広がることを実感します。文化ゾーンの中心と思われる後楽園周辺には,岡山城,県立美術館,県立総合文化センター,市立オリエント美術館,シンフォニーホール,市民会館,林原美術館,県立博物館,夢二郷土美術館等々があり,さらに今秋からは県立図書館,再来年度からは旧日銀跡地,直径1キロメートル以内に10を超える核になる文化施設が集まっていて,さらにミニシアターや民間のギャラリーを加えれば,全国的にも間違いなくこれだけの文化ゾーンはない,そのように思います。我々がどれだけ歴史と伝統に誇りを持ち,何よりさまざまな資源をうまくつなぐことができるか,こうした文化をルートにする,そのことが肝要だと思います。
 私は,ブームに便乗するのではなく,岡山の高い文化性は常に観光の対象たり得る,すなわち文化立県は観光立県とある意味イコールだと考えますが,文化振興施策と観光施策の連関について,知事の哲学を御教示ください。
 ところで,現在,例えば,後楽園は観光バスで訪ねても,恐らく1時間後に集合する,そんな観光地になっていると思います。私は,これが県外の観光地であれば,後楽園を中心に11時に解散,2時に集合の自由行動になって,その間にしっかりと文化ゾーンを周遊していただいて,しっかりと岡山の名物のサワラとママカリと祭りずしとそれから吉備だんご等々を食べていただき,しっかりとお土産を買っていただく。そして,一日いてもまだ時間が足りない,そんな文化,観光の宝庫であると思います。なぜ,それができていないのでしょうか。
 午前中はチボリ公園に関する質問がございましたが,特に後楽園の問題であります。日本三名園の一つながら,昨年度の入園者は66万人,築庭300年のときに入園者99万9,000人,定着したイベントも多いのですが,わずか3年で3分の2まで入園者が減りました。同じ三名園の兼六園の昨年度の入園者は,後楽園の3倍の193万5,660人,水戸の偕楽園は158万3,390人,何が問題なのでしょうか。私は,まさに後楽園は周辺施設との回遊性に問題がある,そのように考えています。
 入園者が減れば,一般会計からの持ち出しもふえ,ここでそれも削減しなくてはいけないという状況であるわけですが,昨今では,知事の口からも後楽園という言葉が余り聞かれなくなりました。文化・観光資源としての後楽園に,知事は今どのような思いを持っておられるのでしょうか。
 ところで,後楽園を訪れる県内外の観光客は,新鶴見橋から蓬莱橋を渡って,あるいは鶴見橋を渡って駐車場で下車して,園内を見物した後,バスまたはマイカーで次の目的地に向かっています。一方で,後楽園に通じる鶴見橋のたもとにある出石地区は,観光客相手に栄えた時期もありましたが,今は空き家が目立ち,昔の面影は少しなくなってきております。普通の観光地であれば,周辺地域が,地域住民の方が観光で食べている,そんな状況であってもおかしくはないと思います。平成3年9月定例会で当時の長野知事は,「後楽園周辺が廃れた原因の一つというのは,私に言わせますと,はっきり申し上げると,後楽園のわきに駐車場をつくったことにあると思っております」とおっしゃられています。
 私は,こういった財政状況でありますけれども,本格的な岡山県観光物産館と観光バスの集積する場を別に設けて,今度新設される鶴見橋歩道橋を観光客の皆様には歩いていただく,そういった戦略が必要であると考えますが,これについての知事の見解をお知らせください。
 そしてまさに,残念ながら築庭300年の年でありましたが,後楽園の門前町としての出石町を復活させるという整備計画がいきなり白紙撤回されてしまいました。今むしろ私は,白紙撤回の撤回が必要であると思います。知事の御所見をお聞かせください。
 ところで,岡山の文化・観光の象徴は,何といっても桃太郎でございます。ちなみに,桃太郎伝説の発祥の地は,北海道から宮崎まで全国20カ所以上あると言われますが,特に,桃太郎三大生誕地と言われているのが,愛知県犬山市,香川県高松市,岡山県岡山市でございます。木曽川をさかのぼること60キロ,その名を桃太郎のお供をした犬にちなんでいるのが愛知県犬山市,市内には桃太郎神社があって,鬼のミイラも保存されています。また,香川県高松市には,桃太郎神社はもちろん,犬,猿,キジの墓があり,系図を持った桃太郎の36代目の子孫までいらっしゃるということでございます。しかし,桃太郎伝説の本拠地として自他ともに認められているのは,我が岡山でございます。にもかかわらず,他府県に対して我が県は,桃太郎の本拠地としての義務を真摯に果たしているでしょうか。私は,絵本,フィルム,絵画,史料など,全国に散在する桃太郎に関する情報を集積した「桃太郎情報センター」を文化ゾーン内につくり,ある意味これでもかとあきれるほど桃太郎を氾濫させて,観光客に向けて桃太郎グッズを売りまくって,岡山に行ったら夢にまで桃太郎が出てくるといったような,桃太郎伝説発祥の地・岡山を世界に向け発信すべきだと考えますが,知事の御所見をお知らせください。

(知事)  次に,文化振興施策と観光施策の連関でありますが,本県には県下各地に特色ある文化が根づいておりまして,吉備路を初め,後楽園あるいは県立美術館,また備中神楽や倉敷,津山の音楽祭などに,県民を初め多くの方々が訪れているところであります。
 このように,すぐれた文化は最大の観光資源となっているところでありまして,個性豊かな地域の文化を守り育てることは,人々の地域への誇り,あるいは愛着心をはぐくむとともに,観光客を引きつけるものにもなるものと存じます。
 今年度から,知事部局におきまして文化振興施策を所掌することとしているところでありますが,観光施策,地域振興施策等との円滑な連携のもとに,文化を地域のブランドといたしまして,さらに活用してまいりたいと存じます。
 後楽園への思いでありますが,日本三名園の一つであります後楽園は,延養亭などの建物を中心といたしまして,旭川の清らかな水を引き入れた曲水や池,築山や芝生などを優雅に配置をいたしました,江戸時代を代表する大名庭園でありまして,郷土岡山が世界に誇る貴重な歴史的文化遺産と考えております。
 また同時に,都市生活にゆとりと潤いをもたらす緑豊かな空間といたしまして,今日まで多くの県民に親しまれてきたところでございまして,後楽園の文化的な価値の保存,継承を図りながら,また同時に多くの方々に訪れていただきたい,このように思っております。
 このため,後楽園の持つ独自の美しさや価値を再認識していただけるように,伝統的文化的行事を実施いたしますとともに,300年祭で好評を得ました幻想庭園等のイベントを今後とも実施して,後楽園が持っております魅力を,あらゆる機会をとらえながら,広く国内外へ情報発信してまいりたいと,このように存じます。
 歩いていただくための戦略でありますが,本格的な観光物産館等の御提案をいただきましたが,これにつきましては,平成3年にシンフォニービル内に「岡山県観光物産センター」が整備されておりまして,御案内のとおり,観光客への情報提供や県産品の販売促進の拠点といたしまして定着をしているところでございます。現在地におきまして,より一層の利用促進を図ってまいりたいと考えております。
 また,後楽園と出石町周辺を散策する観光客等の安全性を確保するために,現在,鶴見橋の歩道橋を整備しているところでございまして,近々供用開始できる見込みでございます。
 今後は,この歩道橋を有効に活用いたしまして,多くの観光客等に散策をしていただけるように,周遊コースの設定等,カルチャーゾーンの魅力アップに努めてまいりたいと存じます。
 出石町の整備計画でありますが,出石町で計画されておりました後楽園周辺整備事業につきましては,御存じのとおり平成12年末の事業評価委員会におきまして,一定の意義は認めつつも,事業の緊急性や計画の熟度が低く,さらに県事業といたしましての役割分担などに再考を要するとの意見が出されまして,それらを踏まえまして,県が主体となって行う事業といたしましては,白紙撤回としたところでございます。
 現時点におきましても,こういった状況につきましては,大きな変化はないところでございまして,現在のような厳しい財政状況等から勘案いたしますと,この撤回の撤回ということにつきましては困難であるということをぜひ御理解を賜りたいと存じます。
 「桃太郎情報センター」でありますが,伝説上の人物・桃太郎につきましては,これまでも本県観光の魅力を全国に発信するシンボルキャラクターといたしまして,誘客,宣伝に用いてきたところでございまして,桃太郎にちなんだ土産品やキャラクターグッズなども多く開発されているものでございます。そのような土産品やグッズ,桃太郎関連資料等を集めて,桃太郎伝説発祥の地・岡山を国内外に情報発信をするという御提案は,観光振興を図る上でも,これは一定の効果は期待できると存じますが,現下の厳しい諸情勢でございまして,具体的なセンターの問題につきましては,今後の検討課題ということにさせていただければと,このように存じます。



<平成13年12月定例会>(2001年12月12日)

(佐藤)  次に,文化芸術についてお伺いいたします。
 私は,文化では飯が食えないというのは,これは,アメリカのハリウッドの映画産業の世界戦略一つとってみても大きな間違いであると思います。やりようによれば文化でも飯は食えると,そのように思います。
 岡山県における文化芸術につきましては,まずもって昭和61年から全国各地において開催されている国民文化祭が平成21年度以降の早い時期に岡山県に誘致・開催されること,また,平成12年3月に策定された岡山県文化振興ビジョンの実現,あるいは岡山県芸術祭の県民文化祭への移行,また岡山県文化連盟(仮称)の創設を切望いたします。
 さて,知事は,文化は県民一人一人の自主的,創造的な活動がつくり出していくものであり,行政の役割は県民の文化活動を促進するための支援や環境づくりをすることであるとされますが,これはちょっと午前中の質問と重複いたしますが,先日超党派で文化芸術振興基本法が成立いたしました。とりわけ舞台芸術分野においては,近世以降我が国で置かれてきた偏狭な概念が国家の名において是正され,その環境整備の必要性が公文書,それも法律として明記されたとして,非常に高く評価され,大きな励みとなっています。
 この文化芸術振興基本法ですが,「新世紀おかやま夢づくりプラン(仮称)」の中での位置づけを含めて,今後,この法制化を地域で具体的に実質化させていくための指針や施策をお知らせください。
 次に,新千年紀記念事業として岡山駅前東口広場に「吉備沃野」というパブリックアートができたわけですが,このアートの芸術性は高く評価できると思います。私もすばらしいものだと思いますが,ほかに利用価値のある公共空間に,いわば行政主導の形でパブリックアートがつくられていくような過程に私は若干の疑問を感じております。こういった公共施設におけるアートの作成過程においては,行政主導ではなく,文化施設の運営や芸術文化団体の活動を担う人材や団体を育成するという観点からの取り組みが必要であると考えますが,こういったパブリックアートをつくっていく過程にどういう哲学があるのか,御教示いただければ幸いです。
 さらに,ビジョンの中では文化情報提供機能の充実を掲げられていますが,岡山情報ハイウェイの活用としてネット内博物館,デジタルミュージアムなどの可能性についてどのようにお考えでしょうか。

 また,ビジョンの中では文化施設の利用促進と整備を掲げられていますが,岡山県が誇る文化ゾーンである後楽園,城下周辺につきお伺いいたします。
 出石町再開発,また旧日銀岡山支店の跡地も含めて今後の整備方針について,企画振興部長にお伺いいたします。
 特に,商店街のみならず,文化ゾーンの玄関口である表町地下駐車場の見直しがされるということでありますが,まさにこの地は国の予算の重点7分野の一つである都市再生そのものに関する地域のことでありまして,2万人の居住可能性のある中心市街地において,駐車場をこのように縮小する以外に方策がないのか,土木部長にお伺いいたします。
 さらに,ビジョンの中で文化振興の推進体制の充実を掲げられていますが,文化施策は,まさにさまざまな機会を活用した県民ニーズの把握が必要であり,NPOも深く絡んでくるというまちづくりそのものの話であり,知事のもとにあるのが適切だと私は考えますが,いかがでしょうか。

(知事)  文化芸術振興基本法でありますが,法では,今後,国が示す基本方針を勘案し,各県で施策の推進を図るように定められておりますが,本県では,御案内のとおり,既に岡山県文化振興ビジョンを昨年策定をし,県芸術祭の充実など文化芸術の振興に取り組んできているところであります。
 先日,骨子案をお示しをいたしました「新世紀おかやま夢づくりプラン」におきましても,文化というものを重要な柱と位置づけておりまして,今後,このプランの具体化に当たりましては,各界各層の御意見,あるいは法の趣旨に沿ったプランにしてまいりたいと考えているところでございます。
 パブリックアートについてのお尋ねがございましたが,パブリックアートの制作過程におきましては,御指摘のような人材育成等の観点からの取り組みというものも有意義であると,このようには考えますが,さらに,パブリックアートでございますから,設置する場所とか,あるいは周囲の景観等も踏まえまして,専門家,地元関係者の意見も聞き,コンセンサスを得ながら進めていくことが大変重要であると考えております。
 新千年紀記念事業は,県民の皆様方からのアイデアの募集に始まりまして,各界を代表する委員から構成される新千年紀記念事業推進会議において,芸術の専門家等を交え,1年間にわたって審議をした結果,岡山駅前に「吉備沃野」を整備することに決定したものでございます。そういった意味で,行政主導で完成をしたものでないことを御理解を賜りたいと存じます。
 デジタルミュージアム等の可能性についてでございますが,本県が全国に先駆けて整備をいたしました情報ハイウェイを活用いたしまして,現在,県立博物館の新たな機能といたしましてデジタルミュージアムシステムの構築に取り組んでいるところであります。現在,約1万4,000件の所蔵資料のデジタル化に着手をいたしておりまして,県内博物館等との連携によるネットワーク化に向けまして検討を始めている段階にございます。
 文化振興の推進体制であります。現在,文化振興に関する施策につきましては,知事部局においては主として地域文化を,また,教育委員会におきましては文化財と芸術文化を所管しておりまして,おのおの機能分担と連携を図りながら推進をいたしているところであります。
 この文化施策を知事部局が所管をしてはどうかとの御提言がございましたけれども,既に各種法律によりまして,例えば博物館,図書館,社会教育等々の関連の法律は,その業務につきましては教育委員会が所掌すると法律で明示されている分野も多々あるわけでございます。また,文化行政の,その地方教育行政の中における中立性といったような議論もあろうかと思っております。
 現在の私の考えといたしましては,例えば国民文化祭の開催等,県を挙げて対応する必要があるようなそういう大きな取り組みにつきましては,これは知事部局が中心となっていかなきゃいけないといったような方針で,文化行政を総合的に,そして効果的に推進をしていくということから体制の整備に努めてまいりたいということで,当面の体制を維持しながら,より私自身が文化行政を強力に先頭に立って推進をしていくということで,この文化行政のこれからの県政の方向づけを図ってまいりたいと考えております。御理解を賜ればと思います。

(企画振興部長)  後楽園,城下周辺の整備方針等のうち出石町再開発についてでありますが,後楽園の玄関口である出石町で計画されておりました後楽園周辺整備事業は,昨年12月,大規模事業の見直しの中で,事業評価委員会の意見を踏まえて白紙とし,先行取得済みの用地につきましては,当該地域の特性が生かされるよう,民間活用を含めた処理方策を検討することといたしたところでございます。
 次に,旧日銀岡山支店の整備についてでございますが,本年3月に,旧日銀岡山支店を活かす会から,歴史的建造物である本館の再生保存や芸術文化の拠点としての活用等について最終報告をいただいたところでございます。これを踏まえ,本年度は建物の耐震診断を実施しているところでありまして,この結果をもとに今後事業化に向けた県としての計画策定に努めてまいりたいと考えております。

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